平野屋/昭和7年創業の老舗旅館のサウナが、世界三大デザイン賞「iF Design Award 2024」受賞

設計は、地元蒲郡市出身の若手建築士、伊藤隆一氏。

半分人工、半分自然の借景をみながら、心と体をととのえる空間
洞窟サウナ水風呂エリア 

平野屋は1932年に創業し、愛知県蒲郡市の三谷温泉で料理旅館から事業を開始して以来、90年以上にわたり宿泊業を営んできた。

高台から眼下に広がる風光明媚な三河湾の風景、地産地消のお食事、天然温泉を使ったお風呂といった環境リソースを活かし、従業員のおもてなしの心を不易流行の精神としての運営を行い、競争激しい観光温泉宿泊業の中において、紆余曲折を経ながら、三谷温泉有数の施設として、老舗旅館の看板を守ってきた。

そんな中で、2020年にコロナが流行しインバウンドの見通しが立たなくなり、且つ宿泊客のニーズが多様化する中で、「温泉」と「食事」だけでは、大きな差別化を図ることが難しいと考え、旅館の経営資源の最適化を図るべきと判断し、当社の強みを生かして、伸長が大きく期待される日帰りサウナ事業に取り組むため、大規模な設備投資を行った。

そして今回のサウナの設計を依頼したのは、当時34歳で同じく蒲郡出身の伊藤隆一氏。以前から旅館の修繕でアドバイスをもらうような関係であったが、大きな設備投資の設計を依頼するのは初めてだった。蒲郡出身だからこそわかる、昔からなじみの風景、音、匂いなどを表現できるような空間を作ってほしいと依頼した。

完成した平野屋サウナは、「日本空間デザイン賞2023 入賞」

「DFA Design for Asia Awards 2023 Merit Award 受賞」と数々の賞を受賞し、

この度「iF Design Award 2024」の受賞となった

【建築コンセプト】

1932年に創業した旅館平野屋。およそ90年の歴史をもつ旅館である。
その長い年月は、当時の新築の姿とは違った、別の景色を生み出した。
擁壁や外壁に少しずつ苔が侵食し、 半分自然、半分人工のような景色である。
高度経済成長期を経験した日本は令和に変わり、かつての工業製品や人工物への憧れとは少しずつ変化し、
自然の癒しへの憧れがより強くなっている。
人々はサウナ体験を通して『ととのう』という行為に新たな価値を生み出している。
それは、自分の内部を意識する特別な時間である。
自分を見つめなおす時間を包み込む建築は、
あえて建築という主張を示さず静寂で情報の少ない空間設計を心掛けている。
空間を構成する素材はシンプルで、一つ一つが静かに存在する。
部屋から見える自然と、 滞在者が主役の空間である。
自然の風景が滞在者を慰めるかのように、風景をより際立たせる穏やかな空間構成を心掛けることで
季節や天候など周囲の変化に染まる『ととのい』空間が生まれる。
晴れの日には、 室内に光が注ぎ、 曇りの日には優しく照らす。
雨の日には苔を伝い、 岩から流れ出る音が美しく反響する。
そういった当たり前で、特別な景色が人々の内部を刺激する

株式会社平野屋 

公式HP:https://www.hotel-hiranoya.co.jp

電話:0533-68-5161

住所:愛知県蒲郡市三谷町南山1番地21

設計会社

itoto architect 

https://www.itotoarchitects.com

電話:0533-95-0409

住所:愛知県蒲郡市中央本町4番地26

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