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2023年度グッドデザイン賞　受賞　概要

【グッドデザイン賞】

・1957(昭和32)年に創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度」であり以来約60年にわたって実施されています。「Gマーク」は創設以来半世紀に以上にわたり「よいデザイン」の指標として、その役割を果たし続けています。日本で唯一の「総合的なデザインの推奨制度」です。

【受賞対象の詳細】　

・富士屋ホテルは、登録有形文化財を含む、明治、大正、昭和の個性豊かな建築群より構成され、耐震改修促進法改正を契機に文化財的価値の保存と安全性確保の両立を目指し、歴史的建物に耐震・防災改修を実施。ホスピタリティの高いサービス提供のため、最新機能の厨房等を含むカスケード・ウイングを新築し、歴史的建物に接続しました。

【デザインポイント】　

・耐震改修は、意匠の保存を最優先し補強部材を露出させない計画とし、改修前と変わらない姿で改修を実現。
・戦後に改変されていた本館ロビーを、昭和初期の姿への復元によって本来の広がりのある快適な空間を蘇生。
・レストラン・カスケードは、旧カスケードの歴史的内装意匠の新築RC構造への移設・復元による保存継承。

【 背　　　景 】

 耐震改修促進法の改正を契機として、ご利用のお客様と従業員の安全安心を確保する耐震改修の実施が決定されました。日本を代表するクラシックホテルとして、競争力を持ち続けるため、最大の魅力である唯一無二の建物の文化財的価値を維持・向上し将来に確実に継承すること、時代のニーズを捉えたホスピタリティの高いサービス提供が可能な施設を実現することを事業の目的としました。そのため、本館・食堂棟、西洋館、花御殿、フォレスト・ウイングは耐震・防災改修を行ない、サービスの根幹を支える厨房、日本閣（事務所）、カスケードルーム（宴会場）は、機能性・快適性向上を優先するため解体し、カスケード・ウイングとして建替えを行ない、歴史的建物に対し、最新機能を備えた新築建物がサポートする形で有機的に連携・融合し、歴史的空間において、最高のサービスを提供し、お客様に歴史的文化的資産を心から享受していただけるホテルを実現しました。

【 経 　 緯 】

文化財の建物群を保存しながら、新築建物を内部で接続することが求められました。
また、本館へのバリアフリー対応のエレベーター増築は長年の課題でもありました。
法的に既存不適格の文化財建物に現行法への既存遡及をさせない手法として、建築基準法の法適用除外指定を適用しました。大規模宿泊施設への適用は全国でも前例がなく、高いハードルではありましたが、県建築指導課と代替措置について合意し、実現しました。木造の本館・食堂棟は、耐火建築物の法的要求に対し床・壁・天井内への防火被覆の挿入による準耐火建築物化と代替措置としてスプリンクラー、ドレンチャー、炎感知器等の設置を行ない耐震補強と併せ、改修前とほぼ意匠を変えない形で安全性を確保し、保存改修を実現しました。

本館は、広がりのあるロビー空間の復元とエレベーターの増築、食堂棟のメインダイニングは渡り廊下で接続された最新の厨房との連携により、歴史的空間での心地よいサービスの提供を可能にしました。

◆富士屋ホテル系譜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

1878年（明治11年）創業
1891年（明治24年）本館建築
1906年（明治39年）西洋館建築
1930年（昭和 5年） 食堂棟建築
1936年（昭和11年）花御殿建築
1946年（昭和21年)

宮ノ下御用邸払い下げ、菊華荘と命名

1960年（昭和35年）　 

新館(フォレストロッジ)建築

1997年（平成 9年） 　

本館など6施設が国の登録有形文化財に指定

2007年（平成19年）   

本館など7施設が経済産業省の近代化産業遺産に認定

2018年 (平成30年) 　　

耐震補強及び改修工事のため4月1日より一時休館

2020年（令和 2年） 　

創業記念日の7月15日営業再開

【文化財施設登録年】
1997年 （平成9年） 　 

登録有形文化財 (本館、西洋館1、2号館、花御殿、食堂棟、菊華荘)

2007年（平成19年）　 

近代化産業遺産 (本館、西洋館、花御殿、食堂棟、菊華荘、ｶｽｹｰﾄﾞﾙｰﾑ、厨房）

2018年（平成30年）　 

箱根町特定歴史的建造物(本館、西洋館、花御殿、食堂棟、菊華荘、フォレストロッジ他）