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星野リゾートが独自開発した宿泊予約システム「FleBOL（フレボル）」ってどんなサービス？

旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。星野リゾートが2025年10月23日に導入を開始した独自開発の宿泊予約システム「FleBOL（フレボル）」について、徹底的にリサーチしました。このシステムは約18億円という莫大な開発費用を投じて作られた次世代型予約プラットフォームで、旅行業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めているようです。

FleBOLとは何か？結論から解説

FleBOLは「Flexible Booking On Line（フレキシブル・ブッキング・オン・ライン）」の略称で、星野リゾートが独自に開発した宿泊予約システムのことです。このシステムの最大の特徴は、予約完了後でも「人数」「部屋タイプ」「宿泊プラン」「日程」といった予約内容を、チェックイン当日の午前9時まで自由に変更できるという点にあると言われています。まるでネット通販のショッピングカートで買い物をするように、好きな体験を選択し、組み合わせて、自由に変更できる新しい予約体験を実現することを目指して開発されたようです。

星野リゾートの公式サイトから予約をした旅行者であれば、わざわざ予約を取り直したり、電話やメールで施設に問い合わせをしたりすることなく、オンライン上で予約内容の変更手続きが完結するのです。これは従来の宿泊予約システムでは実現できなかった画期的な機能で、世界初の試みである可能性が高いと言われています。

FleBOL開発に至った背景と理由

星野リゾートがこれほど大規模な投資をして独自の予約システムを開発した背景には、いくつかの重要な要因があるようです。

まず第一に、従来の宿泊予約システムが抱えていた構造的な問題があります。一般的なホテル業界では、予約や客室管理、売り上げといった情報を管理するために、ホテル管理システム（PMS）と呼ばれる既製の基幹システムが使われているようです。しかし、これらの既製システムでは用途別の機能がバラバラに動いているため、それぞれの情報を一元管理するのに手間がかかっていたと言われています。特に、顧客が使うWeb予約システムとPMSが分断されていることが大きな課題で、顧客が入力した情報を従業員が手作業で転記しなければならない場合もあったようです。

第二に、旅行者側の不便さという問題もありました。星野リゾートの調査によると、予約済みの宿泊者からの問い合わせの約4割が「人数」「部屋タイプ」「宿泊プラン」「日程」の予約変更を希望するものだったと言われています。従来のシステムでは、これらの変更をするためには予約を一度キャンセルして取り直す必要があり、特に星野リゾートのような施設では需要によって価格を変動させる「ダイナミックプライシング」を導入しているため、予約を取り直すと元の価格よりも高くなってしまう可能性があったようです。

第三に、将来のAI予約時代を見据えた戦略的な判断があったと言われています。星野リゾート代表の星野佳路氏は記者会見で、「AI時代にはブランド力が効かなくなる」と指摘し、AIに対する詳細な情報公開が重要になると語っているようです。グーグルの「お得なフライト」や、OpenAIのOperator、TikTokの宿泊予約機能など、従来にはない予約スタイルが次々と登場している中で、自社で情報をコントロールできる独自システムの必要性が高まっていたのです。

第四に、OTA（オンライン・トラベル・エージェント）との関係における問題もありました。星野リゾートは以前、Agodaなどのオンライン予約サイトとの間で予約トラブルが多発していることを公表し、「星野リゾートはAGODAと契約していない」と強く発信したことがあるようです。サードパーティーと呼ばれる業者を介した予約販売では、情報の劣化や不一致、オーバーブッキングのリスクなど、深刻な問題が発生していたと言われています。こうした外部システムへの依存から脱却し、自社で予約を管理することの重要性が認識されていったようです。

FleBOLの具体的な機能と使い方

現在導入されているFleBOLの第一弾機能は、予約変更機能に特化しているようです。2025年10月23日以降に星野リゾートの公式サイトから予約をした旅行者が対象となり、予約完了後でもチェックイン当日の午前9時まで、以下の4項目を自由に変更できるようになっています。

変更可能な項目は、「宿泊人数」「部屋タイプ」「宿泊プラン」「宿泊日程」の4つです。これらの変更は、予約時に受け取った確認メールに記載されているリンクから、星野リゾートアカウントのマイページにログインすることで手続きができるようです。変更によって料金が増える場合は差額を追加で支払い、料金が減る場合は差額が返金される仕組みになっていると言われています。

使い方の流れとしては、まず星野リゾートの公式サイトで通常通り予約を完了させます。その後、予定に変更が生じた場合は、マイページにログインして該当する予約を選択し、変更したい項目を選んで新しい内容を入力するだけで手続きが完了するようです。システムが自動的に差額を計算し、追加決済または返金処理を行ってくれると言われています。

現時点では、温泉旅館ブランド「界」の全施設と、山ホテルブランド「LUCY尾瀬鳩待」が対象施設となっています。星野リゾートでは2026年から2027年ごろをめどに、「星のや」「リゾナーレ」「OMO」といった他のブランドにも順次展開していく計画があるようです。

将来的には、タビマエ（旅行前）、タビナカ（旅行中）、タビアト（旅行後）まで、滞在中のあらゆるシーンで顧客がスマートフォンでスムーズに旅をアレンジできる機能を目指しているようです。具体的には、「客室」だけでなく「食事」「アクティビティ」「移動」など、宿が提供するサービスを顧客が自由にアレンジして手配できるようになると言われています。

また、星野氏が以前から構想していた周遊旅行に対応する予約システムも開発予定のようで、九州地区など複数の施設を回るような周遊旅行を一気通貫で予約できる仕組みも将来的には実装される可能性があると言われています。

FleBOLのメリットと良い点

FleBOLには旅行者にとって多くの利点があると考えられます。

最大のメリットは、何と言っても予約変更の柔軟性が飛躍的に向上したことでしょう。従来は、旅行の計画段階で人数や客室タイプ、日程に変更が出た際に、予約の取り直しが発生してしまう煩わしさがありましたが、FleBOLではこうした問題が解消されるようです。特に、ダイナミックプライシングを採用している施設では、予約を取り直すと料金が大幅に高くなってしまうリスクがありましたが、FleBOLでは元の予約をベースに差額だけを調整する形になるため、料金面でも有利だと言われています。

二つ目の良い点として、手続きの簡便性が挙げられます。従来は予約内容を変更するために、施設に電話をかけたりメールを送ったりして、営業時間内に対応してもらう必要がありましたが、FleBOLでは24時間いつでもオンライン上で手続きが完結するようです。チェックイン当日の午前9時まで変更可能というのも、ギリギリまで予定を調整できる余地があるという点で大きな利点だと言えるでしょう。

三つ目のおすすめポイントは、予約の安心感が増すことです。旅行の計画を立てる段階では、まだ人数が確定していなかったり、日程が流動的だったりすることも多いものですが、FleBOLがあれば「とりあえず予約を確保しておいて、後から調整すればいい」という考え方ができるようになります。これにより、人気の日程や部屋タイプを早めに押さえておくという戦略的な予約が可能になると言われています。

四つ目の利点として、直接予約の促進による料金メリットも期待できるようです。星野リゾートは、利益の源泉は自社で取得した直接予約だと明言しており、現在でも5〜6割が直接予約となっているようです。一般的に、OTAを経由する予約よりも公式サイトからの直接予約の方が、手数料がかからない分、お得なプランが提供されることが多いと言われています。FleBOLによって公式サイトでの予約体験が向上すれば、旅行者にとってもより良い条件での宿泊が可能になる可能性があります。

五つ目のメリットとして、将来的な機能拡張への期待があります。現在は予約変更機能のみですが、将来的には食事やアクティビティの予約、複数施設の周遊旅行の一括予約など、さらに便利な機能が追加される予定のようです。ショッピングカートのように必要なサービスを自由に組み合わせられるようになれば、旅行の楽しみ方が大きく広がると期待されています。

FleBOLのデメリットと悪い点

一方で、FleBOLにはいくつかの欠点や課題も存在すると考えられます。

最大のデメリットは、対象施設が限定的であることです。2025年10月23日時点では、温泉旅館ブランド「界」の全施設と「LUCY尾瀬鳩待」のみが対象となっており、星野リゾートの中でも人気の高い「星のや」ブランドや「リゾナーレ」ブランドでは利用できません。全ブランドへの展開は2026年から2027年ごろを目指しているようですが、それまでは限られた施設でしか恩恵を受けられないという制約があります。

二つ目の悪い点として、公式サイトからの予約に限定されることが挙げられます。楽天トラベルやじゃらんnet、一休.comといったOTAから予約した場合は、FleBOLの機能は利用できないと考えられます。ポイント還元などの理由でOTAを利用したい旅行者にとっては、FleBOLのメリットを享受できないというジレンマがあるようです。

三つ目のおすすめしない点は、システムの成熟度がまだ未知数であることです。18億円を投じた大規模開発とは言え、2025年10月23日にローンチしたばかりの新システムであり、実際の運用でどのような問題が発生するかは不明です。過去には全国旅行支援の際に予約システムの対応で混乱が生じたこともあり、新システムの安定性については注視が必要だと言われています。

四つ目の欠点として、変更可能な項目が現時点では限定的であることが挙げられます。現在変更できるのは「人数」「部屋タイプ」「宿泊プラン」「日程」の4項目のみで、食事の内容やアクティビティの予約、特別なリクエストなどは含まれていないようです。将来的にはこれらの機能も追加される予定のようですが、現時点では完全にカスタマイズできるわけではないという制限があります。

五つ目のデメリットとして、キャンセル料の発生タイミングには注意が必要だと考えられます。予約変更が柔軟にできるとは言え、宿泊日が近づいてくるとキャンセル料が発生する可能性があり、変更内容によってはキャンセル料が適用される場合もあるかもしれません。システムの詳細な規約や条件については、実際に利用する前によく確認する必要があるでしょう。

六つ目の問題点として、デジタルデバイドへの配慮も必要です。FleBOLはオンライン上での操作を前提としたシステムのため、インターネットやスマートフォンの操作に不慣れな高齢者などにとっては、かえって使いづらいシステムになってしまう可能性があります。従来通り電話での予約変更も可能だとは思われますが、FleBOLの恩恵を十分に受けられない層も一定数存在すると考えられます。

FleBOLをおすすめしたい旅行者

FleBOLの機能は、特定のタイプの旅行者にとって非常に有用だと考えられます。

まず、グループ旅行を計画している方には強くおすすめできると言えるでしょう。友人同士や会社の仲間との旅行では、参加人数が直前まで確定しないことが多く、「最初は5人の予定だったけど、結局7人になった」といったことがよくあります。FleBOLがあれば、こうした人数変更にも柔軟に対応できるため、幹事を務める方の負担が大幅に軽減されるようです。

二つ目に、仕事の都合で予定が変わりやすいビジネスパーソンにもメリットが大きいと言われています。急な会議が入ったり、出張の予定が変更になったりすることが多い方でも、FleBOLがあれば安心して早めに宿泊予約を入れておくことができます。最悪の場合、チェックイン当日の午前9時まで変更可能なので、前日や当日の状況に応じて柔軟に対応できるのです。

三つ目に、小さなお子さんを連れた家族旅行にもおすすめだと言えます。子どもの体調は予測しにくく、直前で体調を崩すこともありますし、逆に予想以上に元気で予定を変更したくなることもあります。また、子どもの成長に合わせて部屋タイプを変更したい場合にも、FleBOLは便利だと考えられます。

四つ目に、複数の候補日で迷っている方にも向いているようです。人気の宿泊施設は早めに予約しないと満室になってしまうことがありますが、かといって予定が完全に確定していない段階で予約するのはリスクがあります。FleBOLがあれば、「とりあえず第一候補の日程で予約しておいて、後で調整する」という戦略が取れるのです。

五つ目に、コストパフォーマンスを重視する旅行者にもメリットがあると言われています。ダイナミックプライシングを採用している施設では、予約時期が遅くなるほど料金が高くなる傾向がありますが、FleBOLで早期に予約を確保しておけば、変更があっても元の価格をベースに調整できるため、結果的に安く泊まれる可能性があるのです。

FleBOLをおすすめできない旅行者

一方で、FleBOLのメリットをあまり感じられない旅行者も存在すると考えられます。

まず、予定が完全に確定していて変更の可能性がほとんどない旅行者にとっては、FleBOLの機能はあまり必要ないかもしれません。予約変更をする予定がなければ、従来通りの予約システムでも特に不便はないでしょう。

二つ目に、OTAのポイントプログラムを活用したい方には向いていないと言えます。楽天ポイントやPontaポイントなどを貯めている方にとっては、公式サイトから予約するよりもOTAを経由した方がポイント還元の面でメリットがある場合があります。FleBOLの機能は公式サイトからの予約限定なので、ポイント重視の方には選択肢から外れてしまうでしょう。

三つ目に、「星のや」や「リゾナーレ」に宿泊したい方には、現時点ではおすすめできません。これらのブランドへのFleBOL導入は2026年以降になる予定のため、それまでは利用できないという欠点があります。

四つ目に、デジタル機器の操作が苦手な方には不向きかもしれません。FleBOLはオンライン上での操作を前提としたシステムなので、スマートフォンやパソコンでの操作に不慣れな方にとっては、かえって複雑に感じられる可能性があります。

FleBOLに関するQ&A

Q1： FleBOLはどの施設で利用できますか？

2025年10月時点では、温泉旅館ブランド「界」の全施設と「LUCY尾瀬鳩待」で利用可能です。2026年から2027年ごろをめどに、「星のや」「リゾナーレ」「OMO」などの他のブランドにも順次展開される予定のようです。

Q2： 予約変更に追加料金はかかりますか？

基本的に変更手数料は無料のようですが、変更によって宿泊料金が増える場合は差額の支払いが必要です。逆に料金が減る場合は差額が返金されると言われています。ただし、キャンセル料が発生する期間内での変更については、詳細な規約を確認する必要があるでしょう。

Q3： OTAから予約した場合もFleBOLは使えますか？

いいえ、FleBOLの機能は星野リゾートの公式サイトから予約した場合のみ利用可能です。楽天トラベルやじゃらんnetなどのOTA経由で予約した場合は、従来通りそれぞれのサイトの規約に従って変更手続きを行う必要があると考えられます。

Q4： 変更可能な期限はいつまでですか？

チェックイン当日の午前9時まで変更可能です。これはかなりギリギリまで変更できるという点で、従来のシステムと比べて大きなメリットだと言えるでしょう。

Q5： 食事やアクティビティの予約もFleBOLでできますか？

現時点（2025年10月）では、変更できるのは「人数」「部屋タイプ」「宿泊プラン」「日程」の4項目のみです。将来的には食事やアクティビティ、移動なども含めて自由にアレンジできる機能が追加される予定のようです。

Q6： 何回でも変更できますか？

変更回数の制限については公式情報が見当たりませんでしたが、チェックイン当日の午前9時までであれば、基本的には何度でも変更可能だと考えられます。ただし、頻繁な変更は施設側の業務に影響を与える可能性もあるため、常識的な範囲での利用が望ましいでしょう。

Q7： FleBOLを使うには会員登録が必要ですか？

星野リゾートの公式サイトから予約する際には、星野リゾートアカウントの作成が必要になると考えられます。マイページにログインすることで予約管理や変更手続きができるようです。

Q8： キャンセルもFleBOLでできますか？

予約のキャンセル自体は従来通りマイページから可能です。FleBOLは主に予約変更を柔軟にするためのシステムであり、キャンセルの手続き自体は既存のシステムと大きく変わらないと思われます。

トラベルライター”TAKA”の独自見解と考察

星野リゾートのFleBOL開発は、単なる予約システムの刷新にとどまらず、ホテル業界全体の将来を見据えた戦略的な動きだと私は考えています。

まず注目すべきは、18億円という莫大な投資額です。これは単に予約変更機能を追加するためだけの投資ではなく、将来のAI予約時代に向けた布石だと捉えるべきでしょう。星野代表が指摘した「ブランド力が効かなくなる時代」という洞察は、非常に示唆に富んでいると感じます。確かに、AIが顧客の好みを完璧に分析して最適な宿泊先を提案するようになれば、従来のブランド戦略では通用しなくなる可能性が高いのです。

その意味で、FleBOLは単なる予約システムというよりも、顧客データと宿泊体験を統合的に管理し、AIに対して詳細な情報を提供するためのプラットフォームだと位置づけられるでしょう。既製のPMSでは実現できなかった、顧客の行動履歴や満足度、リピート率といった詳細なデータを蓄積し、それをAIに公開していくことで、星野リゾートの施設が常に最適な選択肢として提案されるようにする狙いがあると推測されます。

また、FleBOLの開発は、OTAへの依存度を下げるという戦略的意図も明確です。Agodaとのトラブルで表面化したように、外部の予約プラットフォームに依存することは、情報の不正確さやオーバーブッキングなどのリスクを内包しています。自社で予約を管理することで、これらのリスクを排除し、顧客に対してより質の高いサービスを提供できるようになるのです。

さらに興味深いのは、予約変更を柔軟にすることで、実は星野リゾート側にもメリットがあるという点です。従来は予約変更の問い合わせに電話やメールで個別対応する必要があり、スタッフの負担が大きかったと考えられますが、FleBOLによって自動化されることで、人的コストを削減できるようになります。また、キャンセル率の低下も期待できるでしょう。予定が変わってもキャンセルせずに変更で対応できるため、結果的に稼働率の向上につながる可能性があります。

ただし、FleBOLが本当に成功するかどうかは、今後の機能拡張にかかっていると私は考えています。現在の予約変更機能だけでは、確かに便利ですが革命的とまでは言えません。星野代表が構想している、食事やアクティビティを自由に組み合わせられるショッピングカート型の予約体験、さらには複数施設の周遊旅行を一括で予約できるシステムが実現して初めて、FleBOLの真価が問われることになるでしょう。

個人的に期待しているのは、タビナカ（滞在中）での体験をリアルタイムで追加・変更できる機能です。例えば、宿泊中に天気が良くなったから急遽アクティビティを追加したい、とか、思いのほか疲れているから予定していたアクティビティをキャンセルしてのんびり過ごしたい、といったニーズにスマートフォン一つで対応できるようになれば、旅の楽しみ方が大きく変わるはずです。

また、FleBOLの成功は、星野リゾートだけでなく、日本のホテル業界全体に影響を与える可能性があると感じています。他の大手ホテルチェーンも同様の課題を抱えているはずで、星野リゾートの取り組みが成功すれば、業界全体で独自予約システムの開発が加速するかもしれません。そうなれば、旅行者にとっても選択肢が増え、より自由で快適な旅行体験が実現されることになるでしょう。

一方で懸念もあります。18億円という巨額投資を回収するためには、相当数の直接予約を獲得し続ける必要があります。しかし、日本の旅行者の多くはOTAのポイントプログラムに慣れ親しんでおり、公式サイトでの直接予約に切り替えてもらうのは容易ではないかもしれません。FleBOLの便利さがポイント還元のメリットを上回ると感じてもらえるかどうかが、成功の鍵を握っているように思います。

また、システムの安定性も重要です。過去の全国旅行支援の際には、予約システムの対応で混乱が生じたこともありました。特に繁忙期や大型連休前など、アクセスが集中する時期にシステムが安定稼働するかどうかは、実際の運用を見てみないと分かりません。初期トラブルが多発すれば、かえって顧客の信頼を失うリスクもあるでしょう。

最後に、FleBOLの開発は、星野リゾートの「旅を楽しくする」という企業理念を体現した取り組みだと感じています。予約の煩わしさを減らし、旅行者がもっと自由に、もっと楽しく旅を計画できるようにする、という発想は、まさに旅行者目線に立った考え方だと言えます。

今後、FleBOLがどのように進化していくのか、そして日本の旅行業界にどのような影響を与えていくのか、トラベルライターとして大いに注目していきたいと思います。AIとの共存という新しい時代において、人間の創造性と温かいおもてなしの心をどのように融合させていくのか、星野リゾートの挑戦から学べることは多いはずです。

FleBOLが単なる予約システムの改善にとどまらず、旅行体験そのものを豊かにする革新的なプラットフォームへと成長することを期待しています。そして、いつの日か「FleBOLがあるから星野リゾートを選ぶ」という旅行者が増え、新しい旅のスタンダードが生まれることを願ってやみません。