LUCYとは?星野リゾート6番目の挑戦

星野リゾートは2025年4月、「星のや」「リゾナーレ」「界」「OMO」「BEB」に続く6番目のブランドとして山ホテルブランドLUCY(ルーシー)を発表しました。ブランド名は19世紀の英国人旅行家イザベラ・“ルーシー”・バードに由来し、「山をすべての人の旅先に。」を合言葉に、初心者でも快適に山の大自然を楽しめる仕組みを整えます。刻々と姿を変える雲や星空、希少な動植物との偶然の出会いを“心揺さぶる”体験として届ける──それがLUCYの使命です。公式ブランドページ

同社は国立公園などの自然保護エリアに滞在拠点を設けることで、環境省「国立公園満喫プロジェクト」を後押しし、都市集中型だった訪日観光を“自然体験型”へと広げる方針を掲げています。観光地の分散と地域経済活性化を両立させる点でも、LUCYは次世代ツーリズムの鍵を握る存在といえます。

初号施設「LUCY尾瀬鳩待」開業概要

LUCY最初の舞台は群馬県・尾瀬国立公園。2025年9月1日、鳩待峠標高1,591mに「LUCY尾瀬鳩待 by 星野リゾート」が誕生しました。バス停から徒歩3分という至近距離に位置し、山ノ鼻や至仏山山頂など尾瀬の主要スポットへ素早くアクセスできます。営業期間は9月1日〜10月25日で、冬季は道路閉鎖に合わせ休館します。施設公式サイト

ホテルは「最高の尾瀬ハイクがはじまるホテル」をコンセプトに、山歩き前後の負担や不安を解消する快適装備を用意。標高差や気温差に慣れていないビギナーでも、温水洗浄トイレや無料Wi-Fiなど都市と遜色ない環境で滞在できます。

客室タイプと料金

  • ツインルーム(6m²/1〜2名)…バンクベッドで仲間同士やカップル向き
  • フォースルーム(13m²/1〜4名)…ファミリーやグループに最適
  • ドミトリー(2m²/1名)…三つ折りマットレス付きで完全個室型

総客室数は25室。2名1室ツイン利用・夕食付きの場合、1人14,050円(税込)からとリーズナブルです。いずれの客室にも金庫やタオル、歯ブラシを備え、共用シャワールームにシャンプー類を完備。山小屋の不便さを感じさせない設計が光ります。

LUCYが掲げる“6つのプロミス”

  1. プライベートな寝室で安眠をサポート
  2. “いつもの”温水洗浄トイレを完備
  3. 清潔なシャワー&パウダールーム
  4. 肉・魚・卵を使った栄養満点の夕食
  5. 24時間利用できる「ラストコンビニ」
  6. 充電・Wi-Fiを無制限で提供

この6項目は都会暮らしに慣れた登山初心者でも安心して山時間を楽しめるよう策定されました。特に「ラストコンビニ」は行動食や日用品を現地調達できると登山者から高評価。

山の食を味わう「LUCY豚汁」とカフェ

夕食の主役は具材を大きく切った野菜とたっぷりの豚肉、そしてくずし豆腐が入る名物「LUCY豚汁」。肌寒い尾瀬の夜に欠かせない一杯です。副菜には魚や卵と地元産の山菜を組み合わせ、栄養バランスを重視。朝食や軽食は「ラストコンビニ」でおにぎりやエナジーバーを24時間購入でき、ハイク出発が早朝でも困りません。

隣接の「はとまちベース Cafe & Shop」では甘さ控えめの花豆ソフトクリームが人気。カフェタイム用スイーツやオリジナルグッズも揃い、日帰り利用も可能です。登山前のリラックス、下山後の糖分補給にちょうどいい“山の拠点”として機能します。

サステナビリティと地域連携

ホテルはマイカー規制区域にあるため、戸倉駐車場から乗合バスに乗り換えるアクセス方式を採用。これにより峠の交通量とCO₂排出を抑え、脆弱な高山植物の保護に貢献します。また、地元片品村の農家と連携し、食材の地産地消を進めることで輸送による環境負荷も低減。LUCYブランドは“山に優しく、人に優しい”運営ポリシーを掲げています。

さらに、星野リゾートは国立公園の自然体験強化を掲げる環境省と足並みをそろえ、登山道整備や入山マナー啓発にも参画予定。観光と保護の両立モデルとして、他地域の自治体からも注目を集めています。

アクセス・営業期間・予約方法

アクセスは関越交通バス「鳩待峠」停留所から徒歩1分。マイカー規制により一般車は戸倉駐車場で乗合バスに乗り換えます。チェックインは14:00、チェックアウトは10:00。2025年度の営業は9月1日〜10月25日で、例年11月初旬から4月中旬は休館となります。アクセス詳細

予約は公式サイトが最安値保証。支払いは事前決済各種クレジットカードのほか、ペイディ後払いにも対応し、現金は利用できません。利用者は空室カレンダーで営業日を確認し、ハイシーズンの早期予約が推奨されています。

今後のブランド展開と期待

星野リゾートはLUCYブランドを全国の山岳・高原エリアへ順次拡大する方針を示しています。「自然観光×ホテル快適性」という独自路線が、山岳地域の新たな価値創出につながるか注目されます。今後の開業地や地域連携プログラムの発表に期待しつつ、まずは尾瀬鳩待で“心揺さぶる山ホテル”体験を確かめてみてはいかがでしょうか。