エアアジアについて「どこの国」とネットでよく検索されている理由はなぜ? HOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説

旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめ、わかりやすく解説します。

今回は、インターネットで「エアアジア どこの国」という検索クエリが頻繁に表示される現象について、徹底的に調査しました。この疑問が生まれる背景には、エアアジアという航空会社の複雑な企業構造と、日本人旅行者にとって理解しにくい多国籍展開戦略があるようです。

なぜ「エアアジア どこの国」と検索されるのか

結論から申し上げますと、エアアジアはマレーシアを拠点とする格安航空会社です。しかし、この単純な答えだけでは、なぜこれほど多くの人がエアアジアの国籍について疑問を持つのかを説明できません。

実は、エアアジアが「どこの国の航空会社なのか」という疑問が生まれる理由は、同社の複雑な多国籍展開戦略にあると考えられます。エアアジアは本社こそマレーシアのクアラルンプールに置いているものの、東南アジア各国に子会社や関連会社を設立し、それぞれが独立した航空会社として運営されているのです。

この複雑な企業構造により、日本人旅行者が「タイ・エアアジア」「インドネシア・エアアジア」「フィリピン・エアアジア」といった様々な名称の航空会社に遭遇し、「結局エアアジアってどこの国の会社なの?」という疑問を抱くのようです。

エアアジアの複雑な企業構造が生む混乱

多国籍展開の実態

エアアジアの企業構造を詳しく見ていくと、その複雑さがよく理解できます。まず、本家であるエアアジア・ブルハド(AirAsia Berhad)は1993年に設立され、マレーシアのクアラルンプール国際空港のKLIA2を本拠地としています。

しかし、実際に運航している航空会社は複数に分かれており、それぞれが異なる航空会社コードを持っているのです。

  • エアアジア(マレーシア):AK
  • タイ・エアアジア:FD
  • インドネシア・エアアジア:QZ
  • フィリピン・エアアジア:Z2

これらの子会社は、それぞれの国の航空法に基づいて設立された独立した法人であり、現地の拠点空港を持っています。たとえば、タイ・エアアジアはバンコクのドンムアン空港、インドネシア・エアアジアはジャカルタのスカルノハッタ国際空港を拠点としているのです。

日本との関わりの歴史

さらに混乱を深める要因として、エアアジアと日本との複雑な関係があります。2011年には、ANAとエアアジアが合弁で「エアアジア・ジャパン」を設立する合意に至りました。この時期、エアアジアは日本市場への参入を本格的に検討しており、成田国際空港を拠点としたLCC事業の展開を計画していたのです。

このような経緯から、日本人旅行者の中には「エアアジア・ジャパンがあるということは、エアアジアは日本の会社なのか?」という誤解を持つ方もいらっしゃるようです。しかし、実際にはエアアジア・ジャパンは合弁会社であり、親会社のエアアジアはあくまでマレーシアの企業なのです。

エアアジアの良い点とメリット

良い点1:圧倒的なコストパフォーマンス

エアアジア最大のメリットは、なんといってもその価格設定の安さです。LCC(格安航空会社)として「Now Everyone Can Fly(今、誰もが飛べる)」というスローガンを掲げ、従来の航空会社では考えられないような低価格での航空券を提供しています。

これは同社が世界初のLCCとして、無駄なサービスを徹底的に削減し、必要最低限のサービスのみを提供するビジネスモデルを確立したからです。燃油サーチャージがかからない点も、特に燃料価格が高騰している現在においては大きな利点となっています。

良い点2:東南アジア路線の充実度

エアアジアのおすすめポイントとして、東南アジア路線の充実度が挙げられます。マレーシアを拠点としているため、東南アジア各国への路線網が非常に発達しており、293以上のルートで広大なエリアをカバーしています。

タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ミャンマーなど、日本人に人気の東南アジア各国への直行便や乗り継ぎ便を豊富に用意しており、他の航空会社では就航していないような地方都市への便も多数運航しているのです。

良い点3:世界的に評価される安全性と品質

意外に知られていないのが、エアアジアの安全性と品質の高さです。同社は2024年5月現在で14年連続世界一位の格安航空会社賞を受賞しており、LCC業界におけるリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。

また、機内サービスにおいても、客室乗務員の質の高さや美しさが評判となっており、「客室乗務員が美人」という口コミも多く見られます。赤を基調とした魅力的なコスチュームも含め、視覚的な満足度も高いと言われています。

良い点4:シンプルで分かりやすいサービス体系

エアアジアのメリットとして、必要最低限のオプションサービスという点があります。過剰なサービスを排除し、本当に必要なサービスのみを有料オプションとして提供することで、利用者が自分のニーズに合わせてカスタマイズできるシステムになっているのです。

これにより、「不要なサービスに対して料金を支払っている」という理不尽感がなく、純粋に移動手段としての飛行機を利用したい旅行者にとっては非常に合理的なシステムとなっています。

エアアジアの悪い点とデメリット

悪い点1:座席の狭さと快適性の問題

エアアジアのデメリットとして最も指摘されるのが、座席の狭さです。LCCの特性上、一度に多くの乗客を運ぶために座席間隔を狭く設定しており、特に体格の大きい方や長時間フライトを利用する際には窮屈さを感じることがあるようです。

国際線での長時間フライトでは、この座席の狭さがエコノミークラス症候群のリスクを高める可能性もあり、健康面での配慮が必要になる場合があります。ただし、エアアジアXでは座席前後の間隔を78cm以上、座席幅を40cm以上に設定するなど、長距離路線では改善努力も見られます。

悪い点2:トラブル対応の課題

エアアジアが「最悪」と言われる最大の理由は、トラブル発生時の対応の悪さにあるようです。特に、欠航や遅延が発生した際の顧客対応が問題視されており、以下のような欠点が指摘されています。

  • 問い合わせ方法がAIチャットかメールのみで、電話対応がない
  • 返金処理に数ヶ月かかることがある
  • AIチャットがトラブル対応に適していない
  • メール対応の速度が遅い

これらの対応の遅さから、返金を諦める乗客も存在するという深刻な状況になっているようです。

悪い点3:オプション料金の高さ

エアアジアのデメリットとして、快適性を求めてオプションを追加すると、結果的に一般的な航空会社と料金があまり変わらなくなってしまう点があります。座席のアップグレード、機内食、手荷物の追加料金などを積み重ねると、当初の格安料金の魅力が薄れてしまうのです。

特に、エアアジアは元々通常の航空会社として運営されていた歴史があるため、サービス自体の質は高いものの、オプション料金も高めに設定されている傾向があります。

悪い点4:機内環境とサービスの制限

口コミでは「機内が寒すぎる」「スタッフの態度が悪い」といった機内環境やサービス面での不満も見られます。また、機内エンタテインメントシステムの評価も低く、長時間フライトでの退屈しのぎには不向きという声もあります。

エアアジアをおすすめしたい旅行者

エアアジアは以下のような方に特におすすめです。

価格重視の旅行者: 何よりもコストパフォーマンスを重視し、移動費を抑えて現地での体験により多くの予算を割きたい方には最適です。学生や若い世代のバックパッカー、頻繁に東南アジアを訪れるビジネスマンなどには非常に価値の高い選択肢となります。

東南アジア周遊旅行者: 複数の東南アジア諸国を周遊する際、エアアジアの豊富な路線網は他の航空会社では実現できない利便性を提供します。マレーシアのクアラルンプールをハブとして、効率的な周遊プランを組むことが可能です。

シンプルな移動を求める旅行者: 過剰なサービスを必要とせず、純粋に目的地への移動手段として航空機を利用したい方にとって、エアアジアの割り切ったサービス体系は理想的です。

エアアジアをおすすめしない旅行者

一方で、以下のような方にはエアアジアはおすすめしない場合があります。

快適性を重視する旅行者: 座席の広さや機内サービスの充実を求める方、長時間フライトでもリラックスして過ごしたい方には、座席の狭さや限定的なサービスが大きなストレスとなる可能性があります。

トラブル時のサポートを重視する旅行者: 言語の壁がある海外旅行において、トラブル発生時の迅速で丁寧なサポートを求める方には、現在のエアアジアの顧客対応体制は不安要素となるかもしれません。

時間に余裕のない出張者: 重要なビジネスの予定がある場合、遅延や欠航のリスクを最小限に抑えたい出張者には、より信頼性の高い航空会社を選択することをお勧めします。

独自考察:エアアジアの真の価値と未来への展望

トラベルライター”TAKA”として長年の経験から申し上げますと、「エアアジア どこの国」という検索が頻繁に行われる現象は、単なる企業情報への疑問を超えた、より深い意味を持っていると考えられます。

この疑問の背景には、現代の航空業界における国境を越えたビジネスモデルの複雑化という大きな潮流があります。エアアジアは、従来の「一国一社」的な航空会社の概念を覆し、多国籍ネットワーク型航空グループという新しい形態を世界に先駆けて実現した先進的企業なのです。

この革新的なビジネスモデルは、確かに消費者の混乱を生む一方で、東南アジア地域の航空市場に革命的な変化をもたらしました。各国の航空法の制約の中で、実質的に一つのブランドとして統一されたサービスを提供することで、地域全体の航空アクセシビリティを劇的に向上させたのです。

特に注目すべきは、エアアジアが「航空の民主化」という理念を体現していることです。「Now Everyone Can Fly」というスローガンは単なるマーケティング文句ではなく、実際に従来は航空旅行とは縁遠かった経済層に対して、空の旅への門戸を開放したという社会的意義があります。

しかしながら、急速な成長と拡大の過程で、顧客サービス体制の整備が追いついていないという課題も露呈しています。特にデジタル化を推進する中で、人的対応の部分が軽視されがちになり、結果として顧客満足度の低下につながっているのも事実です。

私の見解として、エアアジアが今後さらなる成長を遂げるためには、テクノロジーと人的サービスのバランスを取り直すことが不可欠だと考えます。AIチャットボットの性能向上と同時に、緊急時やトラブル発生時には人的対応を充実させる体制の構築が求められるでしょう。

また、日本市場においては、日本人旅行者の高いサービス品質への期待に応えるため、日本語での顧客サポート体制の強化や、日本の商習慣に適応したサービス設計の見直しが必要になると予想されます。

エアアジアの企業としての真の価値は、単純な価格の安さにあるのではありません。それは、アジア地域の人々の移動の自由度を飛躍的に高めたという社会的貢献にあります。バンコクからクアラルンプール、ジャカルタからマニラまで、以前は高嶺の花だった国際航空旅行を、バス移動と変わらない感覚で利用できるようにした功績は計り知れません。

さらに、エアアジアのビジネスモデルは、持続可能な観光業の発展という観点からも注目に値します。従来の大型機による大量輸送ではなく、比較的小型の機材を使用した高頻度運航により、観光地への過度な集中を避けながら、より多くの人々に旅行の機会を提供しているのです。

今後、ポストコロナ時代の航空業界において、エアアジアのような柔軟性に富んだ多国籍ネットワーク型航空グループの重要性はますます高まるでしょう。パンデミックによって浮き彫りになった国境を越えた協調体制の必要性や、リスク分散の重要性という観点から、エアアジアの企業構造は非常に理にかなったものと言えます。

「エアアジア どこの国」という疑問は、実は現代のグローバル企業の在り方そのものを問いかける深い問いなのです。国籍という概念を超越して、地域全体の利益と発展に貢献する企業モデルとして、エアアジアは21世紀の企業経営の一つの理想形を示していると私は考えています。

最終的に、エアアジアを利用する際に最も重要なことは、同社の企業理念と自分の旅行スタイルとの適合性を正しく理解することです。価格と利便性を重視し、多少の不便さは許容できる旅行者にとって、エアアジアは間違いなく素晴らしい選択肢となるでしょう。一方で、従来型の手厚いサービスを期待する方には、他の選択肢を検討することをお勧めします。

いずれにしても、エアアジアが東南アジアの航空業界に与えた影響は革命的であり、今後の発展が大いに期待される航空会社グループであることは間違いありません。「どこの国」という疑問を超えて、「どのような価値を提供する企業なのか」という視点で理解することが、賢明な航空会社選択につながると確信しています。