株式会社ロイヤルホテルの新しいホテルブランド「アンカード・バイ・リーガ」とは?
旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめわかりやすく解説します。
今回は、株式会社ロイヤルホテルが展開する新しいホテルブランド「アンカード・バイ・リーガ」について、詳しく調査しました。リーガロイヤルホテルグループといえば、大阪や東京など日本の主要都市で格式高いホテルを運営してきた老舗ホテルチェーンとして知られていますが、この新ブランドはこれまでのイメージとは一線を画す、まったく新しいコンセプトのホテルとして誕生するようです。
結論:「アンカード・バイ・リーガ」は若者向けの新体験型ホテルブランド
アンカード・バイ・リーガは、リーガロイヤルホテルグループが2025年に発表した全く新しいホテルブランドで、20代から30代の若年層をメインターゲットとした体験型宿泊施設ということが明らかになりました。ブランド名の「アンカード(ANCHORED)」は「錨をおろす」という意味を持ち、ホテルが立地する場所のローカルなエッセンスを濃く感じながら、旅の疲れを癒してアクティブな朝を迎えるための機能を備えたコンセプトになっているようです。
第一号店となる「アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば」は、2026年4月3日に開業予定で、2025年7月1日から予約受付が開始されています。リーガロイヤルホテルグループが従来展開してきた高級志向のフラッグシップホテルとは異なり、カジュアルでアートな空間づくりと地域文化との融合を重視した新しいカテゴリーのホテルとして位置づけられているのが特徴です。
なぜ老舗ホテルグループが新ブランドを立ち上げたのか
リーガロイヤルホテルグループがこの新ブランドを立ち上げた背景には、価値観が多様化する若年層の宿泊ニーズに対応するという明確な戦略があるようです。従来のリーガロイヤルホテルは、どちらかというとビジネスマンや家族連れ、年配の旅行者向けの格式あるホテルというイメージが強かったのですが、近年のホテル業界では体験型の宿泊施設やデザイナーズホテル、地域文化を前面に打ち出したライフスタイルホテルなどが若者を中心に人気を集めているという状況があります。
実際、今回の新ブランド展開では、アンカード・バイ・リーガのほかに「バウンシー・バイ・リーガ」という音楽や食などのエンターテインメントに焦点を当てた別ブランドも同時に発表されており、これらは「Xカテゴリー」という若年層向けの新しいホテル群として分類されているようです。スケールにとらわれず、地域の伝統や自然、現代的なカルチャーをカジュアルなサービスとして提供していくことを目指しているということで、従来のリーガロイヤルホテルとは完全に差別化された新しい顧客層の開拓を狙っているといえるでしょう。
第一号店「アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば」の特徴
ロケーションと立地の魅力
大阪なんば店の立地は、大阪メトロ堺筋線の恵美須町駅から徒歩約2分という非常にアクセスしやすい場所に位置しているようです。この立地の最大の特徴は、通天閣のある新世界エリアに隣接し、近年若者の間で注目を集めている「裏なんば」やサブカルチャーの聖地として知られる「オタロード」、さらには大阪の台所として有名な黒門市場などが徒歩圏内に集まっているという点です。
JR環状線の新今宮駅からは徒歩約10分、南海電鉄のなんば駅からは徒歩約15分という距離で、関西国際空港からも南海電鉄とメトロを乗り継いで1時間程度でアクセスできるため、国内外からの観光客にとって非常に利便性の高い立地といえそうです。道頓堀へは徒歩約20分、天王寺動物園や四天王寺も徒歩圏内で、大阪城や海遊館、梅田方面へも電車で30分から40分程度でアクセスできるなど、大阪観光の拠点としての機能も十分に備えているようです。
コンセプトは「PLAYFUL OSAKA」
このホテルのコンセプトは「PLAYFUL OSAKA」で、なんばや新世界エリアのエネルギッシュで雑多な街の雰囲気をそのままホテル空間に取り込んだデザインになっているとのことです。従来の高級ホテルが目指す洗練された静けさや上品さとは対照的に、大阪のディープな魅力や庶民的な活気、そして独特のユーモアセンスをアートやインテリアで表現することで、訪れたゲストに記憶に残る「プレイフル」な滞在を提供することを目指しているようです。
このコンセプトの実現のために、大阪にゆかりのあるアーティストたちが館内の随所にオリジナルアート作品を手がけているという点が大きな特徴になっています。フロントエリアには、幸運の前ぶれとされる鳳凰をモチーフにしたダイナミックなアート作品が展開されており、これはBAKIBAKI氏という日本のサブカルチャーに着想を得た和柄のアーティストが手掛けているそうです。
客室のヘッドボードには、大阪出身のロックな壁画絵師として知られる木村英輝氏が日本の美を感じさせるアート作品を制作しており、大浴場には鈴木ひょっとこ氏による日本の民俗芸能にインスピレーションを受けた壁面アートが配されているということで、館内を巡るだけでも現代アートギャラリーのような体験ができそうです。
客室の充実した設備
客室は全200室で、その内訳はツインルームが131室、ダブルルームが67室、ユニバーサルルーム(バリアフリー対応)が2室という構成になっているようです。全室が24平米以上の広さを確保しており、ビジネスホテルにありがちな狭苦しさは感じないサイズ感になっているといえるでしょう。
特筆すべきは、すべての客室に洗い場付きのバスルーム、独立した洗面台、そして独立したトイレが備わっているという点です。これは海外のホテルやビジネスホテルによくあるユニットバスではなく、自宅のようにゆったりとお風呂に浸かれる設備で、日本人旅行者にとって非常に快適な仕様といえます。さらに、一部の客室にはコネクトルーム機能があり、隣の部屋とつなげることで最大7名まで宿泊できるようになっているため、グループ旅行や家族旅行にも対応しているようです。
チェックインは15時から、チェックアウトは11時という標準的な時間設定になっており、ゆったりと滞在できる時間が確保されているといえるでしょう。
大浴場とサウナという贅沢な設備
このホテルの大きな特徴のひとつが、最上階(15階)に設置される大浴場とサウナ施設です。通常、このクラスのホテルでは大浴場を備えていないことが多いのですが、アンカード・バイ・リーガでは旅の疲れを癒すための本格的な温浴施設を用意しているようです。
大浴場には温浴のほか、サウナ、水風呂が完備され、男女それぞれに8ブースの洗い場が設けられているということで、かなり本格的な仕様になっているといえそうです。営業時間は朝6時から10時、そして午後3時から深夜24時までとなっており、朝風呂も夜遅くの入浴も楽しめる柔軟な運営になっているようです。
湯上り処も併設されているため、お風呂上がりにリラックスする空間も確保されており、単なるビジネスホテル以上の滞在体験が期待できそうです。壁面には前述の鈴木ひょっとこ氏によるアート作品が展開されているということで、日本の民俗的な雰囲気を感じながら入浴できる特別な空間になっているといわれています。
レストランは朝から夜まで変化する
1階にあるレストランは約70席規模で、朝と夜で全く異なる顔を持つユニークな施設になるようです。朝食の時間帯(7時から10時)では、鉄板で焼き上げる料理やその場で仕上げるミックスジュースなど、大阪らしいライブ感のある朝食ビュッフェが提供されるとのことです。
夜になると、はらわたちゅん子氏という日本の路地やアジアの喧騒からインスピレーションを受けたネオンサインアーティストが手掛けるネオンが輝くパブとして装いを変え、ローカルフードをアレンジした料理を楽しめるということです。営業時間は17時から22時30分で、宿泊客だけでなく外部の方も利用できるスタイルになっているかもしれません。鉄板オープンキッチンという形式で、調理の様子を見ながら食事を楽しめる臨場感のある空間づくりがされているようです。
その他の設備とサービス
館内にはコインランドリーも設置されるということで、長期滞在や連泊にも対応した設備が整っているようです。環境に配慮した最新式のコインランドリーということで、エコ意識の高い若年層のニーズにも応えているといえるでしょう。
バリアフリー対応も充実しており、車椅子用エレベーター、車椅子用駐車場、公共スペースの洋式トイレ、館内の点字ブロック、点字表示、フロントスタッフによる手話対応や筆談対応なども用意されているようです。ユニバーサルルームも2室用意されており、40.5平米という広さで、誰もが快適に滞在できる配慮がなされているといえそうです。
支払い方法は、クレジットカード、二次元バーコード決済、電子マネーなど、多様なキャッシュレス決済に対応しているということで、現金を持ち歩きたくない旅行者にも便利な仕様になっているようです。
料金設定と予約方法
宿泊料金については、2名1室利用で1泊あたり2万円前後から8万円程度の幅があるようで、時期や部屋タイプによって変動するようです。早期予約割引も用意されており、90日前までの予約で30%オフになるプランや、連泊で割引になるプランなども設定されているということです。
特にリーガメンバーズという会員プログラムに登録すると、開業記念の超早割20%オフプランが利用できるなど、お得に宿泊できるチャンスがあるようです。入会金や年会費は無料ということなので、利用を検討している方は事前に会員登録しておくとメリットが大きそうです。
予約は2025年7月1日の午前10時から開始されており、公式ウェブサイトやリーガメンバーズアプリ、各種旅行予約サイトから予約が可能になっているようです。大阪市の宿泊税として、1泊1名あたり100円から500円が別途かかる可能性があり、これは客室料金によって変動するということです。
アンカード・バイ・リーガの良い点・メリット
このホテルのメリットとして最も大きいのは、立地の良さと充実した施設の組み合わせだといえるでしょう。恵美須町駅から徒歩2分という駅近物件でありながら、大浴場やサウナ、独立したバスルーム、広めの客室など、快適性を重視した設備が整っている点は、他のビジネスホテルやデザイナーズホテルと比較しても優位性があるといえます。
また、大阪のディープなカルチャーを体験したい旅行者にとって、通天閣、新世界、オタロード、裏なんば、黒門市場などが徒歩圏内という立地は非常に魅力的です。観光地を効率的に回りたいバックパッカーや若者グループ、大阪の下町文化に興味がある海外からの旅行者などにとって、このホテルは理想的な拠点になるといえるでしょう。
館内アートの充実も大きな利点で、宿泊そのものがアート鑑賞体験になるというユニークな価値を提供しています。BAKIBAKI氏、木村英輝氏、鈴木ひょっとこ氏、はらわたちゅん子氏といった個性的なアーティストの作品に囲まれて過ごすという体験は、SNS映えする写真を撮りたい若者や、文化的な体験を求める旅行者にとって大きな魅力になるはずです。
コネクトルームで最大7名まで宿泊できるという点も、グループ旅行や家族旅行の利点として挙げられます。通常のホテルでは大人数での宿泊が難しいことが多いのですが、この仕様であれば友人同士や三世代家族での旅行も一緒の空間で楽しめるでしょう。
リーガロイヤルホテルグループという老舗ホテルチェーンのブランド力とサービス品質を背景に持ちながら、カジュアルで親しみやすい価格帯とスタイルを実現している点も、おすすめできるポイントです。格式高いホテルの安心感と、若者向けの自由な雰囲気を両立させているのは、このブランドならではの強みといえるでしょう。
アンカード・バイ・リーガの悪い点・デメリット
一方で、デメリットや欠点も考えられます。まず、なんばや新世界といった繁華街に近い立地であるため、夜間の騒音や治安面での不安を感じる方もいるかもしれません。特に女性一人旅や小さな子供連れの家族にとっては、周辺エリアの雰囲気が少し気になる可能性があります。
また、リーガロイヤルホテルの従来の高級感や格式を期待している方にとっては、このカジュアルでポップなスタイルは物足りなく感じられるかもしれません。アートも個性的で現代的なスタイルが中心なので、伝統的な和のテイストや落ち着いた雰囲気を求める年配の旅行者には、好みが分かれる可能性があるといえるでしょう。
駐車場に関する詳細情報があまり公開されていないため、車での旅行を計画している方にとっては不便を感じる可能性があります。都心部のホテルであるため、駐車場が限られているか、別途料金が高額になることも考えられます。
開業前のホテルであるため、実際のサービス品質や運営状況については口コミや評判がまだ存在せず、予約をするには少し不安が残る点も欠点として挙げられるでしょう。イメージ画像やコンセプトと実際の体験が異なる可能性もゼロではありません。
レストランが朝食と夜のパブのみの運営のようで、ランチタイムやルームサービスなどのオプションが限られている可能性があります。長時間ホテルに滞在する予定の方や、食事の選択肢を重視する方にとっては、やや不便に感じられるかもしれません。
おすすめしたい方
このホテルは、20代から30代の若い世代で、大阪のローカルカルチャーやディープな観光を楽しみたい方に特におすすめできるといえます。通天閣や新世界の串カツ屋巡り、裏なんばのバーホッピング、オタロードでのサブカルチャー体験などを計画している旅行者にとって、このホテルは最高の拠点になるでしょう。
SNS映えする写真を撮りたい方や、アートやデザインに興味がある旅行者にも非常におすすめです。館内の随所に配置されたオリジナルアート作品は、それ自体が観光スポットのような価値があり、宿泊体験そのものがコンテンツになるといえます。
友人同士のグループ旅行や、カジュアルな家族旅行を計画している方にも向いています。コネクトルームで大人数が一緒に泊まれることや、大浴場でワイワイと楽しめることは、団体旅行の楽しさを倍増させてくれるはずです。
サウナ好きの方や、旅先でもしっかりお風呂に浸かりたい方にとって、大浴場とサウナ完備という設備は大きな魅力です。特に、近年のサウナブームを考えると、旅先でサウナと水風呂を楽しめるホテルは貴重な存在といえるでしょう。
海外からの旅行者で、日本の現代カルチャーや庶民的な大阪を体験したい方にもおすすめできます。リーガロイヤルホテルという信頼できるブランドでありながら、ローカルな体験ができるという点は、外国人旅行者にとって安心感と冒険心の両方を満たしてくれるでしょう。
おすすめできない方
逆に、静かで落ち着いた環境を求める方や、高級感のある伝統的なホテルステイを期待している方には、このホテルはあまりおすすめできないかもしれません。繁華街に近い立地や、ポップでエネルギッシュなデザインは、リラックスした休息を最優先する旅行者にとっては刺激が強すぎる可能性があります。
ビジネス出張で格式や品格を重視する必要がある方にも向いていない可能性があります。取引先との会食や接待などで利用するホテルとしては、カジュアルすぎるイメージがあるかもしれません。
車での移動を前提にしている旅行者や、駐車場の利便性を重視する方にとっては、都心部の立地であるがゆえの不便さを感じる可能性があります。
また、最高級の設備やサービスを期待する方、コンシェルジュサービスや24時間ルームサービスなどフルサービスホテルの機能を求める方には、物足りなく感じられるかもしれません。あくまでも宿泊特化型のホテルとして開発されているようなので、豪華な施設やきめ細かいサービスを期待するとギャップを感じる可能性があります。
伝統的な和風旅館の雰囲気や、落ち着いた日本美を求める年配の旅行者にとっては、現代アート中心のデザインや若者向けのコンセプトが合わない可能性があります。
Q&A:アンカード・バイ・リーガについてよくある質問
Q1: アンカード・バイ・リーガはいつ開業しますか?
A: 第一号店となる「アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば」は2026年4月3日(金)に開業予定と発表されています。予約は2025年7月1日の午前10時から開始されているようです。
Q2: 料金はどのくらいですか?
A: 2名1室での利用で1泊あたり約1万5千円から7万8千円程度の幅があるようですが、時期や部屋タイプによって変動するとのことです。早期予約割引や連泊割引も用意されており、90日前予約で30%オフになるプランもあるといわれています。
Q3: 大浴場は利用できますか?
A: はい、最上階の15階に大浴場とサウナ、水風呂が完備されているようです。営業時間は朝6時から10時、そして午後3時から深夜24時までとなっており、湯上り処も併設されているとのことです。
Q4: どんな部屋タイプがありますか?
A: 全200室の構成で、スタンダードツインルーム(131室)、スタンダードキングルーム(67室)、ユニバーサルルーム(2室)が用意されているようです。全室24平米以上で、洗い場付バスルーム、独立洗面台、独立トイレを完備しているということです。
Q5: 朝食は付いていますか?
A: 朝食は別料金のビュッフェスタイルのようで、1階のレストランで7時から10時まで提供されるとのことです。鉄板で焼き上げる料理やミックスジュースなど、大阪らしいメニューが楽しめるといわれています。
Q6: 駅からどのくらいですか?
A: 大阪メトロ堺筋線の恵美須町駅から徒歩約2分という非常にアクセスの良い立地です。JR環状線の新今宮駅からは徒歩約10分、南海電鉄のなんば駅からは徒歩約15分となっているようです。
Q7: 周辺に観光スポットはありますか?
A: 通天閣や新世界までは徒歩約5分、オタロードまで徒歩約10分、黒門市場まで徒歩約15分、道頓堀まで徒歩約20分という立地で、大阪のディープな観光スポットが徒歩圏内に集まっているようです。
Q8: グループでの宿泊は可能ですか?
A: はい、一部の客室にはコネクトルーム機能があり、隣の部屋とつなげることで最大7名まで宿泊できるようになっているとのことです。
Q9: バリアフリー対応はありますか?
A: ユニバーサルルームが2室用意されているほか、車椅子用エレベーター、点字ブロック、フロントスタッフによる手話対応や筆談対応などが用意されているようです。
Q10: 駐車場はありますか?
A: 駐車場の有無については公式情報に記載がありますが、詳細な台数や料金については直接ホテルに問い合わせる必要があるかもしれません。都心部のホテルのため、台数が限られている可能性があります。
トラベルライター”TAKA”の考察と意見
株式会社ロイヤルホテルがこのタイミングで若者向けの新ブランドを立ち上げたことには、非常に戦略的な意図が感じられます。近年、日本のホテル業界では星野リゾートのOMO(オモ)シリーズや、外資系のライフスタイルホテルブランドなどが、従来のビジネスホテルでも高級ホテルでもない「第三の選択肢」として若年層の支持を集めているという状況があります。
リーガロイヤルホテルは、大阪や東京などで長年にわたって格式高いホテルを運営してきた実績があるものの、どうしても「年配のビジネスマン向け」「冠婚葬祭で使うホテル」というイメージが強く、若者からは少し距離のあるブランドだったのではないでしょうか。このアンカード・バイ・リーガという新ブランドは、そうした従来のイメージを一新し、Z世代やミレニアル世代に訴求するための大胆な試みだといえるでしょう。
特に注目すべきは、「ローカルのエッセンスを濃く感じる」というブランドコンセプトです。グローバル化が進む現代において、逆説的に「その土地ならではの体験」を求める旅行者が増えているという潮流を的確に捉えているといえます。大阪なんば店では新世界や裏なんば、オタロードといった、いわゆる「ディープな大阪」を体験できる立地を選び、館内アートも大阪ゆかりのアーティストを起用することで、単なる宿泊施設ではなく「大阪という都市を体感する装置」としてホテルを位置づけているように感じられます。
また、大浴場やサウナを備えているという点も、非常に興味深い選択です。近年の若者の間でのサウナブームや、コロナ禍以降の「ウェルネス志向」の高まりを考えると、このような温浴施設の充実は大きな差別化要素になるはずです。ビジネスホテルでは部屋のユニットバスで我慢し、高級ホテルでは部屋の浴室で優雅に過ごすという二択だったところに、「みんなでワイワイ大浴場とサウナを楽しむ」という第三の選択肢を提示しているわけです。
価格帯についても、2名1室で1泊2万円前後からという設定は、若者にとって手が届く範囲でありながら、安すぎない品質を期待できる絶妙なラインだといえます。早期予約割引や連泊割引を積極的に提供することで、計画的に旅行をする若者や長期滞在者を取り込もうという意図も見えます。
一方で、このブランド戦略にはリスクもあるでしょう。既存のリーガロイヤルホテルの顧客層が持つブランドイメージとの乖離が大きすぎると、ブランド全体の一貫性が失われる可能性があります。また、若者向けのカジュアルなホテルは競合も多く、単に「安くて新しい」だけでは差別化が難しい市場です。いかにアート体験や地域文化との接続という独自の価値を、実際の滞在体験として実現できるかが成功の鍵になるでしょう。
2026年春の開業後、実際にどのような口コミや評判が集まるのか、そしてこのブランドが日本各地に展開していく可能性があるのか、トラベルジャーナリストとして非常に注目しています。もし成功すれば、他の老舗ホテルチェーンも同様の若者向けブランド展開を検討するきっかけになるかもしれませんし、逆に失敗すれば、安易な若者ターゲット戦略の限界が明らかになるでしょう。
個人的には、このホテルのコンセプトは非常に魅力的だと感じています。特に、大阪という都市の多面性—洗練された都会的な側面と、庶民的で雑多でエネルギッシュな側面—の後者を前面に押し出したホテルづくりは、大阪ならではの強みを活かした戦略だといえます。東京や京都では真似できない、大阪だからこそ成立する体験価値がそこにはあるように思います。
ただし、実際の運営において、「プレイフル」というコンセプトをどこまで徹底できるかが重要です。スタッフのサービススタイル、館内の雰囲気づくり、イベントやプログラムの充実度など、ハード面だけでなくソフト面でも大阪らしさや遊び心を感じられなければ、単なる「アートが飾ってあるビジネスホテル」で終わってしまう危険性もあります。
リーガロイヤルホテルグループという老舗ブランドが、若者文化やストリートアート、サブカルチャーといった領域にどこまで本気で向き合えるのか。従来の格式やサービス品質を保ちながら、同時にカジュアルでフレンドリーな雰囲気をどう両立させるのか。この実験的な試みがどのような結果を生むのか、2026年4月の開業が今から非常に楽しみです。
旅行者の皆さんには、開業後しばらく経って口コミや評判が集まってから予約するのも一つの手ですが、開業直後の初々しい雰囲気や、新しいホテルならではのフレッシュな体験を求めるのであれば、早めの予約もおすすめできます。特にリーガメンバーズの会員限定割引などを活用すれば、お得に滞在できる可能性が高いでしょう。大阪のディープな魅力を再発見したい方、アートやデザインに興味がある方、サウナ好きの方などには、ぜひチェックしていただきたいホテルだと、トラベルライター”TAKA”としては考えています。