チャイナエアラインとJALのマイル提携についてネットでよく検索されている理由はなぜ? HOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説
旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめわかりやすく解説します。
今回は多くの旅行者から寄せられる「チャイナエアライン マイルはJALマイルと提携している?」という疑問について、徹底的にリサーチした結果をお伝えします。台湾への旅行を計画している方や、効率的なマイル活用を考えている方にとって、この情報は非常に重要なポイントとなるでしょう。
結論:チャイナエアラインとJALはマイレージ提携していません
まず最初に明確にお伝えしたいのは、チャイナエアラインとJALの間にはマイレージの提携関係は存在しないということです。これは多くの旅行者が混同しがちな部分ですが、両社の公式見解として明確に示されています。
つまり、チャイナエアラインに搭乗してもJALマイレージバンク(JMB)のマイルは貯まりませんし、逆にJAL便に搭乗してもチャイナエアラインのダイナスティ・フライヤー・プログラム(DFP)のマイルは積算されないということなのです。
この結論に至る理由は複数ありますが、最も大きな要因は両社が異なる航空アライアンスに所属していることにあります。JALは「ワンワールド」、チャイナエアラインは「スカイチーム」という、それぞれ別のアライアンスグループに加盟しているため、基本的にマイレージプログラムでの連携は行われていないのです。
なぜ混同されるのか?コードシェア便の存在
それでは、なぜこのような疑問が生まれるのでしょうか。その答えは、両社が日本と台湾間の全路線・全便においてコードシェア便を運航していることにあります。
コードシェア便とは、2社以上の航空会社が1つの定期便を共同で運航するシステムで、1つの便に複数の便名が付けられる仕組みです。具体的には、同じ飛行機に「JL(JAL便)」と「CI(チャイナエアライン便)」という2つの便名が設定されているということなのです。
この提携は2017年2月から開始され、当時は「アライアンスグループを越えたコードシェア」として航空業界で大きな話題となりました。通常、異なるアライアンスに属する航空会社同士がこれほど包括的なコードシェア協定を結ぶことは珍しく、両社の戦略的な関係の深さを物語っています。
コードシェア便でのマイル積算ルール
コードシェア便を利用する際に最も重要なのが、便名によってマイル積算先が決まるというルールです。
- JL便名の航空券:JALマイレージバンクのマイルが積算される
- CI便名の航空券:チャイナエアラインのダイナスティ・フライヤー・プログラムのマイルが積算される
このルールは運航会社や乗務員に関係なく適用されます。つまり、実際にはチャイナエアラインが運航する飛行機であっても、航空券の便名が「JL」で始まっていればJALマイルが貯まり、「CI」で始まっていればチャイナエアラインのマイルが貯まるということです。
チャイナエアラインのマイレージプログラム詳細
チャイナエアラインのマイレージプログラム「ダイナスティ・フライヤー・プログラム(DFP)」について詳しく見ていきましょう。
基本的な仕組み
DFPは台湾のチャイナエアラインが運営する独自のマイレージプログラムで、スカイチーム加盟航空会社での搭乗でもマイルを獲得することができます。スカイチームには、デルタ航空、エールフランス、KLMオランダ航空、大韓航空などの主要航空会社が加盟しており、これらの航空会社を利用した際にもDFPマイルの積算が可能です。
マイル積算率
チャイナエアライン便への搭乗時のマイル積算率は座席クラスと予約クラスによって細かく設定されています。
ビジネス/プレミアムビジネスクラス
- Jクラス:175%積算
- Cクラス:150%積算
- Dクラス:125%積算
プレミアムエコノミークラス
- W・Uクラス:125%積算
- Aクラス:115%積算
- Eクラス:100%積算
エコノミークラス
- Y・B・Mクラス:100%積算
- K・V・Tクラス:80%積算
- R・Q・H・Nクラス:50%積算
- O・Z・L・X・G・Sクラス:0%積算(積算対象外)
このように、同じエコノミークラスでも予約クラスによって積算率が大きく異なることがわかります。格安航空券の多くは積算率が低い、または積算対象外のクラスに分類されることが多いため、マイルを貯めたい方は予約時に注意が必要です。
特典航空券の交換
DFPの大きなメリットの一つは、片道のみの特典航空券予約が可能であることです。多くのマイレージプログラムでは往復での予約が基本となっていますが、チャイナエアラインでは柔軟な利用が可能です。
必要マイル数は距離によって設定されており:
短距離区間(アジア地点間など)
- エコノミークラス:片道21,000マイル、往復35,000マイル
長距離区間(アジア⇔北米・ヨーロッパなど)
- エコノミークラス:片道66,000マイル、往復110,000マイル
2025年末の制度刷新
注目すべき動向として、チャイナエアラインは2025年末よりマイレージプログラムを大幅に刷新する予定です。新制度では従来の「フライトマイル中心」から「ステータスポイント制度」へと移行し、これまで対象外だった特別運賃や団体運賃も加算対象となる見込みです。
さらに、マイルの利用先も拡大され、特典航空券や座席アップグレードだけでなく、台湾国内のスーパーや百貨店、飲食店、エンターテインメント施設でも利用可能になる予定です。これは台湾旅行をよくする方にとって大きな利点となりそうです。
JALマイレージバンクとの比較
一方、JALマイレージバンク(JMB)は日本を代表するマイレージプログラムとして多くの旅行者に愛用されています。ワンワールドアライアンス加盟により、アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、キャセイパシフィック航空など、世界の主要航空会社でマイル積算と利用が可能です。
提携範囲の違い
JALの場合、ワンワールド加盟航空会社だけでなく、アライアンス外の航空会社とも個別に提携関係を築いています。しかし、前述の通りチャイナエアラインはこの提携航空会社には含まれていません。
これは両社のビジネス戦略や市場での位置づけの違いを反映したものと考えられます。JALは主に太平洋路線と東南アジア路線に強みを持つ一方、チャイナエアラインは中華圏と東南アジアを結ぶハブ機能に特化しており、直接的な競合関係にある側面もあるためです。
CAL JCBカードという選択肢
チャイナエアラインでマイルを効率的に貯めたい方におすすめなのが、JCBとの提携クレジットカード「CAL JCBカード」です。
カードの種類と特典
一般カード(年会費1,375円)
- 100円利用につき1マイル積算
- 入会時1,000マイルボーナス
- 日本発航空券購入時25%ボーナスマイル
ゴールドカード(年会費13,200円)
- 100円利用につき1.5マイル積算
- 入会時2,000マイルボーナス
- 日本発航空券購入時25%ボーナスマイル
このカードの良い点は、日常のショッピングでもチャイナエアラインのマイルが効率的に貯まることです。特に台湾によく行かれる方や、スカイチーム加盟航空会社を利用する機会が多い方にとっては大きなメリットとなります。
実際の利用シーンでの注意点
航空券購入時のポイント
コードシェア便を利用する際は、航空券購入時に便名を必ず確認することが重要です。同じ路線・同じ時間の便でも、JALで予約するかチャイナエアラインで予約するかによって便名が異なり、結果的にマイル積算先が変わってしまいます。
旅行代理店経由で予約する場合は、特に注意が必要です。代理店によっては、どちらの便名で発券されるかを事前に確認できない場合があります。マイル積算を重視する方は、各航空会社の公式サイトや電話で直接予約することをおすすめします。
マイル積算の確認方法
搭乗後は必ずマイル積算状況を確認しましょう。チャイナエアラインの場合、フライト後数日以内に会員アカウントに反映されることが一般的ですが、遅れる場合もあります。積算されていない場合は、搭乗券の控えとeチケットの控えを準備して、カスタマーサービスに連絡することで事後加算が可能です。
メリット・デメリットの詳細分析
チャイナエアライン利用の良い点・メリット
- 台北桃園空港でのハブ機能 チャイナエアラインの最大の利点は、台北桃園空港を拠点とした充実したネットワークです。東南アジア各都市への乗り継ぎが便利で、時間効率の良い旅程が組めます。
- サービス品質の向上 近年、機内サービスや座席の快適性が大幅に改善されており、長距離便でも快適に過ごせるようになりました。特にプレミアムエコノミークラスのコストパフォーマンスは高く評価されています。
- 柔軟な特典航空券制度 前述の通り、片道のみの特典航空券予約が可能な点は大きなおすすめポイントです。他の航空会社では往復が基本となっているケースが多い中、この柔軟性は旅行計画を立てる上で非常に便利です。
- スカイチーム特典の活用 スカイチーム加盟により、デルタ航空やKLMオランダ航空などの上級会員特典も受けられます。ラウンジアクセスや優先チェックイン、追加手荷物許容量などの特典は、頻繁に海外旅行をする方にとって価値があります。
チャイナエアライン利用の悪い点・デメリット
- JALマイルとの互換性がない 日本の旅行者にとって最大のデメリットは、やはりJALマイレージバンクとの提携がないことです。日本国内でJALを頻繁に利用する方にとっては、マイルの統合管理ができない点は欠点と言えるでしょう。
- 日本国内での認知度の課題 JALやANAと比較すると、日本国内での認知度やブランド力がまだ十分ではありません。これにより、マイレージプログラムの提携店舗や特典の選択肢が限られている面があります。
- 言語サポートの制限 カスタマーサービスや会員サイトにおいて、日本語サポートが限定的な場合があります。マイル管理や特典予約時に、英語や中国語での対応が必要になるケースもあり、これをおすすめしない理由として挙げる旅行者もいます。
- 制度変更のリスク 2025年末の制度刷新が予定されていますが、このような大幅な変更は既存会員にとってメリット・デメリットが混在する可能性があります。長期的なマイル戦略を立てにくい点は課題と言えるでしょう。
おすすめしたい方・おすすめできない方
チャイナエアラインマイルをおすすめしたい方
- 台湾・東南アジアへの旅行頻度が高い方 年に2-3回以上台湾を訪れる方や、東南アジア各国への旅行を楽しむ方には、ハブ空港としての利便性と相まって大きなメリットがあります。
- スカイチーム加盟航空会社を利用する機会が多い方 仕事や旅行でデルタ航空、エールフランス、KLMオランダ航空などを利用する機会が多い方は、マイルの統合管理によるメリットを享受できます。
- 柔軟な旅行スタイルを好む方 片道特典航空券の活用や、複数都市を巡る複雑な旅程を組むことが多い方には、チャイナエアラインの制度が適しています。
- 台湾での滞在時間を有効活用したい方 2025年末の制度変更後は、台湾国内での買い物や食事でもマイルが利用できるようになる予定です。台湾旅行時の現地消費を充実させたい方には魅力的な選択肢となりそうです。
チャイナエアラインマイルをおすすめできない方
- JAL/ANA便を主に利用する方 日本国内線や太平洋路線でJALやANAを頻繁に利用する方にとっては、マイルの分散により効率が悪くなる可能性があります。統合管理を重視する方にはおすすめしない選択肢と言えるでしょう。
- ヨーロッパ・北米方面への旅行が中心の方 チャイナエアラインのネットワークは主にアジア太平洋地域に集中しているため、欧米方面への旅行が中心の方には利便性が劣ります。
- マイレージ初心者の方 複雑なコードシェア便の仕組みや、アライアンス間の違いを理解することが必要なため、マイレージプログラム初心者には少しハードルが高い面があります。
- 日本語サポートを重視する方 前述の通り、日本語でのカスタマーサポートが限定的な場合があるため、言語面での不安がある方には向いていません。
トラベルライター”TAKA”の独自考察
長年にわたって航空業界とマイレージプログラムを取材してきた私の視点から、この問題についてより深く考察してみたいと思います。
なぜ提携が実現していないのか
チャイナエアラインとJALがマイレージ提携を行わない背景には、単純なアライアンスの違いだけでなく、より複雑な戦略的要因があると考えられます。
まず、両社は日本⇔台湾路線において直接的な競合関係にあります。JALにとって台湾路線は重要な国際線収益源の一つであり、チャイナエアラインのマイレージプログラムとの提携は、自社の競争力を相対的に低下させる可能性があります。
また、JALの上級会員(ダイヤモンド、プラチナ会員等)の多くは、ステータス維持のために年間の搭乗回数や距離を重視しています。もしチャイナエアラインとの提携が実現すれば、これらの会員が台湾路線でチャイナエアラインを選択する可能性が高まり、JALの優良顧客流出につながるリスクがあるのです。
コードシェア提携の戦略的意味
一方で、両社がマイレージ提携ではなくコードシェア提携を選択した理由は、「競合しつつも協力する」という絶妙なバランスを保つためだと分析できます。
コードシェア提携により、両社は以下のメリットを享受しています。
- 座席の相互販売による収益機会の拡大
- 運航コストの最適化
- 乗り継ぎ利便性の向上
- 各社の強みを活かした市場シェア拡大
これらのメリットを享受しながらも、マイレージプログラムという「顧客囲い込みツール」は独立性を保つことで、過度な顧客流出を防いでいるのです。
今後の展望と予測
2025年末に予定されているチャイナエアラインのマイレージプログラム刷新は、この状況に新たな変化をもたらす可能性があります。
新制度では台湾国内での利用先拡大が予定されていますが、これは明らかに「台湾旅行リピーター」の獲得を狙った戦略です。台湾は日本人にとって非常に人気の高い旅行先であり、年に複数回訪問するリピーターも多い市場です。
チャイナエアラインとしては、これらのリピーター層を自社のマイレージプログラムに取り込むことで、JALとの競争において優位性を確保しようとしている可能性があります。
旅行者にとっての最適な戦略
このような複雑な競争・協力関係の中で、私たち旅行者はどのような戦略を取るべきでしょうか。
私の見解では、「目的別の使い分け」が最も効率的なアプローチだと考えています。
台湾・東南アジア方面の旅行が多い方は、チャイナエアラインのマイレージプログラムに登録し、CAL JCBカードの活用を検討することをおすすめします。一方で、国内線や太平洋路線の利用が中心の方は、引き続きJALマイレージバンクをメインに活用すべきでしょう。
重要なのは、「どちらか一つを選ばなければならない」という固定観念を捨てることです。現代の航空業界では、複数のマイレージプログラムを状況に応じて使い分けることが、最も効率的なマイル活用方法となっています。
制度変更への対応準備
2025年末の制度変更に向けて、チャイナエアラインマイルに関心がある方は今から準備を始めることをおすすめします。
現在のダイナスティ・フライヤー・プログラムで貯めたマイルがどのように新制度に移行されるかは、まだ詳細が発表されていませんが、一般的にこのような大規模な変更では「既存会員への配慮」が重視される傾向があります。
したがって、台湾方面への旅行予定がある方は、今のうちにDFP会員になっておくことで、制度変更時に有利な条件で移行できる可能性があります。
航空業界全体の動向を踏まえた長期的視点
最後に、この問題を航空業界全体の動向という、より広い視点から考えてみたいと思います。
近年、航空業界では従来のアライアンス枠組みを越えた提携が増加傾向にあります。JALとチャイナエアラインのコードシェア提携も、この流れの一例と言えるでしょう。
今後、アジア太平洋地域の航空市場がさらに成長することを考えると、両社の関係性も段階的に深化していく可能性があります。現時点ではマイレージ提携は実現していませんが、5年後、10年後には状況が変わっている可能性も十分にあります。
そのような長期的な視点を持ちながら、現在利用可能な選択肢を最大限活用することが、賢明な旅行者としての姿勢だと私は考えています。
チャイナエアラインとJALのマイレージ提携問題は、単純な「あるかないか」という二元論では語れない、非常に複雑で戦略的な側面を持つ問題です。しかし、この複雑さを理解し、適切に活用することで、より充実した旅行体験を実現することができるはずです。
皆様の旅行がより素晴らしいものとなることを心から願っています。