- 2025-3-18
- 旅行 プレスニュース

【サマリー】
●Z世代男性は自分の趣味・好きなことや得意分野を追求することを強く求める。
Z世代女性は、あるがままの自分が認められ自己実現したい。自身のことを記録し、残すことも大切
●時間の使い方について、Z世代女性はタイパ*重視の行動を積極的に取り入れ、メリハリをつけて生活。Z世代男性は時間もお金も自分の趣味に割く傾向が強い
●Z世代が普段の生活で参考にしている情報は、「家族・友人・知人の話」、「著名人・有名人・インフルエンサーなどによるSNSへの投稿」。マスメディアより身近な人から得られる情報、次にSNSを信頼
●旅行ではZ世代男性は「ひとりだけの時間を楽しみたい」、Z世代女性は「普段の生活から離れてリフレッシュしたい」。Z世代男女共通で「SNS映えをする場所を巡る」も他世代より高い
●「旅」を表す一言はZ世代男性「趣味」、「自然」、「非現実な体験」、Z世代女性「思い出づくり」、「ご褒美」
*タイパ:「タイム・パフォーマンス」の略。時間を効率的に使い、生産性を最大化しようとする行動や考え方を指す。
株式会社JTB総合研究所(東京都品川区 代表取締役社長執行役員 風間 欣人)は、「Z世代の暮らしと旅」(ライフスタイルと旅行に関する調査2025)の調査結果をまとめました。
本調査は、人々の価値観、働き方や暮らし方、情報収集や旅に対する考え方を中長期的に把握することで、人々のライフスタイルはどのように変化し、旅へのニーズがどう変わっていくのかのヒントを得ることを目的に2023年度から調査を開始しました。本調査では、特に今後の消費の中核を担う、Z世代(18~29歳)に焦点を当て、その特徴から、今後のサービスや商品を提供する上でのポイントについて考えます。
調査結果
【幸福度と生きる価値観】
目次
- 1 【幸福度と生きる価値観】
- 2 1.今の生活についての幸福度は、男女共に29歳以下が最も低い結果に。「心地よい」と感じる「居場所」は、男性29歳以下は好きなことだけを追求し発見があること、女性29歳以下にとっては、ありのままの自分を認められることが心地よさに
- 3 2.生きがいについて、男性29歳以下は「得意分野を突き詰めること」、女性29歳以下は「自分の夢や目標を実現すること」、「周囲の人に自分の存在を認めてもらうこと」、「自分の人生を記録に残すこと」などを重視。未来に残したいものについても、「自分の生きた証・経験や思い出話」など自分に関するものが他の世代より強い
- 4 【働き方や暮らし方についての考え方】
- 5 3.仕事や学び方については、働き方の自由度が増し、転職や副業、起業などを意識している層が多い。理想とする暮らし方については男女29歳以下共に「多彩な趣味を楽しんでいる」
- 6 【時間やお金の使い方】
- 7 4.女性29歳以下は、時間を有効活用するためのタイパ行動に積極的、メリハリをつけて生活。普段の休日の過ごし方は、男女共に「SNSの閲覧・投稿、ネットサーフィンなど」が上位に。お金の使い方に関しては、男性29歳以下は時間もお金も自分の趣味に割く傾向が強い
- 8 【情報収集について】
- 9 5.Z世代が、普段の生活で参考にしている情報は、「家族・友人・知人の話」、「著名人・有名人・インフルエンサーなどによるSNSへの投稿」。「SNSへの投稿」が他の属性より高い。意識して情報を取り入れている国は男性50代・60代は北米、女性29歳以下は韓国が高い結果に
- 10 【旅についての意識・価値観】
- 11 6.好きな旅行のスタイルは男性29歳以下「ひとり旅」、「趣味を深める旅行」、女性29歳以下「食事が主な目的の旅行」、「有名な観光地を巡る」。「SNS映えする場所を巡る」は男女29歳以下共通で高く、特に女性に強い傾向。ハネムーンについて変化する価値観と世代のギャップが明らかに
- 12 7.旅行に求めるものは、男性29歳以下「ひとりだけの時間を楽しみたい」、「流行・話題に触れたい」、「その土地の人との交流をしたい」、女性29歳以下「家族や友人との時間を楽しみたい」。「旅」を表す一言は男性29歳以下「趣味」、「自然」、「非現実な体験」、女性29歳以下「思い出づくり」、「ご褒美」
- 13 【まとめ】
1.今の生活についての幸福度は、男女共に29歳以下が最も低い結果に。「心地よい」と感じる「居場所」は、男性29歳以下は好きなことだけを追求し発見があること、女性29歳以下にとっては、ありのままの自分を認められることが心地よさに
今の自身の生活についての幸福度について聞いたところ、全体として女性の方が男性より高い傾向にあり、性別で見ると男女共に29歳以下が最も低い結果となりました。特に男性29歳以下は「幸せ」+「やや幸せ」の合計が49.5%と、唯一過半数を下回りました(図表1)。
また心地よいと感じる居場所については、男性29歳以下は「好きなことだけを追求できる(22.3%)」、「新しい発見がある(13.6%)」、が全属性の中で最も高く、女性29歳以下は「がんばらなくてもいい(35.0%)」、「否定されない(28.2%)」、「周りから認めてもらえる(20.4%)」が特に全体より高い結果となりました。Z世代の女性にとっては、ありのままの自分を認められることが心地よさに重要と考えられます(図表2)。


2.生きがいについて、男性29歳以下は「得意分野を突き詰めること」、女性29歳以下は「自分の夢や目標を実現すること」、「周囲の人に自分の存在を認めてもらうこと」、「自分の人生を記録に残すこと」などを重視。未来に残したいものについても、「自分の生きた証・経験や思い出話」など自分に関するものが他の世代より強い
生きがいを感じることについては、「得意分野を突き詰めること(35.0%)」は男性29歳以下が最も高い結果となりました。また女性29歳以下では「自分の夢や目標を実現すること(45.6%)」、「周囲の人に自分の存在を認めてもらうこと(32.0%)」、「自分の人生を記録に残すこと(19.4%)」が全属性の中で最も高い結果となりました。SNSなどの影響もあってか、自分について記録・発信し、認めてもらい、夢や目標を実現することに重きがあると考えられます。また「異性からもてること」は男性40代・50代で高い一方で、「同性から評判が良いこと」は男性29歳以下と、女性29歳以下が高い結果となり、世代による異性・同性に対する価値観の違いが表れました(図表3)。
未来に残したいと思うものについては、「自分の生きた証・経験や思い出話」が、男性30代(32.0%)、男性29歳以下(28.2%)、女性29歳以下(26.2自分の何かを残したいという考えが特徴となりました(図表4)。


【働き方や暮らし方についての考え方】
3.仕事や学び方については、働き方の自由度が増し、転職や副業、起業などを意識している層が多い。理想とする暮らし方については男女29歳以下共に「多彩な趣味を楽しんでいる」
次に仕事や学びについて聞きました。男性29歳以下で全体より高い項目は「地元を応援するために地元で働きたい(14.6%)」、「より上位の役職につきたい(11.7%)」。女性29歳以下では「好きなことを仕事にしたい(41.7%)」、「最低限生活できる範囲で、可能な限り楽な仕事をしたい(25.2%)」、「管理職にはなりたくない・出世したくない(23.3%)」となりました(図表5)。
また女性29歳以下に女性30代加えた傾向として、「定年までずっと同じ会社で働き続けたい」が低く、「転職をしながらステップアップしたい」が全属性の中で最も高い結果となりました。加えて「一つの仕事だけでなく、副業などマルチ・キャリアを持ちたい」も他の属性に比べ高い傾向となりました。また「起業したい/独立したい・している(12.6%)」が男性30代で最も高い結果となりました。Z世代とその上の30代を中心に、働き方の自由度が増し、転職や副業、起業などを意識している層が増えている様子がうかがえます(図表6)。
理想とする暮らし方については、男性29歳以下では「多彩な趣味を楽しんでいる(39.8%)」、「気ままに一人暮らしをしている(26.2%)」が平均より高く、「多彩な趣味を楽しんでいる(41.7%)」は女性29歳以下が最も高い結果となりました。また「気ままに一人暮らしをしている」は女性60歳以上が最も高い(27.2%)一方、男性60歳以上は7.8%と最も低く、相反する結果になりました。「話し相手がいる」、「いつまでも若々しくみられる」などの項目でも男女間での差が多い結果となりました(図表7)。



【時間やお金の使い方】
4.女性29歳以下は、時間を有効活用するためのタイパ行動に積極的、メリハリをつけて生活。普段の休日の過ごし方は、男女共に「SNSの閲覧・投稿、ネットサーフィンなど」が上位に。お金の使い方に関しては、男性29歳以下は時間もお金も自分の趣味に割く傾向が強い
時間の使い方に関する考え方では、男性29歳以下では「何もしていない時間は嫌いである(41.7%)」、「映画や動画は倍速やスキップなどをして視聴する・書籍は要約サービスなどを利用する(43.7%)」の項目で、全体より高い傾向が見られました。女性29歳以下では「好きなことをする時間のために、他のことは時短したい(80.6%)」、「2つの行動を同時にすることが多い(76.7%)」、「他のことをしながらなら、並んだり、待ったりしてもよい(76.7%)」、「映画や動画は倍速やスキップなどをして視聴する・書籍は要約サービスなどを利用する(50.5%)」で全体より高い傾向が見られました。男性以上に女性の方が、時間を有効活用するためのタイパ行動をより取り入れている様子がうかがえます。一方、女性29歳以下は「時間に追われない生活を心がけている(34.0%)」が全体よりも高く、メリハリをつけている様子もうかがえます(図表8)。
普段の休日の過ごし方については、男性29歳以下は「SNSの閲覧・投稿、ネットサーフィンなど(50.5%)」、「ゲームやアニメ鑑賞(46.6%)」、「スポーツ観戦(26.2%)」の順に高くなりました。女性29歳以下は「SNSの閲覧・投稿、ネットサーフィンなど(68.9%)」、次いで「自宅でのんびりと過ごす (68.0%)」、「ショッピング(43.7%)」、「映画やコンサート、芸術鑑賞(43.7%)」となりました(図表9)。
またこだわりを持ってお金を使っていることについては、男性29歳以下は「外食(34.0%)」、「趣味の道具やコレクションなどの買い物・収集(30.1%)」が高く、女性29歳以下は「美容・化粧品(45.6%)」、「服衣類やファッション用品(39.8%)」、「外食(39.8%)」、「コンサートや観劇(32.0%)」が全属性の中で最も高い結果となりました(図表9)。男性29歳以下は、時間もお金も自分の趣味に割く傾向が強くみられます(図表10)。



【情報収集について】
5.Z世代が、普段の生活で参考にしている情報は、「家族・友人・知人の話」、「著名人・有名人・インフルエンサーなどによるSNSへの投稿」。「SNSへの投稿」が他の属性より高い。意識して情報を取り入れている国は男性50代・60代は北米、女性29歳以下は韓国が高い結果に
普段の生活で参考にしている情報について聞きました。全体としては上位から「家族・友人・知人の話(55.0%)」、「テレビのニュース番組、報道特集番組(49.7%)」、「著名人・有名人・インフルエンサーなどによるSNSへの投稿(21.8%)」が多く、その中で最も信頼するものを1つ選んだ場合、「家族・友人・知人の話」の割合がさらに高くなりました。それに対し、男女ともに29歳以下では「家族・友人・知人の話」の次が「著名人・有名人・インフルエンサーなどによるSNSへの投稿」となりました。「SNSへの投稿」に関するカテゴリーが他の属性より高い一方で、「テレビのニュース番組、報道特集番組」は全体より20ポイント以上低い結果となりました。Z世代にとっては、SNSの方がニュース番組などよりも信頼できる存在と言えそうです(図表11)。
また意識して情報を取り入れている国・地域については、男性29歳以下は「特にない(74.8%)」が最も高かったのに対し、男性50代・60代は北米、女性29歳以下は韓国が高い結果となりました(図表12)。


【旅についての意識・価値観】
6.好きな旅行のスタイルは男性29歳以下「ひとり旅」、「趣味を深める旅行」、女性29歳以下「食事が主な目的の旅行」、「有名な観光地を巡る」。「SNS映えする場所を巡る」は男女29歳以下共通で高く、特に女性に強い傾向。ハネムーンについて変化する価値観と世代のギャップが明らかに
好きな旅のスタイルについて、男性29歳以下で全体より特に高い項目としては「ひとり旅(25.2%)」、「趣味を深める旅行(24.3%)」、「SNS映えする場所を巡る(11.7%)」、女性29歳以下では「食事が主な目的の旅行(52.4%)」、「有名な観光地を巡る(44.7%)」、「SNS映えする場所を巡る(22.3%)」が高い結果となりました。
「SNS映えする場所を巡る」は男女29歳以下共通で高いですが、特に女性に強い傾向が見られます(図表13)。
またハネムーンや新婚旅行については「結婚したら1か月以内に行く」について男性60歳以上が26.2%であるのに対し、男性29歳以下は5.8%。「ハネムーンや新婚旅行は一生に一度だ」については男性60歳以上が40.8%であるのに対し、男性29歳以下は17.5%など、変化する価値観と世代のギャップが明らかになりました(図表14)。


7.旅行に求めるものは、男性29歳以下「ひとりだけの時間を楽しみたい」、「流行・話題に触れたい」、「その土地の人との交流をしたい」、女性29歳以下「家族や友人との時間を楽しみたい」。「旅」を表す一言は男性29歳以下「趣味」、「自然」、「非現実な体験」、女性29歳以下「思い出づくり」、「ご褒美」
旅に求めるものについては、男性29歳以下で全体より特に高い項目としては、「ひとりだけの時間を楽しみたい(23.3%)」、「流行・話題に触れたい(21.4%)」、「その土地の人との交流をしたい(11.7%)」、「旅先での経験を共有し、自身のキャリアや人脈を広げたい(10.7%)」、女性29歳以下では「家族や友人との時間を楽しみたい(49.5%)」となりました(図表15)。
また「旅」を表す一言については、全体では「リフレッシュ・気分転換(36.6%)」、「楽しみ・喜び(30.6%)」、「癒し・リラックス(24.3%)」、「思い出づくり(23.4%)」、「食(19.7%)」となり、「食」以外は女性の方が高い結果となりました。男性29歳以下で全体より特に高い項目としては、「趣味(15.5%)」、「自然(14.6%)」、「非現実な体験(11.7%)」が他の属性に比べて高く、逆に「リフレッシュ・気分転換(15.5%)」、「思い出づくり(10.7%)」は平均の半分以下となりました。女性29歳以下では「思い出づくり(32.0%)」、「ご褒美(24.3%)」が全体より高い一方で、「リフレッシュ・気分転換(24.3%)」は男性29歳以下に次いで低い結果となりました(図表16)。


【まとめ】
今回の調査からZ世代の特徴として、まず日常生活における強いSNSの影響が見られました。普段参考にしている情報は、マスメディアより身近な人から得られる情報、次にSNSを信頼している点が挙げられました。また旅行スタイルについては、「SNS映えをする場所を巡る」が男女共通で他世代より高くなっています。一方で、一括りで語られてしまいがちな“Z世代”ですが、今回の調査ではZ世代の中でも男女で異なる傾向が見られました。
●Z世代男性を旅へと向かわせるには、いかに「趣味」と「旅」をリンクさせるかが鍵
Z世代の男性は、自分の趣味・好きなことや得意分野を追求することに関心が高く、独身者も多いせいか、時間もお金も自分の趣味や興味に割く傾向が強くみられました。「旅」を表す一言としても「趣味」、「自然」が多くあげられました。「趣味」と一口に言っても、多様でとらえどころがないようですが、たとえニッチであっても、ある特定の趣味に特化した誘客を行う、あるいは、比較的多くの若い男性が楽しんでいるゲームやスポーツなどを切り口に、旅とつなげていくことが効果的かもしれません。
また、旅行については、「ひとりだけの時間を楽しみたい」が最も高くなりましたが、一方、当社が実施した過去の調査では、Z世代の旅の阻害要因として、「同行者が見つからない」ことがあがっています。自分だけの「趣味」に特化した旅をする場合、同行者を見つけにくいといったことも考えられますが、旅先での趣味に関連したイベントやツアーへの参加などを通してひとり旅同士をマッチングし、旅へのモチベーションを高めるといった可能性もありそうです。
●Z世代の女性は、タイパ重視。自分自身の体験を記録し残すことも重視する
Z世代の女性は、「2つのことを同時に行う」、「ながら行動」などのタイパ重視の行動を行っていることがわかりました。旅行先での情報収集や、体験の際の行動も、タイパが重視されている可能性が考えられます。旅行に関する情報提供などの場面においても、簡単に、シームレスに、情報を得られる、体験することができることが、Z世代の女子にとっては重要なことではないでしょうか。
また、承認欲求が満たされることや、自分自身の体験を記録し残すことも重視する傾向がみられました。最近のトレンドとして、「モノよりコト」(商品を購入することで満足するのではなく、何か体験することで満足を得る)から、「コトよりモノ」に回帰してきている傾向がみられます。ただし、再び注目されている「モノ」は、ただ単に購入する商品ではなく、自分自身の体験を刻み込む記録媒体としての「モノ」としての位置づけが強くなっています。例えば、旅行先で作る自分だけの工芸品などもその一つでしょう。モノを手に入れることを通じて、自分自身の体験を記録し、さらにそれを発信することで承認欲求が満たされることは、Z世代の女性の行動の鍵といえそうです。
【調査概要】
調査手法:インターネットアンケート調査
対象者:全国の18歳以上79歳までの男女個人
調査期間:2025年2月10日~11日
サンプル数:事前調査 10,000名 本調査1,030名
(過去1年以内に観光旅行をした人 ※帰省・ビジネスは除く、日帰り旅行は半日以上実施したものが対象)
※本調査では、1990年代後半から2000年代に生まれた世代をZ世代と定義し、男女29歳以下をZ世代として分析しています。
【お問い合わせ】
株式会社JTB総合研究所 経営企画部 広報担当
問い合わせフォーム:https://www.tourism.jp/contact/
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