検索すると「ベトジェット 安全性」と表示される理由をHOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説

ベトジェットエアの安全性が話題になる理由とは?

こんにちは、旅行系WEBメディア「HOTTEL」の旅行記者TAKAです。近年、格安航空会社(LCC)として日本とベトナムを結ぶ主要な航空会社として注目を集めているベトジェットエアですが、ネット検索では「ベトジェット 安全性」というキーワードが頻繁に表示されることにお気づきの方も多いのではないでしょうか。今回は、なぜこのような検索が多くなっているのか、その理由や背景について、できるだけ多くの評判を参考にして調査しわかりやすく簡単に解説します。

ベトジェットエアとは?基本情報から理解する

ベトジェットエアは2007年に設立され、2011年から運航を開始したベトナム初の民間航空会社です。現在では40以上の目的地にサービスを提供し、日本からは成田、関西、中部などの空港からベトナムのハノイ、ホーチミン、ダナンへの直行便が就航しています。

特筆すべき点として、CEOのグエン・ティ・フオン・タオ氏は東南アジア初の女性ビリオネア(資産10億ドル以上の富豪)で、4人の子どもを育てながらベトジェットエアを急成長させた実業家として知られています。2024年9月時点では全111機の機材が登録されており、平均機体年齢が2.7年と非常に若く、ベトナムで最も新しく、アジア太平洋地域でも最新の航空機を保有しているとされています。

安全性が話題になる背景:過去のインシデントと特別監査

ベトジェットエアの安全性が検索される最大の理由は、過去に発生した複数のインシデントと、それに伴うベトナム交通運輸省による特別監査措置にあります。

2018年の事故多発と特別監査

最も大きな転換点となったのは2018年のことです。この年の10月から12月の3ヶ月間で、ベトジェットエア機による事故が7件も発生しており、このうち5件が技術的な故障、2件が関係者の作業ミスによるものでした。特に深刻だったのは、11月29日にバンメトート空港で発生した胴体着陸事故と、12月25日にカムラン国際空港で発生した工事中の滑走路への着陸事故でした。

これらの事故を受けて、ベトナム交通運輸省は2018年12月28日から2019年1月15日まで、ベトジェットエアを18日間の特別監査対象とすることを決定しました。7つのミッション団が発足され、運航スケジュールの策定やグランドサービス、保守・メンテナンス、人員確保、パイロットの訓練などを総合的に検査することとなりました。

最近のインシデント

安全性への懸念は過去のものだけではありません。2025年5月11日には、ベトジェットエア機が滑走路から外れる事故が報告されています。この事件では、右主脚のタイヤ2本が芝生の端から外れ、25R滑走路縁石灯を破損していたことが判明し、ベトナム民間航空局はベトジェットエアに対し、包括的な技術検査と調査のため、当該機の運航を一時停止するよう要請しています。

また、2025年5月7日には、ハノイからホーチミンシティへ向かうベトジェット機(VJ1149便)がタンソンニャット国際空港での着陸時に技術的なインシデントに遭遇しました。強い横風と悪天候(大雨と雷雨)の中での着陸で、着陸装置にタイヤのひび割れや草の破片、滑走路照明設備への影響が確認されました。

現在の安全性評価:国際的な評価機関による高い評価

一方で、これらの過去のインシデントとは対照的に、現在のベトジェットエアは国際的な安全評価機関から非常に高い評価を受けています。

エアラインレーティングスによる最高評価

世界で最も権威ある航空安全・製品格付けサイト「エアラインレーティングス」による評価では、ベトジェットエアは2025年も「世界で最も安全な航空会社の1つ」に選出されています。さらに注目すべき点として、2018年以来、7つ星という最高の安全評価を継続的に維持しているとのことです。

エアラインレーティングスは世界中の385社以上の航空会社を、過去2年間の飛行安全記録、航空機の老朽化、技術的な信頼性指標、国際民間航空機関(ICAO)の基準への準拠などの厳格な基準に基づいて評価しています。その評価で最高ランクを獲得しているということは、客観的に見て安全性に問題がないことを示しています。

同社のCEOであるシャロン・ピーターセン氏は「ベトジェットの機材はベトナムで最も新しく、アジア太平洋地域でも最新の航空機を特徴としています。長年にわたるベトジェットの安全記録は、その優れた成果を物語っています」とコメントしています。

IATA運航安全監査(IOSA)認証の取得

ベトジェットエアは2015年に国際航空運送協会(IATA)の運航安全監査プログラム(IOSA)認証を取得しており、これは全世界の航空会社のうちわずか16%しか取得していない極めて権威ある認証です。IOSA認証は、航空会社が安全な運航を提供するという約束の確認として機能し、IOSA規準マニュアルに記載された原則に基づいた評価システムです。

ベトジェットエアの技術的信頼性比率は99.7%という非常に高い数値を記録しており、これはアジア太平洋地域でもトップクラスの数字とされています。

運航面での課題:遅延率の高さとサービス品質

安全性では高い評価を受けているベトジェットエアですが、運航面では多くの課題を抱えているのが現実です。

高い遅延率が最大の課題

ベトジェットエアが「最悪」という評判を受ける最大の理由は、遅延と欠航の多さ、そしてその際の対応に関するものが大半を占めています。2024年のデータによれば、ベトジェットエアの定時運航率は63.0%と、ベトナムの航空会社6社の中で最も低い数値となっています。

2025年2月のベトナム民間航空局(CAAV)のレポートによると、ベトジェットエアは9,825便を運航したうち、4,680便が定時出発できなかったとされています。これは約50%近くのフライトで何らかの遅延が発生していることを意味します。

実際の利用者の体験談でも、「3時間も遅延した」、「当日朝遅延のメッセージが届き、空港でも更に遅延」、「機材繰で2時間の遅延」といった声が数多く寄せられています。

遅延の主な原因

遅延の主な原因として、航空機の到着遅れが最も多く、ベトジェットエアは2,418件の遅着便を記録しています。また、タンソンニャット空港のような狭い空港では、1便の遅延が連鎖的に他の便に影響を与える構造的な問題も指摘されています。

さらに、2025年4月には地上支援サービスの移管に伴う混乱も発生しており、サイゴン・グラウンド・サービス(SAGS)からベトジェットエアへの地上業務移管が4月20日深夜に行われた際、新ターミナル3の運用開始と重なり、空港内外で渋滞が発生しました。

サービス品質評価:Skytraxによる3つ星評価

国際的な航空会社評価機関であるSkytraxによる評価では、ベトジェットエアはLCC(格安航空会社)として3つ星の認定を受けています。この評価は座席、アメニティ、ケータリング、機内エンターテインメント、清潔さ、客室乗務員および地上スタッフのサービス品質を総合的に判断したものです。

Skytraxの評価コメントでは「ベトジェットエアの機内座席基準は、アジアの多くのLCCと同等で、短距離フライトでは問題ないが、長距離路線では快適性に欠ける。食事・飲み物の選択肢と価格は合理的だが、品質の一貫性に欠ける。スタッフサービスの水準は顧客接点によって大きく異なり、遅延や欠航時の対応は特に弱い」と指摘されています。

ベトジェットエアの良い点とメリット

圧倒的なコストパフォーマンス

ベトジェットエアの最大のメリットは、何と言ってもその料金の安さです。実際の価格例を見ると、関西-ハノイ間が往復3万円台、成田-ホーチミン間が往復約3万円という破格の料金設定となっています。「成田→ホーチミン→ダナン→ハノイ→成田」という周遊プランでも38,780円という価格が実現されており、これは他の航空会社では考えられない圧倒的なコストパフォーマンスです。

路線網の充実とアクセスの良さ

日本からベトナムへのアクセスとしては、成田、羽田、関西、中部、福岡、広島、名古屋の各空港からハノイ、ホーチミン、ダナンへの直行便が運航されており、地方都市からのアクセスも良好です。JALとのコードシェア便も運航しており、LCCでありながらある程度の信頼性が担保されているといえるでしょう。

新しい機材による快適性

平均機齢2.7年という非常に新しい機材を使用しており、最新の安全技術が搭載されています。2024年には10機の新しいエアバス機を追加し、現在は計115機体制で運航されています。新しい機体は故障のリスクが低く、燃費効率も良好で環境にも配慮されています。

遅延時の補償制度

近年では遅延時の対応も改善されており、遅延時にはミールクーポンの提供や、2時間以上の遅延に対して国内線で50万ドン(約1,500円)、国際線で100万ドン(約3,000円)の電子バウチャーを提供する補償システム「スカイケア」が導入されています。

ベトジェットエアの悪い点とデメリット

高い遅延率による旅程への影響

最大のデメリットは、約50%近くという高い遅延率です。「時間をきっちり決めている場合や急ぎの場合は、ベトジェットエアは不向き」という指摘があるように、ビジネス利用や乗り継ぎがタイトなスケジュールには適さないという欠点があります。

実際の利用者からは「便の変更を依頼するが、変更できないと断られた」、「当日朝、時間変更が送られてくると、空港ではオリジナルの出発時間も変更されていた」といった声があり、遅延時の対応に不満を感じる利用者が多いようです。

カスタマーサポートの課題

トラブル発生時のカスタマーサポートになかなか繋がらないという問題も指摘されています。「カスタマーサポートに電話は全く繋がらず」という体験談もあり、緊急時の対応に不安を感じる利用者も少なくないようです。

サービス品質の不安定さ

Skytraxの評価でも指摘されているように、「スタッフサービスの水準は顧客接点によって大きく異なる」という問題があります。客室乗務員の英語力の問題や、予約システムの使いにくさを指摘する声もあり、サービス品質の一貫性に課題があることは否めません。

おすすめできる方・おすすめできない方

おすすめしたい方

価格重視の旅行者:何よりもコストパフォーマンスを重視し、多少の不便は許容できる方には非常におすすめです。特に学生や若い世代の旅行者には、この価格の安さは大きな魅力となるでしょう。

時間に余裕のある旅行者:「時間に余裕をみた方が安心」というアドバイスがあるように、前後のスケジュールに余裕を持てる方には適しています。

東南アジア周遊旅行者:複数都市を巡る周遊旅行では、その路線網の充実さが威力を発揮します。特にベトナム国内の移動では「ベトジェットが最有力候補」という声もあります。

おすすめしない方

ビジネス利用者:「急ぎの場合は、ベトジェットエアは不向き」という指摘があるように、重要な商談やタイトなスケジュールでの移動には適しません。

乗り継ぎ時間の短い旅行者:高い遅延率を考慮すると、「乗り継ぎは4時間以上見ておいた方がよい」という意見があり、タイトな乗り継ぎには不安があります。

高いサービス品質を求める方:フルサービスキャリアのような手厚いサービスを期待する方には向いていないでしょう。

安全性への取り組みと将来展望

現在のベトジェットエアは、過去のインシデントを教訓として安全性の向上に積極的に取り組んでいます。ベトジェット・アビエーション・アカデミー(VJAA)を通じて高度な技能を持つ航空人材の育成に力を入れており、国際航空運送協会(IATA)のトレーニングパートナーとして認定されています。

また、トレーニング、メンテナンス、エンジニアリングへの継続的な投資により、技術的信頼性99.7%という高い水準を維持しています。これらの取り組みが国際的な評価機関からの高い安全性評価につながっていると考えられます。

まとめ:適切な期待値での利用がカギ

ベトジェットエアの安全性が検索される理由は、過去のインシデントの記憶と現在の運航面での課題(特に遅延率の高さ)が混在していることにあります。しかし、客観的なデータを見る限り、現在の安全性については国際的に高い評価を受けており、過度に心配する必要はないというのが専門家としての見解です。

重要なのは、適切な期待値を持って利用することです。圧倒的な価格の安さという大きなメリットがある一方で、定時性やサービス品質には課題があることを理解した上で利用すれば、十分に満足できる航空会社と言えるでしょう。

特に、時間に余裕があり、コストパフォーマンスを重視する旅行者にとっては、ベトジェットエアは魅力的な選択肢です。「価格重視な方にはオススメ!スケジュールには余裕をもって!」という利用者の声が、この航空会社の特徴を端的に表していると思います。

最終的に、ベトジェットエアは「完璧ではないが、価格を考えれば十分に価値のある航空会社」として評価できるのではないでしょうか。安全性については国際基準をクリアしており、適切な利用方法を理解すれば、東南アジア旅行の強い味方となってくれることでしょう。