函館について「朝食 御三家」とネットでよく検索されている理由はなぜ? HOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説

旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめわかりやすく解説します。

今回は、ネット検索で「函館 朝食 御三家」と表示される謎について徹底的に調査し、その真相に迫ります。函館を訪れる多くの旅行者が目にするこのキーワードには、実は北海道観光業界の壮絶な競争と、美食の街・函館ならではの特別な背景が隠されているのです。

関連記事:ヒルトンホテルで朝食を無料にする割引テクニックとは?

函館朝食御三家の正体とは

結論から申し上げますと、「函館朝食御三家」とは、ラビスタ函館ベイセンチュリーマリーナ函館函館国際ホテルの3つのホテルを指す呼び名として定着しているようです。

この御三家という表現が生まれた最大の理由は、世界的な口コミサイト「トリップアドバイザー」が発表していた「朝食のおいしいホテルランキング」において、これら3つのホテルが常に全国トップ10入りを果たしていたためと言われています。特に2020年のランキングでは、ラビスタ函館ベイが全国3位、函館国際ホテルが全国5位、センチュリーマリーナ函館が全国8位という驚異的な成績を残したのです。

この「御三家」という格調高い表現は、江戸時代の徳川御三家(尾張、紀伊、水戸)になぞらえたもので、函館の朝食シーンにおいて絶対的な地位を確立している3つのホテルを表現する際に使われるようになったのです。

朝食戦争勃発の真実

函館朝食御三家の誕生には、激烈な「朝食戦争」の存在が欠かせません。この戦争の火付け役となったのは、実はラビスタ函館ベイだったようです。

ラビスタ函館ベイは2008年に開業しましたが、立地的には決して恵まれていませんでした。函館駅からも市電の電停からも微妙に遠く、周囲は倉庫街で観光客向けの店舗も少ない環境だったのです。このような不利な条件を克服するため、同ホテルは「朝食で特色を出す」という戦略に舵を切ったと考えられています。

その戦略の象徴となったのが、イクラかけ放題の海鮮丼でした。この衝撃的なサービスは2010年頃から話題になり始め、ビジュアル的なインパクトの強さもあって、SNS時代の到来とも相まって爆発的な人気を博したのです。

この成功を受けて、函館国際ホテルやセンチュリーマリーナ函館も朝食サービスの充実に力を入れるようになり、結果として函館全体が「朝食の聖地」として認知されるようになったのです。

各ホテルの特徴と魅力

ラビスタ函館ベイ

朝食戦争の先駆者として君臨するラビスタ函館ベイは、「セルフ海鮮丼」が最大の売りです。北海道産のイクラを好きなだけ盛ることができ、その他にもウニ、カニ、サーモンなど新鮮な海の幸を自由に組み合わせて自分だけの海鮮丼を作ることができるのです。

大正ロマンを感じさせる内装と源泉かけ流しの温泉「海峡の湯」も魅力の一つで、朝食だけでなく総合的なホスピタリティの高さが評価されています。過去には何度も朝食ランキングの1位、2位を獲得しており、まさに函館朝食界の盟主的存在と言えるでしょう。

センチュリーマリーナ函館

2019年にオープンした比較的新しいホテルながら、いきなり全国8位にランクインした実力派です。「体にやさしい朝食」をコンセプトに、野菜と玄米、北海道の新鮮食材を生かしたヘルシーなメニュー構成が特徴的です。

特筆すべきは、朝からスパークリングワインを楽しめるリゾート感満点のサービスで、他の2つのホテルとは一線を画した上質な大人の朝食体験を提供しています。実際の利用者からは「センチュリーマリーナが断トツ」という声も聞かれるほどで、後発ながら確実にファンを増やしているのです。

函館国際ホテル

御三家の中で最も歴史のある老舗ホテルで、創立50周年を迎えた重厚感のある存在です。2018年に東館を全面リニューアルし、本館も新装オープンするなど、伝統と革新を両立させた経営戦略が光っています。

朝食の特色は、ライブキッチンでシェフが目の前で調理してくれるオープンキッチンスタイルです。ビーフステーキやふわふわのオムレツ、函館塩ラーメンなど、他では味わえない豪華な朝食体験を提供しています。また、北海道大学とコラボしたカゴメ昆布を使った料理が多いのも同ホテルならではの特徴で、函館らしさを前面に押し出したメニュー構成となっています。

朝食御三家の良い点とメリット

圧倒的なコストパフォーマンス

函館朝食御三家の最大のメリットは、その圧倒的なコストパフォーマンスにあります。通常、これほど豪華な海鮮料理を専門店で楽しもうとすれば、一人当たり数千円は覚悟しなければなりません。しかし、これらのホテルの朝食ビュッフェなら、宿泊込みで考えると非常にリーズナブルに北海道の味覚を堪能できるのです。

特にイクラかけ放題のサービスは、他では絶対に真似できない贅沢な体験です。通常イクラ1杯分だけでも相当な金額になることを考えれば、このサービスだけでも十分に宿泊する価値があると言えるでしょう。

SNS映えする美食体験

現代の旅行において重要な要素の一つが「インスタ映え」ですが、函館朝食御三家はこの点でも抜群の威力を発揮します。特に、色とりどりの海鮮がたっぷりと盛られた海鮮丼は、見た目の美しさと豪華さで多くの人々を魅了します。

旅の思い出として写真に残すだけでなく、SNSでシェアすることで多くの反響を得ることができ、旅行の満足度を大幅に向上させる効果があるのです。

函館観光の拠点として最適な立地

3つのホテルはいずれも函館の中心部に位置しており、主要観光スポットへのアクセスが非常に良好です。函館朝市、金森赤レンガ倉庫、函館山ロープウェイなど、函館を代表する観光地への徒歩圏内に立地しているため、効率的な観光を楽しむことができます。

朝食でしっかりとエネルギーを補給した後、そのまま市内観光に出発できる利便性は、限られた時間で函館を満喫したい旅行者にとって大きなメリットです。

北海道食材の品質の高さ

函館朝食御三家で提供される食材は、いずれも北海道産の最高品質のものが使用されています。特に海鮮類については、津軽海峡の恵まれた漁場で獲れた新鮮な魚介類が毎朝仕入れられており、その鮮度と味わいは本州では決して味わうことのできないレベルです。

乳製品や野菜についても、北海道の豊かな大地で育まれた逸品が使用されており、朝食を通じて北海道の食文化を存分に体験することができるのです。

朝食御三家の悪い点とデメリット

混雑による長時間待機

函館朝食御三家の最大のデメリットは、その人気ゆえの混雑問題です。特にラビスタ函館ベイと函館国際ホテルでは、朝食会場に入るまでに1時間待ちという事態も珍しくありません。朝の7時30分という早い時間帯でも長蛇の列ができることがあり、せっかくの朝食タイムがストレスフルな体験になってしまう可能性があります。

観光旅行において朝の時間は非常に貴重であり、朝食のために貴重な時間を消費してしまうのは大きな欠点と言わざるを得ません。特に限られた滞在時間で多くの観光地を回りたいと考えている旅行者にとっては、この待ち時間は致命的な問題となる場合があります。

過度な期待による失望リスク

「日本一」「全国トップクラス」という称号が先行することで、実際の体験との間にギャップが生じるリスクがあります。確かに素晴らしい朝食サービスを提供していますが、個人の好みや期待値によっては「思ったほどでもなかった」と感じる人もいるのが現実です。

特に、普段から高級料理に慣れ親しんでいる人や、海鮮料理が得意でない人にとっては、世間の評価ほどの感動を得られない可能性があります。

宿泊料金の高騰

朝食の評判が高まるにつれ、これらのホテルの宿泊料金も上昇傾向にあります。特に観光シーズンや週末には、同エリアの他のホテルと比較して明らかに高い料金設定となっており、予算を重視する旅行者にとっては大きな負担となります。

朝食目当てで宿泊する場合、実質的に非常に高額な朝食を食べていることになり、コストパフォーマンスの観点で疑問を感じる人もいるでしょう。

画一的なサービス内容

3つのホテルがいずれも海鮮丼を中心とした似たようなサービス構成になっているため、複数回利用すると新鮮味に欠ける可能性があります。特に函館を何度も訪れるリピーターにとっては、毎回同じような朝食体験では満足度が低下する恐れがあります。

おすすめできる方

函館朝食御三家は、以下のような方に特におすすめできます。

海鮮料理愛好者: イクラ、ウニ、カニなどの高級海鮮を心置きなく楽しみたい方には最適です。普段なかなか味わえない贅沢を存分に堪能できるでしょう。

SNS活用世代: 美しい海鮮丼の写真を撮影してSNSでシェアしたい方にとって、これほど映える朝食は他にありません。旅の思い出作りとしても最高の体験になります。

特別な記念日を祝う方: 誕生日、結婚記念日、還暦祝いなど、人生の特別な節目を祝う旅行の際には、この上ない贅沢な朝食体験ができます。

初回函館訪問者: 函館を初めて訪れる方にとって、これらの朝食は函館の食文化を一度に体験できる絶好の機会です。

おすすめできない方

一方で、以下のような方にはおすすめできません:

時間を重視する旅行者: 朝の貴重な時間を朝食待ちに費やしたくない方、効率的に観光地を回りたい方には向いていません。

予算重視の旅行者: 宿泊費を可能な限り抑えたい方にとって、これらのホテルの料金は負担が大きすぎる可能性があります。

海鮮アレルギーの方: メインの売りが海鮮料理である以上、アレルギーをお持ちの方には楽しめない内容となっています。

リピーター: 何度も函館を訪れている方にとっては、似たようなサービス内容では新鮮味に欠けるかもしれません。

トラベルライターTAKAの独自考察

私が長年の取材経験を通じて感じるのは、函館朝食御三家現象は単なるマーケティングの成功事例を超えた、日本の観光業界における一つの革命だったということです。

従来のホテル業界では、立地や設備、サービスの総合力で差別化を図るのが一般的でした。しかし、ラビスタ函館ベイが仕掛けた「朝食特化戦略」は、ホテル選びの新たな基準を創造したのです。これは、旅行者の価値観が「宿泊施設は寝るだけの場所」から「体験を楽しむ場所」へと変化していることを示しています。

特に注目すべきは、この成功モデルが他の地域にも波及している点です。全国各地で「ご当地朝食」を売りにするホテルが増加しており、地域の食文化を活用した観光振興の新たなスタンダードとなりつつあります。

また、SNS時代における「体験の共有価値」を早期に見抜いた戦略も秀逸でした。「イクラかけ放題」という一見すると非合理的なサービスが、実は最も効果的な宣伝手法だったのです。利用者が自発的に写真を撮影し、SNSで拡散することで、広告費をかけることなく全国的な知名度を獲得したのです。

しかし、成功の影には課題も見え隠れします。混雑問題は深刻化しており、本来の「ゆっくりと朝食を楽しむ」という体験価値が損なわれつつあります。これは、人気が過熱した観光地でよく見られる「オーバーツーリズム」の一種と言えるでしょう。

今後は、予約制の導入や会場の拡張、時間帯の分散など、混雑緩和に向けた取り組みが急務となるでしょう。また、リピーター獲得のためには、季節限定メニューや地元食材の更なる活用など、継続的な魅力向上が必要不可欠です。

さらに、「御三家」という枠組みにとらわれることなく、それぞれのホテルが独自の個性を磨いていくことが重要です。センチュリーマリーナ函館が示しているように、健康志向やウェルネスといった新たなトレンドを取り入れることで、差別化を図る余地はまだまだあります。

函館朝食御三家の成功は、地方観光業界にとって非常に示唆に富んだ事例です。地域の食文化という固有の資源を活用し、時代のトレンドを捉えた戦略を展開することで、全国区の知名度を獲得できることを実証したのです。この成功モデルが今後どのように進化していくのか、そして他の地域にどのような影響を与えていくのか、トラベルライターとして継続的に注目していきたいと思います。

そして最後に、函館朝食御三家を巡る旅行を計画されている方には、ぜひ時間に余裕を持ったスケジュールを組まれることをお勧めします。混雑を避けるために早朝の利用を検討したり、事前に各ホテルに混雑状況を確認するなど、快適な朝食体験のための準備を怠らないでください。

真の美食体験とは、料理の質だけでなく、それを楽しむ環境や時間的余裕があってこそ成り立つものです。函館朝食御三家が提供する贅沢な朝食を、ストレスなく心から楽しんでいただけることを、一人のトラベルライターとして心より願っております。