志摩スペイン村は”ガラガラ”とネットで頻繁に検索されている理由はなぜ? HOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説
結論:「ガラガラ」は過去の話、現在は状況が激変している
検索で「志摩スペイン村 ガラガラ」と表示される主な理由は、長年にわたって来場者数の低迷が続いていた過去の実情がネット上に定着していたためのようです。しかし実際のところ、近年は人気VTuberとのコラボやポケモンとの企画で入場者数が急激に増加し、「ガラガラ」どころか待ち時間が東京ディズニーリゾート並みになることもあるなど、劇的な変化を遂げているのが現状のようです。
「ガラガラ」と言われていた時代の背景
長期間の集客不振の実態
志摩スペイン村は1994年の開園初年度こそ約426万人という目標を大幅に上回る来場者を記録したものの、その後は来場者数が徐々に低迷し、2019年度には約119万人まで減少していたようです。特に新型コロナウイルスの影響を受けた2020年度には74万5千人まで落ち込んだとのことです。
この集客不振の状況を物語る実体験として、「駐車場にクルマを駐めて入園したが、その間誰にも会わなかった」という口コミが残されているほど、一時期は極端に来園者が少ない状況が続いていたようです。園内でのアトラクションの待ち時間がほぼゼロという状況も日常的だったと言われています。
自虐的なPR戦略の展開
志摩スペイン村運営側は、この集客不振を逆手に取った大胆な自虐的PRを展開していました。具体的には以下のようなキャッチコピーでプロモーションを行っていたようです。
- 「待ち時間ほぼゼロ!アトラクションを好きな時間に好きなだけ乗り回せる!」
- 「1日何回乗れるか耐久レース!?」
- 「人が少ないから人の映り込みナシ!photo&movie撮り放題!」
- 「混雑していないからこそ2000%遊びたい放題」
このような攻めたPR戦略は2019年に大きな話題となり、SNSでバズったことで全国的な注目を集めるきっかけとなったとのことです。
復活のターニングポイント:VTuberコラボの大成功
周央サンゴとの運命的な出会い
志摩スペイン村の劇的な変化のきっかけとなったのは、人気VTuber周央サンゴとのコラボレーションのようです。2021年12月に周央サンゴがプライベートで志摩スペイン村を訪れ、その魅力について45分間にわたって熱く語った配信が大きな反響を呼んだと言われています。
2022年5月に投稿された切り抜き動画が拡散されると、翌日には志摩スペイン村の公式サイトにアクセスが急増し、Twitterのフォロワー数も1.5万人から5万人に急増したとのことです。この反響を受けて、同年8月にはサンゴが実際に志摩スペイン村を巡る動画が配信され、100万回再生を超える大ヒットとなったようです。
正式コラボイベントの大成功
2023年2月から4月にかけて開催された正式なコラボイベントでは、期間中の来場者数が前年比約1.9倍の23万6千人を記録したとのことです。特にチュロスの売上は33倍にも跳ね上がったと報告されています。
このコラボの成功により、それまで主だった小さな子ども連れのファミリー層から、学生を中心とした若者層に客層が拡大したようです。また「推し活」文化の広がりも相まって、一人で来場してグッズだけを購入する客も増加したと言われています。
ポケモンコラボでさらなる盛況
スペインとの地理的つながりを活用
2024年6月から9月まで開催された「ポケモン課外授業 in 志摩スペイン村」も大きな話題となったようです。これは「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」の舞台であるパルデア地方がスペインをモデルにしていることから実現した企画とのことです。
期間中は園内に80種類以上のポケモンが隠され、コラボメニューも多数登場するなど、大規模な企画となったとされています。このイベント期間中も多くの来場者で賑わい、宿泊施設の予約も埋まるほどの人気ぶりだったようです。
現在の混雑状況:「ガラガラ」からの大転換
待ち時間の劇的な変化
現在の志摩スペイン村では、かつての「待ち時間ゼロ」という状況は完全に変わったようです。特にゴールデンウィークやコラボイベント期間中には、人気アトラクションで60分から110分の待ち時間が発生することもあると報告されています。
SNS上では「待ち時間、ディズニーシーのセンター・オブ・ジ・アース(65分待ち)より志摩スペイン村のスプラッシュマウンテン(70分待ち)の方が長い」といった驚きの声も上がっているとのことです。
平日と繁忙期の差
ただし、すべての日が混雑しているわけではなく、平日は比較的空いており、アトラクションの待ち時間が10〜15分程度で済むことも多いようです。特に火曜日から木曜日は修学旅行などの団体も少なく、おすすめの来園日とされています。
「ガラガラ」と言われる理由の詳細分析
立地とアクセスの課題
志摩スペイン村が「ガラガラ」と言われてきた根本的な原因として、立地とアクセスの問題が指摘されています。大阪や名古屋からの距離が遠く、最寄りの近鉄鵜方駅からもバスで13分かかるという交通の便の悪さが集客の大きな障害となっていたようです。
具体的なアクセス時間として、大阪難波駅から約2時間30分、名古屋駅から約2時間5分という時間を要し、さらにバス料金や駐車料金も必要になることが来園のハードルを上げていたとのことです。
競合施設との比較での不利
関西圏の人々がテーマパークを選ぶ際、東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンに流れてしまうという構造的な問題もあったようです。知名度や話題性の面で大型テーマパークに及ばず、宣伝力の弱さも集客低迷の要因として挙げられています。
設備投資の制約
経営状況の厳しさから大型アトラクションへの投資が困難で、他の人気テーマパークのような最新技術を活用したアトラクションの導入が進まなかったことも、魅力度の向上を阻む要因となっていたようです。
現在の良い点(メリット・おすすめポイント)
質の高いエンターテイメント
志摩スペイン村の最大の利点として、本場スペインから来たパフォーマーによる本格的なフラメンコショーの質の高さが多くの来園者から絶賛されているようです。このフラメンコショーは有料(500円)ですが、「これを見るためだけに来ても良いくらい素晴らしい」という評価を受けています。
また、キャラクターミュージカルやパレードも小規模ながら温かみがあり、アットホームな雰囲気が好評とのことです。
充実したグルメとスペインの雰囲気
園内のレストランでは本格的なスペイン料理が楽しめ、特に伊勢海老パエリアなどの料理の質が「テーマパークとは思えないクオリティ」と評価されているようです。スペインの街並みを再現した建物や町並みも「異国情緒あふれる」雰囲気で、写真撮影スポットとしても人気があるとのことです。
子連れファミリーに優しい環境
現在でも平日などは比較的混雑が少なく、小さな子ども連れのファミリーには非常に利用しやすい環境が保たれているようです。身長制限のないアトラクションが多数あり、抱っこでも乗れるアトラクションもあるなど、幼児連れにも配慮されているとのことです。
悪い点(デメリット・おすすめしない理由)
アトラクション数の限界
最大のデメリットとして、アトラクション数が他の大型テーマパークと比較して少ないことが挙げられています。特に絶叫系や最新技術を使った体験型アトラクションを期待する来園者には物足りなさを感じさせる可能性があるようです。
建物の老朽化
30年以上の歴史を持つ施設であることから、一部の建物や設備に時代を感じさせる部分があり、「もう少しリニューアルされていれば」という声も聞かれるようです。
交通費とのコストバランス
遠方からのアクセスには相当な時間と交通費がかかるため、パスポート料金以外の出費も含めて考えると、コストパフォーマンスに疑問を感じる来園者もいるとのことです。
おすすめしたい方・おすすめできない方
おすすめしたい方
志摩スペイン村は以下のような方に特におすすめのようです。
- 小さな子ども連れのファミリー:混雑が少なく、子どもが楽しめるアトラクションが豊富
- スペイン文化や異国情緒を楽しみたい方:本格的なフラメンコショーやスペイン料理を堪能できる
- 写真撮影が好きな方:人の映り込みを気にせず、美しい街並みで撮影を楽しめる
- ゆったりとした時間を過ごしたい方:時間に追われることなく、のんびりと過ごせる
おすすめできない方
一方で、以下のような方にはあまりおすすめできないようです。
- 最新の絶叫アトラクションを求める方:大型テーマパークのようなスリル満点のアトラクションは限定的
- 一日中アクティブに過ごしたい方:アトラクション数が限られているため、長時間の滞在には向かない可能性
- 交通費を抑えたい遠方の方:アクセスにかかる時間と費用が大きな負担となる
運営継続の背景:なぜ潰れないのか
近鉄グループの支援体制
志摩スペイン村が長期間の集客低迷にも関わらず運営を続けられている理由として、近鉄グループという大手企業の支援があることが大きいようです。近鉄レジャーサービス株式会社の完全子会社として運営されており、安定した経営基盤を持っているとのことです。
地域観光への貢献
伊勢志摩地域における重要な観光拠点として、地域全体の集客に貢献していることも運営継続の理由の一つとされています。2019年の三重県の報告書では、志摩スペイン村への来場者数は伊勢神宮に次ぐ規模となっており、地域経済への影響は決して小さくないようです。
経営状況の改善
近年のコラボイベントの成功により、2023年度の入場者数は約116万6千人を記録し、テーマパーク部門では全国第3位の規模を維持しているとのことです。2024年度も1月末時点で約124万人が来場し、前年度を7万人余り上回るペースで推移していることから、経営状況は確実に改善傾向にあるようです。
トラベルライター”TAKA”としての総合評価と今後の展望
志摩スペイン村の「ガラガラ」という評判は、確かに過去の一時期には実情を反映していたものの、現在では大きく状況が変化していることが明らかになりました。特に2022年以降のVTuberコラボやポケモンとの企画は、従来のテーマパーク運営の常識を覆すような成功を収めており、地方テーマパークの新しい可能性を示したと言えるでしょう。
何より注目すべきは、志摩スペイン村が持つ本質的な魅力が再発見されたことのようです。本格的なスペイン文化の体験、質の高いエンターテイメント、充実したグルメなど、大型テーマパークにはない独自の価値を提供し続けてきたことが、今回の復活劇の基盤となったと考えられます。
現在の志摩スペイン村は、もはや「ガラガラ」ではなく、むしろ「隠れた名園」として再評価されるべき施設のようです。ただし、平日の空いている時期を狙えば、まだまだゆったりとした時間を過ごすことができるという、従来の良さも残されているのが魅力的です。
旅行初心者の方には、伊勢志摩観光の一環として組み込むことをおすすめします。伊勢神宮参拝と合わせて2日間の行程で計画すれば、日本の伝統文化とスペイン文化の両方を体験できる、他では味わえない贅沢な旅になるのではないでしょうか。
今後も志摩スペイン村は、その独自性を活かしながら新しいコラボレーションや企画で話題を提供し続けることでしょう。「ガラガラ」という過去のイメージを完全に払拭し、新時代のテーマパークとして更なる発展を遂げることを期待しています。