ブエリング航空 マイレージのJALとANAの提携についてネットでよく検索されている理由はなぜ? HOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説

旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめわかりやすく解説します。

今回は、ヨーロッパを中心に路線を展開するスペイン系格安航空会社「ブエリング航空(Vueling Airlines)」のマイレージプログラムが、日本の代表的な航空会社であるJAL(日本航空)やANA(全日本空輸)のマイレージプログラムと提携しているのか、という疑問について詳しく調査してまいりました。この疑問は、特にヨーロッパ旅行を計画している日本人旅行者の間で度々話題となる重要なトピックと言えるでしょう。

結論:直接的な提携関係は存在しないが、間接的なマイル加算の可能性がある

調査の結果、ブエリング航空は現在、JALやANAのマイレージプログラムと直接的な提携関係を結んでいないようです。JALの「JALマイレージバンク(JMB)」の提携航空会社リストや、ANAの「ANAマイレージクラブ(AMC)」のスターアライアンス提携航空会社リスト、その他の提携航空会社リストを確認したところ、ブエリング航空の名前は記載されていないのが現状と言われています。

しかしながら、完全にマイル加算の道が閉ざされているわけではないと考えられます。ブエリング航空は現在、「Vueling Club」という新しいマイレージプログラムを運営しており、このプログラムではAvios(アビオス)という通貨単位を採用しているのです。そして、この点が非常に興味深いポイントなのですが、ブエリング航空はイベリア航空の完全子会社という位置づけにあり、イベリア航空は確実にJALと提携関係にあることが確認されています。

さらに注目すべき点として、コードシェア便として運航される場合には、一部のマイレージ恩恵を受けられる可能性があるようです。実際に、ブエリング航空便をイベリア航空のコードシェア便として予約し、JALのマイレージ番号を登録したところ、マイルの積算やラウンジ利用などの恩恵を受けることができたという口コミ情報も散見されるのです。

なぜ直接的な提携関係が存在しないのか

ブエリング航空の位置づけと戦略的な事情

ブエリング航空は2004年に設立されたスペイン系の格安航空会社(LCC:Low Cost Carrier)であり、主にヨーロッパ域内の短距離路線を中心に運航しています。同社は2013年にイベリア航空とブリティッシュ・エアウェイズの持株会社であるインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)に買収され、現在はイベリア航空の完全子会社として運営されているのです。

格安航空会社という事業モデルの性質上、ブエリング航空は運営コストの削減を最優先に事業展開を行っており、マイレージプログラムの複雑な提携関係の構築や維持には積極的ではないと推測されます。これは世界的に見ても、多くのLCCが同様の戦略を取っていることからも理解できる傾向と言えるでしょう。

アライアンス構造の複雑さ

航空業界におけるマイレージプログラムの提携関係は、主に3つの大きなアライアンス(スターアライアンス、ワンワールド、スカイチーム)を軸に構築されています。JALはワンワールドアライアンスのメンバーであり、ANAはスターアライアンスのメンバーです。

ブエリング航空の親会社であるイベリア航空はワンワールドアライアンスのメンバーであるため、理論的にはJALとの提携関係構築は可能なはずです。しかし、ブエリング航空自体はアライアンスに加盟していないため、直接的な提携関係の構築には至っていないようです。

ブエリング航空の新しいマイレージプログラム「Vueling Club」の詳細

Aviosシステムの採用

2024年から本格的に開始されたブエリング航空の新しいマイレージプログラム「Vueling Club」では、従来の「プント(Punto)」システムから大幅な変更が行われました。最も注目すべき点は、ブリティッシュ・エアウェイズやイベリア航空と同じ「Avios」という通貨単位を採用したことです。

このAviosシステムの導入により、ブエリング航空で獲得したAviosは、ブリティッシュ・エアウェイズ、イベリア航空、そしてAvios.comの各アカウント間で自由に移行できるようになったと言われています。これは、マイレージ運用の柔軟性という観点では大きなメリットと考えられます。

革新的な獲得システム

従来の航空会社のマイレージプログラムでは、搭乗した予約クラス(ブッキングクラス)に応じて獲得マイル数が決定される仕組みが一般的でした。しかし、ブエリング航空の新システムでは、支払った金額をベースに獲得できるAvios数が決まるという、革新的な方式を採用しているのです。

この方式は、デルタ航空やユナイテッド航空などのアメリカ系航空会社が既に採用している方式と同様で、Aviosを採用している航空会社では初めての試みと言われています。この変更は、ブエリング航空が使用している予約システム「ナビティア(Navitaire)」の機能を活用したものと推測されており、決済額ベースでのマイレージ計算が可能な仕組みを利用していると考えられています。

JALとの間接的な関係構築の可能性

イベリア航空経由でのマイル加算

ブエリング航空とJALの間に直接的な提携関係は存在しませんが、親会社であるイベリア航空を経由した間接的なマイル加算の可能性は十分に考えられます。実際に、以前からブエリング航空の「Excellence」や「Optima」といった上位運賃クラスについては、イベリア航空のマイレージ番号を登録することで、イベリア航空にAviosを加算できるシステムが存在していたようです。

イベリア航空はJALと確実に提携関係にあり、JALのマイレージで「イベリア航空特典航空券」を発券することも可能です。例えば、エコノミークラスの場合、ヨーロッパ域内で12,000マイル、日本・ヨーロッパ間で37,000マイルで特典航空券を取得できるとされています。

コードシェア便としての活用

より実用的な方法として、ブエリング航空便をイベリア航空のコードシェア便として予約する方法があります。この場合、形式的にはイベリア航空便として扱われるため、JALのマイレージ番号での積算が可能になる場合があるようです。

実際の口コミ情報によると、イベリア航空からコードシェア便として予約を行い、JALのマイレージ番号を登録したところ、マイルの積算やラウンジの利用など、JAL会員としての恩恵を受けることができたケースが報告されています。ただし、この方法は運航会社の予約クラスに基づく積算率が適用されるため、期待していた積算率と異なる場合があることも考慮する必要があります。

ANAとの関係について

スターアライアンスとの距離

ANAはスターアライアンスのメンバーであり、ブエリング航空の親会社であるイベリア航空はワンワールドアライアンスのメンバーです。このアライアンス構造の違いにより、ANAとブエリング航空の間には、JAL以上に直接的な提携関係構築の可能性が低いと考えられます。

ANAの提携航空会社リストを確認したところ、スターアライアンス加盟航空会社以外にも、ベトナム航空やヴァージンアトランティック航空など、スカイチームやその他のアライアンスに属する航空会社との提携事例も存在しています。しかし、現時点ではブエリング航空との提携関係は確認できないのが実情です。

将来的な可能性

ただし、航空業界におけるアライアンス構造は常に変化しており、二社間での独自提携関係が構築されるケースも珍しくありません。ANAとベトナム航空の提携事例のように、アライアンスの枠を超えた提携関係が今後構築される可能性は完全には否定できないでしょう。

ブエリング航空マイレージプログラムの良い点

メリット1:Avios通貨の汎用性

ブエリング航空の新しいマイレージプログラムの最大の利点は、獲得したAviosをブリティッシュ・エアウェイズやイベリア航空のアカウントに移行できる柔軟性です。これにより、ブエリング航空単体では利用できない長距離路線や、より充実した特典航空券ラインアップにアクセスできるようになります。

メリット2:決済額ベースの透明な獲得システム

従来の複雑な予約クラス別積算率システムと異なり、支払った金額に応じてAviosを獲得できるシステムは、利用者にとって非常に分かりやすく透明性が高いと言えます。特に、格安航空会社の運賃体系では、予約クラスの概念が曖昧になりがちですが、決済額ベースであればその心配がありません。

メリット3:ヨーロッパ域内旅行での高い利便性

ブエリング航空は、スペインを中心としたヨーロッパ域内で非常に充実した路線ネットワークを持っています。特に、バルセロナやマドリードを拠点とした地中海沿岸都市への接続性は非常に高く、ヨーロッパ周遊旅行を計画している日本人旅行者にとっては魅力的な選択肢となります。

おすすめしたい方

これらの良い点から、ブエリング航空のマイレージプログラムは以下のような方に特におすすめできると考えられます。

  • ヨーロッパ域内での短距離移動を頻繁に行う旅行者
  • ブリティッシュ・エアウェイズやイベリア航空のマイレージプログラムを既に利用している方
  • 透明で分かりやすいマイレージ獲得システムを好む方
  • 格安航空会社を積極的に活用してコストを抑えた旅行を志向する方

ブエリング航空マイレージプログラムの悪い点

デメリット1:日本の航空会社との直接提携なし

最も大きな欠点は、やはりJALやANAとの直接的な提携関係が存在しないことです。日本人旅行者の多くは、JALマイレージバンクやANAマイレージクラブに慣れ親しんでおり、これらのプログラムとの互換性がないことは大きなデメリットと言わざるを得ません。

デメリット2:長距離国際線での利用制限

ブエリング航空は主にヨーロッパ域内の短距離路線を中心に運航しているため、日本からヨーロッパへの長距離国際線や、アジア路線での利用機会が限定的です。このため、獲得したAviosを多様な路線で活用する機会が制限されるという悪い点があります。

デメリット3:日本語サポートの不足

ヨーロッパ系の航空会社という特性上、日本語でのカスタマーサポートや、日本語対応のウェブサイトは限定的と推測されます。日本人旅行者にとって、言語の壁は決して小さな問題ではなく、この点は明確なデメリットとして挙げられるでしょう。

おすすめできない方

これらの悪い点を考慮すると、以下のような方にはおすすめしないと言えるかもしれません:

  • JALやANAのマイレージプログラムのみに集中したい方
  • 日本発着の国際線を頻繁に利用する方
  • 日本語でのサポートを重視する方
  • 複数のマイレージプログラムの管理を煩雑に感じる方

今後の展望と戦略的考察

航空業界の提携関係の変化

航空業界におけるマイレージプログラムの提携関係は、常に流動的な状況にあります。特に、格安航空会社の成長と従来の大手航空会社との境界線が曖昧になってきている現在、新しい形の提携関係が生まれる可能性は十分に考えられます。

ブエリング航空がイベリア航空グループの一員として、より強固な地位を確立していく過程で、JALとの間接的な提携関係が強化される可能性や、将来的には直接的な提携関係が構築される可能性も完全には否定できないでしょう。

技術革新による変化

また、マイレージプログラムの技術的な基盤も急速に進化しています。ブロックチェーン技術の活用や、API連携による異なるプログラム間でのポイント交換システムの簡素化など、技術革新により従来は困難だった提携関係の構築が容易になる可能性があります。

日本人旅行者の行動パターンの変化

コロナ禍を経て、日本人旅行者の行動パターンも大きく変化しています。従来のパッケージツアー中心から、個人旅行やより自由度の高い旅行スタイルへのシフトが進んでおり、格安航空会社への関心も高まっています。

この傾向が続けば、ブエリング航空のような格安航空会社と日本の航空会社との提携ニーズも高まり、何らかの形での関係構築が実現する可能性があると考えられます。

実践的な活用方法の提案

現在利用可能な方法

現時点で日本人旅行者がブエリング航空を最も効果的に活用する方法として、以下のようなアプローチが考えられます。

1. イベリア航空経由でのマイル管理 ブエリング航空で獲得したAviosをイベリア航空のマイレージプログラム「イベリア・プラス」に移行し、そこからJALの特典航空券発券に活用する方法です。

2. コードシェア便の積極的活用 可能な限り、ブエリング航空便をイベリア航空のコードシェア便として予約し、JALのマイレージ番号で積算を試みる方法です。

3. 複数プログラムの併用戦略 JALやANAのメインプログラムは維持しつつ、ヨーロッパ旅行時のサブプログラムとしてブエリング航空のVueling Clubを活用する方法です。

長期的な戦略

より長期的な視点では、以下のような戦略的アプローチが有効と考えられます。

1. Aviosエコシステムへの参加 ブリティッシュ・エアウェイズ、イベリア航空、ブエリング航空のAviosエコシステム全体を理解し、効率的なAvios獲得・利用戦略を構築することです。

2. 情報収集の継続 航空業界の提携関係は常に変化しているため、新しい提携関係や特典の変更について継続的に情報収集を行うことが重要です。

3. 柔軟な旅行スタイルの採用 特定の航空会社やアライアンスに固執せず、旅行目的や予算に応じて最適な航空会社を選択できる柔軟性を持つことです。

まとめと私見

トラベルライター”TAKA”として数多くの航空会社のマイレージプログラムを研究してきた立場から申し上げますと、ブエリング航空とJAL・ANAとの関係は、現在は「直接的な提携なし、しかし間接的な活用方法は存在する」という状況にあると結論づけることができます。

確かに、直接的な提携関係が存在しないことは、日本人旅行者にとって一定のデメリットとなります。しかし、この状況を悲観的に捉える必要はないと私は考えています。なぜなら、ブエリング航空が新たに導入したAviosシステムは、従来のマイレージプログラムの概念を大きく変える革新的な取り組みであり、将来的にはより多様な活用方法が生まれる可能性を秘めているからです。

特に注目すべきは、決済額ベースでのマイル獲得システムです。この透明性の高いシステムは、格安航空会社の利用が一般化している現在の旅行市場において、非常に理にかなったアプローチと言えるでしょう。また、Aviosという共通通貨を通じて、ブリティッシュ・エアウェイズやイベリア航空との連携が強化されることで、日本人旅行者にとっても新たな選択肢が広がっています。

私が特に評価したいのは、ブエリング航空が単なる格安航空会社の域を超えて、より包括的な旅行体験の提供を目指している点です。親会社であるイベリア航空グループとの連携を深めることで、格安運賃と充実したサービスの両立を図っているように見受けられます。

確かに現時点では、JALやANAのマイレージプログラムとの直接的な互換性はありません。しかし、航空業界の急速な変化を考慮すれば、この状況が永続的に続くとは限りません。むしろ、日本人旅行者のヨーロッパ旅行に対する需要の高まりや、航空業界におけるアライアンス構造の変化により、何らかの形での関係構築が実現する可能性は十分にあると考えています。

それまでの期間においても、コードシェア便の活用やイベリア航空経由でのマイル管理など、工夫次第で効果的な活用方法は存在します。重要なのは、固定観念に囚われず、柔軟な発想でマイレージプログラムを活用することだと思います。

最終的に、ブエリング航空のマイレージプログラムは、ヨーロッパ旅行を頻繁に行う日本人旅行者や、新しいマイレージ戦略に興味のある方にとって、非常に魅力的な選択肢になる可能性を秘めていると、私は確信しています。今後の展開に大いに期待したいところです。