- 2024-4-16
- ホテル プレスニュース
富山県魚津市のシティホテル「ホテルグランミラージュ」の展望フロアにアーティスト舘鼻則孝のアートワークに囲まれた温浴施設「スパ・バルナージュ」が2024年4月26日(金)にオープンします。
「スパ・バルナージュ」について
蜃気楼が見える街としても知られている富山県魚津市に位置する「ホテルグランミラージュ」の9階にオープンする「スパ・バルナージュ」は、立山連峰と富山湾を一望できる大パノラマと共にアートを楽しむことができる非日常的な温浴施設です。
レディー・ガガの履く《Heel-less Shoes》の作者として世界的に知られているアーティストの舘鼻則孝が担当した浴室アートワークとサウナの聖地と言われている「サウナしきじ」の笹野美紀恵が監修したサウナ・温浴施設が「スパ・バルナージュ」の大きな魅力となっている。
スパ・バルナージュ( ホテルグランミラージュ 9F )
〒937-0041 富山県魚津市吉島1-1-20
プレオープン:2024年4月20日(土)〜 4月24日(水)
グランドオープン:2024年4月26日(金)
お問い合わせ先:0765-24-4411
利用料金や施設の設備など、詳しい情報はオフィシャルサイトをご覧ください。
Noritaka Tatehana for SPA BALNAGE
Descending Painting “Tateyama”
2024
アートワークについて
舘鼻則孝が手掛けた「スパ・バルナージュ」の浴室を彩るアートワークは、1センチ角のセラミック製タイルを無数に配置することで完成されたモザイク壁画です。舘鼻の代表的な絵画シリーズ《Descending Painting》を起点として、本作には施設から実際に眺望することができる立山連峰の景色が描かれています。
立山連峰を仰ぎ見る山側の浴室と富山湾を一望できる海側の浴室では、異なる図が表現されており、それらは対照的な内容となっています。山側は、燦々とした太陽が描かれた鮮やかな色彩の図なことに対して、海側では寒色を基調とした荒々しい雷雲の図となっています。
そして、注目すべきは浴室上部の吹き抜けとなっている空間の壁面に描かれた霊峰立山の景色です。古くから、登ると極楽往生が叶うとされた霊峰立山の立山信仰に関する文化的背景は、舘鼻が本作を手掛けるうえで重要な要素となっています。向かい合った2面に描かれた景色は、対照的な2室で構成された浴室と同様に、「神々しい太陽」と「猛然たる雷」が対峙するように配されています。それはまさに、立山信仰における「立山曼荼羅」と呼ばれる江戸後期に描かれた掛け軸式の絵画にある世界観にも見立てることができるでしょう。
舘鼻則孝のルーツ 富山と銭湯「歌舞伎湯」
富山には、鋳造彫刻など伝統工芸技法を活かした創作のために、度々訪れている私にとっては親しみのあるところです。そして、何より舘鼻家のルーツがあるのも富山なのです。
私の曽祖父と祖父は、戦後間も無く富山から上京し、新宿・歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営んでいました。「歌舞伎湯」は、1980年頃までは営まれていましたが、現在ではビルに建て替わっています。
1985年に生まれた私が、そのような過去を詳しく知ったのは、恥ずかしながら大学に通っていた頃でした。祖父が他界し、父と一緒に遺品を整理していた際、「歌舞伎湯」の写真を初めて見ました。
今となっては、歌舞伎町の中心とも言える新宿東宝ビルの隣に位置していましたが、当時は周りに都会的な建物は一切無く、大きな銭湯だけが空き地に建っているような構図が印象的でした。
数ある写真の中でも、私の目を引いたのが浴室全面に施された壮大なモザイク壁画でした。それは、日本風とも中国風とも取れるような形容し難い絵図ではありますが、富士山の絵が主流であろう現代の銭湯壁画と比べると私の目には新鮮に映りました。
本プロジェクトでは、私のルーツでもある富山の温浴施設にアートワークを設置したいというご依頼をいただき、すぐに「歌舞伎湯」のモザイク壁画を思い出しました。
このような機会に縁を感じ、本作には通常のペインティングではなくモザイク壁画を採用させていただきました。
地域の人に愛され、その土地に根差した作品になることが本作のようなパブリックアートの意義だと感じています。単に眺めるだけではなく、本作は体感することができるアートワークでもあります。富山を訪れる際には、是非お立ち寄りいただければ嬉しく思います。
舘鼻則孝
アーティストプロフィール
舘鼻則孝(たてはな のりたか)
1985年、東京都生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。シュタイナー教育に基づく人形作家である母の影響で、幼少期から手でものをつくることを覚える。2010年に東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻を卒業。遊女に関する文化研究とともに、友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。「Future Beauty」(東京都現代美術館など国際巡回、2012)、「イメージメーカー展」(21_21 DESIGN SIGHT、2014)、個展「呪力の美学」(岡本太郎記念館、2016)、個展「It’s always the others who die」(POLA Museum Annex、2019)、個展「NORITAKA TATEHANA: Refashioning Beauty」(ポートランド日本庭園、2019)、「和巧絶佳」(パナソニック汐留美術館など4会場を巡回、2020-22)、個展「Distance」(山口県立萩美術館・浦上記念館、2023) 等の他、ニューヨーク、パリ、ベルギーなど世界各地で作品を発表。2016年3月にパリのカルティエ現代美術財団で文楽公演を開催など、幅広い活動を展開している。作品はメトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館などに収蔵されている。また昨年に続き、東京都が主宰する「江戸東京きらりプロジェクト」の一環として企画され、東京の伝統産業に焦点を当てた展覧会「江戸東京リシンク展」(旧岩崎邸庭園、2024)の展覧会ディレクターを務めている。
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