ANAのフレックスとバリュー、スーパーバリューのマイル積算率の違いとは? 口コミや評判も参考にリサーチしてHOTTELの記者がわかりやすく解説

ANAフレックスとANAバリューのマイル積算率の違いトラベルライター”TAKA”です。前回は「ANAフレックス」と「ANAバリュー」のマイル積算率の違いに特化してリサーチしてみました。ANAのマイレージプログラムを最大限活用したいという旅行者の方々からは、「結局どちらの運賃でマイルがたくさん貯まるのか」という質問を数多く寄せられます。この質問にお答えするために、今回は積算率の違いを中心に、わかりやすく解説させていただきたいと思います。

マイル積算率の基本的な違いマイル積算率とは、搭乗した際に貯まるマイル数を決める「倍率」のようなものです。具体的には「区間基本マイレージ(各空港間のおよその距離)×運賃ごとの積算率」という計算式でフライトマイルが決定されると言われています。

ANAフレックスは100%の積算率を誇る一方で、ANAバリュー(VALUE 1、VALUE 3、VALUE 7)とANAスーパーバリュー(SUPER VALUE 21~75)はいずれも75%の積算率が適用されるということが最大の特徴です。つまり、同じ区間を搭乗した場合、ANAフレックスはバリュー運賃よりも25ポイント高い積算率でマイルが貯まるのです。

ANA「フレックス」と「バリュー」のマイル積算率の違い

具体例で理解するマイル積算率の違い具体的にどのくらいの差が出るのか、実際の例を挙げて説明いたします。

東京(羽田)から那覇(沖縄)への搭乗を例とした場合、この区間の区間基本マイレージは984マイルであると言われています。仮にこの区間をANAフレックスで搭乗した場合、積算されるフライトマイルは「984×100%=984マイル」となります。

同じ区間をANAバリュー3で搭乗した場合は、「984×75%=738マイル」という計算になるようです。つまり、同じ東京~那覇間の搭乗でも、フレックスとバリュー3では246マイルもの差が出てしまうのです。

別の例として、東京(羽田)から札幌(新千歳)への搭乗を考えてみましょう。この区間の区間基本マイレージは510マイルです。フレックスでの搭乗は「510×100%=510マイル」ですが、バリュー運賃では「510×75%=382.5マイル」(実際には四捨五入で383マイル)となり、127マイル程度の差が発生することになります。

このように、区間が長いほどマイル積算率の差による実際のマイル獲得数の差が大きくなるという特徴があるようです。### プレミアムクラスでのマイル積算率運賃の種類だけでなく、座席クラスの選択もマイル積算率に大きな影響を与えます。

通常、エコノミークラスの利用でマイル積算を考える方が大多数ですが、ビジネス利用や特別な旅行の際にはプレミアムクラスへのアップグレードを検討される方も多いのではないでしょうか。

プレミアムクラスの料金を支払ってアップグレードした場合、もともと購入している運賃の積算率に「一律プラス50%」が追加されると言われています。つまり、ANAフレックスで普通席を予約して、その後プレミアムクラスにアップグレードした場合は「100%+50%=150%」の積算率が適用されるのです。

同様に、ANAバリュー運賃でプレミアムクラスにアップグレードした場合は、「75%+50%=125%」の積算率になると言われています。つまり、バリュー運賃でプレミアムクラスにアップグレードした場合でも、125%の高い積算率を得ることができるのです。この仕組みを活用すれば、割安なバリュー運賃を購入してからプレミアムクラスにアップグレードすることで、運賃を抑えながらマイルも効率的に貯められるということになります。

ANA株主優待割引運賃でのマイル積算率ANA株主優待割引運賃という特殊な運賃カテゴリーも存在します。これはANAの株主向けに提供される割引運賃で、通常の割引運賃よりも異なるマイル積算率が適用されるようです。

ANA VALUE系統の株主優待割引運賃では75%の積算率が適用され、プレミアムクラスの株主優待割引運賃では125%の積算率が適用されると言われています。この点は、一般的なバリュー運賃と同じ積算率の体系になっているようです。

2026年5月19日以降の新しいマイル積算率体系重要な情報として、2026年5月19日搭乗分から、ANAのマイル積算率体系が大きく変更されることが発表されています。

現在の「150%、125%、100%、75%、50%、30%」という5の倍数の積算率体系から、「150%、130%、120%、100%、80%、70%、50%、30%」という新しい体系へと変更されるのです。

具体的には、ANAフレックスの積算率は現在の100%から変わらず100%となるようですが、ANAバリュー系統の積算率は75%から70%へと低下することが予想されています。つまり、新運賃体系になるとバリュー運賃でマイルを貯めるのはさらに効率が悪くなる可能性があるということです。

一方で、新しい運賃体系では「シンプル」という新たな運賃タイプが導入され、この「シンプル」運賃ではプレミアムクラスの場合120%、普通席の場合70%の積算率が適用されると言われています。「スタンダード」運賃ではプレミアムクラスで130%、普通席で80%となるようです。

この変更により、マイル積算率による運賃選択の重要性はさらに高まってくると予想されます。

マイル積算率だけでなく「運賃差額」も考慮すべき理由ここで重要なポイントをお伝えしておきたいのは、マイル積算率だけで運賃選択を判断してはいけないということです。

例えば、東京~札幌間で、ANA FLEXが35,000円、ANA SUPER VALUE 75が13,000円だったとしましょう。フレックスで搭乗した場合は510マイル、スーパーバリュー75で搭乗した場合は383マイルが貯まります。

一見するとフレックスの方が多くマイルが貯まるように見えますが、実際にはこの127マイルの差よりも22,000円の運賃差の方が圧倒的に大きいのです。ANAマイルの価値は1マイルあたり約3~5円相当だと言われているため、127マイルの価値は最大でも600円程度にしかなりません。つまり、マイル積算率の差による価値は、運賃差額とは比較にならないほど小さいということになるのです。

ボーナスマイルを活用した積算率アップ戦略ANA カードを保有している方であれば、フライトマイルに加えて「ボーナスマイル」が付与されるという仕組みがあります。このボーナスマイルは、カード会社によって異なる積算率が適用されるようです。

ANAカード一般では10%、ANAゴールドカードでは50%、ANA プレミアムカードでは100%のボーナスマイル積算率が適用されると言われています。つまり、羽田~那覇間のフライトをANAフレックスで搭乗し、ANA プレミアムカードを利用した場合、フライトマイル984マイルにボーナスマイル984マイルが加算され、合計1,968マイルが貯まるということになるのです。

この観点から考えると、ANAカードを所有していない場合はマイル積算率の違いが重要ですが、上位クラスのANAカードを保有している場合は、ボーナスマイルの方がはるかに大きな価値を持つことになり、結果的に運賃差による運用最適化の方が重要になってくるということになります。

マイル積算率の違いから見えるコストパフォーマンス総合的に判断すると、マイル積算率の差だけでは運賃選択の決定的な要因にはなり得ないという結論に至ります。

短期的な1回の搭乗ではマイル積算率の差は微々たるものですが、年間を通じて多くの搭乗を重ねるビジネスパーソンやマイラーにとっては、積算率の違いが大きな価値を持つようになるのです。

しかし同時に、同じ区間でも運賃差が数千円から数万円になることもあるという点を忘れてはいけません。マイル価値に換算すると、運賃差の方がはるかに大きいのです。

したがって、マイラーの皆様にとって理想的な選択は、「可能な限り安い運賃を選択しながら、その中で積算率が高い選択肢を選ぶ」というアプローチであると言えるでしょう。

東京発着の主要区間での積算マイル数比較例参考までに、東京(羽田)発着の主要区間における、フレックスとバリュー運賃での積算マイル数の差を示しておきます。

東京~札幌:フレックス510マイル vs バリュー383マイル(差127マイル)

東京~大阪:フレックス280マイル vs バリュー210マイル(差70マイル)

東京~福岡:フレックス567マイル vs バリュー425マイル(差142マイル)

東京~沖縄:フレックス984マイル vs バリュー738マイル(差246マイル)

最も差が大きいのが東京~沖縄間の246マイルですが、これにしても1マイル5円で計算すると1,230円相当にしかなりません。運賃差が1万円以上である場合、マイル積算率の差による価値は運賃差に比べ非常に小さいことが明確に理解できるのではないでしょうか。

Q&A:マイル積算率に関する よくある質問Q:マイル積算率25%の差は具体的にはどのくらいの価値があるのですか?

A:前述の通り、マイル価値は1マイルあたり約3~5円相当と言われています。つまり、フレックスとバリュー運賃の積算率25%の差による価値は、搭乗区間によって異なりますが、最大でも数百円~千円程度です。短距離区間であれば数百円、長距離の沖縄線でも2,000円に満たないでしょう。

Q:それでは、マイル積算率を気にして運賃選択をする意味はないのですか?

A:そうではありません。特に年間を通じて多くの搭乗を重ねるビジネスパーソンやマイラーにとっては、積算率の差が年間では数万マイル、数十万円規模の価値に及ぶ可能性があります。ただし、運賃差が大きい場合は、運賃を優先して選択すべきだということです。

Q:ANA カードを持っていない場合はどうすべきでしょうか?

A:カード未所有の方は、ボーナスマイルが付与されないため、マイル積算率の差がより重要になります。その場合は、積算率が高いフレックス運賃を選択することで、少しでもマイルの効率を高めることができます。ただし、それでも運賃差を考慮することは忘れてはいけません。

Q:2026年5月以降の新運賃体系でマイル積算率は大きく変わりますか?

A:はい、変わります。バリュー系統の積算率が75%から70%に低下する予定です。これにより、バリュー運賃でのマイル積算効率はさらに低下することになるでしょう。

トラベルライター”TAKA”の独自見解マイル積算率に関する深い理解は、ANAをお使いになる旅行者の皆様にとって非常に重要な知識だと私は考えています。

しかし同時に、私は「マイル積算率の差に一喜一憂してはいけない」という警告を発したいのです。なぜなら、実務的には運賃差の方がはるかに大きな価値を持つからです。

長年にわたり多くの旅行者の皆様の航空券選択をお手伝いしてきた経験から申し上げると、最適な選択は「自分の旅行頻度、マイル利用の目的、保有しているANA カードのグレード」を総合的に判断してから、運賃選択を行うことです。

年間を通じてANAを頻繁に利用し、マイル貯蓄を真剣に考えている方であれば、積算率の25%差は無視できない価値になるでしょう。一方で、年に数回程度の旅行で、特にマイル貯蓄に力を入れていない方であれば、運賃差を最優先にすべきです。

2026年5月からの新運賃体系は、マイル積算率の差がさらに拡大する傾向にあるようですので、その前に自分たちのマイル戦略を見直すタイミングが来ているのかもしれません。