- 2023-9-26
- 旅行 プレスニュース
先史時代から現代に至るウィーンの歴史を網羅する市立博物館が、床面積を約2倍に拡張して生まれ変わります。
リリース発表日:2023年9月26日 10時00分
ウィーン・ミュージアムは1959年に設立された市立博物館組織で、2023年9月現在、21の博物館・史跡を運営しています。なかでもカールスプラッツ広場に位置する「ウィーン・ミュージアム・カールスプラッツ本館」は中核施設であり、単に「ウィーン・ミュージアム」と呼ぶ場合はこの本館を指します。
約2000年間のウィーン市史を網羅する本館は、所蔵品増加と老朽化を理由とした改修・拡張工事のため、2019年2月4日に一時閉館しました。これに伴って同年に約300点の主要作品を輸送して開催された特別展『ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道』(東京・国立新美術館)が話題を呼んだことから、日本でも馴染みの深い博物館です。
■プロジェクト概要とサステナビリティ
今回の改修工事は、世界26カ国の274企業が参加したコンペによって選出されたオーストリアの建築事務所「チェルトフ、ヴィンクラー+ルック(Certov, Winkler +Ruck)」社が中心となり、2020年6月に着工しました。1億800万ユーロ(約168億5000万円)のプロジェクト予算はウィーン市が調達しました。
この改修工事により、博物館の正味床面積は6900平方メートルから1万2000平方メートルと約2倍になりました。このうち、約3,000平方メートルが常設展示会場(改修前は2,000平方メートル)に、1,200平方メートルが企画展示会場に使用されます。
また、博物館のエネルギー効率も大幅に改善しました。冷暖房には地熱を利用し、太陽電池と高性能断熱材を設置することで、運営全般に必要な電力をほぼ自給できるようになりました。
■リニューアルの主要ポイント
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新設の「フローティング・フロア」と一般開放エリア
外観上の最大の特徴は、既存の建物の上に浮かぶような形で増築された4階、通称「フローティング・フロア」です。装飾を削ぎ落とした打ち放しコンクリート素地仕上げで、企画展会場として利用される予定です。フローティング・フロアと既存の建物の間には一般開放のテラスが設けられ、1739年に完成したバロック様式のカール教会を眼前にした眺望を楽しむことができます。テラスには、カフェとイベントスペース、瞑想スタジオも併設されます。
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既存の建物は全域が常設展示会場に
既存の3階建ての建物は、すべて常設展の展示室となり、1階(古代ローマ時代)から3階(現代)へと上がりながら約2000年間のウィーンの歴史を俯瞰する観覧ルートが設けられます。常設展の内容も、これを機に一新しました。
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周辺地域に溶け込む地階エリア
今回の改修工事は、周辺地域との親和性を高めることも目的の一つでした。エントランスには開放感のあるガラスのパビリオンを、博物館前には広場とテラス付きレストラン(モダン・ウィーン料理)を設けることにより、地域と博物館との間の心理的な垣根を取り払いました。
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新たなマスコット、クジラのポルディ
かつてアトリウムと呼ばれていたエリアは、高さ25メートルの中央ホールに改修されました。ここには、かつてプラーター公園のレストランに飾られていた全長10メートル、重さ1.7トンのクジラの模型「ポルディ」をはじめ、19世紀の華麗な市長用馬車、シュテファン大聖堂の模型、18世紀に造られたドンナーの泉の彫刻などの大型オブジェが展示されます。
ウィーン市観光局のプレス担当マティアス・シュヴィンドルは、「ウィーン・ミュージアム・カールスプラッツ本館がついに再オープンを迎えることを、大変嬉しく思っています。新たな視線で街の歴史を知り、新しいテラスからの眺望をお楽しみください」と話しています。
■今後の主な予定
2023年12月6日:グランドオープン・常設展公開
2024年2月1日~4月28日:特別展『ヨハン・ベルンハルト・フィッシャー・フォン・エルラッハ』
博物館に隣接するカール教会をはじめ、シェーンブルン宮殿、オーストリア国立図書館などを設計したハプスブルク宮廷建築家の回顧展。
2024年5月22日~10月13日:特別展『分離派:クリムト、シュトゥック、リーバーマン』
1900年前後にウィーン、ミュンヘン、ベルリンで展開された分離派(セセッション)運動に焦点を当てる。
■ウィーン・ミュージアム・カールスプラッツ本館 Wien Museum Karlsplatz
位置:https://maps.app.goo.gl/ihEoAJHRQcdLeWp5A (Google Map)
公式サイト:https://www.wienmuseum.at/en/locations/wien-museum-karlsplatz
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