石川文化振興財団初の現代美術館「ラビットホール」が岡山中心部に 4月6日開館!

―旧福岡醤油ギャラリーは「ラビットホール別館 福岡醤油蔵」としてサテライト展示室に。岡山県産の日本茶などが楽しめる茶房併設でリニューアルオープン―

現代美術館「ラビットホール」外観

この度、公益財団法人石川文化振興財団(本部:岡山県岡山市中区住吉町、理事長:石川康晴)は、岡山城や後楽園、林原美術館などが立地する岡山市中心部のカルチャーゾーンである北区丸の内に、財団として初となる現代美術館「ラビットホール」を新たに開館します。

「イシカワコレクション」を常設展示する新美術館で開館記念展を開催

2011年から蒐集を開始した現代美術のプライベート・コレクション「イシカワコレクション」は彫刻や大型インスタレーションをはじめとした国内外のコンセプチュアルアートで構成され、現在で総数約400点を数えます。この美術館はそれらの貴重な「イシカワコレクション」がいつでも見られる場所となります。開館を記念した展覧会は、黒澤浩美(当館ディレクター)がキュレーションした「イシカワコレクション展:Hyper real Echoes」。フィリップ・パレーノや、ヤン・ヴォー、リアム・ギリック、マーティン・クリードなど厳選した約40作品を公開します。

林原家の旧文化施設を建築家青木淳がコンバージョン改修

建築は、元々岡山で絵画や工芸品を蒐集した実業家の林原家(株式会社林原 ※現ナガセヴィータ株式会社)がゲストハウスとして建てたルネサンスビルで、近年は岡山映像ライブラリーセンターとして使用されてきたものです。この既存建築を、この度、青木淳の手によって美術館へとコンバージョン改修しました。場所が持つこれまでの歴史や当財団のビジョンを織り込み、新しい価値観を常に提示し続ける現代美術というジャンルに特化した空間として、”work in progress”で壊されていく過程をもコンセプトとした、生きた美術館が誕生します。

岡山の歴史と現在と未来を見据えた、創造性を育む土壌づくりの拠点として

このラビットホールのディレクターは異なる背景や専門性をもった4名の共同制というユニークな形式で美術館運営にとりくみます。

また、当館ではイシカワコレクションの一般公開とともに、こどもたちに向けたラーニングプログラムやリサーチ(研究)などの活動を通じて、ここ岡山から、未来をつくるこどもたちを含めたすべての人に向けて、創造力の源となる新しい価値に出会える機会を創出していきます。

さらに、ラビットホールの開館にあわせて、これまで展示や教育施設、地域振興イベントなどを展開していた福岡醤油ギャラリーが「ラビットホール別館 福岡醤油蔵」の名称で生まれ変わります。芸術・教育・食文化など分野を横断した取り組みによって、岡山の未来に貢献したいという当財団の理念を体現する場となります。

岡山市で始まる新しい美術館の試みにどうぞご期待ください。

林原家がゲストハウスとして使用していたルネサンスビルを、青木淳氏が林原美術館の石垣が見えるように改修した

■「ラビットホール」施設概要

施設名称:ラビットホール(英語名:Rabbit Hole)

一般開館日:2025年4月6日(日)

住所:岡山県岡山市北区丸の内2丁目7-7

開館時間:10:00〜17:00(16:30 最終入場)

休館日:月・火・水曜日(但し祝日の場合は開館)、および年末年始(12月28日〜1月3日)、展示替期間

入館料:大人1,500円(18歳以下無料)

電話番号:086-230-0983

駐車場:なし

*「イシカワコレクション展:Hyper real Echoes」は約3年の継続展示を予定

■イシカワコレクションについて

2011年から蒐集が始まった「イシカワコレクション」。コンセプチュアルアートを中心にした日本で最も特徴のあるコレクションのひとつで現在約400点を数えます。過去にまとまって一般公開された展覧会として「幸福はぼくを見つけてくれるかな? ―石川コレクション(岡山)からの10作家―」(2014年、東京オペラシティ アートギャラリー)、「イシカワコレクション展」(2019年、MO.CO.(Montpellier Contemporain)フランス)があるほか、国内外の美術館や芸術祭へ積極的に作品貸出を行なってきました。

■開館記念展「イシカワコレクション展:Hyper real Echoes」について

本展はイシカワコレクションにみられるコンセプチュアルアートを現代に接続した作品群を中心にセレクトして、超現実状態の要素が持続的に繰り返されるというアイデアに基づいて構成した展覧会です。私たちの知覚や経験において模倣されたイメージが、現実に対する私たちの認識にどのような影響を与え、意識を形成し続けているかは説明するまでもありません。さらには、高度に情報化されつつある現代では、よりいっそう現実とシミュレーションの境界は曖昧になり、超現実状態が加速化しています。伝統的な物語やジャンルの脱構築、多元的で懐疑的なポストモダンの態度を示す作家たちによる表現は、モダニズムの理想に対する遊び心に満ちた転覆ともいうべきもの。本展を通じて、新しいミュージアムが作品と人々との間で反響し合い、新しい場に変容していくことを期待しています。

【おもな展示作家(予定)】

フィリップ・パレーノ、マーティン・クリード、ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス、リアム・ギリック、ジョナサン・モンク、ヤン・ヴォー、ミカ・タジマ、アンドレア・ジッテル、トリシャ・ドネリ、サイモン・フジワラ

*合計約30人/組による約40作品を展示予定

フィリップ・パレーノ《マーキー》 © Philippe Parreno, 2014 Courtesy of Imagineering製作委員会, Esther Schipper  Photo: Hiroyasu Matsuo
マーティン・クリード《作品番号 1350番 その部屋の半分の空気》(参考画像) © Martin Creed, 2012 Courtesy the artist, Imagineering製作委員会, Hauser & Wirth and Gavin Brown’s enterprise Photo: Hiroyasu Matsuo

■ラビットホールディレクター体制について

異なる専門性とネットワークを有す4名から成る「ディレクター・コレクティブ」によって美術館づくりに取り組みます。 

Photo: Yuna Yagi @atelier now/here@atelier now/here

黒澤浩美(くろさわひろみ)ディレクター/ボードメンバー

ボストン大学(アメリカ合衆国)卒業後、水戸芸術館(水戸)、草月美術館(東京)を経て2003年金沢21世紀美術館建設準備室(金沢)に参加。建築、コミッションワークの企画設置に関わる。2004年の開館記念展以降、「オラファー・エリアソン」「フィオナ・タン」「ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー」「マーク・マンダースとミヒャエル・ボレマンス」など、国内外で活躍する多数の現代美術作家の展覧会を企画。ミュージアム・コレクションの選定や、学校連携など、多様なニーズに向けた教育普及プログラムも企画実施。2011年City Net Asia(ソウル、韓国)、2017年OpenArt(エレブロ、スウェーデン)、2018年東アジア文化都市(金沢)にて総合キュレーターを務める。2025年4月より株式会社ヘラルボニーCAO(Chief Art Officer)。

©︎前谷開

青木淳(あおきじゅん)ディレクター/ボードメンバー

1956年横浜生まれ。1982年に、東京大学修士課程建築学修了。1991年、青木淳建築計画事務所(現在、ASに改組)を設立、主宰。代表作に、「馬見原橋」、「潟博物館」、「青森県立美術館」(1999年建築学会作品賞)、「ルイ・ヴィトン名古屋・栄」、「大宮前体育館」、「三次市民ホール きりり」、「京都市美術館(通称:京都市京セラ美術館)」(西澤徹夫との共作、2021年度建築学会作品集)など。2005年に芸術選奨文部科学大臣新人賞、2021年に毎日芸術賞を受賞。京都市美術館(通称:京都市京セラ美術館)館長。東京藝術大学名誉教授。

那須太郎(なすたろう)ディレクター/ボードメンバー

1966年岡山市生まれ。早稲田大学卒業。天満屋美術部勤務を経て、1998年に東京で現代美術画廊TARO NASUを開廊、現在に至る。2016年にアートコンサルティングを主な事業とするアート&パブリック株式会社を設立。2014年、「Imagineering OKAYAMA ART PROJECT」ではアートアドバイザリーを、2016年より、岡山芸術交流の総合ディレクターを務めている。金沢21世紀美術館、国立国際美術館、太宰府天満宮、東京国立近代美術館、東京オペラシティアートギャラリー、東京都写真美術館、東京都現代美術館、弘前れんが倉庫美術館、広島市現代美術館、MO.CO.HOTEL DES COLLECTIONS(モンペリエ、フランス)、Hammer Museum(ロサンゼルス、アメリカ)、Punta della Dogana (ヴェネツィア、イタリア)など、国内外の美術館等の公共機関との協働・企画協力の実績多数。

石川康晴(いしかわやすはる)ディレクター/ボードメンバー

1970年岡山県生まれ。岡山大学経済学部卒。京都大学大学院経営学修士(MBA)。23歳でアパレル製造・販売会社、クロスカンパニー(現(株)ストライプインターナショナル)を創業。2011年からコンセプチュアルアートを中心に現代アートのコレクションを開始し、2014年には公益財団法人石川文化振興財団を設立。2022年秋に開催された国際現代美術展「岡山芸術交流」では第1回、第2回に引き続き総合プロデューサーを務め、地元岡山の文化や経済振興にも取り組んでいる。

■ラビットホール開館にあたって  黒澤浩美コメント

2011年から始まったイシカワコレクションは、コンセプチュアルアートを中心にした日本で最も特徴のあるコレクションです。1960年代に芸術のコモディティや形式主義への反動として生まれたコンセプチュアルアートは、言語的、数学的、プロセス指向の思考の次元を探求することが多く、アートの定義を広げ、作品への知的な関与を促したムーブメントとなりました。その系譜にあり、現代の文脈に適応させ、さらなる進化を続ける作家による作品を、新しく開館するラビットホールにて存分にお楽しみいただけるものと思います。

ラビットホールは、現実世界から別の不思議な世界へ入り込む入り口です。作品を通して日常から非日常へ移行して、時には現実離れした状況に陥ることで、好奇心から始まった思考の探求が予想外の方向に進む楽しみに溢れています。岡山という土地に根差した新しい文化拠点として、国際的な視野を持ち、サステナビリティを重視することはもちろんのこと、地域の豊かな自然や文化と共生するアーティストと共に、多様で魅力的な表現を世界に発信していきます。また、次世代を担う子どもたちが美術に触れる機会を増やし、未来の創造性を育む場として、さまざまな活動を通じて、美術の力で地域の絆を深め、新たな価値を創造してまいります。

黒澤浩美(キュレーター/ラビットホール ディレクター)

■建築について  青木淳コメント

2023年1月、「岡山映像ライブラリーセンター」*を、石川さんのコレクションのための展示空間に改修する相談を受け、建物を拝見しに、岡山に伺いました。もともとは、林原美術館のアネックスとして、1990年代に建てられた建築で、林原美術館の庭から直接、アクセスすることも可能なつくりでした。魅力的だったのは、この建築が建つ敷地が、林原美術館の敷地より1階分低く、その段差が石垣になっていたことで、1階の奥の大きな開口の先にすぐのところに、それが見えることでした。建物自体は、西洋古典建築を模したポストモダンスタイルの建築で、展示空間として使用するには余計な装飾が多かったので、仕上げを剥いで、まずは裸にする必要があるだろうと考えました。

普通なら、一度裸にした上で、そこに展示用の壁などを建てていくわけですが、しかしここではそれをやめて、展示空間として使用するのに、法的また物理的に、最低限必要なことだけをすることにしました。展示のたびに、必要なら壁を立てれば良いし、場合によって床に穴を開けるなど、アップデートし続ける空間になる方が良いと考えたからです。期待しているのは、そうやって、次第にこの建物が壊されていき、最後には建物全てがなくなる、という未来像です。そういう意味では、その空間には「完成」という概念はなく、ずっとwork in progressの、しかも作られていくのではなく壊されていく過程を生きる空間としようとしたということになります。

青木淳(建築家/ラビットホール ディレクター)

*ルネサンスビルは2015年から2023年まで山陽放送の岡山映像ライブラリーセンターとして運営されていました。

■岡山を未来へつなぐ  石川康晴コメント

後楽園と岡山城を結ぶ徒歩15分の文化圏に位置するラビットホール。

林原家所有の文化施設であった建物を改修するにあたり、林原家が紡いだ文化資産形成の歴史に敬意を表し、石垣がそのまま見えるように青木淳氏に依頼しました。その後、建物の歴史とイシカワコレクションの作家を尊重した青木氏から「10年かけて作家に壊してもらう美術館にしたい、数年後、新たな美術館を建てれば良い」と助言いただいた言葉そのものが、作品展示により創造的に壊れていくプロセスが見える生きた美術館というコンセプトになりました。隣接する前川國男建築の林原美術館で古美術を鑑賞し、青木淳建築のラビットホールでは最先端の現代美術を鑑賞する。その様な新旧の奥行きある町が良い町であると考えています。

「子供はこの国の未来」とは石井十次の言葉です。AIと共生する社会では人間がやるべき事は創造力を高め、新しい未来を創ること。子供達の創造力の芽を育む土壌をつくっていきたいと、18歳以下の子供は鑑賞無料としました。岡山に生まれた子供たち、岡山を訪れる子供たちにたくさん来ていただきたいと願っています。

石川康晴(公益財団法人石川文化振興財団 理事長/ラビットホール ディレクター)


ラビットホール別館 福岡醤油蔵

別添資料1:ラビットホール別館 福岡醤油蔵での新たな展開について

岡山市北区の後楽園門前町にある明治時代に醤油蔵や市民銀行を営んでいた歴史的な建造物「福岡醤油建物」を2018年に取得。芸術を中心としたイベントを開催してきましたが、本施設を芸術/教育/食文化の複合施設「ラビットホール別館 福岡醤油蔵」として改修し、ラビットホール開館にあわせて新たな形で活動を開始します。

福岡醤油ギャラリー(芸術エリア)

若手現代美術作家の個展をするラビットホールの別館

4⽉6⽇(日)より福岡醤油ギャラリーではイギリス出⾝のコンセプチュアル・アーティスト ライアン・ガンダーによる「Together but not the same」展を開催いたします。ガンダーは、彫刻、映像、アパレルデザイン、建築、絵画、出版物からパフォーマンスに⾄るまで、さまざまな形で具現化された多元的な作品を通じて、世界中で⾼い評価を得ており、⽇本国内では、国⽴国際美術館(⼤阪・中之島、2017 年)の個展で 2.6万⼈、東京オペラシティアートギャラリー(東京・新宿2022年)の個展で2.1万人超えの来場者数を記録するなど、国内でも非常に注目されています。

ライアン・ガンダー《2000 年来のコラボレーション(予言者)》2018 © Ryan Gander; Courtesy the artist and Künstlerhaus, Halle für Kunst &Medien, Graz. Photograph by Künstlerhaus, Halle für Kunst & Medien, Graz
ライアン・ガンダー《最高傑作》2023 © Ryan Gander; Courtesy the artist and le plateau, frac île-de-france, Paris. Photograph by Martin Argyroglo

■展覧会概要

会期:2025年4月6日(日)〜終了日未定   時間:10:00〜17:00(16:30 最終入場)

休館日:月曜・火曜・水曜日(但し祝日の場合は開館)

会場:福岡醤油ギャラリー(岡山市北区弓之町 17-35)

入場料:1,000 円 (18歳以下無料)

駐車場:なし

主催:公益財団法人石川文化振興財団 協力:TARO NASU

SABOE OKAYAMA(食文化エリア)

日本茶を再定義した茶房と売店を併設した店舗

茶を通して世界とつながり茶の発展に貢献していくことを目的に、シンプリシティ(SIMPLICITY)の緒方慎一郎が設立した新しい日本茶の愉しみ方を提案する茶方薈(さぼえ)。

緒方氏は櫻井焙茶研究所の櫻井真也氏、万 yorozuの德淵卓氏とともに、現代における喫茶の様式を創造し、次世代へと継承する活動を続けてきました。日本茶専門店「SABOE OKAYAMA」はこの茶方薈の実店舗で、旧福岡醤油建物の応接室や蔵の面影を残しながら改修された売店と茶房の2つで構成されます。売店では、さまざまな日本茶と果実や穀物などを合わせたT., Collectionをはじめ、岡山県美作市で無農薬の茶製造に取り組む茶下山(ちゃしもやま)の青番茶と無花果の葉、シナモンリーフを合わせた同店限定のブレンド茶「青 Sei」のほか、茶下山のボトリングティーなど岡山ならではの茶とともに、日本茶と好相性の羊羹や豆菓子、急須や湯呑といったさまざまな茶器も販売します。蔵の趣を残したカウンター8席の茶房では、隠れ家のような特別な空間で茶や菓子とともに、茶と酒を融合した茶酒のカクテルなどをお愉しみいただけます。

世界中の人びとに日々の暮らしのなかで気軽に愉しんでいただける日本茶の新しいかたちを提案することで、文化発信の拠点となることを目指しています。

■「SABOE OKAYAMA」店舗概要

開店日:2024年11月26日(火)

住所:岡山県岡山市北区弓之町17-35  電話番号:086-207-2779

営業時間:売店 11:00〜17:00  茶房 13:00〜23:00(日曜・祝日 13:00~17:00/祝前日 13:00~23:00)

定休日:月曜・火曜・水曜(但し祝日は営業)

運営:茶下山

なる塾(教育エリア)

学校生活に不安を持つ児童・生徒・保護者の支援を目的とした塾。

「なりたい自分になるための塾」なる塾は、発達障害や知的障害、不登校、そのほか学校生活に不安を持つ児童・生徒・保護者の支援を目的とした塾。子どもたちの良い面をたくさん見つけ自信を持たせるとともに、保護者には、子育てに明るい展望を持って子どもの可能性を一緒に見出し、課題は一緒に考えるという取り組みを行います。

福岡醤油建物2階寺子屋で年に2回程度無料で開催

※本記事はプロモーションを含みます

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