済州島は”やばい”とネットで検索されている理由はなぜ? HOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説
目次
こんにちは、旅行系WEBメディア「HOTTEL」のトラベルライターTAKAです。最近、インターネットで「チェジュ島 やばい」という検索候補が表示されることが多く、読者の皆様から「済州島って本当に危険なの?」「行くのをやめた方がいいの?」といったご質問を多数いただいております。今回は、できるだけ多くのネットの情報を参考にして調査し、この「やばい」という表現の真意について、わかりやすく簡単に解説していきます。
結論:「やばい」の真実とは
まず最初に結論をお伝えしますと、済州島(チェジュ島)の「やばい」という表現は、主に以下の5つの要因から生まれているようです。
- 観光地特有の軽犯罪やトラブルの存在
- 歴史的背景による偏見や誤解
- 物価の高さに対する驚きや不満
- アクセスや交通の不便さ
- 古い情報や誇張された噂の拡散
ただし、これらの問題点があるからといって、済州島が危険な場所というわけではありません。むしろ、韓国のハワイと呼ばれる美しいリゾート地として、多くの観光客に愛され続けている魅力的な観光地なのです。
「やばい」と言われる具体的な理由を詳しく解説
1. 観光地特有の軽犯罪とトラブルについて
済州島が「やばい」と言われる最も大きな理由の一つが、観光地に共通する軽犯罪の存在のようです。
スリや置き引きなどの軽犯罪 済州島は韓国国内外から多くの観光客が訪れるリゾート地であり、残念ながら観光客を狙ったスリや置き引きが発生することがあるようです。特に空港周辺、有名な市場、カフェ通り、観光施設周辺では注意が必要と言われています。財布やスマートフォンをバッグの外ポケットに入れたまま歩いたり、テーブルに荷物を置いて席を離れたりする行為は、格好のターゲットになる可能性があるとされています。
ぼったくりや過剰請求のトラブル 観光タクシーや露店では、価格を提示せずに商品やサービスを提供し、後から不当に高額な請求をしてくるケースも報告されているようです。実際に、母子でタクシーをチャーターして観光した際に、行きたい場所をことごとく変更され、高額な買い物をさせられたという体験談も見受けられます。タクシーチャーター料金2万円、ランチ2万円、お土産で5万円といった高額な出費を強いられたケースもあるようです。
夜の繁華街でのトラブル 済州市の中心部や西帰浦の繁華街では、夕方以降になると強引な客引きや詐欺的な飲食トラブルが報告されているようです。「1杯無料」「今だけ割引」などの甘い言葉で客を誘い込み、店内では通常価格以上の料金を請求されたり、追加注文を強引に勧められたりすることがあると言われています。
2. 歴史的背景による偏見と誤解
済州島の「やばい」という印象には、深刻な歴史的背景も関係しているようです。
4・3事件という歴史的悲劇 1948年に発生した済州島4・3事件は、米軍政下で朝鮮半島南部だけでの総選挙に反対する済州島民に対して、軍・警察が弾圧し、約3万人もの島民が虐殺された悲劇的な事件です。この事件により、済州島は長い間「アカの島」と決めつけられ、タブー視されてきた歴史があります。
本土からの差別意識 この歴史的背景により、韓国本土から済州島に対する根強い差別意識が存在していたと言われています。人を人とも思わぬ残虐な行為の背景には、島に対する古くからの根強い差別意識があったとされており、こうした歴史的な偏見が現在でも一部に残っている可能性があります。
3. 物価の高さによる驚きと不満
近年、済州島の物価の高さが「やばい」と表現される大きな要因となっているようです。
予想以上の高額な費用 実際の旅行者による調査では、3泊4日の済州島旅行にかかる費用について、多くの人が実際よりも1.63倍高いと予想していることが分かっています。しかし、実際の支出額は予想よりも低く、日本旅行の方が済州島旅行の2.15倍の費用がかかるという結果も出ているようです。
「脂身サムギョプサル騒動」の影響 最近では「脂身サムギョプサル騒動」という、質の悪い料理を高額で提供する店舗の問題が話題となり、済州島にぼったくりの汚名を着せる結果となったようです。こうした一部の悪質な店舗の問題が、済州島全体のイメージダウンにつながっている面があります。
4. アクセスや交通の不便さ
済州島への旅行で「やばい」と感じる要因として、アクセスや島内の交通事情も挙げられているようです。
フェリーの欠航リスク 本土からフェリーで済州島を訪れる場合、悪天候による欠航リスクがあります。実際に、悪天候のためフェリーが欠航し、1日遅れで出発することになったケースや、荒天のため完全に欠航となり、済州島行きを断念せざるを得なかったケースも報告されています。
航空便のキャンセルリスク 台風などの自然災害により、航空便がキャンセルされるリスクもあります。台風25号の影響で予約していた飛行機が欠航になり、3泊4日の予定が2泊3日になってしまった事例もあるようです。
島内の公共交通機関の不便さ 済州島内の公共交通機関は、韓国本土の大都市と比較して発達していないようです。バスの本数が少なく、観光地を効率よく回るにはレンタカーを利用するか、タクシーを手配する必要があります。特に韓国語ができない観光客にとって、バスでの移動は非常に困難とされています。
5. 在日中国人による犯罪問題
近年、済州島では在日中国人による犯罪が相次いでおり、これも「やばい」というイメージの一因となっているようです。
ノービザ制度の悪用 済州島は外国人観光客誘致のため、1ヶ月間ビザなしで滞在可能な制度を運用していますが、これが不法滞在や犯罪に利用されるケースが増えているようです。中国人観光客によるマナーの悪さに加えて、殺人や暴行、強盗などの凶悪犯罪も発生しており、地域住民の不安が高まっているとされています。
軽犯罪の急増 横断歩道以外の車道を横切る、ごみのポイ捨て、放尿など外国人による軽犯罪を摘発した件数は、2015年の1267件から2016年8月までで3750件に急増しており、大部分は中国人によるものと報告されています。
済州島の良い点とメリット
一方で、済州島には多くの魅力的な良い点とメリットがあります。
自然の美しさと世界遺産
韓国のハワイと呼ばれる美しい自然 済州島は火山活動によって生まれた韓国最大の島であり、美しい自然や景観、ビーチ、世界遺産があることから「韓国のハワイ」と呼ばれています。城山日出峰、万丈窟、漢拏山といった世界遺産に登録された観光スポットでは、壮大な自然を感じられる絶景を楽しむことができます。
温暖な気候とリゾート環境 済州島は温暖湿潤気候のため、韓国の地域の中でも比較的温暖な気候となっており、海のレジャーを楽しむなら6月〜8月、世界遺産巡りなら4月〜6月または9月〜10月が過ごしやすく観光のベストシーズンとされています。
アクセスの良さと利便性
日本からの近さ 直行便であれば日本から済州島まで約2〜3時間程度と近く、比較的旅行費用も安く抑えられるという利点があります。大阪からの直行便だと最短で1.5時間、成田からも直行便が就航しており、アクセスの良さは大きなメリットです。
治安の良さ 基本的には治安が良く、海外旅行初心者にもおすすめの観光地とされています。外務省海外安全ホームページでは、済州島を含む韓国全体の危険レベルは「レベル0(注意喚起なし)」とされており、特別な渡航制限は設けられていません。
独特な文化と歴史
三無島の文化 済州島は「三無島」という異名も持ち、泥棒、乞食、家の門がない島として知られています。海に囲まれた荒々しい自然環境で生き延びるために、お互いに助け合う文化が築かれ、食べ物は分け合い、物は盗まず、泥棒もいないから家を守る門も必要ないという相互扶助の文化があったとされています。
伝統的なチョンナン文化 済州島の伝統家屋に使われていたチョンナンという木の棒の置き方により、家の人間が在宅かどうか、不在の場合はいつ戻って来るのかが分かるという優れたアイディアがあります。
おすすめしたい方・おすすめできない方
おすすめしたい方
済州島旅行をおすすめしたいのは、以下のような方々です。
自然愛好家や写真愛好家 世界遺産に登録された美しい自然景観や火山地形、絶景スポットを楽しみたい方には特におすすめです。城山日出峰からの日の出や、万丈窟の幻想的な雰囲気は、一生の思い出になる体験を提供してくれるでしょう。
韓国文化に興味がある方 済州島独特の文化や歴史、伝統的な海女文化などに興味がある方にとって、本土では体験できない特別な文化体験ができる場所です。
リゾート体験を求める方 美しいビーチや温暖な気候、リゾートホテルでのんびり過ごしたい方には理想的な環境が整っています。
おすすめできない方
一方で、以下のような方にはおすすめしない場合があります。
都市型エンターテイメントを求める方 ソウルや釜山のような大規模なショッピングモールやエンターテイメント施設が少ないため、都市型の観光を求める方には物足りないと感じられる可能性があります。
言語に不安がある方 観光地以外のエリアでは英語や日本語があまり通じないことがあり、韓国語でのコミュニケーションが求められる場面もあるため、言語に不安がある方は事前準備が必要です。
完全に安全な環境を求める方 観光地特有の軽犯罪リスクがあるため、完全に安全な環境を求める方や、トラブルに対処する自信がない方には注意が必要かもしれません。
済州島の悪い点とデメリット
公平な情報提供のため、済州島の悪い点やデメリットについても詳しく解説します。
交通インフラの不備 済州島の公共交通機関は韓国本土と比較して発達しておらず、バスの本数が少なく、観光スポットを効率よく回るのが困難という欠点があります。レンタカーやタクシーに依存せざるを得ない状況は、旅行費用の増加につながるデメリットでもあります。
物価の高さ 一部の観光地価格や悪質な店舗による過剰請求により、予想以上の出費を強いられる可能性があるという欠点があります。特に飲食店では「1人1メニュー制」を強要されるケースもあり、小さな子供連れの家族には負担となることがあります。
天候による影響 台風や悪天候により、フェリーや航空便がキャンセルされるリスクがあり、旅行計画が大幅に変更されることがあるというデメリットがあります。
トラベルライターとしての独自見解と考察
私がトラベルライターとして多くの観光地を取材してきた経験から、済州島の「やばい」という表現について独自の視点で考察してみたいと思います。
まず、済州島が「やばい」と検索されてしまう現象は、現代の情報社会における典型的な「ネガティブバイアス」の表れであると考えられます。人間は本能的に危険や問題に注目する傾向があり、インターネット上では特にセンセーショナルな情報が拡散されやすいという特性があります。済州島に関しても、実際に起こった少数のトラブル事例や歴史的背景が誇張されて伝わり、島全体のイメージを左右してしまっているのではないでしょうか。
しかし、私が実際に調査した情報を総合的に分析すると、済州島は世界的に見ても安全で魅力的な観光地であることは間違いありません。外務省の安全情報でも特別な注意喚起はされておらず、韓国国内外から年間数百万人の観光客が訪れている実績がそれを証明しています。
特に注目すべきは、済州島の「三無島」という文化的背景です。泥棒、乞食、家の門がないという相互扶助の文化は、現代社会が失ってしまった人間関係の温かさや信頼を象徴しており、これこそが済州島の真の魅力なのではないでしょうか。確かに現代化の波により、一部でこうした文化が薄れている面もあるかもしれませんが、島民の根底にある助け合いの精神は今も息づいているように思われます。
また、済州島の歴史的背景である4・3事件についても、これを単なる「やばい」要素として捉えるのではなく、平和と人権の尊さを学ぶ貴重な機会として位置づけるべきです。韓国政府も公式に謝罪し、記念公園を建設するなど、歴史と向き合う姿勢を示しており、これは観光地としての成熟度を表していると言えるでしょう。
物価の問題については、確かに一部の悪質な業者による問題は存在しますが、これは世界中の観光地に共通する課題でもあります。重要なのは、旅行者自身が適切な情報収集と準備を行うことです。信頼できる店舗の事前調査、明確な価格表示の確認、配車アプリの利用など、現代の旅行者が身につけるべき基本的なスキルを活用すれば、こうした問題は十分に回避可能です。
さらに、済州島の真の価値は、ユネスコ世界自然遺産に登録された唯一無二の自然環境にあります。城山日出峰の雄大な景色、万丈窟の神秘的な地下世界、漢拏山の豊かな生態系など、これらは人工的に作り出すことのできない貴重な地球の遺産です。こうした自然の宝庫を「やばい」という一言で片付けてしまうのは、あまりにももったいないことだと思います。
私は、済州島の「やばい」という検索結果が示しているのは、現代の旅行者が求める「安全で快適な旅行」への願望の表れでもあると考えています。しかし、真の旅行の醍醐味は、多少の不便さや想定外の出来事も含めて、新しい文化や環境と出会うことにあるのではないでしょうか。完璧に管理されたテーマパークのような場所では得られない、生きた文化や自然との触れ合いこそが、済州島旅行の最大の魅力なのです。
最後に、私がトラベルライターとして強く感じるのは、済州島は確実に「行く価値のある」観光地だということです。適切な準備と心構えさえあれば、この島は旅行者に忘れられない体験を提供してくれるはずです。「やばい」という表現に惑わされることなく、済州島の真の魅力を発見する旅に出かけてみてはいかがでしょうか。きっと、検索候補の「やばい」が「素晴らしい」に変わるような、特別な旅行体験が待っているはずです。