イマーシブフォート東京は”ガラガラ”とネットで頻繁に検索されている理由はなぜ? HOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説
目次
2024年3月にオープンした東京・お台場の新感覚テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」について、インターネット検索で「ガラガラ」というキーワードが表示される理由について、できるだけ多くの評判や口コミを参考にして調査し、わかりやすく簡単に解説します。没入型体験施設として世界初を謳うこのテーマパークが、なぜ空いている印象を持たれるのか、その背景にある複数の要因を旅行業界の専門的な視点から分析していきます。
結論:ガラガラと言われる5つの主要因
調査の結果、イマーシブ・フォート東京が「ガラガラ」と検索される理由は以下の5つの要因が複合的に作用していると推測されます。
- 時間帯による集客の偏り – 午前中は特に空いており、有料アトラクション利用者が多い時間帯との差が顕著
- 高額な料金設定 – 入場料6,800円に加え、人気アトラクションは追加で3,500円~14,800円が必要
- ターゲット層の限定性 – 主に10~20代をターゲットとした施設設計により、ファミリー層や中高年層の利用が少ない
- コンセプトの理解不足 – イマーシブ体験という新しいエンターテインメント形態への認知度不足
- 立地とアクセスの課題 – お台場という観光地の求心力低下とコロナ後の回復の遅れ
時間帯による混雑状況の極端な差
午前中は施設内がガラガラになる現象
イマーシブ・フォート東京では、開園直後の午前11時台において施設内が非常に空いた状態になると言われています。これは多くの来場者が有料アトラクションの予約時間に合わせて来園するため、無料エリアを利用する人が少なくなることが主な原因のようです。
特に平日の午前中については、「ほとんどの観客が課金アトラクションに行くので、施設内はガラガラで歩きやすい」という状況が報告されており、事件参加者も少なめになる傾向があると言われています。一方で午後からは混雑がピークに達するため、同じ日でも時間帯によって全く異なる印象を受けるのが実情のようです。
混雑する時間帯との対比
テーマパーク業界では、開園直後・昼過ぎ・閉園前の時間帯に人が集中する傾向がありますが、イマーシブ・フォート東京の場合は特に昼過ぎ(13:00~16:00頃)が1日のピークタイムとなっているようです。この時間帯には140分待ちというディズニーランド並みの待ち時間が発生するアトラクションもある一方で、午前中の空き具合との差が激しく、「ガラガラ」という印象を与える要因となっていると考えられます。
高額な料金体系が来場者数に与える影響
基本料金とアドオン課金システム
イマーシブ・フォート東京の料金体系は、基本の1dayパス(大人6,800円、子ども3,000円)に加えて、人気の高いアトラクションには追加料金が必要な仕組みとなっています。例えば「ザ・シャーロック」は3,500円、「江戸花魁奇譚」は9,000円の追加料金が設定されており、実質的な入場料は大人で10,300円~15,800円となるケースが多いようです。
この価格設定について、「正直料金が高いと感じました」「同じ金額を払うならディズニーランドに行く」といった意見が多数寄せられており、価格の高さが来場者数の制限要因となっている可能性があります。特に10~20代の若い人たちにとって入場料6,800円は決して安くないため、リピート来場の障壁となっていると推測されます。
2025年3月からの料金体系変更
2025年3月からは1dayパスが廃止され、コンテンツごとにチケットを購入する仕組みに変更されました。「ザ・シャーロック」は7,800円、「江戸花魁奇譚」は14,800円、新たに登場する「真夜中の晩餐会」は2万円超という価格設定となっており、より高級路線へのシフトが明確になっています。この変更により、気軽に訪問できる施設から、特別な体験を求める顧客向けの施設へと位置づけが変化していると言えるでしょう。
ターゲット層の限定性による集客への影響
主要客層は10~20代の若年層
実際の来場者層を分析すると、観客は高校生~20代が多く、カップルから4人以上の友達グループという構成が中心となっているようです。一方で、小学生の家族連れやシニア層の利用は非常に限定的で、全体の1/10程度の割合に留まっていると報告されています。
このターゲット層の偏りは、アトラクションの年齢制限と密接に関係しています。「今際の国のアリス」は15歳未満体験不可、「ジャック・ザ・リッパー」は15歳未満体験不可、「江戸花魁奇譚」は18歳未満体験不可といった制限があり、ファミリー層が楽しめるコンテンツが限られているのが現状です。
ファミリー層にとっての課題
子連れファミリーにとって、イマーシブ・フォート東京は様々な制約があるようです。年齢制限のあるアトラクションが多いため、「子供連れでは絶対行かない方がいい」「まず絶対に楽しめない」といった厳しい評価も見受けられます。また、ホラー要素やグロテスクな表現を含むコンテンツが多いため、小さな子供には不適切な内容が含まれていることも、ファミリー層の来場を制限する要因となっています。
イマーシブ体験コンセプトの理解不足
新しいエンターテインメント形態への戸惑い
イマーシブ体験という概念自体が、日本ではまだ十分に理解されていないことが、集客に影響を与えている可能性があります。従来のテーマパークのように受け身の姿勢で楽しめると思っていた来場者の中には、主体的に「当事者」になることを求められることに戸惑いを感じる人も多いようです。
「楽しみ方がわからなかった」「CMで見たものと体験できたものとに差を感じ、期待外れだった」といった意見も寄せられており、事前の期待と実際の体験との間にギャップが生じているケースがあると推測されます。特に日本人特有の性格として、恥ずかしさや戸惑いを感じる人が一定数存在することも、リピート来場の障壁となっている可能性があります。
コミュニケーション要素への抵抗感
イマーシブ・フォート東京では、知らない人とチームを組んで脱出ゲームに参加したり、キャストとの積極的なコミュニケーションが求められる場面が多くあります。しかし、「見知らぬ人とチームとかマジ勘弁」「キャストに絡まれるとか」といった反応を示す人も存在し、このような体験型エンターテインメントに慣れていない来場者にとっては敷居が高く感じられる場合があるようです。
立地とアクセスの構造的課題
お台場エリア全体の求心力低下
イマーシブ・フォート東京が立地するお台場エリアは、近年観光地としての求心力が低下していると言われています。東京を訪れたインバウンド観光客の50%以上が渋谷や新宿を訪れるのに対し、お台場への訪問率はわずか16%という状況があります。また、近隣のヴィーナスフォートや大江戸温泉物語が相次いで撤退したことで、お台場全体の集客力が低下していることも影響していると考えられます。
交通アクセスの利便性
一方で、アクセス面では比較的恵まれており、ゆりかもめ「青海駅」直結、りんかい線「東京テレポート駅」から徒歩3分という立地にあります。しかし、都心部からの移動時間や交通費を考慮すると、気軽に訪問できる立地とは言い難い面もあり、これが来場頻度に影響を与えている可能性があります。
施設運営面での課題と改善の取り組み
開業初期の運営課題
開業当初は「アトラクションが少なくて退屈な時間がある」「値段が高い」といった課題が指摘されていました。特に入場料のみで楽しめるアトラクションが3つしかなく、退屈そうに座っている人が多く見られたという報告もあります。また、シャッターが閉まっている部分が多く、施設全体が未完成の印象を与えていた時期もあったようです。
継続的な改善努力
運営側は開業後の課題を受けて、継続的な改善に取り組んでいると言われています。開業から1ヶ月半で新アトラクション「フォルテヴィータ事件簿」を導入し、入場料のみで強烈なイマーシブ体験が得られるよう改良を行ったという報告があります。また、2025年のリニューアルでは「もっと濃密にもっとリッチに進化」をテーマに、より深い没入体験を提供する方向性を打ち出しています。
良い点:イマーシブ・フォート東京のメリットと魅力
革新的な体験価値の提供
イマーシブ・フォート東京の最大の良い点は、従来のテーマパークでは味わえない革新的な体験価値を提供していることです。「人生、全とっかえ。」というキャッチコピーの通り、観客が物語の当事者として演出に巻き込まれる体験は、デジタルコンテンツでは不可能な「生」の良さを凝縮したエンターテインメントと言えるでしょう。
特に有料アトラクションにおいては、非常に高い満足度を獲得しており、「ザ・シャーロック」は初年度で約15万人を動員、「江戸花魁奇譚」はチケット完売率97%、「東京リベンジャーズ」は顧客満足度99%という驚異的な数値を記録しています。これは、ディープな体験を求める顧客層にとって、確実に価値のあるおすすめできるコンテンツが提供されていることを示しています。
演者のクオリティの高さ
来場者からの評価で最も高いのが「演者の演技力の高さ」で、「演者のレベルはディズニーランドにもひけをとらない」という声も聞かれます。約300人のエンターテイナーが働いており、質の高いパフォーマンスを提供していることが、施設の大きな利点となっています。
パフォーマーとの距離の近さも大きな魅力で、「ファンサの鬼」「沼る」といった表現で愛されており、キャストとの濃密なコミュニケーションを楽しめる点は他のテーマパークにはない独自の価値と言えるでしょう。
悪い点:課題とデメリット
高額な料金設定のデメリット
最も指摘されている悪い点は、料金の高さです。基本入場料に加えて有料アトラクションの料金を含めると、1人あたり2万円程度の出費となるケースが多く、特に若年層にとっては大きな負担となっています。食事代も含めると、ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンと比較して割高感があることは否定できません。
ターゲット層の限定性という欠点
年齢制限やコンテンツの特性により、楽しめる客層が限定されていることも大きな欠点です。特にファミリー層にとっては、子供が参加できないアトラクションが多く、「子連れはおすすめしない」という状況になっています。これにより、潜在的な顧客層を大幅に制限していることが、集客面での課題となっています。
おすすめしたい方・おすすめできない方
おすすめしたい方
- イマーシブ体験や演劇に興味がある方:没入型エンターテインメントの魅力を存分に味わえます
- 10~20代の若年層グループ:メインターゲットとして設計されており、最も楽しめる層です
- ミステリーやホラーコンテンツが好きな方:質の高いストーリーテリングと演出を楽しめます
- 特別な体験にお金をかけることを厭わない方:高額でも価値のある体験を求める方には最適です
おすすめできない方
- 小さな子供連れのファミリー:年齢制限により参加できないアトラクションが多数あります
- 受け身で楽しみたい方:積極的な参加が求められるため、従来のテーマパーク感覚では楽しめません
- 予算を抑えたい方:高額な料金設定のため、コストパフォーマンスを重視する方には不向きです
- コミュニケーションが苦手な方:他の参加者やキャストとの交流が必要な場面が多くあります
今後の展望と独自考察
進化する没入型エンターテインメント市場
世界のイマーシブエンターテインメント市場は2024年に約17兆円規模に達し、今後も急成長が見込まれています。イマーシブ・フォート東京は、この成長市場において日本の先駆的な施設として位置づけられており、今後のエンターテインメント業界の発展において重要な役割を果たすと考えられます。
特に注目すべきは、開業当初の想定とは異なり、ライトな体験よりもディープな体験により高い需要があったという点です。これは日本の消費者が、質の高い体験に対して適正な対価を支払う意識を持っていることを示しており、今後のプレミアム体験市場の拡大を予感させる重要な示唆と言えるでしょう。
「ガラガラ」から「感動の最前列」への転換
現在「ガラガラ」というキーワードで検索されるイマーシブ・フォート東京ですが、これは決してネガティブな意味だけではないと推測されます。午前中の空いた時間帯を狙って訪問することで、より深い没入体験を楽しめるというメリットもあり、知る人ぞ知る楽しみ方として定着していく可能性があります。
2025年のリニューアルで掲げられた「さあ、感動の最前列へ」というコンセプトは、量的な集客よりも質的な体験価値を重視する方向性を示しており、今後は「ガラガラ」から「プレミアム」「特別」といったポジティブなキーワードで検索される施設へと変化していくのではないでしょうか。
日本のエンターテインメント業界において、イマーシブ・フォート東京が果たす役割は単なるテーマパークの枠を超えて、新しい体験価値の創造と、エンターテイナーの活躍の場の提供という社会的意義も持っていると考えられます。今後の進化と成長に期待が寄せられる施設として、注目していく価値があると言えるでしょう。