2025年の大阪万博について「日本館 つまらない」とネットでよく検索されている理由はなぜ? HOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説
旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめわかりやすく解説します。
今回は、インターネットで「大阪万博 日本館」と検索すると関連キーワードに「つまらない」と表示される現象について、その理由や原因を徹底的にリサーチしました。2025年4月に開催が始まった大阪・関西万博の目玉の一つである日本館ですが、ネット上では賛否両論の評価が混在しているようです。開催国である日本が威信をかけて建設したパビリオンがなぜ「つまらない」と評価されることがあるのか、その真実に迫っていきたいと思います。
結論:音声ガイド未使用が最大の原因
まず結論から申し上げますと、日本館が「つまらない」と評価される最大の原因は、来館者の大半が必須レベルの音声ガイドを使用していないことにあるようです。日本館は展示の解説の大部分をスマートフォンの音声ガイドで聞くシステムを採用しており、音声ガイドなしでは展示内容が理解できず、「難しい」「何が言いたいのかわからない」という印象を与えてしまうと言われています。
実際に、音声ガイドを使用した来館者からは「神パビリオン」という絶賛の声も上がっており、同じパビリオンでも体験方法によって評価が180度変わる稀有な例となっているのが現状のようです。
「つまらない」と評価される具体的な理由
1. 抽象的すぎるテーマ設定の課題
日本館のテーマは「いのちと、いのちの、あいだに」という非常に抽象的なコンセプトで設定されています。これは循環型社会における様々な要素の相互関係を表現したものだと思われますが、来館者にとっては理解が困難な内容となっているようです。
特に、ごみ処理や微生物による分解、藻類の活用といった技術的な内容を、哲学的なテーマと結びつけて表現しようとした結果、メッセージが曖昧になってしまった可能性があります。ある来館者は「ゴミ処理工場見学で終わってしまって、感動がなかった」と述べており、技術展示としては優秀でも、万博パビリオンとしてのエンターテインメント性に欠けている面があるのかもしれません。
2. 音声ガイド前提の展示システムの問題
最も大きな問題として挙げられるのが、音声ガイドを前提とした展示設計です。日本館では入館時にQRコードを読み取って音声ガイドを使用するよう案内がありますが、来館者の約8割がこの案内を無視してしまうと言われています。
その結果、スタッフや文章による解説が少ない展示を見ても「???」となってしまい、「難しい」「つまらない」という感想に直結してしまうようです。これは展示設計上の根本的な問題と言えるでしょう。万博のような国際的なイベントでは、言語の壁や技術への習熟度の違いを考慮し、より直感的に理解できる展示手法が求められるのではないでしょうか。
3. 展示要素の唐突感と統一性の欠如
多くの来館者が指摘しているのが、展示要素間の統一感の欠如です。特に「藻を纏ったキティちゃん」と「火星の石(月の石)」の組み合わせが唐突に感じられるという声が多数上がっています。
32種類の藻類に扮したハローキティの展示は日本らしさを演出する意図があったと考えられますが、循環型社会というテーマとの関連性が明確でないため、来館者には「なぜここにキティちゃんが?」という疑問を抱かせてしまっているようです。
さらに、NASA提供の火星の石の展示も「唐突に案内されて見てはいおわり!」という感想があり、展示全体のストーリー性や一貫性に課題があることが伺えます。
4. 満足度ランキングでの低い順位
客観的な評価指標として、『大阪・関西万博ぴあ 完全攻略編』による満足度ランキングでは、日本館は84館中29位という微妙な順位に留まっています。これは開催国のパビリオンとしては期待値に対して物足りない結果と言えるでしょう。
この順位は、前述した音声ガイド未使用による理解不足や、展示内容の抽象性、テーマの伝わりにくさが総合的に影響している結果と考えられます。
一方で評価される良い点とメリット
1. 音声ガイド使用時の圧倒的な満足度
日本館の最大のメリットは、適切に音声ガイドを使用した場合の満足度の高さです。実際に音声ガイドを活用した来館者からは「神パビリオン」という絶賛の評価が寄せられており、同じ展示でも体験方法によって全く異なる印象を与えることがわかります。
音声ガイドはGoogle検索からも事前にアクセス可能で、事前予習や来館後の復習にも活用でき、テキスト表示機能もあるため、イヤホンがない方や聴覚に配慮が必要な方でも安心して利用できる点は評価できます。
2. 展示ボリュームの豊富さと技術力の高さ
日本館は他のパビリオンと比較して圧倒的に展示の量が多く、技術的な完成度も高いと評価されています。3つのエリア(Plant、Farm、Factory)で構成された展示は、循環型社会の概念を実際に稼働する技術で体験できる貴重な機会を提供しています。
特に、万博会場で実際に発生したごみを微生物が分解し、電気や純水に変える様子を見ることができる展示は、他では体験できない貴重な学習機会となっているようです。
3. 希少な火星の石展示の価値
NASA提供の世界最大級の火星の石(月の石)を直接触ることができる体験は、日本館の大きな魅力の一つです。「本物の月の石に触れた!」という体験は一生の思い出になり、証明書ももらえるため記念価値も高いと言われています。
このような希少な展示物に触れる機会は他のパビリオンでは得られない、日本館ならではの特別な価値と言えるでしょう。
4. 建築デザインの優秀性
日本館の建築デザインは、円を描くように立ち並ぶ無数の木の板で構成されており、リユースを前提とした解体しやすい構造となっています。これは循環型社会というテーマを建物自体で表現した優れたデザインとして評価されています。
建物の隙間から内部を垣間見ることができる構造は、「あいだ」というテーマを視覚的に表現する工夫として高く評価できる点です。
悪い点とデメリット
1. 予約の取りにくさという最大の欠点
日本館の最大のデメリットは、予約の極端な取りにくさです。事前抽選は「全然当たらない」状況で、当日予約も「クソゲー」と表現されるほど困難な状況が続いているようです。
この予約システムの問題により、せっかく万博に来場してもお目当ての日本館に入れない来場者が多数発生しており、万博全体の満足度を下げる要因となっている可能性があります。
2. 展示内容の理解に必要な事前知識の多さ
日本館を十分に楽しむためには、循環型社会、微生物技術、藻類の種類や特性など、相当な事前知識が必要となることがデメリットとして挙げられます。
実際に、事前にガイドブックで予習してから訪問した来館者は高い満足度を得ている一方で、予備知識なしで訪問した来館者からは理解困難という声が多く寄せられています。万博パビリオンとしては、より直感的に楽しめる展示設計が求められるところです。
3. 子ども向けの配慮不足
家族連れでの来場者からは、展示内容が大人向けすぎて子どもには理解が困難という声も上がっています。特に暗闇での光の演出は「小さい子は少し怖いかも」という指摘があり、ファミリー層への配慮が不十分な面があるようです。
万博は幅広い年齢層が楽しめることが重要ですが、日本館については特に子ども向けのエンターテインメント要素が不足している可能性があります。
おすすめしたい方・おすすめできない方
おすすめしたい方
日本館を強くおすすめしたいのは、以下のような方々です。
環境問題や循環型社会に興味がある方:展示内容の核心部分に共感し、深い学びを得られる可能性が高いと考えられます。
技術系の知識を持つ方:微生物技術や資源循環システムについての専門的な展示を十分に理解し、楽しむことができるでしょう。
事前準備を厭わない方:音声ガイドの使用や事前学習を積極的に行える方は、他では得られない充実した体験を得られると思われます。
教育的価値を重視する方:単純な娯楽よりも、学習機会や知的刺激を求める方には非常に価値の高いパビリオンと言えるでしょう。
おすすめできない方
一方で、以下のような方にはおすすめできない面があります。
短時間でエンターテインメントを求める方:音声ガイドを含めた所要時間は約1時間と長く、即座に楽しめる娯楽性は低いかもしれません。
幼い子ども連れの家族:展示内容の抽象性と専門性から、子どもが十分に楽しめない可能性が高いと考えられます。
語学に不安がある外国人観光客:音声ガイドへの依存度が高いため、言語の壁により十分な体験ができない欠点があります。
予習や準備を避けたい方:直感的な楽しさよりも事前知識が重要なため、気軽に楽しみたい方には向かない面があります。
独自考察:「つまらない」評価の本質的な問題
トラベルライターとしての長年の経験から、日本館の「つまらない」という評価について独自の考察を述べさせていただきたいと思います。
この問題の根本は、万博パビリオンに求められる「体験価値」と「教育価値」のバランスの取り方にあると考えています。日本館は確かに優秀な教育施設として機能しており、循環型社会という重要なテーマを深く学べる貴重な機会を提供しています。しかし、万博というエンターテインメント色の強いイベントにおいては、まず来場者の興味を引きつけ、楽しみながら学べる「エデュテインメント」の要素が不可欠です。
音声ガイドシステムの問題は、実は現代のデジタルデバイド(情報格差)問題を象徴している事例とも言えるでしょう。QRコードの読み取りやアプリの操作に慣れ親しんだ層と、そうでない層の間に生まれる体験格差は、今後のイベント設計において重要な課題となっています。
さらに、国際的なイベントである万博において、日本文化の真の魅力をどう伝えるかという点でも課題があります。藻キティちゃんという試みは日本らしさを表現する意図があったと思われますが、循環型社会というテーマとの関連性が薄く、結果として「とってつけたような」印象を与えてしまった可能性があります。
本来であれば、日本の伝統的な「もったいない」精神や、江戸時代から続く循環型社会の智恵といった、日本固有の文化的背景と現代技術を結びつけた展示にすることで、より深い感動と理解を生み出せたのではないでしょうか。
また、展示設計における「ストーリーテリング」の重要性も改めて感じさせられます。技術的には優秀でボリュームも十分な日本館ですが、来場者が感情的に没入できるストーリー性や、展示要素間の有機的な繋がりが不足していることが、「つまらない」という評価に繋がっている可能性があります。
しかし同時に、音声ガイドを使用した来場者からの絶賛の声も多いことから、日本館は決して失敗作ではないと考えています。むしろ、従来の万博パビリオンとは異なる新しいアプローチを試みた意欲的な取り組みとして評価すべき面も多々あります。
今後の課題としては、このような高度な内容を持つパビリオンを、どのようにして幅広い来場者層に楽しんでもらえるかという展示手法の革新が必要でしょう。VR技術やAI技術を活用したパーソナライズされた解説システム、多言語対応の強化、年齢層に応じたコンテンツの提供など、技術的な解決策は多数存在します。
最終的に言えることは、日本館の「つまらない」という評価は、パビリオン自体の価値の低さを示すものではなく、現代の多様化した来場者ニーズと従来の展示手法とのギャップを浮き彫りにした貴重な事例だということです。この経験を今後の日本の国際的な文化発信に活かすことができれば、より多くの人々に日本の魅力と技術力を伝える素晴らしい機会となるはずです。
万博という特別な舞台で、日本が世界に向けて発信したいメッセージと、来場者が求める体験価値の両方を満たす展示を実現することは決して簡単ではありませんが、今回の経験を通じて得られた知見は、今後の日本の国際的なプレゼンスにとって非常に価値の高いものになると確信しています。