検索すると「チェジュ航空危ない」と表示される理由をHOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説
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旅行系WEBメディア「HOTTEL」の旅行記者TAKAです。近年、チェジュ航空について検索すると「危ない」という関連キーワードが表示されることが多くなっています。できるだけ多くの評判や口コミ、専門機関の報告を参考にして調査し、その理由と実態についてわかりやすく簡単に解説します。
結論から申し上げますと、2024年12月29日に発生した重大な航空事故と、それ以前から続いている整備遅延や運航遅延の問題が主な要因のようです。しかし、これらの問題を理解した上で利用すれば、コストパフォーマンスに優れた選択肢として活用できる航空会社でもあると言われています。
2024年12月29日の重大事故が与えた影響
チェジュ航空に対する安全性への懸念が急激に高まった最大の要因は、2024年12月29日に韓国の務安国際空港で発生した航空事故です。この事故では、タイのバンコクから韓国に向かっていたチェジュ航空2216便(ボーイング737-800型機)が胴体着陸に失敗し、滑走路をオーバーランして空港施設に衝突、炎上しました。
乗員・乗客181人のうち179人が死亡するという、韓国航空史上最悪の事故となったのです。この事故は世界中で大きく報道され、チェジュ航空の安全性に対する疑問の声が一気に高まりました。事故後わずか24時間で、同航空会社の航空券約6万8000枚がキャンセルされたと報告されています。
事故の原因として、バードストライク(鳥衝突)が有力視されています。事故機の両エンジンから冬季の渡り鳥であるトモエガモのDNAが検出されており、鳥の群れとの衝突により両エンジンが機能停止し、着陸装置も展開できない状態で胴体着陸を試みたものの失敗したと推測されています。
慢性的な整備遅延問題の深刻性
事故以前から、チェジュ航空は整備遅延の問題で業界関係者の間では懸念視されていました。韓国国土交通部の資料によると、2024年上半期において、航空機整備を理由とした遅延件数は韓国の航空会社の中で最も多く、5万2883便のうち536便で整備遅延が発生したようです。
整備遅延率は1.01%に達し、これは韓国国内平均の0.64%を大幅に上回る数値となっています。大韓航空やアシアナ航空の整備遅延率が0.5%未満であることを考えると、チェジュ航空の整備体制に何らかの問題があることが推測されます。
この問題の背景には、収益性向上のための機体稼働率の引き上げがあると指摘されています。2024年第3四半期において、チェジュ航空の旅客機1機当たりの月平均運航時間は418時間と韓国のLCC(格安航空会社)の中で最も長く、事故機も事故前48時間で13回の運航を行っていたようです。
整備士の労働環境についても深刻な問題が指摘されており、チェジュ航空の整備士を名乗る人物がSNS上で「整備士は夜間に13〜14時間働く。他の航空会社に比べて1.5倍多い仕事量」と劣悪な職場環境を訴えていると報告されています。
運航遅延の常習化という運営上の課題
整備遅延以外にも、チェジュ航空は運航遅延でも悪名高い航空会社として知られています。2023年1月から7月の期間における国内線の遅延率は23.8%、国際線は21.18%を記録し、これは10機に2機以上が遅延していることを意味します。
遅延の主な原因は「航空機接続問題」とされていますが、具体的な問題の詳細は公開されておらず、被害は旅行者に転嫁されている状況のようです。実際の利用者からも「往復ともに遅延があった。行きは50分遅れ、帰りは15分遅れ。機材到着遅れって?その時間に飛ぶってわかってるのに準備しとけよー!」といった不満の声が上がっています。
2024年の運航状況でも改善は見られず、国籍航空会社の中でエアソウルに次いで2番目に高い遅延率を記録しているようです。このような慢性的な遅延問題は、チェジュ航空の運営体制や機材管理に構造的な問題があることを示唆していると言われています。
過去の事故履歴と安全管理体制の問題
今回の大事故以前にも、チェジュ航空には複数の安全上の問題が指摘されていました。事故機についても、2021年2月17日にソウル金浦空港で離陸時に損傷事故を起こしていたことが後に発覚しています。この件では国土交通部から安全規定違反として課徴金2億2000万ウォンが科されていたにも関わらず、会社側は「航空法上事故でない軽微な事故」として履歴に含めていませんでした。
さらに、2022年11月には今回の事故機が関西国際空港で離陸直後にバードストライクで緊急回航する事故も起こしています。このように、事故機は過去にも複数の安全上のトラブルを経験していたのです。
韓国国会の国政監査でも、チェジュ航空の整備分野の問題が指摘されており、国土交通部は「チェジュ航空の整備遅延率は1%で他の航空会社より高い。チェジュ航空の整備分野常時点検回数を2倍に拡大して安全管理をしている」と答弁していたようです。
利用者から見た実際の評価とサービス品質
一方で、実際にチェジュ航空を利用した旅行者からの評価を見ると、必ずしも全て否定的というわけではありません。多くの利用者が指摘するメリットは、何と言っても航空運賃の安さです。
「セールでとればかなり安く韓国まで行けます」「キャンペーン運賃で8930円で飛ぶことができました」「航空運賃が安いので、かなりお得感のある航空会社でした」といった価格面での高評価が目立ちます。
サービス面では、LCCとしては標準的なレベルを提供しているという意見が多いようです。「短距離路線なら十分です」「LCCだけどそこまで不便は感じなかった」「思ったより快適」といった、期待値に対しては満足という声も聞かれます。
また、日本語対応についても「日本語もできるアテンダントがちゃんとアナウンスまでするのでしっかりしています」という評価があり、言語面でのサービスは一定の水準を保っているようです。
機材と安全性評価の客観的な状況
チェジュ航空が使用している機材は、世界中で広く運用されているボーイング737-800型機です。この機種は「世界中で運用実績のあるB737-800型機を運用しており、大手航空会社と同じほどの安全性を誇っています」と評価されています。
国際的な航空会社安全評価サイト「AirlineRatings.com」では、チェジュ航空の安全性は7段階中「6」という比較的高い評価を受けています。これは韓国の大韓航空やティーウェイ航空、ジンエアー、イースター航空と同ランクで、むしろ大手のアシアナ航空(評価「3」)を上回る数値となっています。
ボーイング737型機についても、「数が多いから事故が目立つだけ」という専門家の見解があります。世界で1万2000機近くが生産されており、民間航空機の4分の1以上を占める機種のため、統計的に事故件数が多く見えるだけで、事故率自体は他の機種と変わらないと説明されています。
航空業界専門家による安全性の見解
航空評論家からは、今回の事故とLCCであることに「関連性は全くない」との見解が示されています。「国連の機関である国際民間航空機関のルールに沿って、各国の当局が航空法というのを決めて色んな規則を決めているので、ほぼ同じルールで運航し整備もしています。そういった意味では基本的には、大手もLCCも安全に関しては遜色はないとしか言いようがない」と説明されています。
バードストライクについても、日本では2023年に1499件発生しており、決して珍しい現象ではありません。今回のケースは「エンジンが左右2基とも止まってしまった極めてまれなケース」であり、通常は「一つのエンジンが故障して停止しても、もう一つのエンジンで安全に飛行して、安全に着陸できるようになっている」とのことです。
チェジュ航空の良い点とおすすめしたい利用者層
チェジュ航空の最大の利点は、圧倒的な価格競争力です。韓国への旅行を格安で実現したい旅行者にとって、これ以上ない選択肢と言えるでしょう。特に、短距離路線である日韓間の路線では、機内で過ごす時間が短いため、LCCの制約もそれほど気にならないというメリットがあります。
また、チェジュ航空は2005年設立の韓国最大のLCCとして、日本の多くの空港に就航しており、アクセスの良さも魅力の一つです。北海道から沖縄まで、全国の地方空港からも直行便が運航されているため、地方在住者にとっては非常に便利な選択肢となっています。
マイレージプログラム「Refresh Point」も独自性があり、「飛行マイル基準ではなく、航空券金額の5%がポイントとして与えられる」システムで、家族や友人へのポイント譲渡も可能という利点があります。
おすすめしたい利用者層としては、価格を最優先に考える旅行者、短期間の韓国旅行を計画している方、地方空港からの直行便を重視する方などが挙げられます。
チェジュ航空の悪い点とおすすめできない利用者層
一方で、チェジュ航空のデメリットとして最も深刻なのは、慢性的な遅延問題です。「往復ともに遅延があった」「機材到着遅れが頻繁」といった利用者の不満が多数報告されており、スケジュールに余裕のない旅行では大きなリスクとなります。
整備遅延率の高さも欠点として挙げられます。他の航空会社と比較して明らかに高い数値を記録しており、これは運航の信頼性に疑問を抱かせる要因となっています。
荷物の取り扱いについても「過去4度スーツケースを破壊されました」「投げてますからね」といった厳しい評価があり、貴重品や壊れやすい物品を預ける際は注意が必要のようです。
おすすめできない利用者層としては、時間に厳格なスケジュールで旅行する必要がある方、高級な荷物を預ける予定の方、安全性を最優先に考える方などが考えられます。
最近の改善努力と将来への期待
注目すべきは、チェジュ航空が最近になって改善努力を見せていることです。2025年第1四半期の整備遅延率は0.73%と、前年同期の1.33%から大幅に改善されています。国内線は1.68%から0.92%に、国際線は0.97%から0.55%に、それぞれ大幅に減少しており、安全管理体制の強化が効果を上げているようです。
全体の遅延率も21.49%と、前年同期の27.11%より5.62ポイント改善されており、運航安定性向上のための取り組みが実を結んでいると評価できます。
このような改善傾向を考慮すると、チェジュ航空は過去の問題を真摯に受け止め、安全性と定時運航の向上に努力していることが伺えます。
結論:適切な理解と利用で価値ある選択肢
「チェジュ航空危ない」という検索結果が表示される理由は、2024年12月の重大事故と、それ以前から続いている整備・運航遅延の問題が主な要因であることが分かりました。これらの問題は確かに深刻であり、利用を検討する際には十分な注意が必要です。
しかし、同時に理解しておくべきなのは、チェジュ航空が提供する圧倒的な価格競争力と、韓国への豊富なルートネットワークという大きなメリットです。最近の改善努力も評価に値するものであり、適切な期待値設定と準備をした上で利用すれば、コストパフォーマンスに優れた選択肢として十分に活用できる航空会社と言えるでしょう。
旅行者の皆さんには、これらの情報を総合的に判断し、ご自身の旅行スタイルや優先順位に合わせて航空会社を選択していただくことをおすすめします。安全性への懸念は理解できますが、改善努力を続ける航空会社として、今後の動向にも注目していきたいと思います。