「シティエクスプレス by マリオット(City Express by Marriott)」が2026年にアジア太平洋地域で大阪に初進出することについてHOTTELの記者がわかりやすく解説
旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。マリオット・インターナショナルの新ブランド「City Express by Marriott(シティエクスプレス by マリオット)」が2026年にアジア太平洋地域で初めて大阪に進出するという話題について、詳しく調査いたしました。外資系ホテルチェーンのマリオットが、これまで展開してこなかった「ミッドスケール」という価格帯のホテルを日本に導入するというのは、大変注目すべきニュースと言えるでしょう。大阪に誕生する2軒のホテルの詳細から、メキシコで展開されている既存店舗の評判、予約方法、そしてこのブランドが持つメリットとデメリットまで、旅行者の視点で徹底的にリサーチし、その全貌を明らかにしていきます。
シティエクスプレス by マリオットとは何か?マリオット31番目のブランド誕生の背景
シティエクスプレス by マリオットは、マリオット・インターナショナルが2024年5月に買収を完了した、メキシコ発祥のホテルブランドと言われています。もともとは2002年にメキシコで設立された「Hotels City Express(ホテルズ・シティ・エクスプレス)」というホテルチェーンで、メキシコ75都市とコスタリカ、コロンビア、チリのラテンアメリカ3カ国で152軒ものミッドスケール価格帯のホテルを展開していたそうです。
マリオットがこのブランドを買収した理由は、同社がこれまで手薄だった「ミッドスケール」というホテル市場に本格参入するためだったと考えられます。マリオットは世界的に見てもラグジュアリーからアップスケールという高級価格帯を得意とするホテルグループでしたが、手頃な価格で質の高いサービスを求める旅行者が増えているという市場の変化に対応する必要があったのでしょう。
買収によってマリオットのポートフォリオに加わったシティエクスプレスは、マリオットにとって31番目のブランドとなり、新たに「City Express by Marriott」という名称でフランチャイズ展開されることとなりました。買収額は約1億米ドル(約150億円)で、フランチャイズ料収入は既存ポートフォリオで約1,000万米ドルを見込んでいるとのことです。
このブランドのコンセプトは、「都市部から郊外、新興エリアまで、バリュー志向のトラベラーに向けて、信頼性が高くモダンでアクセスしやすい宿泊体験を提供する」というものだそうです。品質、シンプルさ、一貫性を重視し、ビジネスやレジャーなどさまざまな目的のゲストが、快適な客室とリラックスできる空間で心身をリチャージできる滞在を提案するとされています。
2026年大阪初進出!2軒のホテルの詳細情報
マリオット・インターナショナルは2025年11月10日、パシフィカホテルズ合同会社との契約締結を発表し、既存の大阪市内2軒のホテルを「City Express by Marriott」へブランド転換することを明らかにしました。全面的なリブランドを経て、両ホテルは2026年に開業する予定だそうです。これらの開業により、シティエクスプレス by マリオットはアジア太平洋地域で初めての展開を迎えることになります。
シティエクスプレス by マリオット大阪新今宮
1軒目は「シティエクスプレス by マリオット大阪新今宮」です。このホテルは客室数100室を予定しており、西成区萩之茶屋に位置する9階建ての独立型ホテルとなるそうです。
最大の魅力は、そのアクセスの良さでしょう。JR大阪環状線、南海本線、大阪メトロの主要駅である新今宮駅に隣接しているため、大阪市内および関西圏へのスムーズなアクセスを提供すると言われています。新今宮駅は大阪の下町情緒あふれるエリアで、通天閣やジャンジャン横丁などの観光地にも徒歩圏内と言われています。
また、南海本線を利用すれば関西国際空港への直通アクセスも可能で、国内外の旅行者にとって快適な到着体験を提供するとされています。新今宮駅から難波駅まではわずか4分程度、天王寺駅へも近く、大阪の主要観光地であるあべのハルカス、天王寺、なんば、道頓堀、心斎橋、大阪ドーム、大阪城公園などへのアクセスも良好だそうです。
シティエクスプレス by マリオット大阪難波南
2軒目は「シティエクスプレス by マリオット大阪難波南」です。こちらは客室数143室、14階建ての独立型ホテルとして計画されており、西成区花園北に位置するそうです。
大阪メトロ四つ橋線の花園町駅に隣接し、国道26号沿いに立地するほか、周辺は低層の商業・住宅街に囲まれており、地下鉄や車での市内中心部へのアクセスにも便利とされています。このホテルも活気ある商業・住宅・ビジネスエリア内に位置し、あべのハルカス、天王寺、なんば、道頓堀、心斎橋といった大阪の主要観光地へのアクセスが良好だそうです。
両ホテルとも、大阪の観光市場がこれまでにない規模で成長するなか、マリオットの広範な流通網とロイヤリティプラットフォームであるMarriott Bonvoyを活用することで、旅行者にサービスを提供するとともに、投資家にとっても大きな価値をもたらす存在となることが期待されているようです。
メキシコでの評判は?既存店舗の口コミから見えてくる真実
シティエクスプレス by マリオットは、メキシコおよびラテンアメリカで約150軒を展開しており、それなりの実績があるブランドと言えます。では、実際に利用した旅行者からの評判はどうなのでしょうか。海外の宿泊予約サイトの口コミを調査してみました。
良い点・メリット
多くの口コミで共通して評価されているのは、まず清潔さです。「部屋は清潔で大きくて快適でした」「清潔、整頓されていて快適」といった声が多く見られました。ミッドスケールホテルにとって清潔さは最も重要な要素のひとつですから、この点は高く評価できるでしょう。
次に立地の良さも評価されているようです。シティエクスプレスは都市部や空港近くに展開しているケースが多く、「ホテルはショッピングモールに隣接しており、非常に便利」「空港から近く、無料シャトルがある」といった声がありました。ビジネス出張や観光の拠点として使いやすい立地が選ばれているようです。
スタッフの対応についても「スタッフはフレンドリーでベッドも快適で、良いホテルでした」「The service was perfect.」といった好意的なコメントが見られました。接客の質は旅の満足度を大きく左右しますから、これも重要なポイントと言えます。
さらに朝食無料というサービスも大きなメリットのようです。メキシコのシティエクスプレスでは無料のコンチネンタルブレックファストが提供されており、「朝食は基本的なものでしたが、それでも十分でした」という声や、「朝食不錯」といった評価がありました。朝食が無料で付いてくるというのは、特にビジネス旅行者にとっては大きな利点と言えるでしょう。
コストパフォーマンスの良さも評価されているようです。「リーズナブルな価格で、旅行のニーズにぴったりでした」という声や、「値段に対して良い」といったコメントがありました。必要最小限の機能に絞り込むことで価格を抑えつつ、清潔で快適な滞在を提供するというコンセプトが実現されているようです。
悪い点・デメリット
一方で、いくつかの欠点や不満の声も見られました。まず朝食の質や種類が限られているという指摘があります。「朝食はオプションで、非常にシンプルなビュッフェ式の食事です。パン、目玉焼き、フルーツ。そうなるともう食べるものは何もない」という厳しい評価もありました。無料で提供されるとはいえ、選択肢が少ないと感じる方もいるようです。
また客室の狭さを指摘する声もありました。「部屋は比較的狭く、中国のHanting Rujiaと同じです」というコメントがあり、ミッドスケールホテルならではの空間の制約があるようです。広々とした部屋を求める方には物足りなく感じるかもしれません。
言語対応についても課題があるようです。「フロントデスクはまったく英語を話せません」という声があり、メキシコの一部店舗では英語でのコミュニケーションが難しいケースもあるようです。ただし、大阪で開業するホテルでは日本のスタッフが配置されるでしょうから、この点は日本国内では問題にならないかもしれません。
予約内容と実際の部屋が異なるというトラブルも報告されていました。「ダブルベット2つの部屋を予約したが、用意された部屋はダブルベット1つにソファベッド1つで、スタッフに言ったがアップグレードだと言われた」「アメニティも1セットしか置いてなかった」という不満の声がありました。予約時の内容と実際のサービスが一致しないというのは、旅行者にとって大きなストレスとなります。
設備面では窓が開かない全封閉タイプの部屋があるという指摘もありました。換気ができないというのは、快適性の面で課題があると言えるでしょう。
マリオットボンヴォイの特典は?ポイントや会員ランクについて
シティエクスプレス by マリオットは、マリオット・インターナショナルのグローバル旅行プログラム「Marriott Bonvoy(マリオット・ボンヴォイ)」に参加しているとされています。これは大きなメリットのひとつと言えます。
Marriott Bonvoyは、世界144の国や地域で約9,500軒に及ぶマリオット系列のホテルで多彩な特典を享受できる無料のロイヤリティプログラムです。会員は宿泊やお部屋付けのお食事、アクティビティ等でMarriott Bonvoyポイントを獲得でき、貯まったポイントは宿泊やお買い物に利用可能だそうです。また、ポイントはJALマイレージバンク、ANAマイレージクラブなど、38社の航空マイルに移行することもできるそうです。
ただし、シティエクスプレス by マリオットは「ミッドスケール」というカテゴリーに位置するため、従来のマリオット系列ホテルとは会員特典の内容が異なる可能性があるようです。特に注意すべき点は以下の通りです。
まずプラチナエリート以上の会員でも、朝食特典が提供されるかは不明という点です。マリオットの規約によれば、シティエクスプレスブランドでは「City Centro」というサブブランドのみがプラチナエリート会員に朝食を提供するとされており、それ以外のシティエクスプレスでは朝食特典がない可能性があります。ただし、メキシコの既存店舗では一般客にも無料朝食を提供しているケースが多いため、大阪の店舗でも何らかの朝食サービスが提供される可能性はあるでしょう。
次に客室のアップグレードやクラブラウンジアクセスといったエリート特典が制限される可能性があります。ミッドスケールブランドでは、客室数や施設の制約から、従来のマリオット系列ホテルで提供されていたような充実したエリート特典を省くことで、より多くの旅行者が利用しやすい価格帯を実現しているとされています。
またポイント獲得率やエリートナイトクレジットの計算方法が異なる可能性もあります。一部のミッドスケールブランドでは、1米ドルごとに5ポイント、2連泊ごとに1エリートナイトクレジットという独自のルールが適用されているそうです。
このように、シティエクスプレス by マリオットはMarriott Bonvoyに参加しているものの、従来のマリオット系列ホテルとは特典内容が異なる可能性があるため、予約時にはしっかりと確認することをおすすめします。
予約方法は?料金の目安と最安値で泊まる方法
シティエクスプレス by マリオット大阪の2軒は2026年開業予定のため、まだ予約を受け付けていないと思われます。開業が近づいたら、以下の方法で予約が可能になるでしょう。
予約方法
最もおすすめなのはマリオット公式サイトまたはマリオット公式アプリからの予約です。マリオットボンヴォイの会員特典やエリートステータス特典は、基本的に公式サイトまたは公式アプリからの予約が対象となるからです。会員向け割引料金での宿泊予約、客室内Wi-Fi無料、モバイルチェックイン、宿泊ポイントの獲得といったメリットを享受できます。
予約の手順は以下の通りです。Marriott.jpで「検索&ご予約」を選択し、「目的地」の欄に「大阪」などと入力します。「日程」でご希望の旅行日程を選択し、「客室数&人数」で必要な客室数と正確な宿泊者数を選択します。その後、ホテルを検索して、ご希望のホテルの「料金を表示」をクリックし、料金を選択してから「料金の詳細」をクリックして、ご利用条件リストを確認します。
また、2024年からは楽天トラベル経由の宿泊予約でもMarriott Bonvoyのエリートステータス特典が適用されるようになったそうです。ただし、これには楽天トラベルとマリオットのアカウントを事前に連携する必要があるとのことです。楽天ポイントも貯めたいという方には便利な選択肢と言えるでしょう。
その他、一休やExpedia、Hotels.comといったOTA(オンライン旅行代理店)からも予約が可能になると思われますが、マリオットボンヴォイの特典が制限される可能性があるため、特典を重視する方は公式サイトからの予約をおすすめします。
料金の目安
シティエクスプレス by マリオットは「ミッドスケール」というカテゴリーに位置するため、料金は比較的リーズナブルな価格帯になると予想されます。ミッドスケールホテルは一般的に、正規料金の最多価格帯が9,000円以上15,000円未満とされています。
メキシコの既存店舗では、1泊あたりの料金が13,000円から18,000円程度の価格帯で提供されているようです。大阪での料金はまだ発表されていませんが、同じマリオット系列のミッドスケールブランドである「フォーポイント フレックス by シェラトン」が1泊1万円台からと報道されていることから、シティエクスプレス by マリオットも同程度の価格帯になる可能性が高いでしょう。
ただし、2025年から2026年にかけて大阪では大阪・関西万博の影響でホテル料金が高騰しており、ビジネスホテル平均単価は前年比1.5倍、一部の日は3倍近くまで跳ね上がっているという報道もあります。また、大阪府では2026年に客室単価10万円以上の高級ホテルが958室不足するという試算もあり、宿泊需要が供給を大きく上回る状況が予想されます。
このため、シティエクスプレス by マリオットのような手頃な価格帯のホテルは、万博期間中には通常よりも高い料金設定になる可能性があります。早めの予約や平日の利用、万博会期外の宿泊などを検討することで、お得に宿泊できるかもしれません。
おすすめしたい方・おすすめできない方
ここまでの情報を総合すると、シティエクスプレス by マリオットがどのような旅行者に向いているのか、また向いていないのかが見えてきます。
おすすめしたい方(利点)
まずコストパフォーマンスを重視する旅行者にはおすすめです。ミッドスケールホテルというカテゴリーは、必要最小限の機能に絞り込むことで価格を抑えつつ、清潔で快適な滞在を提供するというコンセプトを持っています。豪華な施設やサービスよりも、清潔な客室と便利な立地、そして手頃な価格を求める方にはぴったりでしょう。
次にビジネス旅行者にもおすすめです。シティエクスプレス by マリオットは都市部の主要駅に近い立地を選んでおり、新今宮駅や花園町駅に隣接しているため、大阪市内や関西圏へのアクセスが非常に便利です。また、無料Wi-Fiやワークスペースなどビジネスに必要な設備が整っているとされています。出張で大阪を訪れる方にとって、効率的で快適な滞在ができる拠点となるでしょう。
観光旅行者にもおすすめです。両ホテルとも、大阪の主要観光地であるあべのハルカス、天王寺、なんば、道頓堀、心斎橋、大阪城公園などへのアクセスが良好とされています。特に新今宮駅は通天閣やジャンジャン横丁といった大阪らしい下町情緒を感じられるエリアに近いため、ディープな大阪を体験したい方には魅力的な立地と言えるでしょう。
またマリオットボンヴォイの会員にもおすすめです。シティエクスプレス by マリオットはMarriott Bonvoyプログラムに参加しているため、宿泊でポイントを獲得したり、貯まったポイントを利用したりすることができます。特典内容は従来のマリオット系列ホテルと異なる可能性がありますが、ポイントを効率的に貯めたい方や、マリオット系列ホテルでの滞在を好む方には良い選択肢となるでしょう。
空港アクセスを重視する方にもおすすめです。新今宮駅から南海本線を利用すれば、関西国際空港への直通アクセスが可能とされています。国際線を利用する旅行者にとって、空港への移動がスムーズなのは大きな利点と言えます。
おすすめできない方(欠点)
一方で、豪華な設備やサービスを求める方にはおすすめできません。シティエクスプレス by マリオットはミッドスケールホテルであり、ラグジュアリーホテルのような充実したアメニティ、レストラン、スパ、プール、クラブラウンジといった施設は期待できないでしょう。特別な記念日や贅沢な滞在を求める方には物足りなく感じるかもしれません。
広々とした客室を求める方にもおすすめできません。ミッドスケールホテルの客室面積は一般的に10〜15平方メートル程度とされており、コンパクトな設計となっています。メキシコの既存店舗でも「部屋は比較的狭い」という口コミがありました。ゆったりとした空間でくつろぎたい方には向いていないでしょう。
多様な朝食メニューを求める方にもおすすめできません。メキシコの既存店舗では無料朝食が提供されているものの、「非常にシンプルなビュッフェ式」という評価があり、選択肢が限られているようです。豪華な朝食ビュッフェを楽しみたい方には期待外れとなる可能性があります。
またマリオットボンヴォイのエリート特典を最大限活用したい方にもおすすめできない可能性があります。シティエクスプレス by マリオットでは、客室のアップグレードやクラブラウンジアクセスといった従来のエリート特典が制限される可能性があります。プラチナエリートやチタンエリートといった上級会員資格を持ち、その特典を存分に享受したい方には物足りなく感じるかもしれません。
新今宮エリアの雰囲気が苦手な方にもおすすめできません。新今宮駅周辺の西成区は、大阪のディープなエリアとして知られており、独特の雰囲気があります。観光地としての魅力もある一方で、初めて訪れる方には少し戸惑うかもしれません。清潔で整備された観光エリアを好む方には、難波南の立地の方が適しているかもしれません。
Q&A:よくある質問にお答えします
Q1. シティエクスプレス by マリオットと、フォーポイント フレックス by シェラトンは何が違うのですか?
A. どちらもマリオット・インターナショナルが展開するミッドスケールブランドで、手頃な価格帯と機能的な客室が特徴です。しかし、シティエクスプレスはメキシコ発祥でラテンアメリカでの実績があるのに対し、フォーポイント フレックスは2024年に誕生した比較的新しいブランドで、日本国内に特化した展開をしているという違いがあるようです。料金帯やサービス内容については両ブランドとも似通っているため、立地や開業時期で選ぶのが良いでしょう。
Q2. 大阪で開業する2軒のホテルは、どちらを選ぶべきですか?
A. 目的によって選ぶのが良いでしょう。新今宮のホテルは、通天閣やジャンジャン横丁といった大阪らしい下町情緒を楽しみたい方、関西国際空港へのアクセスを重視する方におすすめです。一方、難波南のホテルは、なんばや心斎橋といった繁華街に近く、ショッピングや食事を楽しみたい方に向いていると言えるでしょう。どちらも大阪の主要観光地へのアクセスは良好とされていますので、ご自身の旅行プランに合わせて選んでください。
Q3. 2026年の大阪・関西万博の期間中でも予約できますか?
A. 予約は可能だと思われますが、万博期間中は大阪全体でホテル需要が非常に高まることが予想されており、料金も高騰する可能性が高いです。早めの予約をおすすめします。また、万博の影響で大阪府では高級ホテルが958室不足するという試算もあり、ミッドスケールホテルにも需要が集中する可能性があります。
Q4. マリオットボンヴォイの会員でなくても宿泊できますか?
A. はい、もちろん宿泊できます。マリオットボンヴォイは無料で登録できるプログラムですから、宿泊を機に会員登録することもできますし、会員にならずに一般の宿泊客として利用することも可能でしょう。ただし、会員登録すればポイントが貯まり、将来的に無料宿泊などの特典を受けられるため、マリオット系列ホテルを今後も利用する予定があるなら会員登録をおすすめします。
Q5. 日本語でのサポートは受けられますか?
A. 大阪で開業するホテルですから、日本語でのサポートは問題なく受けられると考えられます。メキシコの既存店舗では英語対応に課題があるという口コミもありましたが、日本国内のホテルでは日本人スタッフが配置されるでしょうから、言語面での心配は不要だと思われます。
トラベルライターTAKAの考察:シティエクスプレス by マリオットが日本の旅行市場にもたらす意味
ここまでシティエクスプレス by マリオットについて詳しく見てきましたが、このブランドの大阪進出は、日本の旅行・宿泊市場にとって非常に重要な出来事だと私は考えています。
まず、外資系ホテルチェーンの巨人であるマリオットが、これまで手薄だったミッドスケール市場に本格参入するという点が注目に値します。日本では長年、ビジネスホテルという独自の宿泊スタイルが発展してきましたが、近年はインバウンド需要の急増により、国際的なブランド力と手頃な価格を兼ね備えた宿泊施設への需要が高まっているのです。
特に大阪は、2025年の大阪・関西万博を控えて世界中から観光客が押し寄せることが確実視されており、宿泊施設の不足が深刻な課題となっています。高級ホテルだけでなく、ミッドスケール価格帯のホテルも大量に必要とされている状況下で、シティエクスプレス by マリオットのような国際ブランドが参入することは、旅行者にとって大きなメリットをもたらすでしょう。
また、マリオットボンヴォイという世界的なロイヤリティプログラムに参加しているという点も重要です。従来の日本のビジネスホテルは、個別のポイントプログラムを持っていても、グローバルな連携が弱いという課題がありました。シティエクスプレス by マリオットなら、世界中のマリオット系列ホテルと共通のポイントシステムを利用でき、国内外を問わず効率的にポイントを貯めたり使ったりすることができます。これは、頻繁に旅行をする方や、マイルを貯めている方にとって非常に魅力的でしょう。
一方で、私が懸念しているのは、ミッドスケールブランドとしての「割り切った」サービス設計が、日本の旅行者に受け入れられるかという点です。日本の宿泊施設、特にビジネスホテルは、低価格であっても清潔さ、アメニティの充実、きめ細やかなサービスという「過剰品質」とも言える高い水準を保ってきました。シティエクスプレス by マリオットのように、機能を絞り込んで価格を抑えるというアプローチは、欧米やラテンアメリカでは一般的かもしれませんが、日本の旅行者が同じように満足するかは未知数です。
メキシコの既存店舗での口コミを見ると、清潔さや立地、コストパフォーマンスは評価されている一方で、朝食の選択肢が少ない、客室が狭い、予約内容と実際のサービスが異なるといった不満も見られました。日本で開業するホテルがこうした課題をどのように克服するのか、あるいは日本市場向けにどのようなカスタマイズを行うのかが、成功の鍵を握るでしょう。
また、立地の選択も興味深いポイントです。新今宮駅周辺の西成区は、大阪のディープなエリアとして知られており、観光地としての魅力がある一方で、初めて訪れる旅行者には少し敷居が高いかもしれません。しかし、近年は新今宮エリアを「ワンダーランド」として再発見し、魅力を発信する取り組みも進んでおり、今後さらに注目されるエリアになる可能性があります。シティエクスプレス by マリオットの進出は、このエリアの活性化にも貢献するかもしれません。
パシフィカホテルズ合同会社とABキャピタルという投資家の存在も見逃せません。パシフィカ・キャピタルは、これまでにもモクシー東京錦糸町、フェアフィールド・バイ・マリオット大阪難波、ホリデイ・イン&スイーツ新大阪など、多くのマリオット系列ホテルの開発に携わってきた実績があります。また、ABキャピタルは香港の投資会社で、新型コロナウイルス禍の中小日本のホテルへの投資で急成長しているそうです。こうした経験豊富なパートナーとの協業によって、シティエクスプレス by マリオットが日本市場で成功する可能性は高いと言えるでしょう。
最後に、シティエクスプレス by マリオットの大阪進出は、日本の旅行市場における「ミッドスケール革命」の始まりかもしれません。これまで日本では、ラグジュアリーホテルとビジネスホテルという両極端な選択肢が主流でしたが、その中間に位置する「アッパーミッドスケール」や「ミッドスケール」というカテゴリーが今後急速に成長していくと予想されます。旅行者のニーズが多様化する現代において、「適度な快適さと利便性を、手頃な価格で」という新しい価値提案は、確実に支持を集めるでしょう。
シティエクスプレス by マリオットが日本でどのような展開を見せるのか、そして日本の旅行者にどのように受け入れられるのか、2026年の開業が今から楽しみです。大阪を訪れる際には、ぜひこの新しいブランドのホテルに宿泊して、その実力を確かめてみたいと思います。










