TOPPANホールディングス/TOPPAN、同時通訳技術による観光ガイド向け翻訳システムの実証を開始

遠隔多人数翻訳システムを使った日本語からの同時通訳例(左:英語、中央:中国語、右:韓国語)

複数の外国人に向けて同時通訳技術を活用した多言語ガイドの実証実験を浅草で実施

リリース発表日:2023年10月11日 10時07分

 TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPAN株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:齊藤 昌典、以下 TOPPAN)は、2020年より総務省の委託研究「多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発(※1)」を実施しており、多言語翻訳技術を同時通訳に高度化することにより、ビジネス等への利活用を目指しています。
 この度、本研究で開発を行っている同時通訳エンジンをTOPPANが知見を有する遠隔多人数翻訳システムに実装し、観光ガイドに活用する実証実験を浅草の仲見世通りから浅草寺周辺で2023年10月11日(水)、10月19日(木)、10月26日(木)の3日間、実施します。同時通訳エンジンは、発話者の発話が終了する前から発話の一部を通訳することができるため、これまで主に翻訳サービスで利用されてきた逐次翻訳よりも翻訳結果を早く返すことができ、タイムラグが少ない円滑な多言語コミュニケーションを実現します。

 TOPPANグループは、2025年4月より開催される「2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)」の自動翻訳システムに協賛が決定しており、本実証を経て大阪・関西万博での同時通訳技術の活用を目指します。

遠隔多人数翻訳システムを使った日本語からの同時通訳例(左:英語、中央:中国語、右:韓国語)遠隔多人数翻訳システムを使った日本語からの同時通訳例(左:英語、中央:中国語、右:韓国語)

■ 本実証の背景

 新型コロナウイルスの感染拡大で減少したインバウンド需要が入国制限の緩和により回復し、日本全国の観光スポットに外国人観光客が戻ってきています。外国人向けガイドは英語・中国語など単一の言語で実施されることが多く、複数言語で同時にガイドを行うことは難しい状況です。このような背景を受け、TOPPANグループでは2022年7月より遠隔・多言語・複数人でのコミュニケーションを実現する遠隔多人数翻訳サービス「RemoteVoice®(リモートボイス)」の提供を開始。また、2020年より総務省の委託研究「多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発」を実施し、既に実用化されている「逐次翻訳」の技術を「同時通訳」の技術にまで高度化し社会実装を目指しています。これらの背景のもと、この度、同時通訳エンジンを実装したガイド用翻訳システムの実証実験を開始。様々な言語の外国人観光客を対応する観光ツアーガイドで活用します。

■ 本実証の概要

場所

浅草(仲見世通りから浅草寺周辺)

期間

2023年10月11日(水)、10月19日(木)、10月26日(木)の3日間

 1日1回のツアーを開催 ※天候などの影響で予定変更となることがあります。

参加者

ツアー1回で2人~10人の参加者を予定

目的

同時通訳技術の社会実装に向けて翻訳システムのユーザビリティ及び参加者の体験向上の検証

概要

様々な言語を母国語とする外国人観光客に向けたガイドツアーで、同時通訳エンジンを実証用システムに活用。ガイドは参加者に対して定型文登録による翻訳ガイドと合わせて、リアルタイムで会話した内容の同時通訳エンジンによる翻訳で説明を行う。参加者は、指定のURLから会話ルームに入り、予め設定した言語でガイドによる説明を音声やテキストで確認する。

運営団体

TOPPAN株式会社:ガイドシステムの提供

株式会社羅針盤:ツアー主催会社、ガイドスクリプトの提供

 フェアリーデバイセズ株式会社:同時通訳APIの提供

※本実証に先立ち事前検証を秋葉原の外国人向け観光ツアーガイドで実施しました。合計17人の参加者からは、母国語でのガイドの分かりやすさやUIの使いやすさを高く評価されました。

秋葉原での外国人向け観光ツアーガイドの様子秋葉原での外国人向け観光ツアーガイドの様子

 ■ 本実証で活用する同時通訳エンジンについて

 現在の音声翻訳技術は「逐次翻訳」と呼ばれ、発話者が発話を区切ったところで、文章をひとまとめに通訳するものです。これに対して、「同時通訳」は、発話者の発話が終了する前から通訳者が発話の一部を訳出することを繰り返すものです。
 同時通訳エンジンは、逐次翻訳エンジンと比較して、発話内容が翻訳されて相手に伝わるまでの時間が短縮でき、さらに発話者が発話を中断する必要もないという大きなメリットがあります。

 

■ 遠隔多人数翻訳サービスについて

 TOPPANグループでは、これまで音声翻訳サービス「VoiceBiz®(ボイスビズ)(※2)」をはじめ、在留外国人との多言語コミュニケーションを支援する様々なソリューションを展開してきました。遠隔多人数翻訳サービスは在留外国人や外国人観光客などとの言葉の壁を無くすことを支援するオンラインのAI音声翻訳サービスです。遠隔地にいる外国人や、お互いに違う言語を用いる複数の外国人が集まる場面で、それぞれの端末を通じて会話に参加することが可能です。主催者が会話ルームを立ち上げ、外国人参加者は自身の持つPCやタブレット、スマートフォンでインターネットに接続。利用者は専用アプリのインストールなども不要で、主催者の発行したQRコードから会話ルームにアクセスするだけで、どこからでも簡単に利用ができます。また、事前に伝えたい内容を登録することができるため、長文でも正確に音声やテキストを出力することが可能です。

■ 今後の目標

 TOPPANは、本実証を踏まえた同時通訳技術による多言語ガイドシステムの構築を進め、2024年4月からの販売開始を目指します。同時通訳技術の社会実装を通じて、外国人との円滑なコミュニケーションを実現し、多言語コミュニケーション基盤構築を目指します。

※1 「多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発」

グローバルコミュニケーション計画2025の推進のため、既に実用化されている『逐次翻訳』の技術を『同時通訳』の技術にま

で高度化し、ビジネス等の場面での利活用を可能にすることを目指す取り組み。

※2 VoiceBiz®(ボイスビズ)
 翻訳は30言語から選択でき、固有名詞や定型文の登録に対応した多言語音声翻訳サービスです。翻訳エンジンには、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発を進める、深層学習を用いたAI翻訳技術を採用。

* 「遠隔多人数翻訳システム」は、TOPPANホールディングス株式会社が関連特許取得済みです。

* 「QRコード」は(株)デンソーウェーブの登録商標です。

* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。

* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

以  上

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