大久野島について”行ってはいけない”とネットで検索されている理由はなぜ? HOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説

結論:大久野島は適切な準備と理解があれば十分に楽しめる観光地

トラベルライターとして数多くの離島を訪れてきた経験から申し上げると、「大久野島 行ってはいけない」という検索結果が表示される理由は、一部の訪問者が抱いた期待と現実のギャップ、そして島が抱える複雑な背景に起因するもののようです。しかし、これらの懸念事項を事前に理解し、適切な準備をすることで、大久野島は十分に楽しめる魅力的なデスティネーションであると断言できます。

広島県竹原市に位置する大久野島は、瀬戸内海国立公園内にある面積0.7平方キロメートルの小さな無人島です。現在約500匹から600匹のカイウサギが生息し、「ウサギの島」として国内外から年間約20万人の観光客が訪れる人気スポットとなっています。一方で、戦時中は毒ガス製造工場があった「地図から消された島」という歴史的背景も持つ、非常に興味深い観光地でもあります。

「行ってはいけない」と言われる理由の詳細分析

1. ウサギに関する深刻な問題

ウサギの健康状態と動物愛護の課題

最も深刻な問題として、島内のウサギの健康状態に関する懸念が挙げられます。実際の訪問者の証言によると、島を一周した際に健康なウサギは約3割程度で、残りの7割は様々な健康問題を抱えているという報告があるようです。具体的には、毛がむしられた状態のウサギ、耳に切り込みがあるウサギ、目や口周りにただれがあるウサギなどが確認されているとのことです。

これらの健康問題の原因として、観光客による不適切な餌やりが指摘されています。野菜、おやつ、牧草、ペレットなど様々な種類の餌が無秩序に与えられることで、ウサギの栄養バランスが崩れ、食べ残しによるネズミの大量発生、さらには感染症の蔓延につながっているという悪循環が生じているようです。

虐待事件の発生

2025年には、島内でウサギを虐待する事件が発生し、全国に衝撃を与えました。容疑者は複数のウサギを蹴ったり、ハサミで傷つけたりする行為を行い、環境省によると99匹のウサギが不審死したと報告されています。この事件により、島の安全管理体制やウサギの保護に関する課題が浮き彫りになりました。

2. 観光インフラと期待値のギャップ

実際のウサギの数と観光客の期待

多くの観光客は「ウサギがそこら中にいる楽園」を想像して訪れるようですが、実際にはそこまで劇的な光景ではないという声も聞かれます。特に、パンデミック期間中にはウサギの数が900匹から400匹まで減少したという報告もあり、訪問時期によっては期待していたほどウサギに遭遇できない可能性があります。

アクセスの制約と時間的な制限

大久野島へのアクセスは限定的で、主に忠海港からのフェリーに依存しています。フェリーの運航本数は30分から1時間に1本程度と限られており、特に帰りの最終便は19時15分と早い時間に終了するため、計画的な行動が必要です。この制約により、思うような観光スケジュールを組めない場合があります。

3. 歴史的背景による複雑な感情

毒ガス製造の暗い歴史

大久野島は1929年から1944年頃まで、旧日本陸軍による毒ガス製造が行われていた場所です。この期間中、約6,600トンの毒ガスが製造され、現在でも島内には貯蔵庫跡や発電所跡などの戦争遺跡が残っています。

この歴史的背景により、単純に「可愛いウサギの島」として楽しむことに対して複雑な感情を抱く訪問者も少なくないようです。特に平和学習の観点から島を訪れる人々にとって、観光地化された現在の姿と戦争の記憶との間にギャップを感じることがあるとされています。

大久野島を訪問する際の悪い点とデメリット

主要なデメリット

大久野島を訪問する際の悪い点として、まず挙げられるのが上述したウサギの健康状態への懸念です。動物愛護の観点から見ると、適切な医療ケアが行われていない状況は、動物好きの旅行者にとって精神的な負担となる可能性があります。

さらに、デメリットとして、観光インフラの限定性が挙げられます。島内には休暇村大久野島以外に宿泊施設がなく、レストランや売店も限られています。また、携帯電話の電波状況も不安定で、特に楽天モバイルなどの一部キャリアでは圏外になる可能性があるようです。

天候の影響を受けやすいことも欠点の一つです。霧が発生した場合、フェリーの運航が停止し、1時間以上待たされることもあるとの報告があります。

おすすめできない方

以下のような方には大久野島の訪問をおすすめしない場合があります。

  • 動物の健康状態に敏感で、苦痛を感じやすい方:現実的なウサギの生活環境を目の当たりにすることで、精神的なストレスを感じる可能性があります
  • 完璧な観光インフラを求める方:都市部のような充実した施設やサービスは期待できません
  • 時間に制約がある方:フェリーの運航スケジュールに合わせた行動が必要で、自由度の高い観光は困難です
  • 戦争の歴史に触れることに抵抗がある方:島内の戦争遺跡は避けて通れず、重い歴史を感じる場面があります

大久野島の良い点とメリット

圧倒的な癒し効果

大久野島の最大の良い点は、やはりウサギとの直接的な触れ合いが可能なことです。人懐っこいウサギたちが足元に寄ってきて、膝に前足を乗せる愛らしい姿は、日常のストレスを忘れさせてくれる究極の癒し体験となります。

自然環境の素晴らしさ

瀬戸内海国立公園に指定されているだけあって、島の自然環境は格別です。エメラルドグリーンの美しい海、満天の星空、瀬戸内海の朝焼けと夕暮れなど、都市部では体験できない大自然の美しさを堪能できることが大きなメリットです。

歴史学習の機会

戦争遺跡が残る島として、平和学習の貴重な機会を提供していることも重要な利点です。毒ガス資料館では戦争の悲惨さと平和の大切さを学ぶことができ、現代を生きる私たちにとって非常に意義深い体験となります。

非日常的な体験

一般車両の通行が禁止された島で、ウサギと共に過ごす時間は、まさに非日常的な体験です。特に宿泊者は、夜行性のウサギの活発な姿や満天の星空を独占的に楽しめるという特別なメリットがあります。

おすすめしたい方

以下のような方には特におすすめしたい観光地です。

  • 動物好きで癒しを求める方:ウサギとの触れ合いによる究極の癒し効果を体験できます
  • 自然愛好家:瀬戸内海の美しい自然環境を満喫できます
  • 歴史に興味がある方:戦争遺跡を通じて平和について深く考える機会を得られます
  • 写真愛好家:可愛いウサギや美しい景色の撮影チャンスが豊富です
  • ファミリー層:一般車両が通らない安全な環境で、子供も安心して楽しめます

大久野島を楽しむための実践的なアドバイス

事前準備の重要性

大久野島を十分に楽しむためには、事前の準備が極めて重要です。ウサギの餌は島内では限られた場所でしか購入できないため、忠海港での事前購入、または野菜の持参をおすすめします。

服装については、長ズボンと汚れても良いスニーカーが必須です。ウサギとの触れ合いでは、しゃがんだり膝をついたりする機会が多く、また足元にウサギが寄ってくることもあるためです。

適切なウサギとの接し方

環境省が定めるルールを遵守することが重要です。「ウサギにさわらない」「手から直接エサをあげない」「道路上でエサをあげない」「食べ残しは持ち帰る」などの基本ルールを守ることで、ウサギの健康と安全を保護できます。

歴史学習の組み込み

単純な観光だけでなく、毒ガス資料館の見学や戦争遺跡の散策を組み込むことで、より深い島の理解が得られます。これにより、現在のウサギの楽園としての姿と戦争の記憶を総合的に捉えることができるでしょう。

トラベルライター”TAKA”の独自考察:大久野島の真の価値

私がこれまでに訪れた国内外の動物系観光地の中でも、大久野島ほど複雑で多面的な魅力を持つデスティネーションは珍しいと感じています。確かに「行ってはいけない」という声が生まれる背景には、ウサギの健康問題や期待値とのギャップなど、無視できない課題が存在します。

しかし、これらの問題は適切な情報提供と観光客の意識向上によって改善可能な性質のものであり、島そのものの価値を否定するものではありません。むしろ、現在の課題を認識した上で訪問することで、より意義深い体験が得られると考えます。

特に注目すべきは、大久野島が提供する多層的な体験価値です。表層的には愛らしいウサギとの触れ合いによる癒し効果がありますが、その背景には戦争の記憶という重厚な歴史的コンテクストが存在します。この組み合わせは、単なる娯楽を超えた深い学びと気づきをもたらす可能性を秘めています。

現代の観光業界において、サステナブルツーリズムや責任ある観光が重要視される中、大久野島は観光客一人ひとりが動物愛護や平和について考える機会を提供する貴重な場所だと言えるでしょう。

また、島のウサギの健康問題については、これを観光地としての欠陥として捉えるのではなく、人間と動物の共生について考える教育的機会として活用することも可能です。適切な情報提供と管理体制の改善により、大久野島はより健全で持続可能な観光地として発展していく潜在力を持っていると確信しています。

最終的に、「大久野島 行ってはいけない」という検索結果は、単純な否定的評価ではなく、この島が持つ複雑さと深さを反映したものと理解すべきでしょう。適切な準備と理解を持って訪れれば、大久野島は間違いなく記憶に残る価値ある旅行体験を提供してくれる、おすすめの観光地なのです。