曙物産株式会社が2025年12月1日から提供する宿泊業の予約業務をAIが代行する予約受注生成AI「AKEBONO(アケボノ)」 とは? メリットやデメリットなどHOTTELの記者がわかりやすく解説

旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめわかりやすく解説します。今回は2025年12月1日から曙物産株式会社が正式リリースした宿泊業向けの予約受注生成AI「AKEBONO(アケボノ)」について、その全貌を徹底的に解説していきます。コロナ禍からの観光需要回復で賑わいを見せる宿泊業界ですが、深刻な人手不足という構造的な課題に直面しているのが現状です。この問題を解決する切り札として登場したAKEBONOとは一体どのようなサービスなのでしょうか。料金体系や導入方法、メリット・デメリット、そして業界内での評判まで、網羅的にお伝えしていきます。

結論:AKEBONOは小規模旅館から大規模ホテルまで対応する月額9,800円からのコスパ抜群な予約AI

まず結論からお伝えしますと、AKEBONOは宿泊施設の予約業務をAIが代行し、問い合わせ対応の80%以上を自動化、スタッフの対応時間を約65%削減することを目指した次世代型のクラウドサービスと言われています。特筆すべきは月額9,800円という小規模旅館でも導入しやすい価格設定で、これは業界内でも非常にリーズナブルな水準だと考えられます。

膨大な宿泊データと自然言語処理AIを組み合わせることで、宿泊施設の予約受付、問い合わせ対応、在庫最適化を自動化する設計になっているようです。24時間365日途切れない接客を実現し、夜間・早朝の問い合わせにも即時対応することで、これまで取りこぼしていた予約機会を大幅に抑制できる可能性があるとのことです。

事業再構築補助金の第12回公募でも採択されており、「宿泊業向け予約受付生成AIサービス『AKEBONO』の提供」として認められたことから、国としてもこのようなサービスへの期待が高いことがうかがえます。

AKEBONOとは?サービス概要を詳しく解説

開発の背景:宿泊業界を襲う深刻な人手不足問題

AKEBONOが生まれた背景には、宿泊業界全体が抱える構造的な課題があります。帝国データバンクの調査によると、旅館・ホテル業における人手不足を感じている企業の割合は正規・非正規社員ともに5割を超えており、全業種の中でもトップクラスの人手不足感を示しているようです。

2025年4月時点の統計では、人手不足を感じている企業の割合は51.4%と高止まり傾向で推移しており、特に「飲食店」「旅館・ホテル」といった業種で深刻な状況が続いていると言われています。さらに、2024年には人手不足を理由とした倒産が350件発生しており、宿泊業界でも事業継続そのものが困難になるケースが増加しているとのことです。

厚生労働省の「雇用動向調査」によると、宿泊業・飲食サービス業の離職率は26.6%で、4人に1人が年間で職場を離れるという計算になるそうです。この高い離職率は採用コストの増加に加え、残った従業員の業務負担の増加や技術継承の難しさを招く悪循環につながっていると指摘されています。

観光需要の回復に伴い全国の宿泊施設では予約数が増加する一方、スタッフ不足により問い合わせ返信遅延、電話がつながらない、予約機会の損失といった問題が顕在化しているのが現状のようです。特に地方の宿泊施設や小規模旅館では、限られた人員で全業務を行う必要があり、オペレーション負荷が業績に直結しているケースが多いと言われています。

提供会社:曙物産株式会社について

AKEBONOを開発・提供しているのは曙物産株式会社(本社:神奈川県横浜市中区伊勢佐木町5丁目130番地)です。同社は昭和22年(1947年)7月20日に設立された老舗企業で、資本金は1,000万円、従業員数は12名とされています。

主な事業内容は貸事務所、貸マンション、食料品輸入卸売に加え、近年は生成AIコンサルティング事業に力を入れているようです。ウィークリーマンションやマンスリーマンション事業を長年展開してきた経験を活かし、宿泊関連のノウハウを蓄積してきた企業と言えるでしょう。

不動産事業で培った宿泊施設運営に関する知見と、最新の生成AI技術を融合させることで、AKEBONOというサービスが誕生したものと推測されます。

AKEBONOの4つのコア機能を徹底解説

AKEBONOには宿泊施設の予約管理を一元化し、効率的な運営を実現するための4つのコア機能が搭載されていると言われています。

1. AIエンジン(予約生成AI)

最も重要な機能がこのAIエンジンです。宿泊データ、稼働率、季節変動を解析し、最適な宿泊プランや案内文を自動生成する仕組みとなっているようです。顧客からの問い合わせに対しては自然言語で回答することができ、まるで人間のスタッフが対応しているかのような会話が可能になると期待されています。

従来のAIチャットボットとの違いは、単なるFAQ対応にとどまらず、過去データから最適な回答を生成できる点にあると考えられます。長期滞在希望者からの詳細な質問(室内設備・周辺環境・料金体系など)に対しても、適切な回答を生成できるのがポイントと言えるでしょう。

2. 予約管理機能

空室情報、売上レポート、顧客履歴などを自動集計し、経営判断を支援する機能も備わっているようです。これにより、施設担当者は日々の予約状況を一目で把握でき、収益最大化に向けた戦略的な意思決定ができるようになることが期待されます。

宿泊施設の予約管理においては、楽天トラベルやじゃらんnet、Booking.comなど複数のOTA(オンラインツーリストエージェンシー)からの予約を一元管理することが重要とされています。AKEBONOもこうした予約の統合管理を視野に入れた設計になっていると推測されます。

3. 多施設対応クラウドUI

チェーン展開している宿泊施設やグループ施設の予約を一括管理できる機能も搭載されているとのことです。複数の施設を運営している事業者にとっては、各施設の予約状況を横断的に把握できるのは大きなメリットになり得ます。

クラウドベースのシステムであるため、場所を選ばずにアクセスできる利便性があり、システムメンテナンスの負担軽減にもつながると考えられます。

4. 柔軟なAPI連携

宿泊予約サイトや既存の施設管理システム(PMS)とも接続可能な設計になっているようです。PMS(Property Management System)とは、宿泊予約や販売価格、残室数、料金精算といった客室に関する情報を一元管理できるシステムのことで、多くの宿泊施設で導入されています。

既存システムとの連携が可能であれば、新しいシステムをゼロから導入する負担がなく、導入のハードルが下がるというメリットがあると言えます。サイトコントローラー(複数のOTAを一元管理できるシステム)との連携も視野に入れた設計であれば、より実用性が高まるでしょう。

料金プランの詳細:業界最安クラスの月額9,800円から

AKEBONOの料金体系はSaaS型の月額制となっており、施設の規模や用途に応じて4つのプランが用意されているようです。

ライトプラン:月額9,800円

小規模旅館向けのプランで、客室数が少ない民宿やペンション、家族経営の旅館などに適していると考えられます。月額1万円を切る価格設定は、宿泊業界向けAIサービスの中でもかなりリーズナブルな部類に入ると言えるでしょう。

業界内の他サービスと比較すると、tripla BotのAI限定プランが月額20,000円から、talkappi CHATBOTなどの多言語AIチャットボットも月額数万円程度が相場とされています。そう考えると、月額9,800円という価格は小規模事業者にとって非常に導入しやすい設定と言えます。

スタンダードプラン:月額29,800円

中規模ホテル向けのプランで、客室数が数十室程度のビジネスホテルやシティホテル、温泉旅館などに適していると思われます。より多くの予約件数や問い合わせに対応する必要がある施設向けの設計になっていると推測されます。

プロフェッショナルプラン:月額49,800円〜

大規模ホテル向けのプランで、客室数が100室を超えるような大型施設やリゾートホテル向けと考えられます。「〜」がついていることから、施設の規模や要件に応じてカスタマイズ可能な価格設定になっているものと推測されます。

OEM提供プラン:初期30万円〜+月額5,000円

旅館組合や予約サイト向けのOEM提供プランも用意されているようです。初期費用がかかるものの、月額費用は5,000円と最も低コストで、組合加盟の複数施設への展開や、予約サイト事業者が自社ブランドとして提供する場合などに適していると考えられます。

見込まれる導入効果:数字で見るAKEBONOの実力

AKEBONOの導入によって見込まれる効果について、公式発表されている数値をもとに詳しく見ていきましょう。

問い合わせ返信の80%以上をAIが自動対応

宿泊施設への問い合わせの多くは定型的な内容であることが知られています。チェックイン・チェックアウトの時間、駐車場の有無、キャンセルポリシー、周辺の観光情報などは、AIが得意とする回答領域です。AKEBONOでは、こうした問い合わせの80%以上をAIが自動対応することを目指しているとのことです。

業界内の他サービスでは、talkappi CHATBOTが96%以上の自動応答率を実現していると言われており、AIチャットボット技術の精度は年々向上しています。AKEBONOも生成AI技術を活用することで、高い自動対応率の実現を目指していると考えられます。

スタッフの対応時間を約65%削減

問い合わせ対応の自動化により、スタッフの対応時間を約65%削減できる見込みとのことです。これは非常に大きな効果であり、削減された時間を他の業務に充てることができます。

具体的には、清掃業務の質の向上、顧客とのコミュニケーション強化、新規企画の立案など、より付加価値の高い業務に人的リソースを振り向けることが可能になると期待されます。施設担当者からは「電話対応に追われる日が減り、現場業務に集中できるようになった」「人員不足でも回せる体制が整った」といった声が寄せられているとのことです。

返信速度の向上による予約転換率の上昇

顧客からの問い合わせに対する返信速度は、予約転換率に大きな影響を与えることが知られています。特に比較検討中の顧客は、最初に返信があった施設に予約を入れる傾向があるため、迅速な対応は競争優位性につながります。

AKEBONOでは24時間即時対応が可能になるため、夜間・早朝の問い合わせにも対応でき、取りこぼし予約を大幅に抑制できる効果が期待されています。業界データによると、深夜の問い合わせに対応できることで21時以降の予約が大幅に増加した事例もあるとのことです。

AKEBONOのメリット:導入をおすすめしたい5つの理由

ここでは、AKEBONOを導入することのメリットについて、詳しく解説していきます。

良い点①:24時間365日の対応で予約機会を逃さない

宿泊施設にとって最大の課題の一つが、営業時間外の問い合わせ対応です。電話受付が終了した後や、スタッフが手薄な夜間・早朝の時間帯でも、お客様からの問い合わせは発生します。AKEBONOを導入することで、こうした時間帯でも即座に対応できるようになるのは大きな利点と言えるでしょう。

旅行の計画は夜間に行われることも多く、思い立ったその瞬間に回答が得られることで、予約への転換率が向上することが期待されます。

良い点②:月額9,800円からの低コストで導入可能

先述の通り、ライトプランであれば月額9,800円から導入可能という価格設定は、業界内でも非常にリーズナブルです。小規模な民宿や家族経営の旅館でも、無理なく導入を検討できる価格帯と言えるでしょう。

AI導入には初期投資コストがかかるというイメージがありますが、SaaS型のサービスであれば初期費用を抑えつつ、必要な機能から段階的に導入していくことが可能です。

利点③:既存システムとのAPI連携が可能

宿泊施設の多くは、すでにPMS(施設管理システム)やサイトコントローラーを導入しています。新しいシステムを入れる際に最も懸念されるのが、既存システムとの互換性や連携の問題です。

AKEBONOは柔軟なAPI連携が可能な設計とされており、既存の業務フローを大きく変えることなく導入できる可能性があります。これは導入のハードルを下げる重要なポイントと言えるでしょう。

おすすめ④:人手不足解消に直結する実用的なソリューション

観光庁も2025年度の「観光地・観光産業における人材不足対策事業」として3億円の予算を計上するなど、宿泊業の人手不足対策は国を挙げての課題となっています。AKEBONOのような予約自動化サービスは、まさにこの課題に直結するソリューションと言えます。

AIが定型業務を代行することで、限られた人員でより多くの業務をこなせるようになり、人手不足の解消に貢献することが期待されます。

良い点⑤:今後の機能拡張への期待

曙物産株式会社では、AKEBONOの今後の機能拡張として以下の項目を予定しているとのことです。

  • AI接客(多言語対応)
  • ダイナミックプライシング(需要×稼働率の自動価格調整)
  • インバウンド対応強化
  • 予約データ分析による収益最大化エンジン

これらの機能が実装されれば、単なる予約自動化にとどまらず、収益最大化に向けた包括的なプラットフォームへと進化することが期待されます。

AKEBONOのデメリット:導入前に知っておくべき注意点

良い点ばかりではなく、デメリットや注意点についてもしっかりと把握しておくことが重要です。

悪い点①:新規サービスゆえの実績の少なさ

AKEBONOは2025年12月1日に正式リリースされたばかりの新しいサービスです。そのため、長期運用による実績やユーザーからの評価がまだ蓄積されていないというデメリットがあります。

業界内で定評のあるtalkappi CHATBOTが600以上のホテル・旅館での導入実績を持っているのに対し、AKEBONOはこれから実績を積み上げていく段階と言えるでしょう。

欠点②:AIの限界による人的フォローの必要性

AIは定型的な問い合わせには強い一方で、複雑な要望や感情的な対応が必要なケースでは限界があります。クレーム対応や特殊なリクエストへの対応など、人間のスタッフによるフォローが必要になる場面は依然として存在します。

チャットボットが定型回答しかできず「冷たい印象」を与えてしまうリスクも指摘されており、「おもてなし」を重視する旅館などでは、AIと人間の役割分担を慎重に検討する必要があるでしょう。

おすすめしない点③:導入後の設定・運用にある程度の手間がかかる

AIシステムを効果的に活用するためには、施設の情報や想定されるQ&Aの登録など、初期設定にある程度の手間がかかることが予想されます。また、情報の更新やAIの回答精度の改善など、継続的なメンテナンスも必要になります。

「操作が複雑で現場が使わない」まま放置されるケースや、導入時の説明不足で既存業務とのすり合わせができないケースも報告されており、スタッフへの教育・研修も重要な要素となります。

悪い点④:インターネット環境への依存

クラウド型のサービスであるため、安定したインターネット環境が必要不可欠です。回線トラブルや障害が発生した場合、システムが利用できなくなるリスクがあります。

特に地方の宿泊施設では通信環境が不安定な場合もあり、バックアップ体制の構築が重要になるでしょう。

デメリット⑤:提供会社の事業継続性への懸念

曙物産株式会社は従業員12名の中小企業であり、生成AI事業はまだ新しい取り組みです。サービスの長期的な継続性については、一定のリスクを考慮しておく必要があるかもしれません。

ただし、事業再構築補助金に採択されていることから、国の支援を受けながら事業を進めていることがうかがえ、一定の信頼性はあると考えられます。

AKEBONOをおすすめしたい方・おすすめできない方

おすすめしたい方

小規模旅館・民宿のオーナー様 家族経営や少人数で運営している施設で、予約対応に追われている方には特におすすめです。月額9,800円という低コストで導入でき、人件費の削減に直結する効果が期待できます。

人手不足に悩むビジネスホテル 限られたスタッフで多くの客室を管理する必要があるビジネスホテルにとって、予約業務の自動化は大きなメリットとなります。夜間のフロント業務の負担軽減にも貢献できるでしょう。

複数施設を運営するチェーン事業者 多施設対応のクラウドUIにより、グループ全体の予約を一括管理できる可能性があります。各施設の状況を横断的に把握し、効率的な経営判断につなげることができそうです。

DX推進に積極的な宿泊施設 最新のAI技術を活用した業務改善に前向きな施設にとって、AKEBONOは良い選択肢となり得ます。将来的な機能拡張も見据えて、早期導入を検討する価値があるでしょう。

おすすめできない方

高度なカスタマイズが必要な高級旅館 きめ細やかな「おもてなし」を売りにする高級旅館では、AIの定型的な対応が逆効果になる可能性があります。顧客一人ひとりに合わせた対応を重視する場合は、慎重に検討すべきでしょう。

ITリテラシーに不安がある施設 クラウドシステムの操作やAIの設定・管理に抵抗がある場合、導入後の活用が難しくなる可能性があります。充分なサポート体制があるか、事前に確認することをおすすめします。

すでに高機能なシステムを導入済みの施設 既存のPMSやサイトコントローラーで十分な機能を得られている場合、追加投資のメリットが薄い可能性があります。システムの重複による管理負担増加も懸念されます。

実績重視で安心感を求める方 新規サービスではなく、長年の実績と多くの導入事例を持つサービスを選びたい方には、より歴史のある他のサービスを検討されることをおすすめします。

導入方法と流れ

AKEBONOの具体的な導入方法については公式発表されている情報が限られていますが、一般的なSaaS型サービスの導入フローを参考に、想定される流れをご紹介します。

ステップ1:問い合わせ・資料請求

まずは曙物産株式会社へ問い合わせを行い、サービスの詳細資料を入手することになると考えられます。問い合わせ先はメールアドレス(y-seki@abk.co.jp)が公開されています。

ステップ2:ヒアリング・見積もり

施設の規模、現在の予約システムの状況、課題やニーズなどをヒアリングした上で、最適なプランの提案と見積もりが行われると推測されます。

ステップ3:契約・初期設定

プランを選択して契約後、施設情報の登録、想定Q&Aの設定、既存システムとの連携設定などの初期セットアップが行われると考えられます。

ステップ4:テスト運用

本格稼働の前に、テスト運用期間を設けてAIの回答精度や使い勝手を確認するフェーズがあると想定されます。

ステップ5:本格運用開始

テスト運用での課題を解消した後、本格的な運用がスタートします。導入後も継続的なサポートが提供されることが期待されます。

よくある質問(Q&A)

Q1:初期費用はかかりますか?

A:プレスリリースでは月額料金のみが公表されており、初期費用については明記されていません。OEM提供プランでは初期費用30万円〜とされていますが、通常プランについては問い合わせが必要と思われます。

Q2:契約期間の縛りはありますか?

A:現時点では最低契約期間についての情報は公開されていないようです。一般的なSaaS型サービスでは月額契約または年間契約が選べるケースが多いため、詳細は直接確認することをおすすめします。

Q3:無料トライアル期間はありますか?

A:無料トライアルに関する情報は現時点で公開されていません。ただし、事前に導入テストを実施して効果を確認しているとのことですので、何らかの試用期間が設けられる可能性はあります。

Q4:どのような予約サイト(OTA)と連携できますか?

A:「宿泊予約サイト、既存の施設管理システム(PMS)とも接続可能」とされていますが、具体的な連携先の一覧は公開されていません。楽天トラベル、じゃらん、Booking.comなど主要なOTAとの連携が可能かどうかは確認が必要です。

Q5:多言語対応していますか?

A:現時点では日本語対応が中心と推測されますが、今後の機能拡張として「AI接客(多言語対応)」「インバウンド対応強化」が予定されているとのことです。

Q6:サポート体制はどうなっていますか?

A:サポート体制についての詳細な情報は公開されていません。問い合わせ先として広報担当者の連絡先が示されていますので、導入検討時に確認することをおすすめします。

Q7:解約した場合、データはどうなりますか?

A:データの取り扱いについての情報は公開されていません。契約時に確認すべき重要なポイントです。

Q8:補助金は活用できますか?

A:観光庁の「観光地・観光産業における人材不足対策事業」など、宿泊業の業務効率化に関する補助金制度は存在します。条件を満たせば、最大500万円の補助を受けられる可能性があります。詳細は各補助金の募集要項をご確認ください。

コラム:宿泊業界で使われる隠語・スラング解説

トラベルライターTAKAとして、業界で使われる専門用語や隠語についても解説しておきましょう。これらを知っておくと、AIサービスの機能説明がより理解しやすくなります。

PMS(Property Management System) 「ピーエムエス」と読みます。宿泊予約や販売価格、残室数、料金精算といった客室に関する情報を一元管理できるシステムのことです。ホテルの基幹システムとも言える重要なツールで、AKEBONOもこのPMSとの連携を想定しています。

サイトコントローラー 複数のOTA(予約サイト)の在庫や料金を一元管理するシステムです。「手間いらず」「TEMAIRAZU」などのサービスが有名で、ダブルブッキングを防ぎ、効率的な在庫管理を実現します。

OTA(Online Travel Agency) 楽天トラベル、じゃらん、Booking.com、Expediaなど、インターネット上で宿泊予約を仲介するサービスの総称です。宿泊施設にとっては重要な集客チャネルですが、手数料負担が課題となっています。

レベニューマネジメント 客室の販売価格を需要に応じて調整し、収益を最大化する手法です。ダイナミックプライシングとも呼ばれ、AIの得意分野の一つとされています。

CVR(Conversion Rate:転換率) ホームページの訪問者のうち、実際に予約に至った割合を示す指標です。宿泊業界の平均CVRは2%前後と言われており、この数値を上げることが収益向上につながります。

API(Application Programming Interface) 異なるシステム同士を連携させるための技術仕様です。AKEBONOが「柔軟なAPI連携が可能」というのは、他のシステムとスムーズに情報をやり取りできることを意味しています。

チャットボット 自動会話プログラムのことで、顧客からの問い合わせにAIが自動で回答するシステムです。「ボット」は「ロボット」の略です。

自然言語処理(NLP:Natural Language Processing) 人間が日常的に使う言葉をコンピュータに理解させる技術です。AKEBONOはこの技術を活用することで、自然な会話での予約対応を実現しようとしています。

SaaS(Software as a Service) 「サース」または「サーズ」と読みます。ソフトウェアをインストールせず、インターネット経由でサービスとして利用する形態です。AKEBONOもSaaS型のサービスとして提供されています。

トラベルライターTAKAの独自考察:AKEBONOは宿泊業界を変えるか

最後に、トラベルライターTAKAとしての独自の視点から、AKEBONOというサービスについて考察してみたいと思います。

宿泊業界のAI活用は「待ったなし」の状況

これまで多くの宿泊施設を取材してきた経験から言えるのは、人手不足の問題は年々深刻化しているということです。コロナ禍で一度離れた人材が戻らない、若い世代が宿泊業界を敬遠する、外国人労働者の確保も容易ではない—こうした状況の中で、AIの活用はもはや選択肢ではなく必然になりつつあると感じています。

観光庁が人材不足対策事業の予算を1億円から3億円に増額したことからも、この問題の深刻さがうかがえます。AKEBONOのようなサービスが登場する背景には、業界全体の切実なニーズがあるのです。

価格破壊がもたらすインパクト

月額9,800円という価格設定は、業界に一石を投じる可能性があります。これまでAIチャットボットやシステム導入というと、月額数万円、初期費用は数十万円というのが相場でした。この価格帯では、小規模な民宿や家族経営の旅館には手が出しにくかったのが実情です。

AKEBONOの価格設定が本当にこの通りであれば、これまでAI導入を諦めていた小規模事業者にも門戸が開かれることになります。宿泊業界の裾野を広げるという意味で、大きな意義があると考えています。

生成AIの進化がもたらす可能性

従来のチャットボットは、あらかじめ登録された質問と回答のセットから応答するルールベース型が主流でした。しかし、ChatGPTに代表される生成AI技術の進化により、より自然で柔軟な会話が可能になっています。

AKEBONOが「予約受注生成AI」と銘打っているのは、この生成AI技術を活用していることの表れでしょう。過去データから最適な回答を生成できるという特徴は、従来のチャットボットにはなかった付加価値と言えます。

懸念点と今後の課題

一方で、気になる点もいくつかあります。まず、新規サービスゆえの実績の少なさです。宿泊施設にとってシステム選びは重要な経営判断であり、「実際に使ってみたらどうなのか」という情報がまだ少ないのが現状です。

また、提供会社の曙物産株式会社は従業員12名の中小企業であり、サポート体制の充実度については未知数な部分があります。導入後に問題が発生した場合のフォロー体制がどうなっているのか、契約前に確認しておくべきでしょう。

さらに、「おもてなし」の心をどう表現するかという日本の宿泊業界特有の課題もあります。AIは効率化には優れていますが、温かみのある接客をどこまで再現できるかは永遠のテーマです。AKEBONOがこの課題にどう向き合っているのか、実際の運用事例を通じて検証されていくことになるでしょう。

未来への期待

それでも、私はAKEBONOのようなサービスの登場を歓迎しています。宿泊業界が抱える構造的な課題を解決するためには、技術の力を借りることが不可欠だからです。

今後予定されている多言語対応やダイナミックプライシング機能が実装されれば、インバウンド対応の強化や収益最大化に向けた総合的なソリューションへと進化することが期待されます。宿泊業界のDXを推進する一つの選択肢として、注目していく価値があると考えています。

旅行業界全体が変革期を迎える中、AKEBONOがどのように成長し、業界にどのようなインパクトをもたらすのか。引き続き、トラベルライターとして見守っていきたいと思います。

皆様の宿泊施設運営の参考になれば幸いです。ご不明な点やさらに詳しい情報が必要な場合は、曙物産株式会社に直接お問い合わせいただくことをおすすめします。

参考サイトはこちら