2025年12月下旬にオープン予定の「Quiet TOKYO 柿の木坂『凪 – NAGI -」とは?メリットやデメリットなどHOTTELの記者がわかりやすく解説

旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。今回は、2025年12月下旬にオープン予定と言われている、東京・柿の木坂に誕生する一棟貸し都市型ラグジュアリー別邸「Quiet TOKYO 柿の木坂『凪 – NAGI -』」について詳しく調べてみました。都心でありながら誰にも見つからない隠れ家のような、完全プライベートな空間を提供するという、これまでにない新しいコンセプトの宿泊施設のようです。

結論:都心に誕生する完全プライベート別邸という新カテゴリー

Quiet TOKYO「柿の木坂 凪」は、株式会社UBIQSと株式会社WALLMATE不動産が共同開発する、一棟まるごと貸し切り型の都市型ラグジュアリー別邸と言われています。ホテルでも民泊でも別荘でもない、まったく新しい「都市の別邸」という選択肢を提供する施設のようです。

この施設の最大の特徴は、都心でありながら完全なプライベート空間を確保している点にあると考えられます。最上階にはサウナ、水風呂、屋外ジャグジーを備えたスパフロアがまるごとプライベート空間として用意されているとのことです。ホテルのように他の宿泊客と共有することなく、自分たちだけの贅沢な「整い体験」ができる設計のようです。

場所は東京都目黒区の柿の木坂エリアで、最寄り駅は東急東横線の都立大学駅と言われています。都立大学駅から渋谷へは約10分、恵比寿・品川へも最短20分程度でアクセスできる便利な立地でありながら、都心でも指折りの閑静な住宅街に位置しているようです。碑文谷公園や駒沢公園の豊かな緑に囲まれた、静と利便性が調和したエリアと紹介されています。

建物は3階建ての一棟貸し構造で、1階から3階まで各階にベッドルームが一室ずつ配置されているとのことです。1階にはシングルベッド2台、2階にはキングサイズベッド、3階にはクイーンサイズベッドが設置され、階層ごとに音や気配が分離される設計となっているようです。都市では珍しい完全分離型の滞在動線が、より豊かで深い休息へと導くコンセプトのようです。

2階は居住フロアとして、組子細工のレリーフ、白亜のアイランドキッチン、バイオエタノール暖炉が光と影のコントラストを生み出す設計と紹介されています。洞窟のような安心感のある天井高と奥行きを持ち、自然と心身がほどけていくような静かな安らぎを生む空間を目指しているようです。

そして最大の魅力とされるのが、最上階まるごとがプライベートスパフロアになっている点のようです。サウナ、水風呂、屋外ジャグジーが滑らかにつながる設計により、外へ出ることなく心身を切り替えられる上質なプライベート空間と説明されています。都市の静寂だけを聞きながら夜景に浸る、隠れ家ならではの贅沢な整い体験ができるとのことです。

なぜこのような施設が誕生したのか

この施設が誕生した背景には、近年の宿泊ニーズの変化があるようです。富裕層やインバウンド層を中心に、宿泊のニーズが「観光」から「都市の暮らし体験」へと変化していると言われています。ラグジュアリーホテルの開業が相次ぐ東京では、完全プライベート性が差別化の鍵になっているとのことです。

一方で、民泊市場は利用意向が高いにもかかわらず、供給不足や品質のばらつきが課題となっていると指摘されています。Quiet TOKYOは、この変化に応える「ホテルにも別荘にも民泊にも属さない都市の別邸」という新しい選択肢として設計されたようです。ホテルよりも隠れ家らしく、別荘よりもアクセスが良く、民泊よりもラグジュアリーである都会の隠れ家というコンセプトのようです。

運営する株式会社UBIQSは、2018年6月15日に施行された旅館業法改正に対して、業界最短で「第一号」の無人ホテル営業許可を取得した実績を持つ企業のようです。無人ホテルや民泊の企画設計から運営、清掃まで一気通貫で手掛けている点が強みと言われています。都内23区を中心に全国で宿泊施設を運営しており、IOTを駆使した無人チェックインシステムを活用した運営が特徴のようです。

共同開発パートナーのWALLMATE不動産は、都市型不動産に精通した企業で、柿の木坂エリアでの物件開発実績があるようです。都市で最も合理的かつ贅沢な別邸を実現するため、不動産のプロとホテル運営のプロが手を組んだ形のようです。

予約方法と料金について

現時点では、Quiet TOKYO「柿の木坂 凪」は2025年12月10日に完成内覧会が開催される予定で、実際のオープンは12月下旬になると考えられます。公式サイト(https://nagi.quiet-tokyo.com/)が開設されているようですが、具体的な予約方法や料金については、まだ一般公開されていない可能性があります。

内覧会は完全予約制で実施されるとのことで、メディア関係者向けに施設の全貌が公開される予定のようです。1階から3階のフルツアーや、スパ・ジャグジー・サウナ・キッチンの体験ができる内容と紹介されています。

一般的に、UBIQSが運営する同様のコンセプト型宿泊施設では、富裕層やインバウンド層をターゲットとした高単価設定が行われているようです。例えば神楽坂で運営しているピアノが弾けるホテルでは、近隣相場が17,000円前後のところ、ADR(平均宿泊単価)25,000円超での運営に成功していると報告されています。柿の木坂の施設も、完全プライベートなスパフロアや組子細工のインテリアなど、体験価値を重視した高付加価値型の料金設定になると推測されます。

予約は公式サイトまたは自社予約システムを通じて行われる可能性が高いようです。UBIQSは、OTA(オンライン旅行代理店)依存からの脱却による利益率向上を目指しており、自社予約システムでの直接予約を推奨していると言われています。

支払い方法について

具体的な支払い方法の詳細は現時点では公表されていないようですが、UBIQSが運営する他の宿泊施設では、クレジットカード決済や事前オンライン決済が一般的と考えられます。無人ホテル運営のパイオニアとして、スマートロックやQRコード解錠などのIOT技術を活用した非接触・非対面での利用が可能な仕組みを構築していると言われています。

チェックイン時の現金支払いではなく、予約時のクレジットカード決済が主流になると推測されます。これは無人運営の特性上、人的コストを削減しつつ、ゲストの利便性を高める狙いがあるようです。

メリットとおすすめポイント

Quiet TOKYO「柿の木坂 凪」の最大のメリットは、都心でありながら完全プライベートな非日常体験ができる点と言えるでしょう。以下、この施設の利点を詳しく見ていきます。

完全プライベートなスパ体験という利点

最上階フロアまるごとがプライベートスパになっている点は、他のホテルや宿泊施設では味わえない贅沢と言えます。サウナ、水風呂、屋外ジャグジーを誰にも邪魔されることなく利用できるのは、サウナ愛好家にとって夢のような環境のようです。一般的なホテルのスパ施設は時間制限や他の宿泊客との共有が前提ですが、ここでは時間を気にすることなく、自分のペースで整い体験ができると考えられます。

立地の良さというメリット

都立大学駅から徒歩圏内という立地は、都心へのアクセスと静寂な環境を両立している点で優れていると言えます。渋谷まで約10分、東京メトロ副都心線やみなとみらい線との直通運転により、池袋や横浜へも20~30分程度でアクセスできるのは大きな利点です。ビジネスでの利用はもちろん、観光の拠点としても便利な立地のようです。

同時に、柿の木坂は閑静な住宅街として知られ、碑文谷公園や駒沢公園などの緑豊かな環境に囲まれているとのことです。都心の喧騒から離れ、静かな環境でリラックスできる点は、日常から離れた特別な滞在を求める方にとって魅力的と考えられます。

建築デザインと設備のこだわりがおすすめ

組子細工のレリーフや白亜のアイランドキッチン、バイオエタノール暖炉など、日本の伝統美とモダンデザインが融合した空間設計は、宿泊体験の質を高める要素と言えます。希少な都市空間を最高品質の宿泊体験へと変えるための共同設計力が発揮されているようです。

各階に独立したベッドルームがあり、階層ごとに音や気配が分離される設計は、グループ旅行や家族旅行でも各自のプライバシーを保ちながら過ごせる利点があります。1階、2階、3階でそれぞれ異なるサイズのベッドが用意されているため、人数や関係性に応じて最適な部屋割りができるようです。

一棟貸しならではの自由度

ホテルとは異なり、一棟をまるごと貸し切るスタイルのため、時間に縛られることなく自由に過ごせる点もメリットです。キッチンが完備されているため、外食だけでなく自炊も可能と考えられます。長期滞在や特別な記念日など、自分たちのペースで過ごしたい方にとって理想的な環境と言えるでしょう。

無人運営による利便性

UBIQSの無人ホテル運営ノウハウを活かし、非接触・非対面でのチェックインが可能と推測されます。QRコード解錠やスマートロックを活用することで、到着時間を気にせず、自分のタイミングでチェックインできる柔軟性があると考えられます。人との接触を最小限にしたい方や、深夜早朝の到着でも対応可能な点は大きな利点です。

デメリットと注意点

一方で、Quiet TOKYO「柿の木坂 凪」にはいくつかの欠点や注意すべき点もあると考えられます。

高額な料金設定という欠点

完全プライベート別邸というコンセプトと、充実した設備を考慮すると、宿泊料金は一般的なホテルと比較してかなり高額になる可能性があります。UBIQSが運営する他のコンセプト型施設では、ADR25,000円超という高単価設定が報告されており、柿の木坂の施設も同様か、それ以上の料金設定になると推測されます。一棟貸しのため、少人数での利用では一人あたりのコストがさらに高くなる可能性があり、予算を重視する方にはおすすめしない選択肢かもしれません。

駅からのアクセスというデメリット

都立大学駅が最寄り駅とされていますが、駅から施設までの正確な距離や徒歩時間については明確な情報が見つかりませんでした。柿の木坂エリアは閑静な住宅街であるため、駅から離れている可能性があり、大きな荷物を持っての移動には不便を感じるかもしれません。タクシーの利用や車でのアクセスが現実的な選択肢になると考えられます。

無人運営による対応の限界

無人ホテルという運営形態は利便性がある反面、対面でのサービスを受けられないという欠点もあります。トラブルが発生した際の即座の対応や、細やかなおもてなしを期待する方には物足りなく感じる可能性があります。設備の使い方がわからない、予期せぬ問題が発生したなどの場合、リモート対応が中心になると推測され、即座の解決が難しい場合もあると考えられます。

予約の取りにくさ

一棟貸しで一日一組限定という性質上、人気が高まれば予約が取りにくくなる可能性があります。特に週末や連休、特別な時期には早めの予約が必須になると考えられ、直前の予約は難しいかもしれません。計画的な旅行スケジュールが求められる点は、柔軟性を求める方にはデメリットとなるでしょう。

周辺環境の限定性

閑静な住宅街という立地は静けさを求める方には利点ですが、徒歩圏内に飲食店や商業施設が少ない可能性があります。目黒区の柿の木坂エリアは住宅地が中心で、都立大学駅周辺まで移動しないと選択肢が限られるかもしれません。外食中心の滞在を希望する方や、買い物の利便性を重視する方には、やや不便に感じる可能性があります。

グループ人数の制限

ベッドルームが3室で、それぞれにキングサイズ、クイーンサイズ、シングル2台という構成から、快適に宿泊できる人数には限界があると考えられます。最大で6名程度が現実的な収容人数と推測され、それ以上の大人数での利用には適さない可能性があります。大規模なグループ旅行や団体利用を検討している方にはおすすめしない選択肢と言えるでしょう。

おすすめしたい方

Quiet TOKYO「柿の木坂 凪」は、以下のような方におすすめできる宿泊施設と考えられます。

プライベート重視の富裕層の方には、完全プライベート空間での贅沢な滞在が楽しめる理想的な選択肢です。他の宿泊客と一切接触することなく、自分たちだけの時間を過ごしたい方にとって、この施設のコンセプトは完璧にマッチすると言えます。

サウナ愛好家の方にとって、最上階まるごとのプライベートスパは夢のような環境でしょう。一般的なサウナ施設では他の利用者との時間調整が必要ですが、ここでは自分のペースで何度でもサウナ、水風呂、外気浴のサイクルを楽しめると考えられます。

記念日や特別な日を過ごしたいカップルには、非日常的なラグジュアリー体験ができるロマンティックな空間と言えます。プロポーズや結婚記念日、誕生日など、人生の特別な瞬間を演出するのに相応しい設備とプライバシーが確保されているようです。

少人数のグループ旅行で、各自のプライバシーを保ちながら一緒に過ごしたい方にも適しています。3つの独立したベッドルームがあるため、友人同士や家族での利用でも、それぞれの時間と共有の時間をバランスよく持てると考えられます。

海外からのインバウンド富裕層にとって、日本の伝統美とモダンデザインが融合した空間は、特別な東京体験を提供してくれるでしょう。都心へのアクセスの良さと、静寂な住宅街という日本らしい環境の両方を味わえる点が魅力的と言えます。

ビジネス利用でリラックスしたい経営者層には、仕事と休息を高いレベルで両立できる環境が整っていると考えられます。キッチン付きの長期滞在も可能な設計のため、東京での拠点として利用する価値があるでしょう。

おすすめできない方

一方で、以下のような方にはあまりおすすめできない宿泊施設かもしれません。

予算を重視する方コストパフォーマンスを最優先する旅行者には、高額な料金設定がネックになると考えられます。一般的なビジネスホテルやカプセルホテルと比較すると、数倍から数十倍の宿泊費になる可能性があり、経済的な負担が大きいと言えます。

対面でのおもてなしを期待する方には、無人運営という形態が物足りなく感じられるかもしれません。高級ホテルのようなコンシェルジュサービスや、細やかな気配りを求める方には、デジタル化された運営スタイルは満足度が低くなる可能性があります。

大人数での利用を考えている方には、収容人数の制約があるため適さないでしょう。7名以上のグループでは、全員が快適に宿泊できるスペースが確保できない可能性が高いと考えられます。

直前予約や柔軟なスケジュールを好む方には、一棟貸しという性質上、予約の取りにくさがデメリットとなるかもしれません。思い立った時にすぐ泊まれる気軽さは期待できず、事前の計画が必要になると推測されます。

駅近の利便性を最優先する方徒歩での移動を重視する方には、住宅街という立地がやや不便に感じられる可能性があります。飲食店やコンビニへのアクセスに時間がかかる場合、日常的な買い物や外食に不便を感じるかもしれません。

Q&A:よくある疑問にお答えします

Q1: Quiet TOKYO「柿の木坂 凪」の正式なオープン日はいつですか?

A: 2025年12月10日に完成内覧会が開催される予定で、一般向けのオープンは12月下旬になると考えられます。正確なオープン日については、公式サイトや内覧会での発表を待つ必要があるようです。

Q2: 何名まで宿泊できますか?

A: ベッドルームが3室あり、1階にシングルベッド2台、2階にキングサイズベッド、3階にクイーンサイズベッドが配置されているとのことです。快適に宿泊できるのは4~6名程度と推測されますが、正式な最大収容人数は公式発表を確認する必要があります。

Q3: ペットと一緒に宿泊できますか?

A: ペット同伴の可否については、現時点では情報が見つかりませんでした。一棟貸しという性質上、可能性はあると考えられますが、事前に運営会社に確認することをおすすめします。

Q4: チェックイン・チェックアウトの時間は?

A: 無人ホテル運営のUBIQSが管理しているため、比較的柔軟な対応が期待できますが、具体的な時間については公式発表を待つ必要があります。一般的な無人ホテルでは、15時チェックイン、11時チェックアウトが標準的のようです。

Q5: 駐車場はありますか?

A: 駐車場の有無については明確な情報がありませんでした。閑静な住宅街という立地を考えると、専用駐車場が用意されている可能性もありますが、事前確認が必要でしょう。近隣のコインパーキング利用という選択肢もあると考えられます。

Q6: 長期滞在は可能ですか?

A: キッチン設備が完備されており、UBIQSは長期滞在にも対応した運営を行っているようです。料金体系や最低宿泊日数については、公式サイトでの確認が必要ですが、一週間以上の滞在も可能性があると推測されます。

Q7: アメニティは何が用意されていますか?

A: 具体的なアメニティリストは公表されていませんが、ラグジュアリー別邸というコンセプトから、基本的なバスアメニティ、タオル類、キッチン用品などは充実していると考えられます。ただし、無人運営の性質上、必要なものは事前に確認するか、持参する方が安心かもしれません。

Q8: 食事の提供はありますか?

A: 一棟貸しという形態と、アイランドキッチンが完備されている点から、食事の提供はなく、自炊または外食が基本になると推測されます。キッチン設備を活用して、自分たちで料理を楽しむスタイルのようです。

Q9: キャンセルポリシーはどうなっていますか?

A: キャンセルポリシーについては、予約時に確認する必要があります。一般的に高級宿泊施設では、直前のキャンセルには高額なキャンセル料が発生することが多いため、予約前に十分確認することをおすすめします。

Q10: 周辺におすすめの観光スポットはありますか?

A: 柿の木坂エリアは碑文谷公園や駒沢公園などの緑豊かな環境に囲まれており、散策に適しているようです。また、都立大学駅から渋谷まで約10分という立地のため、都心の主要観光スポットへのアクセスも便利と言えます。自由が丘や中目黒なども近く、おしゃれなカフェやショップ巡りも楽しめるでしょう。

トラベルライター”TAKA”の独自考察と意見

ここからは、私トラベルライター”TAKA”の独自の視点で、Quiet TOKYO「柿の木坂 凪」について深く考察してみたいと思います。

この施設が誕生する背景には、コロナ禍を経て大きく変化した旅行者の価値観があると私は考えています。パンデミック以降、人々は「他者との距離」や「プライベート空間の重要性」をこれまで以上に意識するようになりました。同時に、単なる観光ではなく、「その土地での暮らし体験」や「自分だけの特別な時間」を求める傾向が強まっているように感じます。

Quiet TOKYO「柿の木坂 凪」は、まさにこうした新しい旅行ニーズに応える施設と言えるでしょう。ホテルでも民泊でもない「都市の別邸」という新カテゴリーの創出は、宿泊業界における大きな挑戦であり、今後のトレンドを示唆するものかもしれません。

特に注目すべきは、最上階まるごとをプライベートスパにするという大胆な設計思想です。一般的なホテルでは、収益性を考えればスパフロアを複数のゲストでシェアする形にするのが常識でしょう。しかし、この施設はあえてそれをせず、「完全プライベート」という体験価値を最優先しています。これは、高単価でも確実に支払う富裕層をターゲットにした、明確な戦略と言えます。

サウナブームが続く日本において、「自分だけのサウナ」は究極の贅沢です。公衆サウナでは他人の目や時間を気にしながらの入浴になりますが、ここでは何も気にせず、好きなだけ何度でもサウナと水風呂を繰り返すことができます。屋外ジャグジーで夜景を眺めながら外気浴を楽しむという体験は、都心ではほとんど実現不可能な贅沢でしょう。

また、組子細工のレリーフやバイオエタノール暖炉といった、日本の伝統美とモダンデザインの融合も見逃せません。海外からのインバウンド富裕層にとって、「本物の日本らしさ」と「現代的な快適さ」が両立した空間は、他では得られない特別な体験価値を提供するはずです。京都の高級旅館のような「和」ではなく、東京という都市ならではの「モダンジャパニーズ」を表現しようとする試みは、非常に戦略的だと感じます。

立地選定も巧妙です。渋谷や恵比寿といった都心の繁華街からわずか10~20分という利便性を保ちながら、あえて柿の木坂という閑静な住宅街を選んだ理由は、「隠れ家」というコンセプトを体現するためでしょう。本当の富裕層は、必ずしも一等地や目立つ場所を好むわけではありません。むしろ、「知る人ぞ知る」「見つけにくい場所にある特別な空間」に価値を見出す傾向があります。柿の木坂という選択は、そうした層の心理を深く理解した上での戦略的判断と考えられます。

無人運営というスタイルについても、賛否両論あるかもしれませんが、私はこれも戦略的な選択だと考えています。確かに、高級ホテルのような細やかな対面サービスは提供されません。しかし、本当のプライバシーを求める層にとって、スタッフの存在そのものが邪魔になることもあります。誰にも見られず、誰とも話さず、完全に自分たちだけの時間を過ごしたい—そうしたニーズに応えるには、無人運営が最適なのかもしれません。

また、無人運営により人件費を大幅に削減できるため、その分を設備投資や空間デザインに回すことができます。結果として、同じ料金帯の有人ホテルよりも質の高い設備や空間を提供できる可能性があります。これは、サービスの質を「人的サービス」ではなく「空間と設備の質」で測る、新しい価値基準の提案とも言えるでしょう。

一方で、この施設が成功するかどうかは、いくつかの課題をクリアできるかにかかっていると感じます。まず、高額な料金設定に見合った満足度を提供できるかという点です。富裕層は確かにお金を持っていますが、それ以上に「価値」に対してシビアです。期待値を上回る体験を提供できなければ、リピーターは獲得できません。

特に、無人運営の場合、トラブル対応やゲストの細かな要望への対応が課題になります。設備の不具合、使い方がわからない、予期せぬ問題が発生した—そうした時に、リモートでどこまで迅速かつ適切に対応できるかが、満足度を左右するでしょう。UBIQSは無人ホテル運営のパイオニアとして豊富な経験を持っているようですが、ラグジュアリー層を相手にする場合、一般的な民泊とは求められる対応レベルが全く異なるはずです。

また、周辺環境の整備も重要です。閑静な住宅街という立地は魅力ですが、徒歩圏内に高級レストランや質の高いカフェ、スーパーマーケットなどがなければ、長期滞在の利便性は下がります。キッチン付きとはいえ、毎日自炊するわけにもいかないでしょう。周辺の飲食店や商業施設との連携、あるいはデリバリーサービスの充実など、滞在をサポートする仕組みが必要になると考えます。

さらに、一棟貸しという性質上、稼働率の管理が難しい面もあります。ホテルであれば、複数の部屋のうちいくつかが空室でも他の部屋で収益を上げられますが、一棟貸しは空室の日は収益ゼロです。高単価設定により低稼働率でも収益を確保する戦略のようですが、オフシーズンや平日の需要をどう喚起するかが経営の鍵になるでしょう。

私が個人的に最も興味深いと感じるのは、この施設が「都市型リトリート」という新しいコンセプトを提示している点です。従来、リトリート(心身を休める静養)は、都会から離れた自然豊かな場所で行うものと考えられてきました。温泉地や海辺のリゾート、山間部の隠れ宿—そうした場所こそが、日常から離れて自分を取り戻す場所とされてきました。

しかし、現代の忙しいビジネスパーソンや富裕層にとって、遠方まで移動する時間的余裕がないケースも多いでしょう。週末の1泊2日で、できれば金曜の夜にチェックインして日曜の午前中にはチェックアウトしたい—そうしたニーズに、都心から20分の柿の木坂は完璧に応えます。

都心にいながら、完全にプライベートな空間で、サウナで整い、静寂に包まれながら深い休息を得る—これは、「短時間で効率的にリフレッシュする」という現代的なニーズに合致した、新しいリトリートの形と言えるのではないでしょうか。

また、この施設は「体験」を売ることに徹している点も見逃せません。単に寝泊まりする場所ではなく、「ここでしかできない特別な時間」を提供しようとしています。最上階のプライベートスパ、組子細工のアート、洞窟のような安らぎの空間—これらはすべて、「体験価値」を高めるための要素です。

モノよりコト、所有より体験—そうした価値観の変化が進む現代において、宿泊施設もまた「ベッドと風呂があれば十分」ではなく、「ここでしか得られない体験」を提供することが求められています。Quiet TOKYO「柿の木坂 凪」は、その先駆的な試みと言えるでしょう。

私が懸念するのは、こうした高級志向の施設が増えることで、一般の旅行者との格差が広がる可能性です。確かに富裕層向けのサービスは重要ですが、旅の喜びは本来、誰もが平等に享受できるべきものです。高級化と民主化のバランスをどう取っていくかは、宿泊業界全体の課題と言えるかもしれません。

とはいえ、こうした高付加価値型の施設が成功することで、宿泊業界全体の収益性が向上し、従業員の待遇改善やサービスの質向上につながる可能性もあります。UBIQSが目指しているという「ビジネスパーソンとしてスピード感のある成長ができる環境」や「長く働ける業界」の実現は、業界全体にとってプラスになるはずです。

最後に、私がこの施設に期待するのは、「都市の新しい可能性」を示してくれることです。東京は世界有数の大都市ですが、常に喧騒と混雑のイメージがつきまといます。しかし、柿の木坂のような閑静なエリアで、完全にプライベートな贅沢な時間を過ごせる—そうした「静かな東京」の魅力を再発見させてくれる施設になるのではないでしょうか。

都市には都市の、自然には自然の、それぞれの魅力があります。Quiet TOKYO「柿の木坂 凪」は、都市でありながら都市の喧騒から離れた、新しい東京の楽しみ方を提案してくれる存在になると、私は期待しています。

ラグジュアリーな空間で、誰にも邪魔されず、自分たちだけの特別な時間を過ごす—そんな贅沢が、これからの東京旅行の新しいスタンダードになる日も近いかもしれません。2025年12月の正式オープンが、今から非常に楽しみです。

ぜひ、興味のある方は公式サイトや内覧会の情報をチェックして、この新しいコンセプトの宿泊施設を体験してみてください。きっと、これまでにない特別な東京滞在が待っているはずです。