星野リゾートの上級会員についてネットでよく検索されている理由はなぜ? HOTTELの記者がわかりやすく簡単に解説
旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめわかりやすく解説します。
今回は、多くの旅行愛好家から寄せられる「星野リゾートに上級会員制度はあるのか?」という疑問について、徹底的にリサーチを行いました。外資系ホテルチェーンのような階層的なステータス制度が存在するのか、それとも独自のシステムを採用しているのか、ネット上の情報を幅広く調査し、その真実に迫ってまいります。
結論:星野リゾートには従来の「上級会員制度」は存在しない
まず結論から申し上げますと、星野リゾートには外資系ホテルチェーンのような階層的な上級会員制度は存在しません。マリオットボンヴォイのゴールドエリートやダイヤモンドエリート、ヒルトンオナーズのゴールドやダイヤモンドといった、宿泊実績に基づいてステータスが上がっていく制度はないのが現状のようです。
しかし、これは星野リゾートに会員制度が一切ないという意味ではありません。実際には、無料の基本会員制度と有料の会員権制度という2つの異なるアプローチを採用しており、それぞれに独自のメリットと特典が用意されているようです。
この独特な制度設計は、星野リゾートが「誰にでも優しい」というコンセプトを重視している表れと言われており、従来のホテル業界の常識とは一線を画したアプローチを取っているものと思われます。
星野リゾートの会員制度体系を詳細解説
無料の基本会員制度「星野リゾートアカウント」
星野リゾートが提供する最も基本的な会員制度は、完全無料で利用できる「星野リゾートアカウント」です。この制度は星野リゾートグループの全施設で共通して利用でき、登録費用や年会費は一切発生しないとされています。
主な特典内容:
- 予約時の手続き簡素化:宿泊者情報の入力を省略可能
- OMOポイントの獲得:対象宿での宿泊時にポイント付与
- マイページ機能:ポイント獲得状況や予約一覧の確認
- 会員限定メルマガ:星野リゾートのニュースや特別情報の配信
特に注目すべきはOMOポイントシステムで、対象施設での宿泊により貯まったポイントを10,000ポイントから星野リゾート宿泊ギフト券(1万円相当)に交換できる仕組みのようです。このギフト券は星野リゾートの国内全施設で利用可能とされており、リピート利用時の宿泊費軽減に大きく寄与するものと考えられます。
有料会員権制度の実態
星野リゾートには、無料アカウントとは別に有料の会員権制度も存在するようです。この制度は主にトマムエリアで「共有所有権」として販売されていたもので、現在は新規募集が停止されているため、中古市場での取引のみとなっているようです。
会員権の種類と特徴:
パーソナル会員
- 記名式カード1枚とシルバーチケット15枚が付与
- 年末年始やお盆などの繁忙期は利用不可
- 個人利用がメインの方に適している
サークル会員
- 無記名式でゴールドチケット35枚が付与
- 通年での利用が可能
- 企業利用やグループでの共有利用に適している
ファミリー会員
- 記名式カード5枚が発行
- 家族全員での利用が可能
- 家族旅行を重視する方に人気
会員権の価格構造:
- 中古会員権価格:約40万円前後が相場
- 年会費:約77,000円(税込)
- 名義変更料:約1万円前後
- 登記費用:5万円~6万円程度
- 初期費用総額:約60~70万円程度
興味深いのは、年会費を支払う一方で、施設稼働状況に応じて1~4万円の収益還元があるという点のようです。これは会員権が「共有所有権」としての性格を持つためと考えられ、一般的なホテル会員制度とは大きく異なる特徴と言えるでしょう。
第三者による優待制度
星野リゾートでは、直接的な上級会員制度は存在しませんが、提携企業による優待制度が複数用意されているようです。
セゾン・UCカード優待
- 最大40%OFFの優待価格での宿泊が可能
- 永久不滅ポイントの直接支払い利用
- 優待プランとの併用も可能
JAL Life Statusプログラム特典
- JGC会員向けの特別な宿泊プランを提供
- HoteLux「Elite」会員への無料招待
- ホテルクーポンのプレゼント特典
これらの制度により、間接的ではあるものの、一般利用者よりも優遇された条件で星野リゾートを利用することが可能のようです。
メリットとデメリットの詳細分析
良い点・メリット・利点について
1. 民主的なアプローチ 星野リゾートの制度設計における最大のメリットは、従来のホテル業界にありがちな「宿泊実績による差別化」を行わない点にあるようです。外資系ホテルチェーンでは、上級会員のみが享受できる特典(ラウンジアクセス、無料朝食、客室アップグレードなど)により、一般利用者との間に明確な格差が生まれがちですが、星野リゾートではそうした階層構造を避けているものと考えられます。
2. 無料制度の充実 完全無料の星野リゾートアカウントでも、十分な利点を享受できる点は高く評価できるでしょう。特にOMOポイントシステムは、リピート利用者にとって実質的な宿泊費削減効果をもたらすため、頻繁に利用する方には大きなおすすめポイントとなりそうです。
3. 透明性の高い料金体系 有料会員権制度についても、チケット制による明確な料金体系が採用されているようです。一般的なホテルの変動価格制とは異なり、必要チケット枚数が事前に分かるため、予算計画を立てやすいという良い点があると考えられます。
4. 長期的な投資価値 有料会員権については、売却時の資産価値が期待できる点もメリットとして挙げられるでしょう。ただし、売却時には手数料(会員権価格の3%+12万円)が発生するため、短期間での売買には注意が必要のようです。
5. 提携優待の豊富さ セゾンカードやJAL上級会員向けの優待制度により、間接的ではあるもののおすすめできる割引特典を受けられる点も評価できるでしょう。特にセゾンカード優待の最大40%OFFは、年数回の利用でもカード年会費をペイできる可能性が高いと思われます。
悪い点・デメリット・欠点について
1. 従来の上級会員特典の不在 外資系ホテルチェーンの上級会員に慣れ親しんでいる方にとって、星野リゾートの制度は物足りなさを感じる欠点があるかもしれません。ラウンジアクセス、無料朝食、確約されたアップグレードといった、ステータスによる明確な差別化がないため、従来の上級会員特典を期待する方にはおすすめしない部分と言えるでしょう。
2. 有料会員権の高額な初期費用 有料会員権制度の最大のデメリットは、初期費用の高さにあります。総額60~70万円という金額は、一般的な旅行者にとって決して軽い負担ではなく、年間の星野リゾート利用頻度を慎重に検討する必要があるでしょう。
3. 新規会員権取得の困難さ 現在、トマム会員権の新規募集が停止されているため、有料会員になりたくても中古市場に依存せざるを得ない状況は大きな悪い点と言えるかもしれません。中古会員権の流通量も限られているため、希望するタイミングで取得できない可能性もあるようです。
4. 利用制限の存在 パーソナル会員のシルバーチケットが繁忙期に使用できないなど、会員になっても利用に制限があるというデメリットは、特にハイシーズンの利用を重視する方には大きなマイナスポイントとなるでしょう。
5. 年会費の継続負担 77,000円という年会費は、収益還元があるとはいえ継続的な負担となります。利用頻度が低い年があっても年会費は発生するため、長期的な利用計画を立てにくいという欠点があると考えられます。
おすすめできる方・できない方の詳細分析
星野リゾートの制度をおすすめしたい方
1. 平等主義を重視する旅行者 ホテルでの滞在において、他の利用者との間に露骨な格差を感じたくない方には、星野リゾートのアプローチは非常におすすめできるでしょう。「誰にでも優しい」という理念のもと、すべての利用者が同等のサービスを受けられる環境は、ストレスフリーな滞在を約束してくれるものと思われます。
2. 年間複数回の利用を予定している方 無料のOMOポイントシステムや有料会員権のチケット制度は、いずれもリピート利用者にメリットが大きい仕組みのようです。年間3回以上の利用を予定している方であれば、これらの制度を有効活用できる可能性が高いでしょう。
3. 家族・グループでの利用が多い方 ファミリー会員やサークル会員の制度設計を見ると、複数名での利用を前提とした設計になっているようです。家族旅行や友人同士でのグループ旅行を頻繁に企画する方には、コストパフォーマンスの面で大きなメリットがあると考えられます。
4. 日本国内のリゾート施設を重視する方 星野リゾートは国内に特化したリゾートブランドであり、「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO」「BEB」の5ブランド展開により、様々なニーズに対応しているようです。海外旅行よりも国内の高品質なリゾート体験を重視する方には、特におすすめできる制度と言えるでしょう。
星野リゾートの制度をおすすめできない方
1. 外資系ホテルの上級会員特典に慣れている方 マリオット、ヒルトン、IHGなどの上級会員として、ラウンジアクセスや無料朝食、確約アップグレードといった明確な特典に慣れ親しんでいる方には、星野リゾートの制度は物足りなく感じられる可能性があります。このような方には現時点ではおすすめしないと言わざるを得ません。
2. 年間利用頻度が少ない方 年1回程度の利用頻度の方にとって、有料会員権の77,000円という年会費は明らかにコストが見合わないでしょう。無料アカウントでも十分な特典は得られますが、それでも他の選択肢と比較検討することをおすすめしない理由として挙げられます。
3. 海外旅行を主体とする方 星野リゾートは国内専門のブランドであるため、海外旅行がメインの方にとってはメリットが限定的です。グローバルホテルチェーンの上級会員制度の方が、より幅広い恩恵を受けられる可能性が高いため、このような方にはおすすめできないと判断されます。
4. ステータス性を重視する方 外資系ホテルの上級会員が持つような社会的ステータスや優越感を求める方には、星野リゾートの平等主義的アプローチは合わないかもしれません。明確な階層構造がないため、ステータスシンボルとしての価値を求める方にはおすすめしない制度設計と言えるでしょう。
業界比較と星野リゾートの独自性
外資系ホテルチェーンとの違い
一般的な外資系ホテルチェーンでは、宿泊実績に基づく階層的な会員制度が標準となっているようです。例えば、マリオットボンヴォイでは年間25泊でゴールドエリート、50泊でプラチナエリート、75泊でチタンエリートというように、明確な達成基準と特典の差別化が行われています。
しかし、星野リゾートはこうした「実績による差別化」を意図的に避けているものと考えられます。これは、日本の「おもてなし」文化において、すべての客を等しく丁寧にもてなすという理念が根底にあるためかもしれません。
国内ホテルチェーンとの比較
国内の他のホテルチェーンを見ても、星野リゾートほど徹底して平等主義を貫いているブランドは珍しいようです。多くの国内ホテルチェーンも、外資系の影響を受けて階層的な会員制度を導入する傾向にあるため、星野リゾートのアプローチは非常に独特と言えるでしょう。
リゾート業界での位置づけ
リゾート業界全体で見ると、星野リゾートの会員制度は「体験重視型」のアプローチを取っているように見受けられます。ステータスによる特典差よりも、すべての利用者が等しく高品質な体験を享受できることを重視している点は、同社の経営理念を反映したものと考えられます。
将来的な制度変更の可能性
業界トレンドへの対応圧力
近年、インバウンド観光の回復とともに、日本のホテル業界も国際標準に合わせた制度設計への圧力が高まっているようです。特に外国人利用者にとって、階層的な会員制度は理解しやすく、期待される特典も明確であるため、星野リゾートも将来的には制度変更を検討する可能性があるかもしれません。
OMOポイントシステムの拡充可能性
現在のOMOポイントシステムは、まだ発展途上の印象があります。将来的には、このシステムを基盤として、より複雑な特典体系や階層構造を導入する可能性も考えられるでしょう。ただし、それが星野リゾートの理念と合致するかは慎重に検討される必要があるものと思われます。
デジタル化による新しい可能性
モバイルアプリやデジタル技術の進歩により、従来の会員制度では実現困難だった新しい特典やサービスが可能になってきているようです。星野リゾートも、こうした技術革新を活用した独自の制度設計を模索している可能性があります。
実際の利用者の声と市場評価
利用者からの評価傾向
ネット上の情報を総合すると、星野リゾートの制度に対する利用者の評価は概ね好意的なようです。特に「誰にでも優しい」というアプローチは、多くの利用者から支持されている印象があります。一方で、外資系ホテルの上級会員特典に慣れた利用者からは、物足りなさを指摘する声もあるようです。
有料会員権の市場動向
40万円前後という会員権価格は、リゾート会員権市場では中程度の水準とされているようです。新規募集が停止されている現状では、中古市場での価格は比較的安定しているものと考えられますが、将来的な制度変更リスクも考慮する必要があるでしょう。
業界内での評価
旅行業界内では、星野リゾートのアプローチは「差別化戦略の一環」として評価されているようです。画一的な会員制度競争から一歩退いて、独自の価値提案を行っている点は、ブランディング戦略として成功している部分もあるものと思われます。
トラベルライター”TAKA”の独自考察とまとめ
長年にわたり日本の旅行業界を取材し、数多くのホテルブランドを体験してきた私の視点から、星野リゾートの会員制度について独自の考察をお伝えしたいと思います。
星野リゾートが採用する「非階層型」アプローチの真意
私が最も注目しているのは、星野リゾートが意図的に従来の階層型会員制度を採用していない点です。これは単なる差別化戦略を超えて、同社が目指す「真のホスピタリティ」の表れではないかと考えています。
外資系ホテルチェーンの上級会員制度は確かに利用者にとって魅力的ですが、一方で「ステータスを持たない利用者への相対的なサービス低下」という副作用も生み出しがちです。星野リゾートは、こうした構造的な問題を避けることで、すべての利用者に一律に高品質なサービスを提供することを選択したのではないでしょうか。
日本の「おもてなし文化」との整合性
日本古来の「おもてなし」の概念には、客の社会的地位や経済力に関係なく、等しく心を込めてもてなすという思想があります。星野リゾートの制度設計は、この伝統的な価値観を現代的に解釈し、ビジネスモデルとして昇華させた事例として捉えることができるでしょう。
これは、グローバル化が進む現代において、日本独自のサービス哲学を貫くことの重要性を示唆しているようにも思われます。画一的な国際標準に合わせるのではなく、独自の価値観に基づいたサービス設計を行うことで、結果的により強固なブランドアイデンティティを構築しているのかもしれません。
有料会員権制度の本質的意味
40万円という会員権価格と年会費77,000円という数字を単純に計算すると、年間10泊以上の利用でようやく一般価格との差額をペイできる水準のようです。しかし、私はこの制度の本質は単純なコストパフォーマンスにあるのではなく、「星野リゾートというライフスタイルへの投資」という側面が大きいのではないかと考えています。
会員権を保有することで得られるのは、単なる宿泊費の節約ではなく、「星野リゾートファミリーの一員」としての帰属感や、優先予約による安心感、そして何より「自分の別荘のような感覚」で各施設を利用できる心理的満足感なのではないでしょうか。
今後の制度進化に対する予測
私の業界経験から予測すると、星野リゾートも今後はデジタル技術を活用した新しい形の会員制度を模索していく可能性が高いと考えています。ただし、それは外資系ホテルチェーンの単純な模倣ではなく、同社の理念に基づいた独自の進化を遂げるものと予想されます。
例えば、AIを活用した個人の嗜好分析による客室やサービスのパーソナライゼーション、バーチャルリアリティを使った事前の体験提供、あるいはサステナビリティへの貢献度に基づく新しい特典システムなど、従来の階層型制度とは異なるアプローチでの価値提供が考えられるでしょう。
最終的な推奨事項
結論として、星野リゾートの現行制度は「従来の上級会員制度を求める方」には適していませんが、「平等で質の高いサービスを重視する方」や「日本的なおもてなしを体験したい方」には非常に価値のある選択肢と言えるでしょう。
特に、無料の星野リゾートアカウントについては、デメリットが皆無に等しいため、星野リゾートを利用する可能性がある方は迷わず登録することをおすすめします。OMOポイントシステムだけでも、長期的には相当な金額的メリットを享受できる可能性があります。
有料会員権については、年間の利用頻度と総コストを慎重に計算し、何より「星野リゾートというブランドへの愛着」が十分にあることを確認してから検討することが重要でしょう。単純な損益計算を超えた価値を見出せる方にのみ、真の意味でのメリットがあると考えられます。
星野リゾートの制度は、確かに従来の常識とは異なるアプローチを取っていますが、それこそが同社の最大の差別化要因であり、多くの利用者から愛され続ける理由なのかもしれません。旅行の本質である「特別な体験と心の豊かさ」を重視する方にとって、星野リゾートは今後も魅力的な選択肢であり続けるものと確信しています。