新たな観光資源の造成を目的とした入道埼灯台利活用事業「灯台×ジオパーク×郷土料理」に関する有識者検討会を開催しました。

2024年8月28日(水) 13時30分~/男鹿市役所第一会議室
入道埼灯台(秋田県男鹿市)を起点とした新たな観光プランの造成と周辺地域の活性化に取り組む入道埼灯台利活用事業実行委員会は、2024年8月28日(水)に入道埼灯台利活用事業【灯台×ジオパーク×郷土料理】に関する有識者検討会を開催いたしました。このイベントは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、灯台を中心に地域の海の記憶を掘り起こし、地域と地域、異分野と異業種、⽇本と世界をつなぎ、新たな海洋体験を創造していく「海と灯台プロジェクト」の助成を受けて実施したものです。

  • イベント概要

・イベント名:入道埼灯台利活用事業「灯台×ジオパーク×郷土料理」に関する有識者検討会

・開催概要:入道埼灯台に関する基本調査をはじめ、灯台が立つ大地のジオやそのジオの石を使った郷土料理の「石焼料理」が新たな観光資源として成り立つのか検討を行いました。

・日程:2024年8月28日(水)13時30分~15時

・開催場所:男鹿市役所第一会議室 秋田県男鹿市船川港船川字泉台66‐1

・参加者:菅原広二(男鹿市長)

     佐藤幸人(秋田海上保安部次長)

     阿部和也(秋田海上保安部交通課専門官)

     丸山岳人(男鹿半島・大潟ジオパークガイドの会副会長)

     山本次夫(雄山閣取締役会長)

     細川忠夫(龍宮館代表)

     林信太郎(秋田大学名誉教授)

     たなかのりこ(フードコーディネーター)

     阪口あき子・阪口大輔(海と灯台プロジェクト事務局)

  • 入道埼灯台を中心にジオパークと郷土料理を新たな観光事業にするための検討会を開催!

それぞれの分野の専門家に集まっていただき、今回のテーマが新たな観光事業としてなりえるかの意見を出していただきます。

最初に菅原男鹿市長から、入道埼灯台のあるエリアは今後の男鹿市の観光にとって非常に重要なエリアであることから、今回の事業は重要な意味を持つものである、という発言をいただきました。その後、専門家の皆さんからそれぞれ意見をいただきました。

まずは「海と灯台プロジェクト」と今回の事業の企画内容の説明、そして灯台がもつ可能性や灯台の未来について、海と灯台プロジェクト事務局の阪口氏から説明がありました。

次に、入道埼灯台の管理を受け持つ秋田海上保安部の阿部さんより、入道埼灯台が、戦争中も破壊されず残った灯台であるという歴史やちょうど北緯40度上と位置するといった概要を話していただき、全国ののぼれる灯台16基のひとつであり、その中でも唯一の白黒模様の灯台である、という希少性も語っていただきました。

次に、灯台の目の前で飲食・お土産店を経営する龍宮館の細川さんから、幼少時代に灯台守のお子さんたちと一緒に学校に行ったり、遊んだ思い出を語ってもらいました。

男鹿半島・大潟ジオパークガイドの会の丸山さんからは、今回あらためて灯台の上にのぼってみたが、そこから見る入道崎の景色の素晴らしさと形状の説明のしやすさを再認識し、灯台が建つ地盤がジオパークとしていかに貴重かということをガイドの中にも入れていきたい、というお話しいただきました。

約7,000万年前の貴重な「溶結凝灰岩」の岩盤ができた過程を、火山学が専門の秋田大学名誉教授である林先生から説明いただき、改めてこの灯台が建つ場所の価値を再認識しました。

そして男鹿の郷土料理であるこの「溶結凝灰岩」を使った『石焼料理』に詳しい男鹿温泉郷にある雄山閣の山本さんから、偶然にも東京の古書店で見つけた貴重な民俗学の書籍の中に、明治36(1903)年頃にはすでに男鹿で石焼料理が食されていたという記述があることを発表していただきました。

入道埼灯台の下の地盤から採取された「溶結凝灰岩」を使った、この奇跡の料理法ともいえる郷土料理について、たなかさんはフードコーディネーターの立場から分析。ヨーロッパでは後期旧石器時代より、石を熱して調理する「ストーンボイリング」という手法があったこと、また水から急激に高温にすることで美味しくなる理由などを説明していただきました。

会の最後には、これまであいまいだった「石焼料理」の起源や歴史などについてあらためて整理して、今後公式的な使用をしていくとよいのではとの提言がありました。

  • 入道埼灯台とは(秋田県男鹿市)

入道崎に最初の鉄造灯台が建てられたのは明治31(1898)年。灯塔の高さは24.4mで、当時は日本一大きくて豪華な第一等フレネルレンズが毎晩ゆっくりと日本海を照らしていました。それまでこの付近にはいずれも木造の船川灯台(秋田県)と酒田灯台(山形県)の2基しか灯台がなく、暗く危険な海域と言われていました。その後、この灯台は太平洋戦争を無傷で生き残りましたが、老朽化に伴い、昭和26(1951)年に現在のコンクリート造に改築され、現在の2代目入道埼灯台が誕生しました。

2代目灯台は白と黒のコントラストが鮮やかに映える大型灯台で、全国ののぼれる灯台16基のひとつです。一般の公開期間は4月上旬から11月上旬で、灯台守の官舎があった場所には、現在、灯台資料展示室があります。

  • 次回のワークショップで今回の意見や内容を検証し再確認する

今回、専門家の皆さんからいただいた意見や内容を精査し、9月下旬に予定しているワークショップでは、入道埼灯台、ジオパークの魅力、そしてその灯台の地盤があったからこそ生まれた郷土料理「石焼料理」の3つの関係性を新たな観光事業としてなりえるのか検証を行います。10月には一般の参加者を集め、検証結果を使用したモニターツアーを実施予定です。

<団体概要>

団体名称:入道埼灯台利活用事業実行委員会

活動内容:入道埼灯台を基点とした新たな観光事業造成とそれに係る事業を行う。

構成団体:男鹿市、一般社団法人男鹿市観光協会、男鹿半島・大潟ジオパークガイドの会、秋田テレビ株式会社

海と灯台プロジェクト 新たな灯台利活用モデル事業

日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、灯台を中心に地域の海の記憶を掘り起こし、地域と地域、異分野と異業種、⽇本と世界をつなぎ、新たな海洋体験を創造していく「海と灯台プロジェクト」。その取り組みのひとつである「新たな灯台利活用モデル事業」は、灯台の様々な利活用モデルを創出することで、灯台の存在意義を高め、灯台を起点とする海洋文化を次世代へと継承していくことを目的としています。

海と日本プロジェクト公式サイト https://uminohi.jp/

海と灯台プロジェクト公式サイト https://toudai.uminohi.jp/

関連記事

ページ上部へ戻る