株式会社温故知新が2025年11月25日より提供を開始した会員プログラム「温故知新デスティネーションクラブ」とは? メリットやデメリットなどHOTTELの記者がわかりやすく解説
旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。2025年11月25日に株式会社温故知新がスタートさせた新しい会員プログラム「温故知新デスティネーションクラブ」について徹底解説いたします。「旅の目的地=デスティネーションホテル」という独自のコンセプトを掲げ、ミシュランガイドでも高評価を獲得し続けている温故知新グループが満を持して発足させた、この生涯型ロイヤリティプログラムの全貌に迫ります。
1. 【結論】「温故知新デスティネーションクラブ」は地方・離島の上質な宿を愛する旅好きにとって見逃せない会員制度
まず結論から申し上げますと、「温故知新デスティネーションクラブ」は、入会金・年会費完全無料でありながら、生涯累計型のポイントシステムを採用した、国内では珍しい独自性の高いロイヤリティプログラムと言えるでしょう。
大手ホテルチェーンのマリオットボンヴォイやヒルトン・オナーズといったグローバルプログラムとは異なり、温故知新が手掛ける個性豊かな「デスティネーションホテル」に特化した会員制度である点が最大の特徴です。ミシュラン1キーを獲得した「瀬戸内リトリート 青凪」や「五島リトリート ray」をはじめ、京都嵐山の「MUNI KYOTO」、世界初のオフィシャル・シャンパンホテル「Cuvée J2 Hôtel Osaka」など、他に類を見ない個性的な施設でポイントを貯められるのは、旅のこだわりを持つ方々にとって大きな魅力となりそうです。
1.1 温故知新デスティネーションクラブの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 温故知新デスティネーションクラブ |
| サービス開始日 | 2025年11月25日 |
| 入会金・年会費 | 完全無料 |
| 運営会社 | 株式会社温故知新(東京都新宿区) |
| 対象施設 | 宿泊施設・レストラン・オンラインストア計約15施設以上 |
| ポイント制度 | 1円=1トラベルポイント(生涯累計型) |
| ポイント有効期限 | なし(生涯有効) |
2. 株式会社温故知新とは——「地域の光の、小さな伝道者」
2.1 会社概要と理念
温故知新デスティネーションクラブを正しく理解するためには、まず運営会社である株式会社温故知新について知っておく必要があります。
株式会社温故知新は2011年2月に創業したホテル・旅館のプロデュース及び運営受託を行う企業です。代表取締役の松山知樹氏は、ボストンコンサルティンググループを経て星野リゾートで旅館再生事業の責任者を務めた経歴を持ち、宿泊業界のプロフェッショナルとして知られています。
同社は「地域の光の、小さな伝道者」という理念を掲げ、都市部から離れた地方や離島といった土地に拠点を置き、滞在そのものが目的となる「リトリート」という旅のスタイルをいち早く提案してきました。
2.2 温故知新の成長と評価
温故知新は近年、驚異的な成長を遂げている注目の企業です。2024年には日経クロストレンド「未来の市場をつくる100社【2025年版】」に2年連続で選出されるなど、業界からの評価も高まっています。
また、野村不動産との資本業務提携を2025年10月に締結し、さらなる事業拡大を目指していることも報じられています。従業員数も2022年から2023年の1年間で約165名から313名へと約2倍に急増しており、その成長スピードには目を見張るものがあります。
3. 「温故知新デスティネーションクラブ」の仕組みを徹底解説
3.1 トラベルポイントの付与方法
温故知新デスティネーションクラブの核となるのが「トラベルポイント」システムです。ポイントの付与率は予約方法によって異なりますので、賢く利用したい方はぜひ覚えておいていただきたいところです。
| 予約方法 | ポイント付与率 |
|---|---|
| 公式予約サイト・電話・フロント予約 | 対象額の100% |
| OTAサイト・旅行代理店での宿泊予約 | 対象額の30% |
| OTAでの宿泊+交通セット予約 | 1予約あたり5,000ポイント |
| 団体ツアー | 付与なし |
| レストラン利用 | 対象額の100% |
| オンラインストア購入 | 対象額の100% |
ここで注目すべきは、公式サイトからの予約であれば利用金額の100%がそのままポイントとして付与される点です。つまり、10万円の宿泊をすれば10万トラベルポイントが貯まる計算になります。これは非常にシンプルでわかりやすい設計と言えるでしょう。
一方、楽天トラベルやじゃらん、Expediaなどの外部OTAサイトからの予約では30%に下がってしまいますが、それでもポイントが付与されるのはありがたい仕組みです。
3.2 ポイント付与のタイミング
トラベルポイントは、宿泊・レストラン利用の場合はチェックアウト日から原則3日以内、オンラインストアでの購入は最長1ヶ月以内に付与されるとのことです。宿泊後すぐにポイントが反映されるため、次の旅行計画を立てる際のモチベーションにもなりそうですね。
3.3 ポイントの有効期限——これが最大の特徴
温故知新デスティネーションクラブの最も画期的な点は、ポイントに有効期限がないということです。
一般的なホテルロイヤリティプログラムでは、年間の宿泊実績によってステータスが決まり、翌年には条件を満たさなければランクダウンしてしまうことが多いものです。しかし、このプログラムでは生涯累計型を採用しているため、年に1回しか旅行しない方でも、長い年月をかけてコツコツとポイントを貯め続けることができます。
これは、頻繁に出張でホテルを利用するビジネスパーソンだけでなく、年に数回の家族旅行や記念日旅行を大切にしている一般の旅行者にとっても非常に使い勝手の良い設計だと感じます。
4. 会員ランクの仕組み——4つのステージへの招待
4.1 会員ランク一覧と必要ポイント
温故知新デスティネーションクラブでは、累計トラベルポイントに応じて4つの会員ランクが設定されています。
| ランク名 | 必要ポイント | 目安となる利用額 |
|---|---|---|
| トラベラー | 50万ポイント未満 | 50万円未満 |
| エクスプローラー | 50万~300万ポイント未満 | 50万円~300万円未満 |
| ストーリーテラー | 300万~2,000万ポイント未満 | 300万円~2,000万円未満 |
| アンバサダー | 2,000万ポイント以上 | 2,000万円以上 |
例えば、1泊10万円の高級旅館に年2回、5年間通い続ければ、10万円×2泊×5年=100万トラベルポイントで「エクスプローラー」ランクに到達する計算になります。「ストーリーテラー」以上のランクはかなりのヘビーユーザー向けと言えそうですが、ポイントに有効期限がないため、10年、20年という長いスパンで考えれば不可能ではありません。
4.2 ランクアップとランクダウンの条件
累計トラベルポイントがランク条件に達した日が「ランクアップ日」となり、その日から該当ランクに昇格します。
ただし、「ストーリーテラー」「アンバサダー」の上位ランクについては、ランクアップ日から1年間の獲得トラベルポイントによって降格判定が行われる点に注意が必要です。具体的には、1年間の獲得ポイントが100万トラベルポイント以下の場合、ひとつ下のランクに降格してしまいます。
とはいえ、降格後1年以内に100万トラベルポイントを獲得すれば、累計ポイントに基づいたランクに復帰できる救済措置も用意されているようです。
5. 会員特典の詳細——ランク別にどんな優待が受けられるのか
5.1 全会員共通の特典
温故知新デスティネーションクラブでは、割引やポイント付与だけではなく、「地域の価値と深く出会うための特別な体験」を重視した特典が用意されています。
特別なイベントのご案内 地域の伝統産業や職人技に触れる体験、旬の味覚を味わうディナーショーなど、その土地ならではの特別企画が会員に優先案内されるとのことです。温故知新の施設は、安藤忠雄設計の「瀬戸内リトリート 青凪」や建築家・石上純也設計の洞窟のようなレストラン「maison owl」など、建築やアートとの融合が特徴的ですので、こうした文化的なイベントへの参加機会は非常に魅力的です。
5.2 ストーリーテラー以上限定の特典
より上位のランクである「ストーリーテラー」以上になると、さらに充実した特典が用意されています。
コンシェルジュサービス 地域を熟知したコンシェルジュが、文化・食・自然体験を含む旅をご提案し、会員の滞在を丁寧にサポートしてくれるようです。壱岐リトリート 海里村上では、支配人自らが早朝の勝本漁港のせり見学に連れて行ってくれるなど、温故知新グループは元々きめ細やかなホスピタリティに定評がありますが、上位会員にはさらにパーソナライズされたサービスが期待できそうです。
特別なおもてなし 建築や空間、土地の個性を生かした各施設独自のおもてなしが用意されており、パーソナルな対応やウェルカムアレンジなど、特別な演出を楽しめるとのことです。
6. 対象施設一覧——どこで使えるのか
6.1 宿泊施設(ホテル・旅館)
温故知新デスティネーションクラブの対象となる宿泊施設は、2025年11月時点で全国に11施設あります。いずれも「旅の目的地」となる個性的な施設ばかりです。
| 施設名 | 所在地 | 特徴 | ミシュラン評価 |
|---|---|---|---|
| 瀬戸内リトリート 青凪 | 愛媛県松山市 | 安藤忠雄建築、オールスイート全7室 | 5レッドパビリオン(2018)、1ミシュランキー(2024) |
| 五島リトリート ray | 長崎県五島市 | 全26室、露天風呂付オーシャンビュー | 1ミシュランキー(2024) |
| 壱岐リトリート 海里村上 | 長崎県壱岐市 | 全12室、源泉露天風呂付 | 5パビリオン(2019) |
| 旅亭 半水盧 | 長崎県雲仙市 | 5,000坪庭園、全14室全室離れ | 5レッドパビリオン、一つ星(2019)、1ミシュランキー(2024) |
| MUNI KYOTO | 京都府京都市 | 渡月橋目の前、全21室 | 4パビリオン |
| ホテル ラ ヴィーニュ 白馬 | 長野県白馬村 | アルパインリゾート、全38室 | 2024年12月開業 |
| Cuvée J2 Hôtel Osaka | 大阪府大阪市 | 世界初シャンパンホテル、全11室 | 2024年1月開業 |
| 伊豆リトリート 熱川粋光 | 静岡県東伊豆町 | 全16室、源泉掛け流し | 2025年11月リニューアル |
| 小樽旅亭 蔵群 | 北海道小樽市 | 中山眞琴設計、全18室、オールインクルーシブ | 2025年12月リニューアル予定 |
| KEIRIN HOTEL 10 | 岡山県玉野市 | 日本初スタジアム一体型ホテル、全149室 | |
| 礼文観光ホテル 咲涼 | 北海道礼文郡 | シーズンホテル、全100室 | 2025年4月開業 |
| ホテルシーズン日南 | 宮崎県日南市 | オーシャンビュー |
6.2 レストラン
宿泊施設だけでなく、温故知新が運営するレストランでの利用もポイント付与の対象となります。
| 施設名 | 所在地 | 特徴 |
|---|---|---|
| maison owl(メゾン・アウル) | 山口県宇部市 | 石上純也設計、インビテーション制、完全予約制10席 |
| 泡鮨 | 大阪府大阪市 | 鮨×シャンパーニュ、完全予約制10席 |
| ラヴィーニュダイニング フウド | 長野県白馬村 | 日本ワインとローカルガストロノミー |
| 箱根エモアテラス | 神奈川県箱根町 | 箱根ラリック美術館併設 |
| カフェダイニング 茶楓 | 東京都港区 | 智美術館併設、カジュアルフレンチ |
| みやまカフェ プート | 岡山県玉野市 | 道の駅みやま公園併設 |
| カフェレストラン FORQ | 岡山県玉野市 | 玉野競輪場内 |
6.3 オンラインストア
温故知新が運営するオンラインストアでの購入もポイント対象です。
- 温故知新セレクション:各地域の厳選された逸品を販売
- Tisser by okcs:ヴィンテージシャンパーニュのコレクターズショップ
7. 入会方法——どうすれば会員になれるのか
7.1 入会資格
温故知新デスティネーションクラブへの入会資格は以下の通りです。
- 満18歳以上の個人であること
- 法人での申し込みは不可
- 日本国内外を問わず登録可能
7.2 入会手続き
入会は温故知新の公式ホームページから必要事項を登録するだけで完了するようです。入会金・年会費は無料ですので、温故知新グループの施設に興味がある方は、まず会員登録をしておくことをおすすめいたします。
登録後は「会員マイページ」から自身のポイント残高やランクを確認できるとのことです。
8. 良い点・メリット——なぜこの会員プログラムがおすすめなのか
温故知新デスティネーションクラブには、数多くの良い点があります。以下に主なメリットを整理しました。
8.1 【メリット1】ポイントに有効期限がない——生涯型の安心設計
最大のおすすめポイントは、やはりポイントの有効期限がないことでしょう。マリオットボンヴォイやヒルトン・オナーズといった大手プログラムでは、一定期間活動がないとポイントが失効したり、ステータスを維持するために年間の宿泊数を確保する必要があったりします。
しかし、温故知新デスティネーションクラブでは生涯にわたりポイントが積み上がるため、「今年は忙しくて旅行できなかった」という年があっても安心です。これは、マイペースに旅を楽しみたい方にとって大きな利点と言えるでしょう。
8.2 【メリット2】入会金・年会費が完全無料
入会金も年会費も一切かかりません。まずは気軽に登録して、温故知新グループの施設を体験してみることができます。
8.3 【メリット3】公式予約なら利用額の100%がポイント還元
公式サイトや電話での予約であれば、支払い金額の100%がトラベルポイントとして付与されます。例えば、1泊15万円の「瀬戸内リトリート 青凪」に宿泊すれば、それだけで15万ポイント。年に2回利用すれば30万ポイント、約2年で「エクスプローラー」ランクに到達できる計算です。
8.4 【メリット4】OTA経由でもポイントが貯まる
楽天トラベルやじゃらんといったOTAサイト経由の予約でも、30%のポイントが付与されます。OTA側のポイントも貯まることを考えると、ポイント二重取りが可能な良心的な設計です。
8.5 【メリット5】宿泊だけでなくレストラン・オンラインストアも対象
温故知新が運営するレストランやオンラインストアでの利用もポイント対象となるため、宿泊以外でもポイントを貯める機会があります。東京・虎ノ門の「カフェダイニング 茶楓」などは、出張の合間に立ち寄ることも可能でしょう。
8.6 【メリット6】唯一無二の施設で特別な体験ができる
温故知新グループの施設は、ミシュラン1キーを獲得した「瀬戸内リトリート 青凪」「五島リトリート ray」をはじめ、いずれも他に類を見ない個性的な宿ばかりです。大手チェーンホテルにはない「その地でしか味わえない体験」を求める方にとって、これ以上ないおすすめの選択肢と言えます。
9. 悪い点・デメリット——知っておくべき注意点
一方で、温故知新デスティネーションクラブにはいくつかの欠点も存在します。正直にお伝えしますので、入会を検討される際の参考にしてください。
9.1 【デメリット1】ポイントを宿泊代金に充当できない
最も大きなデメリットは、トラベルポイントを宿泊代金の支払いや割引に使用できないという点です。
会員規約には「トラベルポイントは、金銭的価値を有するものではなく、代金の支払、割引、または他の経済的利益の提供に充当することはできません。トラベルポイントは、会員ランクの判定にのみ利用されるものとします」と明記されています。
つまり、ポイントを貯めても「次の宿泊が無料になる」「〇〇%割引になる」といった直接的な金銭的メリットはないということです。この点は、マリオットやヒルトンのポイントプログラムとは大きく異なる点ですので、おすすめしない方にとっては物足りなく感じるかもしれません。
9.2 【デメリット2】上位ランクの特典内容が具体的に公開されていない
2025年11月の発足直後ということもあり、各ランクで具体的にどのような特典が受けられるのか、詳細な情報がまだ十分に公開されていないようです。「コンシェルジュサービス」「特別なおもてなし」といった抽象的な表現にとどまっており、例えば「部屋のアップグレード確約」「レイトチェックアウト」「朝食無料」といった具体的な特典内容は明らかにされていません。
9.3 【デメリット3】上位ランクへの到達ハードルが高い
「ストーリーテラー」になるためには累計300万ポイント(公式予約で300万円分の利用)、最上位の「アンバサダー」には2,000万ポイント(同2,000万円分)が必要です。いくらポイントに有効期限がないとはいえ、一般的な旅行者がこれらのランクに到達するのは容易ではありません。
9.4 【デメリット4】対象施設が限られている
温故知新グループの施設は全国に約15施設程度であり、マリオット(約8,500施設以上)やヒルトン(約7,000施設以上)といったグローバルチェーンと比較すると、選択肢は限られます。また、施設の多くが地方や離島に位置しているため、都市部での利用機会は少ないと言えるでしょう。
9.5 【デメリット5】サービス開始直後で口コミ・評判が少ない
2025年11月25日にスタートしたばかりのプログラムであるため、実際に利用した方の口コミや評判がまだほとんど存在しません。サービスの実態は今後徐々に明らかになっていくものと思われます。
10. こんな方におすすめ/おすすめしない方
10.1 おすすめしたい方
以下のような方には、温故知新デスティネーションクラブへの入会を強くおすすめいたします。
① 温故知新グループの施設のファン すでに「瀬戸内リトリート 青凪」「壱岐リトリート 海里村上」などを利用したことがあり、また訪れたいと考えている方。入会は無料ですので、登録しておいて損はありません。
② 地方・離島の上質な宿を好む方 大手チェーンホテルよりも、その土地ならではの個性的な宿を好む「宿にこだわる旅好き」の方。温故知新の施設はいずれも「旅の目的地」となる唯一無二の体験を提供しています。
③ ミシュラン評価の高いホテルに泊まりたい方 ミシュラン1キーを獲得した施設が複数あり、クオリティの高さは折り紙付きです。
④ 頻繁に旅行はしないが、年に数回の旅を大切にしたい方 生涯累計型でポイントに有効期限がないため、マイペースに旅を楽しむ方にも向いています。
⑤ 建築・アート・食に興味がある方 安藤忠雄、石上純也、中山眞琴といった著名建築家の作品に宿泊できる貴重な機会。また、アラン・デュカス監修のレストラン「MUNI ALAIN DUCASSE」など、美食も楽しめます。
10.2 おすすめしない方
一方、以下のような方にはあまりおすすめできないかもしれません。
① ポイントで無料宿泊したい方 トラベルポイントは宿泊代金に充当できないため、ポイントを貯めて無料宿泊を目指したい方には向いていません。
② 全国どこでもポイントを貯めたい方 対象施設は限られており、都市部での利用機会は少ないです。出張などで頻繁にビジネスホテルを利用する方は、大手チェーンのプログラムの方が適しているでしょう。
③ 即座に具体的な特典を得たい方 上位ランクに到達するまでには相応の利用が必要であり、すぐに目に見える特典を得られるわけではありません。
11. 旧会員制度「okcs PRIVILEGE CLUB」との比較
11.1 旧制度の概要
温故知新は2022年5月に「okcs PRIVILEGE CLUB(オックス・プリビレッジクラブ)」という会員制度を立ち上げていました。
旧制度では、宿泊数に応じて以下の3つのステージが設けられていました。
| ステージ名 | 条件 |
|---|---|
| Discoverer(ディスカバラー) | ~4泊 |
| Storyteller(ストーリーテラー) | 5泊以上 |
| Evangelist(エバンジェリスト) | 招待制 |
11.2 新制度との違い
新しい「温故知新デスティネーションクラブ」と旧制度を比較すると、以下のような変化があります。
| 項目 | 旧制度(okcs PRIVILEGE CLUB) | 新制度(温故知新デスティネーションクラブ) |
|---|---|---|
| 基準 | 宿泊数ベース | 利用金額(ポイント)ベース |
| ステージ数 | 3段階 | 4段階 |
| ランク名 | Discoverer, Storyteller, Evangelist | トラベラー, エクスプローラー, ストーリーテラー, アンバサダー |
| 対象 | 宿泊のみ | 宿泊・レストラン・オンラインストア |
| ポイント有効期限 | 不明 | なし(生涯累計) |
新制度では、宿泊数ではなく利用金額がベースとなったため、高単価の施設をより頻繁に利用する方が優遇される仕組みになったと言えるでしょう。
12. 大手ホテルチェーンの会員プログラムとの比較
12.1 主要プログラムとの比較表
温故知新デスティネーションクラブの特徴をより明確にするため、大手ホテルチェーンの会員プログラムと比較してみましょう。
| 項目 | 温故知新デスティネーションクラブ | マリオットボンヴォイ | ヒルトン・オナーズ |
|---|---|---|---|
| 入会費・年会費 | 無料 | 無料 | 無料 |
| 対象施設数 | 約15施設 | 約8,500施設以上 | 約7,000施設以上 |
| ポイント付与率 | 100%(公式予約) | 10ポイント/$1~ | 10ポイント/$1~ |
| ポイント有効期限 | なし | 24ヶ月無活動で失効 | 24ヶ月無活動で失効 |
| ポイント利用 | ランク判定のみ | 無料宿泊等に交換可 | 無料宿泊等に交換可 |
| ライフタイム制度 | 全ランク生涯累計 | 一部あり | 一部あり |
| 施設タイプ | デスティネーションホテル特化 | 多様(都市〜リゾート) | 多様(都市〜リゾート) |
12.2 温故知新デスティネーションクラブの独自性
上記の比較から、温故知新デスティネーションクラブの独自性が浮き彫りになります。
強み
- 全ランクで生涯累計型を採用しており、ポイント失効の心配がない
- 唯一無二の「デスティネーションホテル」に特化している
- 地域に根ざした体験価値を重視している
弱み
- ポイントを宿泊代金に充当できない
- 対象施設数が限られている
- グローバルな利用には向かない
13. 温故知新グループ施設の口コミ・評判
温故知新デスティネーションクラブを利用する価値があるかどうかは、そもそも温故知新グループの施設が魅力的かどうかにかかっています。各施設の口コミ・評判を調査しました。
13.1 瀬戸内リトリート 青凪
- 総合評価:10点中9.6(Booking.com)
- 「スタッフの方が皆さん、とても優しく感じ良かった」「他とは違う空間の中でとてもリフレッシュできた」
- 「7年ぶりの再訪。お食事も美味しく、前回と同じくプールやサウナを楽しめた」
- 「大変贅沢な気分になれる。ソムリエ常駐で料理とのペアリングも楽しめた」
13.2 五島リトリート ray
- 総合評価:5.0中4.9(じゃらん)
- 「全て良かったとしか言えない。思い出に残る新婚旅行になった」
- 「ロケーションが抜群で、地産地消のご飯もとても美味しかった」
- 総合評価:10点中9.1(Agoda)
13.3 壱岐リトリート 海里村上
- 総合評価:5.0中5.0(じゃらん)
- 「海を望む立地で、料理も一流、接客態度もとても丁寧」
- 「支配人自ら早朝のせり見学に連れて行ってくれた」
- 「壱岐の素晴らしさを堪能し、本当に壱岐が好きになった」
13.4 MUNI KYOTO
- 総合評価:10点中9.5(Trip.com)
- 「部屋は広くて美しく、景色はとても良く、サービスはとても良い」
- 「渡月橋を一望できる絶好のロケーション」
- ミシュラン1キー掲載
13.5 箱根リトリート villa 1/f
- 「ホスピタリティの高さにとても大満足」「値段以上の体験をさせていただいた」
- 「温泉のゆらめきに1/fのゆらぎを感じ取っていただけた」
- 一部では清掃や設備面での指摘もある
全体的に、温故知新グループの施設は非常に高い評価を得ていることがわかります。特に「スタッフの対応」「料理の質」「唯一無二の空間」への評価が高く、ミシュランガイドでの評価とも整合性があります。
14. Q&A——よくある質問と回答
Q1. トラベルポイントは何に使えますか?
A. トラベルポイントは会員ランクの判定にのみ使用され、宿泊代金の支払いや割引には充当できません。ポイントを貯めることでランクが上がり、上位ランクになるとコンシェルジュサービスや特別なおもてなしなどの特典を受けられます。
Q2. 入会に費用はかかりますか?
A. 入会金・年会費ともに完全無料です。18歳以上の個人であれば、どなたでも無料で入会できます。
Q3. OTAサイトで予約してもポイントは貯まりますか?
A. はい、楽天トラベルやじゃらん、Booking.comなどのOTAサイト経由でもポイントは付与されます。ただし、付与率は利用額の30%となり、公式予約(100%)よりも低くなります。
Q4. 旅行代理店のツアーでもポイントは貯まりますか?
A. 団体ツアーでの利用はポイント付与の対象外です。OTAでの宿泊+交通セット予約の場合は、1予約あたり5,000ポイントが付与されます。
Q5. 家族の利用分もポイントになりますか?
A. トラベルポイントは会員本人が代表利用者(チェックイン時に宿泊者名簿へ代表者として署名した方)として利用した場合にのみ付与されます。
Q6. ランクはダウンすることがありますか?
A. 「トラベラー」「エクスプローラー」の下位ランクはダウンしませんが、「ストーリーテラー」「アンバサダー」の上位ランクは、ランクアップ日から1年間の獲得ポイントが100万ポイント以下の場合、ひとつ下のランクに降格します。
Q7. 退会した場合、ポイントはどうなりますか?
A. 退会または会員資格を喪失した場合、保有するトラベルポイントは全て失効します。
Q8. 法人でも入会できますか?
A. いいえ、法人での申し込みはできません。個人のみが対象です。
Q9. MUNI KYOTOも対象施設ですか?
A. はい、京都嵐山の「MUNI KYOTO」も対象施設に含まれています。アラン・デュカス監修レストランでの食事でもポイントが貯まります。
Q10. 今後、対象施設は増えますか?
A. 温故知新は今後も複数の新規開業を予定しており、対象施設は拡大していく見込みです。2025年には若狭湾エリアでのオーベルジュプロジェクトも発表されています。
15. トラベルライターTAKAの独自考察——温故知新デスティネーションクラブの真価と今後の展望
ここからは、私TAKAがトラベルライターとしての独自の視点から、温故知新デスティネーションクラブの真の価値と今後の展望について考察してみたいと思います。
15.1 「ポイントを使えない」ことの意味
多くの方が「ポイントを宿泊代金に使えない」という点をデメリットと感じるかもしれません。しかし、私はこの設計に温故知新の明確な哲学を感じます。
温故知新が提供しているのは「値引き」や「お得感」ではなく、「かけがえのない体験価値」なのです。安藤忠雄設計の空間で瀬戸内の夕陽を眺めること、壱岐の漁港で早朝のせりを体験すること、京都嵐山で渡月橋を眼前に見ながらアラン・デュカスの料理に舌鼓を打つこと——これらの体験は、10%や20%の割引で得られる満足とは質が異なります。
温故知新は「ポイントで安く泊まれる宿」ではなく、「人生の特別な瞬間を彩る宿」として選ばれることを目指しているのではないでしょうか。会員プログラムの設計からも、その姿勢が一貫して感じられます。
15.2 「生涯累計型」が示す長期的な関係性
生涯累計型のポイントシステムは、単なる顧客囲い込み戦略を超えた意味を持っていると考えます。
プレスリリースには「地域とお客様が継続的につながる仕組みをつくること」が会員プログラム発足の背景として記されています。温故知新は、一度訪れたゲストとの関係を「一期一会」で終わらせるのではなく、「10年後、20年後も一緒に地域の魅力を発見し続けるパートナー」として位置づけているのです。
年に1回、いや数年に1回でも構わない。人生の節目に——還暦のお祝いに、子どもの成人のお祝いに、あるいは自分へのご褒美に——温故知新の宿を訪れる。そうした長いスパンでの関係性を前提とした設計だからこそ、ポイントに有効期限を設けていないのでしょう。
15.3 野村不動産との提携がもたらす可能性
2025年10月に野村不動産との資本業務提携が発表されました。これにより、温故知新の施設数は今後さらに増加する可能性があります。
野村不動産は「NOHGA HOTEL」などのブティックホテルを展開しており、温故知新との協業によって都市部での施設展開も進むかもしれません。そうなれば、現在の「対象施設が限られている」というデメリットも解消されていく可能性があります。
15.4 インバウンド需要への対応
温故知新のミシュラン評価の高さは、国内旅行者だけでなく、訪日外国人観光客(インバウンド)にとっても大きな魅力です。実際、MUNI KYOTOやCuvée J2 Hôtel Osakaは海外からのゲストも多いと言われています。
デスティネーションクラブが多言語対応を進め、海外在住の日本ファンにも門戸を開けば、さらに大きな成長が期待できるでしょう。
15.5 日本のホテル業界における意義
最後に、日本のホテル業界全体における温故知新デスティネーションクラブの意義について触れておきたいと思います。
これまで日本の国内ホテルチェーンで、ここまで本格的な生涯型ロイヤリティプログラムを展開している例は稀でした。星野リゾートの「HOSHINOYA」などのハイエンドブランドでも、マリオットやヒルトンに匹敵するような体系的な会員プログラムは構築されていません。
温故知新がこうしたプログラムを立ち上げたことは、日本のホスピタリティ業界に一石を投じるものと言えるでしょう。今後、他の国内ホテルチェーンも追随して独自のロイヤリティプログラムを展開するきっかけになるかもしれません。
16. まとめ——「旅の目的地」を追い求める方へ
温故知新デスティネーションクラブは、従来のホテル会員プログラムとは一線を画す、極めてユニークな存在です。
「ポイントで無料宿泊」という直接的なメリットはありませんが、生涯にわたってポイントが失効しない安心感、唯一無二の施設での特別な体験、そして「地域の光」と出会い続けるための仕組みとして設計されています。
大手チェーンの効率的なポイントプログラムを求める方には向かないかもしれません。しかし、「宿そのものを旅の目的地にしたい」「その土地でしか味わえない体験を大切にしたい」という方にとっては、入会しない理由が見当たらないプログラムだと言えます。
入会金・年会費は無料です。まずは会員登録をして、次の特別な旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか。瀬戸内の凪、五島の祈り、壱岐の恵み、京都嵐山の景色——温故知新の施設が紡ぎ出す「地域の光」が、あなたの旅を特別なものにしてくれるはずです。









