OMOとBEBの違いについてネットでよく検索されている理由はなぜ? HOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説
旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめわかりやすく解説します。
今回は、多くの方から質問をいただく「星野リゾートのOMOとBEBの違いはなに?」という疑問にお答えします。星野リゾートといえば、最高級リゾート「星のや」や温泉旅館「界」、リゾートホテル「リゾナーレ」などが有名ですが、近年新たに登場したOMOとBEBというブランドについて、多くの旅行者が混乱されているようです。
結論:OMOとBEBは全く異なるコンセプトの都市型カジュアルホテル
結論から申し上げますと、OMOとBEBは星野リゾートが展開する最もリーズナブルなブランドでありながら、それぞれまったく異なるコンセプトを持つホテルなのです。
OMOは「テンションあがる街ナカホテル」として観光目的の旅行者をターゲットにしており、街の魅力を最大限に引き出すことに特化したサービスを提供しています。一方で、BEBは「居酒屋以上旅未満、仲間とルーズに過ごすホテル」をコンセプトに、主に20代から30代の若年層をターゲットとし、友人同士やグループでの気軽な滞在を提案するホテルなのです。
OMOブランドの詳細解説:街と一体化した観光特化型ホテル
OMOの基本コンセプトと特徴
OMO(オモ)は2018年から展開が始まった都市観光ホテルブランドで、現在17施設を展開しています。「テンションあがる街ナカホテル」というキャッチフレーズの通り、街をこよなく愛するスタッフが地域の方々と連携し、その土地ならではの観光体験を提供することに特化しています。
最大の特徴は、24時間自由にくつろげるラウンジ「OMOベース」の存在です。ここでは周囲の観光スポットの情報をスタッフが詳しく案内してくれるため、初めて訪れる土地でも効率的に観光を楽しむことができるのです。これは従来のビジネスホテルやシティホテルにはない、OMO独自のサービスと言えるでしょう。
OMOの良い点とメリット
OMOの良い点として、まず立地の優秀さが挙げられます。観光地の中心部や主要駅からアクセスしやすい場所に位置しており、観光の拠点として非常に便利なのです。実際の利用者からは「駅から近く、新世界へも歩いて行ける」「大阪マップがあるので、次の日の予定の確認などとても捗った」といった声が寄せられています。
また、スタッフのホスピタリティの高さも大きなメリットです。「従業員の方達の接遇が日本人、外国の方々に限らず大変良かった」「1人1人の接客が素晴らしい」といった口コミが多数見受けられます。これは星野リゾートならではの教育が行き届いている証拠と言えるでしょう。
おすすめしたい点として、客室の独創性も挙げられます。「やぐらルーム」のような個性的な部屋設計は、特に家族連れやカップルに人気で、「子供が大変気に入ってました」「ロフト式ベッド、独立型バス、内装など独自性に富んでとても楽しかった」という声が多いのです。
OMOの悪い点とデメリット
一方で、OMOの悪い点として指摘されるのが、清掃の不備です。利用者からは「背が高い人にしか届かない位置に大量の埃が積もっていた」「お風呂もドアの下の角のところに埃があった」といった清掃面での問題が報告されています。星野リゾートブランドとしては改善の余地がある部分と言えるでしょう。
また、デメリットとして、一人旅での利用に不向きという点があります。「一人で宿泊するので、一人部屋がないことは残念」という声もあり、ファミリーやグループ向けの設計が強いため、ソロトラベラーには使いづらい面があるのです。
おすすめしないケースとして、大浴場利用時の不便さも挙げられます。「お風呂に行くのに、一度外を歩かなければならない」という施設もあり、天候によっては利用が億劫になる可能性があります。
BEBブランドの詳細解説:ミレニアル世代向けの新しいホテル体験
BEBの基本コンセプトと特徴
BEB(ベブ)は2019年から展開が始まった比較的新しいブランドで、現在3施設を展開しています。「居酒屋以上旅未満、仲間とルーズに過ごすホテル」という独特なコンセプトは、星野リゾートが実施したミレニアル世代への調査結果から生まれました。
この調査で判明したのは、20代から30代の若者が「ストレス発散は飲み会」「旅行計画を立てるのは面倒」「ホテルは寝るための場所もしくは特別な時に訪れる場所」と考えているということでした。BEBはこれらの声を受けて、従来の宿泊施設の概念を覆す、新しい滞在体験を提案しているのです。
最大の特徴は、24時間オープンのラウンジ「TAMARIBA(タマリバ)」の存在です。ここではみんなでお喋りしたりゲームに興じたり、思い思いの過ごし方ができ、まさに友人の家にいるような感覚で過ごせるのです。
BEBの良い点とメリット
BEBの良い点として、革新的な料金システムが挙げられます。宿泊者全員がチェックイン時点で29歳以下であれば、時期や曜日による変動のない均一料金制のプランが用意されているのです。これは若年層の経済事情を考慮した画期的なサービスと言えるでしょう。
メリットとして、エンターテインメント性の高さも注目すべき点です。実際の利用者からは「自転車で作るスムージー体験が楽しかった上に美味しく大変満足」「フロント前のカフェで、800円で自転車を漕いでスムージーを作れる体験ができた」といった声が寄せられています。これらのユニークなアクティビティは、従来のホテルでは体験できない楽しさを提供しています。
おすすめしたい利点として、IT化の進んだスムーズなチェックイン・アウトがあります。「チェックイン、アウトはタブレットでして、1分かからない」「チェックインもチェックアウトもIT化されあっという間にできた」という口コミが多く、時間を有効活用したい若い世代のニーズに応えています。
BEBの悪い点とデメリット
BEBの悪い点として、ターゲット層の限定性が挙げられます。明確に20代から30代をターゲットとしているため、それ以外の年齢層には居心地の悪さを感じる可能性があります。特に「星のや系思って泊まるとガッカリする」という声もあり、星野リゾートの他ブランドと同等のサービスを期待すると失望する欠点があるのです。
デメリットとして、施設数の少なさも問題点として挙げられます。現在3施設のみの展開のため、利用したい地域にBEBがない可能性が高いのです。これは旅行計画を立てる際の制約となってしまいます。
おすすめしないケースとして、静かな環境を求める旅行者には不向きという点があります。グループでの利用を前提としたコンセプトのため、一人でゆっくりと過ごしたい方や、落ち着いた環境を重視する方には適さない場合があります。
両ブランドの料金比較と利用シーン別おすすめ
料金面での比較
OMOとBEBは共に星野リゾートの最もリーズナブルなブランドとして位置づけられています。一般的なビジネスホテルと比較すると若干高めではありますが、「一般のビジネスホテルよりコスパは良い」という評価も得ているようです。
BEBの場合、前述の29歳以下限定の均一料金制プランを利用すれば、さらにお得に宿泊できる可能性があります。一方、OMOは立地の良さとサービス内容を考慮すると、観光目的の旅行では十分に価値のある料金設定と言えるでしょう。
利用シーン別のおすすめ
観光目的の旅行でOMOをおすすめしたい方:
- 初めて訪れる土地で効率的に観光したい方
- 地元の情報を詳しく知りたい方
- ファミリーやカップルでの旅行
- 立地の良さを重視する方
- 星野リゾートのホスピタリティを手軽に体験したい方
友人同士の旅行でBEBをおすすめしたい方:
- 20代から30代のグループ旅行
- ホテル内でのんびり過ごしたい方
- ユニークな体験を求める方
- IT化されたスムーズなサービスを好む方
- コストパフォーマンスを重視する若年層
OMOをおすすめできない方:
- 完璧な清掃状態を求める方
- 一人旅でプライベート空間を重視する方
- 大浴場への利便性を重視する方
- 静寂な環境を求める方
BEBをおすすめできない方:
- 40代以上で落ち着いた環境を求める方
- 星野リゾートの最高級サービスを期待する方
- 一人でゆっくり過ごしたい方
- グループでの滞在に興味がない方
星野リゾート全体戦略における位置づけ
顧客層の拡大戦略
星野リゾートがOMOとBEBを展開する背景には、明確な顧客層拡大戦略があります。従来の「星のや」「界」「リゾナーレ」は、どちらかといえば富裕層や特別な機会での利用を想定したブランドでした。
しかし、OMOとBEBの登場により、より幅広い年齢層と所得層にアプローチできる体制が整ったのです。特にBEBは、これまで星野リゾートとは縁遠かったミレニアル世代を取り込む重要な役割を担っています。
地域活性化への貢献
OMOは特に「街とホテルをwin-winの関係で生かす」という発想から生まれたブランドです。地域の魅力を最大限に引き出し、観光客と地域をつなぐハブとしての役割を果たしており、単なる宿泊施設を超えた価値を提供しています。
これは星野リゾートが長年培ってきた「その土地の魅力を活かしたリゾート運営」という思想の都市版展開と言えるでしょう。
競合他社との差別化ポイント
従来のビジネスホテルとの違い
OMOとBEBは、料金帯は一般的なビジネスホテルに近いながらも、体験価値において明確な差別化を図っています。OMOの観光案内サービスやBEBのユニークなアクティビティは、単純な宿泊だけでは得られない付加価値を提供しているのです。
ライフスタイルホテルとしての側面
近年注目されている「ライフスタイルホテル」の要素も両ブランドには色濃く反映されています。特にBEBは、宿泊客の生活スタイルやライフステージに寄り添った滞在体験を提案しており、従来のホテルの枠を超えた新しいカテゴリーを創造していると言えるでしょう。
今後の展開予想と課題
施設拡大の可能性
OMOは現在17施設、BEBは3施設となっていますが、今後の拡大が期待されます。特にBEBは都市部を中心にさらなる展開が予想され、若年層のニーズの高まりとともに注目度は増していくでしょう。
改善が期待される課題
OMOについては清掃品質の向上、BEBについては施設数の拡大と年齢層の広がりへの対応が今後の課題となりそうです。また、両ブランドともに季節による稼働率の変動への対策も重要な要素となるでしょう。
トラベルライター”TAKA”の独自考察
私が長年の取材経験から感じるのは、OMOとBEBは星野リゾートの新たな挑戦であり、日本の宿泊業界全体に与える影響は決して小さくないということです。
特に興味深いのは、両ブランドが従来の「宿泊施設は寝る場所」という概念を根本的に覆していることです。OMOは「街を楽しむための拠点」として、BEBは「仲間と過ごす第三の場所」として、それぞれ独自の価値提案をしています。
これまで星野リゾートの利用者層は比較的限定的でしたが、これらの新ブランドにより、20代から40代の幅広い層にリーチできるようになったことは、ブランド戦略として非常に巧妙だと感じます。特にBEBの29歳以下均一料金制は、価格感度の高い若年層にとって画期的なサービスと言えるでしょう。
また、両ブランドとも「前泊として利用し、翌日から本命の星のややリゾナーレを楽しむ」という使い方が提案されていることも注目すべき点です。これは顧客の星野リゾート体験全体の満足度を高め、ブランドロイヤリティの向上につながる戦略と考えられます。
一方で、課題も見えてきます。OMOの清掃品質については、星野リゾートブランドとして改善の余地があります。また、BEBのターゲット層の限定性は、長期的には事業拡大の制約となる可能性もあります。
私の予測では、今後OMOはさらなる地方都市への展開を進め、地域活性化の一翼を担う存在になるでしょう。BEBについては、ミレニアル世代の成長とともにコンセプトの進化が求められ、より多様な年齢層にアピールできるサービス開発が必要になると思われます。
最終的に、OMOとBEBの成功は、日本の宿泊業界全体にとって新しいスタンダードを示すことになるでしょう。従来の価格競争から脱却し、体験価値やライフスタイルとの親和性で差別化を図る方向性は、他の宿泊事業者にとっても重要な示唆を与えています。
旅行者の皆様には、それぞれのブランドの特色を理解した上で、自分の旅行スタイルや同行者、目的に最も適したブランドを選択していただきたいと思います。OMOなら観光重視の旅行に、BEBなら友人同士の気軽な滞在に、それぞれの魅力を最大限に活用していただければ、きっと満足度の高い旅行体験が得られるはずです。