2029年に開業予定の”オークラリゾート”ブランドのホテル「オークラリゾート 箱根強羅」とは? メリットやデメリットなどHOTTELの記者がわかりやすく解説

旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめわかりやすく解説します。

今回取り上げるのは、2029年に箱根・強羅エリアに開業する予定の「オークラリゾート 箱根強羅」です。日本を代表するホテルブランド「オークラ」が手掛ける、国内初の”オークラリゾート”ブランドのホテルとして、早くも旅行業界やホテルファンの注目を集めているようです。箱根という日本屈指の温泉観光地に、どのような新しいリゾート体験が誕生するのか、開業予定日、場所、施設の特徴、そしてメリット・デメリットまで、徹底的にリサーチしてまいりました。

結論:オークラブランド初のリゾートホテルとして、箱根強羅に上質なリトリート体験を提供する新たなランドマークが誕生する

まず結論から申し上げますと、「オークラリゾート 箱根強羅」は、ホテルオークラが長年培ってきた「日本の美意識」と「和の心に根差したもてなしの精神」を継承しながら、箱根強羅の豊かな自然環境と温泉文化を融合させた、国内初のオークラリゾートブランドのホテルとなるようです。2029年の開業を予定しており、全58室という比較的小規模でありながら、すべての客室に大涌谷温泉を源泉とする露天風呂を完備するなど、ラグジュアリーでプライベート感あふれる滞在が期待できると言われています。

開発は西松建設株式会社が土地および建物を開発・所有し、運営をホテルオークラに委託するという形態をとっており、投資額は100億円超という大規模プロジェクトのようです。箱根登山電車「強羅駅」から車で約5分、箱根登山ケーブルカー「中強羅駅」から徒歩約3分という好立地に位置し、明星ヶ岳を中心とする箱根の山々を望む風光明媚なロケーションを誇ると言われています。

このホテルは、単なる宿泊施設ではなく、箱根の自然と一体となった「温泉リトリート」体験を提供することを目指しているようです。フランス出身の著名デザイナー、グエナエル・ニコラ氏が率いるデザインスタジオ「キュリオシティ」が全体デザインを手掛け、”Forest Hideaway(森の隠れ家)”をコンセプトに、強羅の豊かな自然環境と調和する洗練された空間を創出するとのことです。

なぜ今、箱根強羅にオークラリゾートなのか

それでは、なぜホテルオークラが国内初のリゾートブランドホテルを箱根強羅に開業することを決めたのでしょうか。その背景には、いくつかの重要な要因があるようです。

箱根という立地の魅力

箱根は、年間延べ約2,031万人もの観光客が訪れる日本を代表する温泉地の一つです。豊かな自然環境を背景に、国内外から四季折々の景色を求めて多くの観光客が集まる地域として知られています。特に強羅エリアは、明治時代に高級別荘地として開発された歴史を持ち、現在でも瀟洒な宿や別荘が立ち並ぶ高級感漂う温泉地として人気を博しているようです。

箱根湯本からのアクセスも良好で、箱根登山電車で約40分、観光の拠点としても非常に便利な立地です。さらに、強羅からは箱根登山ケーブルカーで早雲山へ、そこからロープウェイで大涌谷や芦ノ湖エリアへとアクセスできる、まさに箱根観光の中心地と言えるでしょう。

強羅温泉の特異性

強羅温泉の最大の特徴は、その泉質の多様性にあるようです。大涌谷からの引き湯である乳白色の温泉(酸性-硫酸塩泉)と早雲山から引き湯した温泉(単純硫黄泉)を中心に、単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉など、多種多様な温泉を同一地域内で楽しむことができると言われています。

源泉数は46にものぼり、泉質は大きく分けると3種類ですが、5つの細かいタイプの泉質があり、色合いの違いから「5色のパステルカラー温泉」とも呼ばれているようです。このような多彩な温泉資源は、温泉リゾートを開発する上で非常に魅力的な要素であることは間違いありません。

特に「オークラリゾート 箱根強羅」で採用される予定の大涌谷温泉は、「美肌の湯」として知られており、肌に優しく、入浴後に肌がツルツルになる効能があると言われています。酸性ーナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩温泉という泉質で、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬、表皮化膿症などに効果があるとされているようです。

オークラブランドの新展開

ホテルオークラは、2030年までに国内外のホテル運営を現在の約2倍にあたる150カ所に増加させる計画を立てていると言われています。特に東南アジアなどの海外市場において、拠点数を増やす方針のようですが、国内においても新たなブランド展開を模索しているようです。

その一環として誕生したのが「オークラリゾート」ブランドです。このブランドは、ホテルオークラが長年にわたり継承してきた「日本の美意識」と「和の心に根差したもてなしの精神」を礎としながら、リゾート領域における新たな価値提供を目指しているとのことです。地域との共生、静けさと温もりのなかに宿る清楚で優雅な上質な空間と、過不足ない丁寧な心地よいサービス、地域の食材を生かした洗練された料理によってもたらされる至上のくつろぎを提供することをコンセプトとしているようです。

実は、ホテルオークラは1962年の創業以来、国内外で高い評価を受けてきた日本を代表するホテルブランドの一つです。帝国ホテル、ホテルニューオータニと共に「御三家」と呼ばれ、「日本の伝統美」と「親切と和の精神」に根ざしたもてなしは唯一無二と言われています。2019年には建て替えを経て「The Okura Tokyo」として再出発を果たし、伝統を継承しながらも現代的なサービスを提供し続けているようです。

現在、オークラ ニッコー ホテルマネジメントは、国内54カ所、海外27カ所の合計81ホテル、総客室数24,725室を運営していると言われています。しかし、「オークラリゾート」ブランドとしてのホテルは国内にまだ存在しておらず、箱根強羅が国内初の展開となるようです。

西松建設のホテル開発事業への注力

今回のプロジェクトで注目すべきもう一つのポイントは、開発・所有を担う西松建設の存在です。西松建設は総合建設会社として知られていますが、近年ホテル開発事業に積極的に取り組んでいるようです。

過去には、富山市でホテルオークラと組んで「ホテル JAL シティ富山」(2022年開業)を開発した実績があり、さらに2022年には初の海外大型ホテル開発事業として「グランドニッコー・バンコク サトーン」(2025年開業予定)に着手するなど、ホテル事業の開発・運営・投資を積極的に展開しているようです。

箱根のような国内屈指の観光地に、100億円超という大規模投資を行うということは、西松建設がホテル開発事業を今後の重要な事業領域と位置付けていることの表れと言えるでしょう。

「オークラリゾート 箱根強羅」の施設概要と特徴

それでは、具体的に「オークラリゾート 箱根強羅」がどのようなホテルになるのか、現時点で明らかになっている情報をもとに詳しく見ていきましょう。

基本情報

所在地:神奈川県足柄下郡箱根町強羅

開業予定:2029年

アクセス

  • 箱根登山電車「強羅駅」から車で約5分
  • 箱根登山ケーブルカー「中強羅駅」から徒歩約3分

建物構成

  • 西棟:地上3階、地下3階(12室)
  • 東棟:地上4階(46室)
  • 延床面積:9,650.84㎡

客室数:全58室

設計

  • 建築設計:浅井謙建築研究所株式会社、西松建設株式会社(構造)
  • インテリアデザイン:キュリオシティ(グエナエル・ニコラ氏)
  • 施工:西松建設株式会社

全室に露天風呂を備えた贅沢な客室

「オークラリゾート 箱根強羅」の最大の特徴は、全58室すべての客室に大涌谷温泉を源泉とした露天風呂が完備されていることのようです。標準客室面積はバルコニーを含めると約63㎡という広々とした設計で、間口は6メートルというゆとりある造りとなっているようです。

大涌谷温泉は「美肌の湯」として知られており、プライベートな空間で箱根の名湯を心ゆくまで楽しむことができると言われています。客室からは箱根の山々を望むことができ、どこにいても視線の先に自然を感じられるよう、開放的な窓が設けられているとのことです。

温かみのあるグリーンとベージュを基調とした館内デザインは、森の中に佇む隠れ家のような雰囲気を演出し、自然と静かに向き合う、リゾートならではのひとときを過ごせるように設計されているようです。

大浴場とサウナ施設

客室の露天風呂に加えて、館内には眺望とともに開放感を楽しめる大浴場も用意されているようです。大浴場にはドライサウナとミストサウナが完備されており、温泉とサウナの両方を楽しむことができる施設になる予定のようです。

箱根の雄大な自然を眺めながらの湯浴みは、日常の疲れを癒す最高のリトリート体験になることでしょう。

レストランとバー・ラウンジ

レストランには、鉄板焼カウンターを併設したファインダイニングが設けられる予定のようです。地域の食材を生かした洗練された料理を提供し、目の前で調理されるライブ感あふれる食体験が楽しめると言われています。

また、ロビーにはバー・ラウンジも用意され、チェックイン時のウェルカムドリンクから、夕暮れ時のカクテル、夜のバータイムまで、様々なシーンで利用できる空間となるようです。

トリートメントルーム

館内には2部屋のトリートメントルームも設置される予定のようです。温泉で身体を温めた後に、プロフェッショナルなトリートメントを受けることで、より深いリラクゼーション体験が得られることでしょう。

グエナエル・ニコラ氏によるデザイン

ホテル全体のデザインを手掛けるのは、フランス出身のデザイナー、グエナエル・ニコラ氏が率いるデザインスタジオ「キュリオシティ」です。

グエナエル・ニコラ氏は、1991年に来日し、1998年にキュリオシティを設立した著名なデザイナーで、GINZA SIXの共用部デザインをはじめ、国内外の多くのラグジュアリーブランドの店舗デザインを手掛けてきた実績があるようです。家具や化粧品パッケージなどのプロダクトデザイン、ブティックやホテルの空間デザインなど、幅広い分野で活躍しており、日本の美意識とモダンな感性を融合させた独創的なデザインで知られています。

今回の「オークラリゾート 箱根強羅」では、”Forest Hideaway(森の隠れ家)”をコンセプトに、強羅の豊かな自然環境と調和する、洗練された空間を創出するとのことです。透明感と情感的な要素を特長とするキュリオシティのデザインが、オークラブランドの伝統美とどのように融合するのか、非常に楽しみです。

オークラリゾート 箱根強羅の良い点・メリット

それでは、「オークラリゾート 箱根強羅」の良い点やメリットについて、詳しく見ていきましょう。

メリット1:オークラブランドの信頼性と上質なサービス

最大のメリットは、やはりホテルオークラというブランドの信頼性と、長年培われてきた上質なサービスを享受できることでしょう。

ホテルオークラは1962年の創業以来、「日本の伝統美」と「和の心に根差したもてなしの精神」を大切にし、各国の国賓からビジネスパーソンまで幅広いゲストに愛されてきた歴史があります。スタッフの丁寧な接客や細やかな気配り、過不足ない心地よいサービスは、多くの宿泊客から高く評価されているようです。

実際、ホテルオークラ京都やホテルオークラ神戸などの口コミを見ると、「スタッフの対応が素晴らしい」「さすがオークラのサービス」「細かい部分まで気配りが行き届いている」といった評価が多数見られます。このような高水準のホスピタリティが、箱根強羅でも提供されることが期待できるでしょう。

メリット2:全室に露天風呂完備のプライベート空間

全58室すべての客室に大涌谷温泉を源泉とした露天風呂が完備されているという点は、大きな魅力と言えます。

近年、箱根エリアではスモールラグジュアリー化が進んでおり、客室数を絞って一室一室に露天風呂を設置する高級旅館やホテルが増えてきているようです。「玄 箱根強羅」(全6室)や「箱根強羅 白檀」(全17室)、「箱根・強羅 佳ら久」(全70室)など、全室露天風呂付きの施設が人気を集めているようです。

「オークラリゾート 箱根強羅」も全58室という比較的コンパクトな規模でありながら、すべての客室に露天風呂を完備することで、プライベート感あふれる贅沢な滞在を提供しようとしているようです。大浴場でゆっくりと湯浴みを楽しむのも良いですが、人目を気にせず、好きな時間に好きなだけ温泉に浸かれる客室露天風呂は、特別な旅の思い出になることでしょう。

メリット3:抜群のロケーションと眺望

明星ヶ岳を中心とする箱根の山々を望む風光明媚なロケーションも、このホテルの大きな魅力のようです。

強羅エリアは箱根の中でも標高が高い場所に位置しており、雄大な自然を身近に感じることができる環境です。夏には箱根三大祭りにも数えられる「箱根強羅温泉大文字焼」を正面に鑑賞することができ、季節を通して眼前に広がる雄大な自然に寄り添い、身近に感じる滞在ができると言われています。

ロビー、客室、大浴場など、どこにいても視線の先に箱根の山々を感じられるよう、開放的な窓が設けられているとのことですので、自然と静かに向き合う、リゾートならではのひとときを過ごせることでしょう。

メリット4:アクセスの良さ

箱根登山電車「強羅駅」から車で約5分、箱根登山ケーブルカー「中強羅駅」から徒歩約3分という立地は、箱根観光の拠点としても非常に便利です。

強羅駅は箱根登山電車の終着駅であり、箱根湯本から約40分でアクセスできます。新宿からは特急ロマンスカーで箱根湯本まで約1時間25分、そこから箱根登山電車で強羅へと向かうことができるため、東京都心からも比較的アクセスしやすい立地と言えるでしょう。

また、強羅駅からは箱根登山ケーブルカーで早雲山へ、そこからロープウェイで大涌谷や芦ノ湖方面へとアクセスできるため、箱根観光の様々なスポットへの移動も容易です。

メリット5:開業が2029年という先進性

2029年という開業予定時期も、ある意味ではメリットと言えるかもしれません。

箱根エリアでは、2024年から2026年にかけて多くの新規ホテルや大規模リニューアルが予定されているようです。例えば、2026年秋には三井不動産グループの最高級ラグジュアリーホテル「HOTEL THE MITSUI HAKONE」が小涌谷に開業予定で、全126室という規模で自家源泉の天然温泉を全室に引き込む設計となっているようです。

また、2025年11月には「KÚON 箱根強羅」(オープンハウスグループ初の直営ホテル、全14室)や「TAOYA箱根」(大江戸温泉物語グループ)が開業予定で、箱根のホテル業界は非常に活況を呈しているようです。

このような競争環境の中で、2029年開業という少し遅めのタイミングは、先行するホテルの成功事例や課題を学び、より洗練されたサービスや施設を提供できる可能性があるでしょう。また、最新の設備や技術を導入できるという点でも、アドバンテージがあるかもしれません。

メリット6:「美肌の湯」として知られる大涌谷温泉

全客室および大浴場で使用される予定の大涌谷温泉は、「美肌の湯」として知られる良質な温泉のようです。

酸性ーナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩温泉という泉質で、肌に優しく、入浴後に肌がツルツルになる効能があると言われています。アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症などに効果があるとされているようです。

箱根を訪れる多くの旅行者が温泉を目的としていることを考えると、このような良質な温泉を全室で楽しめるというのは、非常に大きな魅力と言えるでしょう。

オークラリゾート 箱根強羅の悪い点・デメリット

それでは次に、「オークラリゾート 箱根強羅」の悪い点やデメリット、懸念点についても率直に見ていきましょう。

デメリット1:宿泊料金が高額になる可能性

最も気になるデメリットは、おそらく宿泊料金の高さでしょう。

現時点では具体的な宿泊料金は発表されていませんが、オークラブランドの最上位リゾートホテルであること、全室に露天風呂が完備されていること、客室数が58室という比較的小規模であることなどを考慮すると、かなり高額な料金設定になる可能性が高いと考えられます。

参考までに、箱根強羅エリアの高級旅館・ホテルの宿泊料金を見てみると、「箱根・強羅 佳ら久」が大人2名1泊あたり84,700円〜(1名あたり42,350円〜)、「玄 箱根強羅」が105,600円〜294,950円、「強羅花壇」が114,670円〜450,000円といった価格帯となっているようです。

「オークラリゾート 箱根強羅」も、これらの高級旅館と同等かそれ以上の料金設定になる可能性があるでしょう。1泊2名で10万円〜15万円、あるいはそれ以上という価格帯になることも考えられます。

もちろん、オークラブランドの上質なサービスや施設を考えれば、その価格に見合った価値があるのかもしれませんが、気軽に利用できる価格帯ではないことは確かでしょう。特別な記念日や大切な人との旅行など、限られた機会での利用になるかもしれません。

デメリット2:開業までの期間が長い

2029年という開業予定時期は、2025年12月現在からすると、まだ約4年先の話です。

この長い待ち時間は、期待を高める一方で、具体的な計画や予約ができないというもどかしさもあるかもしれません。また、4年という期間の中で、経済状況や旅行市場の動向、さらにはホテル業界のトレンドも変化する可能性があります。

さらに、建設工事の遅延や予期せぬ問題が発生した場合、開業時期がさらに遅れる可能性もゼロではありません。大規模な開発プロジェクトでは、このようなリスクは常につきまとうものです。

デメリット3:客室数が少ないため予約が困難になる可能性

全58室という客室数は、プライベート感や上質なサービスを提供する上では適切な規模かもしれませんが、予約の取りにくさという点ではデメリットになる可能性があります。

オークラブランドという知名度と人気、そして箱根という立地の良さを考えると、開業当初は予約が殺到することが予想されます。特に週末や連休、桜や紅葉のシーズンなどは、予約を取ることが非常に困難になるかもしれません。

また、客室数が少ないということは、大人数のグループ旅行や団体旅行には向いていないということでもあります。家族や友人のグループで複数の部屋を押さえたいという場合、希望する日程で全員分の部屋を確保するのが難しいかもしれません。

デメリット4:箱根エリアのホテル競争激化

前述の通り、箱根エリアでは2024年から2029年にかけて、多くの新規ホテルや大規模リニューアルが予定されているようです。

2026年秋には「HOTEL THE MITSUI HAKONE」が開業予定で、こちらも三井不動産グループの最高級ブランドとして全126室という規模で展開されるようです。また、「バンヤンツリー・箱根 芦ノ湖」(2028年開業予定)や「白馬八方尾根地区ホテル開発プロジェクト」(2029年以降開業予定)など、ラグジュアリーホテルの開業ラッシュが続いているようです。

このような競争環境の中で、「オークラリゾート 箱根強羅」がどれだけの差別化を図り、独自の価値を提供できるかが重要になってくるでしょう。競合ホテルとの比較検討が必至となり、選択肢が増える一方で、それぞれのホテルの特徴をしっかりと見極める必要が出てくるかもしれません。

デメリット5:季節による混雑と観光客の多さ

箱根は年間約2,000万人もの観光客が訪れる人気観光地であるため、特に繁忙期には多くの人で賑わいます。

ホテル内ではプライベート感あふれる滞在ができるかもしれませんが、一歩外に出ると観光客で混雑している可能性があります。特に桜の季節や紅葉のシーズン、ゴールデンウィークや年末年始などは、箱根登山電車やロープウェイ、主要な観光スポットが大変混雑することが予想されます。

静かでゆったりとした時間を求めて訪れたのに、観光地としての賑わいに疲れてしまうということもあるかもしれません。ホテルでの滞在を中心に楽しみたい方には問題ないかもしれませんが、箱根観光も併せて楽しみたい方にとっては、混雑を避けるための計画が必要になるでしょう。

デメリット6:強羅エリア特有の傾斜と坂道

強羅エリアは箱根の中でも標高が高い場所に位置しており、急な傾斜と坂道が特徴的です。

箱根登山ケーブルカーは強羅駅(標高541m)から早雲山駅(標高767m)まで、標高差226mを一直線に結んでいるほど、この地域の傾斜は急峻です。「オークラリゾート 箱根強羅」自体も、傾斜を生かした立地に西棟と東棟の二つの建物で構成されているようです。

ホテル内では快適に過ごせるかもしれませんが、周辺を散策する際には、坂道を登ったり下ったりする必要があるかもしれません。足腰に不安がある方や、ベビーカーや車椅子を使用される方にとっては、少し大変かもしれません。

ただし、この点については、ホテルから強羅駅や周辺観光スポットへの送迎サービスが提供される可能性もありますので、開業時の詳細情報を待つ必要があるでしょう。

こんな方におすすめ

以上の良い点・悪い点を踏まえて、「オークラリゾート 箱根強羅」をおすすめしたい方、逆におすすめできない方についても考えてみましょう。

おすすめしたい方

特別な記念日や大切な旅行を計画している方

誕生日、結婚記念日、還暦祝いなど、人生の特別な節目を祝う旅行を計画している方には、ぜひおすすめしたいホテルです。オークラブランドの上質なサービスと、全室露天風呂付きという贅沢な設備で、忘れられない思い出を作ることができるでしょう。

プライベート感を重視するカップルやご夫婦

客室の露天風呂で、人目を気にせずゆっくりと温泉を楽しみたいカップルやご夫婦には最適です。特に、大浴場が苦手な方や、二人だけの時間を大切にしたい方にとって、全室に露天風呂が完備されているというのは大きな魅力でしょう。

ホテルオークラのファンの方

ホテルオークラのファンや、オークラブランドのサービスを体験したことがある方には、国内初のオークラリゾートブランドホテルということで、ぜひ訪れていただきたい施設です。オークラの伝統的なもてなしと、リゾートとしての新しい価値がどのように融合されているか、体験する価値があるでしょう。

デザインやインテリアにこだわりのある方

グエナエル・ニコラ氏によるデザインに興味がある方、建築やインテリアデザインにこだわりのある方にもおすすめです。”Forest Hideaway”というコンセプトのもと、自然と調和した洗練された空間がどのように表現されているか、実際に体験することができるでしょう。

温泉好きの方

大涌谷温泉という良質な「美肌の湯」を、客室の露天風呂と大浴場の両方で楽しめるというのは、温泉好きの方にとって大きな魅力です。さらにドライサウナとミストサウナも完備されているため、温泉とサウナの両方を満喫したい方にもおすすめです。

おすすめできない方

予算を抑えた旅行を計画している方

高額な宿泊料金が予想されるため、リーズナブルに箱根旅行を楽しみたい方には向いていないかもしれません。箱根には様々な価格帯の宿泊施設がありますので、予算に合わせて他の選択肢を検討されることをおすすめします。

大人数のグループ旅行を計画している方

客室数が58室と比較的少ないため、大人数のグループで複数の部屋を確保するのが難しい可能性があります。また、大規模な宴会場や会議室などの情報も現時点では明らかになっていないため、団体での利用には向いていないかもしれません。

箱根観光をメインに考えている方

ホテルでの滞在よりも、箱根の様々な観光スポットを巡ることをメインに考えている方にとっては、宿泊料金に見合わないと感じるかもしれません。観光をメインに考えている場合は、よりリーズナブルな宿泊施設を選び、その分を観光費用に充てる方が満足度が高いかもしれません。

今すぐ箱根旅行を計画している方

開業が2029年と約4年先であるため、今すぐに箱根旅行を計画している方には、当然ながらおすすめできません。現在営業している他の素晴らしいホテルや旅館をぜひ検討してください。

よくある質問(Q&A)

Q1:予約はいつから開始されますか?

A:現時点(2025年12月)では、具体的な予約開始時期は発表されていないようです。一般的に、高級ホテルの場合、開業の半年から1年前に予約受付が開始されることが多いため、2028年頃から予約が可能になる可能性があります。最新情報は公式サイトやホテルオークラの公式発表をご確認ください。

Q2:宿泊料金の目安はいくらくらいですか?

A:正式な料金は未発表ですが、オークラブランドの最上位リゾートホテルであること、全室露天風呂付きであることなどを考慮すると、1泊2名で10万円〜15万円以上という価格帯になる可能性が高いと予想されます。ただし、これはあくまで推測であり、正確な料金は公式発表をお待ちください。

Q3:強羅駅からホテルまでの送迎サービスはありますか?

A:現時点では送迎サービスの有無については明らかになっていませんが、強羅エリアの多くのホテルや旅館では強羅駅からの送迎サービスを提供しているようです。「オークラリゾート 箱根強羅」も、おそらく何らかの送迎サービスが提供される可能性が高いでしょう。

Q4:子供連れでの宿泊は可能ですか?

A:客室の構成やベッドタイプなどの詳細はまだ発表されていませんが、全室露天風呂付きということを考えると、大人向けの静かな滞在を提供するコンセプトかもしれません。ただし、オークラブランドのホテルは一般的にファミリー層にも対応しているため、子供連れでの宿泊も可能だと思われます。詳細は公式発表をご確認ください。

Q5:ペット同伴での宿泊は可能ですか?

A:現時点ではペット同伴可否については情報がありません。箱根にはペット同伴可能なホテルも増えてきていますが、高級リゾートホテルの場合、ペット同伴不可としているところも多いようです。ペット同伴をご希望の場合は、開業後に直接ホテルにお問い合わせいただくのが確実でしょう。

Q6:駐車場はありますか?

A:詳細は発表されていませんが、箱根エリアのホテルでは一般的に駐車場が用意されていることが多いため、「オークラリゾート 箱根強羅」にも駐車場が設けられる可能性が高いでしょう。

Q7:周辺にはどのような観光スポットがありますか?

A:強羅エリアには、箱根強羅公園、箱根美術館、ポーラ美術館、ニコライ・バーグマン 箱根ガーデンズなど、多くの観光スポットがあります。また、箱根登山ケーブルカーで早雲山へ、そこからロープウェイで大涌谷や芦ノ湖方面へもアクセス可能です。

コラム:箱根ホテル業界の隠語やスラング

ここで少し、箱根のホテル業界や温泉旅館業界で使われる隠語やスラングについて、トラベルライター”TAKA”としての知見をご紹介させていただきます。

「スモラグ」

これは「スモールラグジュアリー」の略語で、客室数を絞って一室一室に贅を尽くした高級ホテルや旅館のことを指します。箱根では近年、この「スモラグ」化が進んでおり、大規模な宿泊施設よりも、少数精鋭の客室で上質なサービスを提供する施設が増えているようです。「オークラリゾート 箱根強羅」も、全58室という比較的コンパクトな規模で、この「スモラグ」のカテゴリーに入ると言えるでしょう。

「泊めごろし」

これは温泉旅館業界で使われる言葉で、あまりにもサービスが良すぎて、お客様がホテルや旅館から出たくなくなってしまう状態を指します。決してネガティブな意味ではなく、むしろ最高のおもてなしができている証拠として使われる言葉です。オークラリゾート 箱根強羅も、全室露天風呂付き、ファインダイニング、トリートメントルームなど充実した施設で、まさに「泊めごろし」を目指しているのかもしれません。

「湯めぐり」「湯ござ」

箱根では複数の温泉地があり、それぞれ泉質が異なることから、「湯めぐり」(複数の温泉を巡ること)を楽しむ文化があります。また、「湯ござ」とは、温泉に入った後の心地よい疲れのことを指す言葉で、特に箱根のような温泉地で使われることがあるようです。

「別荘地」

強羅は明治時代に高級別荘地として開発された歴史があり、「別荘地」という言葉は今でも強羅の高級感や閑静な雰囲気を表す言葉として使われています。実際、強羅には今も多くの別荘が点在しており、その雰囲気が温泉地としての魅力を高めているようです。

トラベルライター”TAKA”の考察と意見

最後に、トラベルライター”TAKA”としての独自の考察と意見を述べさせていただきます。

「オークラリゾート 箱根強羅」の開業は、箱根の高級リゾート市場における重要な転換点になる可能性があると考えています。

まず注目すべきは、ホテルオークラという日本を代表するホテルブランドが、初めて「リゾート」という冠を掲げたホテルを国内に展開するという点です。これは、ホテルオークラが従来のシティホテルやビジネスホテルとは異なる、新たな市場セグメントに本格参入することを意味しており、日本のホテル業界全体にとっても大きな意味を持つでしょう。

従来、日本のリゾートホテル市場は、星野リゾートのような国内企業や、ハイアット、マリオットといった外資系ホテルチェーンが主導してきました。しかし、ホテルオークラのような伝統的な日本のホテルブランドが、本格的にリゾート事業に参入することで、市場の競争環境が大きく変わる可能性があります。

特に興味深いのは、「日本の美意識」と「和の心に根差したもてなしの精神」という、オークラが長年大切にしてきた価値観を、リゾートという舞台でどのように表現するかという点です。シティホテルとリゾートホテルでは、求められるサービスや空間の在り方が大きく異なります。都市のホテルでは効率性や機能性も重要ですが、リゾートではゆったりとした時間の流れや、自然との調和、非日常的な体験の提供がより重視されます。

グエナエル・ニコラ氏による”Forest Hideaway”というコンセプトは、まさにこのような視点を体現しているように思えます。強羅の豊かな自然環境を最大限に活かしながら、洗練されたデザインで快適な空間を創出するというアプローチは、日本的な自然観と西洋的なデザイン感覚の融合を目指すものと言えるでしょう。

また、西松建設という総合建設会社が、100億円超という大規模投資を行ってホテル開発に乗り出したという点も見逃せません。これは、日本の建設業界がこれまでの「建てる」だけのビジネスモデルから、「所有・運営」まで含めた総合的な不動産ビジネスへと進化していることを示しています。西松建設は、このプロジェクトを通じて、建設業とホテル業の両方のノウハウを蓄積し、将来的にはさらに多くのホテル開発プロジェクトを手掛けていく可能性があるでしょう。

一方で、懸念点もあります。最も大きな懸念は、箱根エリアにおけるホテルの供給過剰です。2024年から2029年にかけて、箱根では多くの新規ホテルや大規模リニューアルが予定されており、特にラグジュアリー市場では激しい競争が予想されます。「HOTEL THE MITSUI HAKONE」のような強力な競合ホテルに対して、どのような差別化を図るかが成功の鍵となるでしょう。

また、高額な宿泊料金が予想される中で、コストパフォーマンスをどう評価するかという点も重要です。全室露天風呂付き、オークラブランドのサービス、グエナエル・ニコラ氏によるデザインといった要素は確かに魅力的ですが、それに見合った体験が提供されなければ、顧客の満足度は得られません。特に、口コミやSNSが発達した現代において、一度でも期待を裏切るような体験をさせてしまうと、ブランドイメージに大きな傷がつく可能性があります。

さらに、2029年という開業時期は、社会経済情勢が大きく変動する可能性のある時期でもあります。インフレーションの進行、人手不足の深刻化、エネルギーコストの上昇など、ホテル経営を取り巻く環境は決して楽観的とは言えません。これらの外部環境の変化に、どのように対応していくかも重要な課題となるでしょう。

それでも、私は「オークラリゾート 箱根強羅」には大きな期待を寄せています。なぜなら、このホテルは単なる宿泊施設ではなく、日本のホスピタリティと自然、そして現代的なデザインが融合した、新しい形のリゾート体験を提供しようとしているからです。

箱根という地は、江戸時代から続く温泉文化と、明治以降に発展した別荘文化、そして戦後の観光地としての発展という、多層的な歴史を持っています。その中でも強羅は、特に格式高い別荘地として発展してきた場所であり、今もその雰囲気を色濃く残しています。このような歴史と文化を持つ土地に、オークラという日本を代表するホテルブランドが、新しいリゾートのあり方を提示することには、大きな意義があると思います。

また、グエナエル・ニコラ氏のような国際的に活躍するデザイナーが、日本の伝統美とモダンデザインの融合を試みることで、日本のリゾートホテルが新たな段階に進化する可能性もあります。彼は長年日本で活動し、日本の美意識を深く理解しているデザイナーですので、単なる表面的な和の演出ではなく、本質的な日本らしさを空間に反映させることができるでしょう。

最後に、このホテルが成功するかどうかは、最終的には「体験」に尽きると思います。どれだけ素晴らしい施設やデザインがあっても、スタッフのホスピタリティ、料理の質、清潔さ、細部への配慮など、総合的な体験の質が高くなければ、リピーターを獲得することはできません。

オークラブランドは、長年にわたって高いサービス品質を維持してきた実績がありますので、この点については信頼できると思います。しかし、リゾートというシティホテルとは異なる環境で、どこまでオークラらしいサービスを提供できるか、そして強羅という地域の特性をどう活かせるかが、真の試金石となるでしょう。

2029年の開業まで、まだ約4年という時間があります。この期間に、先行する競合ホテルの動向を注意深く観察し、顧客のニーズや市場の変化を的確に捉えながら、最終的なコンセプトやサービス内容を磨き上げていくことが重要です。

私自身、トラベルライターとして、この「オークラリゾート 箱根強羅」の誕生を心から楽しみにしています。開業した暁には、ぜひ実際に宿泊して、その体験を皆様にお伝えしたいと思っています。日本のホスピタリティの新たな可能性を示す、素晴らしいリゾートホテルとなることを期待しています。

公式サイトはこちら

※本記事の情報は2025年12月時点のものです。開業予定日や施設内容、料金などは変更される可能性がありますので、最新情報は公式サイトやホテルオークラの発表をご確認ください。