UnionPayの訪日外国人専用VIPカードとはどんなサービス? HOTTELの記者がわかりやすく解説

旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。今回は、2025年11月1日より近鉄百貨店で開始される「UnionPay(ユニオンペイ)訪日外国人専用VIP(プラチナ)カード」について、その仕組みや利点、注意点などを詳しくご紹介したいと思います。訪日外国人観光客の方々にとって大変お得なこのサービスは、一体どのような特典が受けられるのでしょうか。また、実際に利用する際にはどのような点に気をつければよいのでしょうか。ネット上の情報を幅広く調査し、このVIPカードの真実に迫ってまいります。

結論:訪日外国人の富裕層向けに設計された百貨店優待カードとして大きなメリットがある

結論から申し上げますと、UnionPay訪日外国人専用VIP(プラチナ)カードは、UnionPayのダイヤモンドカードまたはプラチナカードを保有している訪日外国人の方が、近鉄百貨店で10%の割引を受けられる大変お得な優待カードと言われています。

このVIPカードの最大の魅力は、近鉄百貨店全店舗でのお買い物が10%オフになるという点にあるようです。通常、百貨店での割引といえば5%程度が一般的な中、10%という割引率は訪日外国人観光客の方々にとって非常に魅力的な特典と考えられます。

さらに注目すべき点は、このVIPカードの発行対象者が限定されているという点です。UnionPayのダイヤモンドカードまたはプラチナカード会員、つまり一定以上の富裕層の方々を対象としており、百貨店側も質の高いサービスを提供しようという姿勢が見て取れるのではないでしょうか。

UnionPay訪日外国人専用VIP(プラチナ)カードの仕組みを詳しく解説

このVIPカードの仕組みについて、できるだけ詳しくご説明させていただきます。まず、このカードは2025年11月1日から2026年12月31日までの期間限定で発行されると言われています。

発行場所と発行条件について

VIPカードの発行場所は、あべのハルカス近鉄本店の免税サロン(Foreign Customer’s Salon)で行われるようです。この免税サロンは、ウイング館3.5階に位置しており、訪日外国人旅行者向けの各種サービスを提供する拠点となっているとのことです。

発行条件としては、UnionPay(銀聯)のダイヤモンドカードまたはプラチナカードを所持していることが必須条件と言われています。具体的には、カード番号が「62」から始まるハイエンドカードが対象となるようです。

発行の際には、お持ちのUnionPayダイヤモンドカードまたはプラチナカードを提示し、所定の申込書に記入する必要があるようです。この手続きは免税サロンのスタッフが対応してくれるとのことで、英語や中国語での対応も可能と言われています。

有効期限と更新方法について

発行されたVIPカードの有効期限は、発行日から1年間となっているようです。ただし、有効期限が切れた後も、再度UnionPayダイヤモンドカードまたはプラチナカードを提示することで更新が可能と言われています。

この更新制度は、リピーターの訪日外国人観光客の方々にとって大変便利な仕組みではないでしょうか。一度VIPカードを取得すれば、次回の訪日時にも継続して特典を受けられるため、近鉄百貨店でのショッピングがより魅力的になると考えられます。

利用可能店舗について

このVIPカードは、近鉄百貨店の各店舗で利用できると言われています。具体的には、あべのハルカス近鉄本店をはじめ、上本町店、奈良店、橿原店、生駒店、和歌山店、草津店、四日市店など、近鉄百貨店グループの主要店舗で使用可能なようです。

ただし、一部の専門店ゾーンや特定のブランド、商品については割引対象外となる場合もあるようですので、実際のご利用の際には店舗スタッフに確認されることをおすすめいたします。

UnionPayダイヤモンドカード・プラチナカードとは何か

ここで、VIPカードの発行条件となっているUnionPayのダイヤモンドカードとプラチナカードについて、詳しくご説明させていただきます。

UnionPay(銀聯)カードの基本情報

UnionPay(銀聯)は、2002年に中国の中央銀行である中国人民銀行が主導して設立された、世界最大規模の決済ネットワークと言われています。その発行枚数は世界中で90億枚以上にのぼり、世界160以上の国と地域で利用可能と言われています。

日本国内でも、約60万店の加盟店と約8万台のATMで利用できるようになっており、訪日中国人観光客を中心に広く使われているとのことです。

ダイヤモンドカードとプラチナカードの特徴

UnionPayのカードランクは、一般カード、ゴールドカード、プラチナカード、そして最上位のダイヤモンドカードという階層構造になっているようです。

プラチナカードとダイヤモンドカードは、UnionPayの中でもハイエンドカードと呼ばれ、富裕層向けの特別なサービスが提供されると言われています。これらのカード保有者は世界で約3,000万人いるとされており、日本を含む世界各地で様々な優待サービスを受けられるようです。

プレミアムサービスの内容

UnionPayプラチナカード・ダイヤモンドカード会員向けには、「UnionPay(銀聯)プレミアムサービス」という特別なサービスプログラムが用意されているようです。

このプレミアムサービスには、世界的に有名なレストランでの優待、空港ラウンジの利用、コンシェルジュサービス、そして今回ご紹介している百貨店での割引特典などが含まれていると言われています。

日本国内では、ベネフィット・ワンという企業がUnionPay国際と提携し、訪日旅行時に宿泊施設や飲食店などでの優待サービスを提供しているとのことです。予約の際には多言語(中国語・韓国語・英語・日本語)対応のサポートも受けられるようです。

近鉄百貨店VIPカードのメリットを徹底分析

それでは、このVIPカードの具体的なメリットについて、詳しく見ていきたいと思います。

メリット1:10%という高い割引率

まず最大のメリットとして挙げられるのが、10%という高い割引率です。一般的に、訪日外国人向けの百貨店優待サービスは5%割引が標準的と言われています。

たとえば、高島屋では訪日外国人向けに5%割引のSHOPPING COUPONを発行していますし、三越伊勢丹グループでも同様に5%割引のクーポンを提供しているようです。阪急百貨店でも、UnionPayカード利用者向けに5%割引のキャンペーンを実施していると言われています。

このような状況の中で、近鉄百貨店のVIPカードが提供する10%割引は、他の百貨店と比較して2倍の割引率となり、大変お得な特典と考えられます。

具体的な金額で考えてみますと、例えば10万円分のお買い物をした場合、10%割引であれば1万円もの節約になります。これは訪日外国人観光客の方々にとって、非常に大きなメリットではないでしょうか。

メリット2:近鉄百貨店の充実した品揃え

近鉄百貨店、特にあべのハルカス近鉄本店は、日本最大級の売場面積10万平方メートルを誇る百貨店と言われています。西日本一の高さを誇るあべのハルカスの中に位置し、世界の一流ブランドから高品質な日本製品、話題の化粧品、日本が誇る食料品街やレストラン街など、幅広い商品が揃っているようです。

このような充実した品揃えの中で10%の割引が受けられるということは、ファッション、化粧品、雑貨、お土産品など、様々なジャンルの商品をお得に購入できるということになります。

また、近鉄百貨店は大阪の天王寺・阿倍野エリアという観光客にも便利な立地にあり、JR天王寺駅や地下鉄、近鉄南大阪線などからアクセスしやすいという利点もあるようです。

メリット3:免税サービスとの併用が可能

近鉄百貨店では、VIPカードでの10%割引とは別に、免税手続きサービスも提供されているようです。訪日外国人の方は、一定条件を満たせば消費税分の免税を受けることができると言われています。

免税サービスとVIPカードの10%割引を組み合わせることで、さらにお得にお買い物ができる可能性があると考えられます。ただし、免税とVIPカード割引の適用順序や併用の可否については、実際に免税サロンのスタッフに確認されることをおすすめいたします。

メリット4:免税サロンでの充実したサービス

VIPカードを発行する免税サロン(Foreign Customer’s Salon)では、割引特典だけでなく、様々な付加サービスが提供されていると言われています。

具体的には、免税手続き、ゲストクーポンの配布、海外配送サービス、提携ホテルへの無料配送、観光案内、自動外貨両替機、ATM(セブン銀行)の利用などが可能なようです。

また、サロンでは英語と中国語を話すスタッフが常駐しており、通訳サービスやお買い物のアテンドサービスも提供されているとのことです。これにより、言葉の心配をせずに安心してショッピングを楽しめるのではないでしょうか。

おすすめしたい方

以上のメリットから、このVIPカードは以下のような方々に特におすすめできると考えられます。

まず、UnionPayのダイヤモンドカードまたはプラチナカードを既にお持ちの訪日外国人の方で、大阪・関西エリアでのショッピングを計画されている方には最適と言えるでしょう。

また、高品質な日本製品やブランド品をまとめて購入したいとお考えの方や、お土産や化粧品などを大量に購入される予定の方にとっても、10%割引は大きな魅力となるはずです。

さらに、日本を何度も訪れるリピーターの方にもおすすめです。VIPカードは更新が可能なため、次回の訪日時にも継続して優待を受けられるという利点があります。

近鉄百貨店VIPカードのデメリットと注意点

一方で、このVIPカードにはいくつかのデメリットや注意点もあるようです。公平な視点から、これらの点についても詳しくご説明させていただきます。

デメリット1:発行条件が限定的

最も大きなデメリットとして挙げられるのが、VIPカードの発行条件が非常に限定的であるという点です。

このカードを取得するには、UnionPayのダイヤモンドカードまたはプラチナカードを保有している必要があると言われています。これらのカードは主に中国をはじめとするアジア諸国で発行されており、日本国内で発行されるUnionPayカードとは異なるレベルのものと考えられます。

日本国内で発行されるUnionPayカードは、三井住友カードや三菱UFJニコスなどのクレジットカード会社から発行されていますが、これらは一般的なランクのカードであり、プラチナやダイヤモンドというハイエンドカードではないようです。

したがって、日本在住の方や、UnionPayの一般カードしか持っていない訪日外国人の方は、このVIPカードを取得することができないということになります。これは大きな制約と言えるでしょう。

デメリット2:発行場所が限定されている

VIPカードの発行は、あべのハルカス近鉄本店の免税サロンでのみ行われるようです。つまり、近鉄百貨店の他の店舗では発行できないということになります。

大阪以外の地域、例えば奈良や和歌山、草津、四日市などの近鉄百貨店店舗を先に訪れた場合、その場でVIPカードを取得することができないようです。先にあべのハルカス近鉄本店を訪れて、免税サロンでVIPカードを発行してもらう必要があると考えられます。

これは、旅行のスケジュール上、あべのハルカス近鉄本店を訪問できない方や、大阪以外のエリアのみを観光される方にとっては不便な点と言えるでしょう。

デメリット3:配布期間と有効期限が限定的

このVIPカードの配布期間は、2025年11月1日から2026年12月31日までとなっているようです。つまり、それ以降の時期に訪日される方は、このサービスを利用できない可能性があります。

また、カードの有効期限は発行日から1年間となっているため、発行時期によっては配布期間の終了前に有効期限が切れてしまうこともあり得ます。更新は可能と言われていますが、配布期間が終了した後に更新できるのかどうかは明確ではないようです。

デメリット4:割引対象外の商品・売場が存在する

百貨店の株主優待カードなどと同様に、VIPカードでも一部の商品や売場では割引が適用されない場合があるようです。

具体的には、一部の高級ブランド(ルイ・ヴィトン、カルティエ、ブルガリ、ティファニーなど)、各種ギフト券、商品券、たばこ、コイン類、レストラン・喫茶などの飲食代、美容室・理容室、修理代などのサービス料金などが割引対象外となる可能性があると言われています。

また、テレビゲーム本体などの特定商品も対象外となる場合があるようです。これらの詳細については、実際にご利用の際に店舗スタッフに確認される必要があるでしょう。

デメリット5:他の優待制度との併用不可の可能性

近鉄百貨店の株主優待カードの規定を見ますと、「他のご優待制度およびKIPSポイントサービスとの併用はできません」という記載があるようです。

VIPカードについても同様の制限がある可能性が考えられます。つまり、他の割引クーポンやポイントサービスと重複して使用することはできない可能性があるということです。

この点も、実際のご利用前に免税サロンのスタッフに確認されることをおすすめいたします。

おすすめできない方

以上のデメリットから、以下のような方々にはこのVIPカードはあまりおすすめできないかもしれません。

まず、UnionPayのダイヤモンドカードやプラチナカードをお持ちでない方は、そもそもVIPカードを取得することができません。

また、大阪を訪問する予定がない方や、旅行日程の都合であべのハルカス近鉄本店に立ち寄ることが難しい方も、このサービスを利用することは難しいでしょう。

さらに、主に高級ブランド品やギフト券、レストランでの飲食などを目的としている方の場合、割引対象外の商品・サービスが多くなる可能性があるため、10%割引のメリットを十分に享受できない可能性があります。

UnionPayカードの日本での利用状況と今後の展望

ここで、UnionPayカード全般の日本での利用状況についても触れておきたいと思います。

日本国内での加盟店拡大

UnionPayは日本での事業を2006年に開始し、その後順調に加盟店を拡大してきたと言われています。2012年に約13万店だった加盟店数は、2014年には約37万5,000店、2016年には60万店を突破し、現在では日本全国の百貨店、専門店、商業施設、観光施設、個人商店など約60万店で使用できるようになっているとのことです。

ATMについても約8万台で利用可能となり、銀行やコンビニなどでも現金を引き出せるようになっているようです。2017年10月からは、ほとんどのATMがUnionPayのICカードに対応できるようになったと言われています。

訪日外国人観光客の増加と利用拡大

UnionPayカードの日本での利用拡大の背景には、訪日中国人観光客の増加があるようです。2000年に中国人団体観光客へのビザ発給が開始されて以降、ビザの緩和などもあって訪日中国人観光客数は増え続け、2016年には637万人に達したと言われています。

このような背景もあって、UnionPayは2016年に初めて訪日外国人観光客の利用額が最も多いカードブランドになったとのことです。日本での業務も大きく変化してきており、中国からの観光客だけでなく、香港、マカオ、韓国などからの観光客もUnionPayカードを使い始めているようです。

クレジット利用の増加

興味深い点として、日本でのUnionPayカード利用のうち、約70%がクレジットカードとしての利用となっているようです。コンビニなどでも観光客は主にクレジット機能を利用しているとのことで、日本におけるUnionPayの利用形態が変化してきていることがうかがえます。

百貨店での優待競争

近年、日本の主要百貨店では訪日外国人観光客向けの優待サービスが競争的に展開されているようです。

高島屋では、2015年11月から1回あたり100万円以上購入する訪日外国人客を対象に「TAKASHIMAYA PREMIUM SHOPPER’S CARD」というVIP会員証を発行しており、コンシェルジュサービス、通訳予約サービス、優先免税手続きサービス、5%優待サービスなどを提供していると言われています。

また、2025年9月には国内在住の外国人富裕層を対象としたVIPカードの発行も開始したようです。

阪急阪神百貨店でも、UnionPayカードでの決済で5%割引が受けられるキャンペーンを実施しており、さらに事前エントリーのうえ一定金額以上の利用で追加割引が受けられる特典も用意されているようです。

このような競争環境の中で、近鉄百貨店がUnionPayプラチナ・ダイヤモンドカード会員向けに10%という高い割引率を設定したことは、他社との差別化を図る戦略的な取り組みと考えられるのではないでしょうか。

よくある質問(Q&A)

ここで、VIPカードに関してよくあると思われる質問についてまとめてみました。

Q1:日本で発行されたUnionPayカードでもVIPカードを取得できますか?

A1:日本国内で発行されるUnionPayカード(三井住友銀聯カードやMUFG銀聯カードなど)は、一般ランクのカードであり、プラチナやダイヤモンドというハイエンドカードではないと言われています。したがって、これらのカードではVIPカードを取得できない可能性が高いと考えられます。VIPカード発行には、中国をはじめとする海外で発行されたUnionPayダイヤモンドカードまたはプラチナカード(カード番号が62から始まるもの)が必要なようです。

Q2:VIPカードの発行には手数料がかかりますか?

A2:ネット上の情報を見る限り、VIPカードの発行手数料については明記されていないようです。おそらく無料で発行されると推測されますが、念のため免税サロンで確認されることをおすすめいたします。

Q3:免税とVIPカードの10%割引は併用できますか?

A3:この点については明確な情報が見当たりませんでした。一般的に、免税サービスは消費税分の還付を受けるものであり、VIPカードの10%割引は商品価格からの割引と考えられます。したがって、理論上は併用可能と思われますが、実際の適用方法や計算順序については、免税サロンのスタッフに確認される必要があるでしょう。

Q4:近鉄百貨店の全店舗でVIPカードを使えますか?

A4:VIPカードは近鉄百貨店の各店舗で利用できると言われています。ただし、専門店ゾーンや一部の売場では使用できない場合もあるようですので、各店舗でご確認ください。

Q5:VIPカードの有効期限が切れた後はどうすればよいですか?

A5:VIPカードの有効期限は発行日から1年間ですが、UnionPayダイヤモンドカードまたはプラチナカードを再度提示することで更新が可能と言われています。更新手続きも免税サロンで行えるようです。

Q6:UnionPayカード決済時の暗証番号は何桁ですか?

A6:UnionPayカードの暗証番号は、一般的に6桁と言われています。日本で発行される三井住友銀聯カードの場合、「00+指定した4桁の暗証番号」という形式になるようです。海外で発行されたカードの場合、4桁または6桁の暗証番号設定となっているようですので、ご自身のカードの暗証番号をご確認ください。

Q7:UnionPayカードが使えない商品や売場はありますか?

A7:VIPカードの10%割引が適用されない商品や売場があるように、一部の高級ブランド、各種ギフト券、商品券、レストラン・喫茶などの飲食代、美容室・理容室、修理代などのサービス料金などは対象外となる可能性があるようです。詳細は店舗スタッフにご確認ください。

Q8:UnionPayカードで支払う際、サインは必要ですか?

A8:UnionPayカードの利用時には、暗証番号の入力とサインの両方が必要となる場合が多いと言われています。ただし、カードの種類や加盟店によって「サインのみ」「暗証番号のみ」「暗証番号とサイン両方」という3つのパターンがあるようです。コンビニやネットショップなど一部の加盟店では暗証番号の入力が不要な場合もあるとのことです。

トラベルライター”TAKA”の独自考察:訪日外国人富裕層戦略の新たな展開

最後に、このUnionPay訪日外国人専用VIP(プラチナ)カードについて、トラベルライターとしての私の考察をお伝えしたいと思います。

このVIPカードは、単なる割引サービスという枠を超えて、日本の百貨店業界における訪日外国人富裕層戦略の新たな段階を示すものではないかと感じております。

2015年頃から、日本の主要百貨店は訪日外国人観光客向けの優待サービスを競って展開してきました。当初は5%割引のクーポンが主流でしたが、近年では高島屋のように100万円以上購入する富裕層向けのVIP会員制度を導入する動きも出てきています。

近鉄百貨店のこのVIPカードは、UnionPayという世界最大規模の決済ネットワークのハイエンドカード会員という明確なターゲット層に焦点を当て、他社の標準的な5%割引の2倍となる10%という大胆な割引率を設定している点が特徴的です。

この戦略の背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、訪日中国人観光客の消費行動の成熟化が挙げられるでしょう。かつての「爆買い」と呼ばれた大量購入から、より質の高い商品やサービスを求める傾向へと変化してきていると言われています。そのような中で、UnionPayのダイヤモンドカードやプラチナカードを持つような富裕層は、まさに百貨店が求める上質な顧客層と言えるのではないでしょうか。

また、近鉄百貨店のあべのハルカス近鉄本店は、西日本最高層のビル「あべのハルカス」に位置し、日本最大級の売場面積を誇るという立地・規模の優位性があります。この優位性を活かしつつ、さらに魅力的な優待サービスを提供することで、訪日外国人富裕層の取り込みを強化しようという戦略が見て取れます。

興味深いのは、VIPカードの発行場所を免税サロンに限定している点です。これは単なる割引カードの配布ではなく、免税サロンという訪日外国人向けサービスの拠点で、対面でのコミュニケーションを通じて顧客との関係性を構築しようという意図があるように思われます。英語や中国語を話すスタッフが対応し、免税手続きや観光案内などの付加サービスも提供することで、単なる「モノの販売」から「コトの提供」へとサービスの質を高めようとしているのではないでしょうか。

さらに、VIPカードの有効期限を1年間とし、更新可能としている点も注目に値します。これは、一度訪れた顧客に再び訪日してもらい、リピーターとして定着させようという長期的な視点に立った戦略と考えられます。訪日外国人観光客、特に地理的に近いアジア諸国からの観光客は、リピート率が高いと言われています。そのようなリピーター層を確実に取り込み、近鉄百貨店の固定客として育てていこうという狙いがあるのではないでしょうか。

一方で、このVIPカードには課題もあると感じています。最も大きな課題は、発行条件が非常に限定的であるという点です。UnionPayのダイヤモンドカードやプラチナカードを保有している訪日外国人という、かなり狭い顧客層に限定されているため、実際にこのサービスの恩恵を受けられる人数は限られてしまうでしょう。

また、配布期間が2025年11月1日から2026年12月31日までという期間限定である点も気になります。この期間が終了した後、サービスが継続されるのか、あるいは条件が変更されるのかは不明です。もしこのサービスが成功し、訪日外国人富裕層の取り込みに効果があると判断されれば、恒久的な制度として定着する可能性もあるでしょう。逆に、期待した効果が得られなければ、終了または大幅な変更もあり得るかもしれません。

今後の展望として、このような訪日外国人富裕層向けのVIP制度は、他の百貨店にも広がっていく可能性があると考えています。すでに高島屋や阪急百貨店など、各社が独自の優待サービスを展開していますが、近鉄百貨店の10%割引というインパクトのある施策に対抗して、他社も更なるサービス向上を図ってくるのではないでしょうか。

その結果、訪日外国人観光客、特に富裕層にとっては、日本でのショッピングがますます魅力的になっていくと予想されます。これは日本のインバウンド観光にとっても、大きなプラスになるはずです。

ただし、このような優待競争が過熱しすぎると、百貨店側の収益性に影響が出る可能性もあります。10%という高い割引率を提供しながら、どのように利益を確保していくのかというバランスが重要になってくるでしょう。おそらく、大量購入による売上増加効果や、リピーター獲得による長期的な収益確保を見込んでいると思われますが、その効果測定と戦略の見直しは常に必要になってくると考えられます。

また、訪日外国人富裕層向けのサービス充実という方向性は歓迎すべきものですが、同時に日本人顧客や一般的な訪日観光客に対するサービスの質も維持・向上させていく必要があるでしょう。富裕層向けサービスと一般顧客向けサービスのバランスをどのように取っていくのかも、今後の課題となりそうです。

最後に、このVIPカードは、グローバル化が進む現代において、日本の小売業がどのように海外の顧客を取り込んでいくべきかという問いに対する一つの答えを示しているように思います。単に商品を並べて待つだけでなく、ターゲット顧客層を明確にし、その層に対して魅力的な価値提案を行い、長期的な関係性を構築していく──このような戦略的なアプローチが、これからの時代にはますます重要になってくるのではないでしょうか。

近鉄百貨店のUnionPay訪日外国人専用VIP(プラチナ)カードは、そのような新時代の小売戦略の先駆けとなる可能性を秘めていると、私は感じています。このサービスが今後どのように展開し、どのような成果を上げていくのか、トラベルライターとして引き続き注目していきたいと思います。

訪日外国人観光客の皆様にとって、日本でのショッピングがより楽しく、お得なものとなるよう、このような優待サービスが今後も充実していくことを期待しております。

以上、UnionPay(ユニオンペイ)訪日外国人専用VIP(プラチナ)カードについて、その仕組みからメリット・デメリット、そして今後の展望まで、できるだけ詳しく解説させていただきました。

このVIPカードは、UnionPayのダイヤモンドカードまたはプラチナカードをお持ちの訪日外国人富裕層の方々にとって、近鉄百貨店でのお買い物が10%もお得になる大変魅力的なサービスと言えるでしょう。あべのハルカス近鉄本店の免税サロンで発行手続きができ、発行から1年間有効で、更新も可能という使い勝手の良さも魅力です。

ただし、発行条件が限定的であることや、一部の商品・売場では割引が適用されない可能性があることなど、いくつかの制約もあるようですので、実際にご利用を検討される際には、これらの点も十分にご考慮いただければと思います。

日本を訪れる際には、ぜひこのような優待サービスも上手に活用して、充実したショッピング体験をお楽しみいただければ幸いです。