2026年6月1日(月)にオープンする予定のリトリート型ホテル「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA(ふたたび双葉福島)」とはどんなホテル? 場所、料金、予約方法、メリットやデメリットなどHOTTELの記者がわかりやすく解説

旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター“TAKA”として、旅についての疑問や噂の真相をできるだけ丁寧にひもときながら解説していく。今回のテーマは、2026年6月1日(月)に開業予定のリトリート型ホテル「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA(ふたたび ふたば ふくしま)」だ。

「福島・双葉町に新しくできるリトリートホテルってどんなところ?」「原発事故のあった地域だけど、実際に泊まりに行く価値はあるの?」——そんな不安や疑問、そして“ちょっと気になる”という期待も含めて、ネット上の情報と旅行業界の視点を交えて、できるだけわかりやすく整理してみる。

最初に結論:「“復興の現場”に寄り添う、ウェルネス&カンファレンス特化のリトリートホテル」

先に結論から整理すると、「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA」は次のような特徴を持つホテルだと言われている。

  • 福島県双葉町・中野地区復興産業拠点に位置する、リトリート型&カンファレンス機能を備えたホテル
  • コンセプトワードは「再生・再会・再訪」を意味する“FUTATABI(ふたたび)”
  • 客室は約100室規模、うち98〜100室程度という計画で、5階建ての中規模ホテル
  • 最上階に、宿泊者専用スパ「Slow SPA」とフィンランド式サウナ、水風呂、レイクバスを備えた本格ウェルネス施設
  • 約1,500冊の蔵書をそろえた別棟ライブラリー&カフェやオールデイダイニング、ビオトープ型の庭園など、滞在そのものを目的にできるリゾート要素が強い
  • 地域最大規模クラスのバンケット&カンファレンスルーム(最大約430㎡・4会場)を備え、MICEや企業研修にも対応する“カンファレンスホテル”の性格も併せ持つ
  • 東日本大震災・原子力災害伝承館や、今後整備予定の福島県復興祈念公園に隣接し、「復興」「防災」「学び」と強く結びついたロケーション

価格は、ビジネスホテルとフルサービスリゾートの中間くらいのミドルレンジ帯になると予想されており、“ウェルネストラベル”志向の個人旅行者や企業研修・合宿、教育旅行などとの相性が良いホテルになりそうだと言われている。

一方で、
双葉町自体がいままさに復興途上にあるエリアであり、周辺の飲食店や観光インフラは都市部に比べてまだ限定的で、「夜にふらっと街歩きやはしご酒をしたい」というタイプの旅行にはあまり向かない“デメリット”も想定される。周辺環境も含めて「ホテルそのものを目的にする旅」がフィットしやすいようだ。

そのため、「とにかく安く・便利に泊まりたい」という意味でのビジネスユースよりも、サウナ・スパを楽しむ“サ旅”や、震災遺構や伝承施設を訪ねる“ホープツーリズム”のベースキャンプとして利用するスタイルがハマりやすいホテル、と言えるのではないかと感じる。

ここからは、この結論に至った根拠を、場所・施設・料金・評判・良い点/悪い点などに分けて、できるだけ具体的に見ていく。

ホテルの基本情報とコンセプト

どこにある、どんな規模のホテルか

「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA」は、福島県浜通りエリア・双葉町の中野地区復興産業拠点内に建設中のリトリート型ホテルだ。

  • 所在地:福島県双葉郡双葉町大字中野字宮ノ脇7番1 付近
  • 区画:中野地区復興産業拠点(東日本大震災・原子力災害伝承館の北側)
  • 構造・規模:鉄骨造(一部木造)、地上5階建て
  • 客室数:98〜100室(公式リリースでは98室表記と100室表記が混在。最終的に約100室規模になる見込み、との説明)
  • 敷地面積:約23,000㎡、延床面積:約7,000㎡

2026年1月竣工 → 2026年3月〜初夏開業予定という計画が、途中のリリースで示されていたが、最新のアナウンスでは2026年6月1日(月)開業予定とされており、そのタイミングに合わせて宿泊予約の受付がスタートしたと発表されている。

旅館や小規模オーベルジュではなく、“中核的なカンファレンスホテル+リトリート”という位置付けのため、建物規模としては地方都市のフルサービスホテルに近いサイズ感だとイメージするとわかりやすい。

コンセプトキーワードは「再生・再会・再訪」の“FUTATABI”

ホテル名に冠された「FUTATABI」には、公式リリース上で次のような3つの意味が込められていると説明されている。

  • 双葉の自然や産業を、ふたたび取り戻したい —— 再生
  • この町や人の魅力と、ふたたび出会いたい —— 再会
  • そして、またこの場所へ来たいと思ってほしい —— 再訪

震災と原子力災害により長く全町避難が続いた双葉町では、2020年前後から中野地区復興産業拠点を中心に、東日本大震災・原子力災害伝承館や産業交流センター、復興関連の研究開発施設などが順次整備されてきた。

その中核エリアに立つホテルとして、「単に泊まる場所」ではなく、

  • 復興の歩みを“肌で感じる拠点”
  • 地域の人と外から来る人が交わる“交流のハブ”
  • 心と身体を整えながら、自分自身と向き合う“リトリートの場”

を目指していると説明されており、このあたりが他地域の一般的なカンファレンスホテルと大きく違うポイントだと言われている。

デザイン・ライブラリー監修陣にもこだわり

ホテル全体のデザイン監修・アドバイザーとして、広告・建築・空間デザインなど幅広い分野で知られるクリエイティブディレクターが参加しているほか、ライブラリー部分は著名なブックディレクターが選書・構成を手がけると発表されている。

  • 共用部デザイン監修:クリエイティブディレクター 佐藤カズー氏(TBWA HAKUHODO)
  • ライブラリー:幅允孝氏(BACH)がブックディレクションを担当

こうした布陣からも、「単なるビジネスユース向けの会議ホテルではなく、“滞在そのもの”の質をかなり重視したホテルになりそうだ」と業界内で期待されているようだ。

客室タイプと館内施設:どう過ごすホテルか

客室構成:スタンダードから最大5名対応スイートまで

公式リリースでは、客室は10タイプ・全98室(100室計画)とされ、次のようなタイプが紹介されている。

  • スタンダードダブル
  • スタンダードツイン
  • バンクベッド トリプル(2段ベッドを活用した3名用タイプ)
  • コンフォートスイート(ファミリー・グループ向け)
  • プレシャススイート(約82.5㎡、定員5名)

「開放感のある大きな窓」「バルコニー付きのお部屋が全体の半数以上」といった説明もあり、“外を眺めながら静かに過ごす”ことを前提にした設計であることがうかがえる。

一部の業界向け記事では、「全室バス・トイレ別のセパレートタイプになる」といった記述も見られるが、公式サイトや主要リリースの本文中にはまだ決定事項として明記されていないため、「そのような仕様が検討されていると言われている」程度のニュアンスで受け取っておくのが安全だと感じる。

いずれにせよ、

  • 1〜2名でのスマートな滞在
  • 子連れファミリーの週末旅
  • 友人グループ4〜5名での“サ旅+フィールドワーク”

など、人数・目的に合わせて柔軟に選べるラインナップになりそうだ。

宿泊者専用スパ「Slow SPA」とサウナ

このホテル最大の特徴のひとつが、最上階に設けられる宿泊者専用スパ「Slow SPA」だ。

  • 利用は宿泊者限定
  • 国産木材をふんだんに使ったナチュラルな内装
  • フィンランド式サウナ(サウナクリエイティブ集団「TTNE」の“ととのえ親方”監修)
  • 15〜17℃に保たれたコールドバス(水風呂)
  • 外気を感じられる屋外レイクバス(温水・プールに近いイメージ)
  • 外気浴用リクライニングチェア、内気浴スペースも完備
  • 水着着用の男女共用エリアとして設計され、カップルや友人同士で一緒に楽しめる

サウナ好きの間で知られる“ととのえ親方”が監修していることから、「サウナ目的でわざわざ足を運ぶ価値がある施設」とする紹介記事も複数出ており、サウナ特化メディアでも早くから注目されているようだ。

一方で、“温泉旅館的な大浴場”というよりは、

  • スイムウェアで男女共用利用
  • サウナ×水風呂×外気浴×レイクバスで“ととのう”
    という、現代的なウェルネススパ寄りの設計になりそうなので、「裸でのんびり湯船に浸かる昔ながらの温泉体験」をイメージしている方は、少しイメージを修正しておいた方がギャップが少ないかもしれない。

ライブラリー&カフェ、オールデイダイニング、ビオトープ

スパと並び、このホテルの“リトリート性”を象徴しているのが、館内・別棟に用意される次のような施設だ。

  • 約1,500冊の蔵書を備えた別棟ライブラリー・カフェ
    • ブックディレクターが選書した本が並び、「静かに本と向き合う時間」を演出する空間と言われている。
  • オールデイダイニング
    • 地元・浜通りエリアの魚介や農産物など、福島の旬の恵みを活かした料理を提供するとされており、“地産地消”志向のホテルレストランになりそうだ。
  • ビオトープ型の庭園
    • 元々この土地に自生していた植生を意識的に取り入れた庭園計画が示されており、四季折々の変化を感じながら散策できる“屋外のリトリート空間”として位置付けられている。
  • バンケット&カンファレンスルーム(4会場・最大約430㎡)
    • 地域最大規模クラスとされ、企業の研修合宿、シンポジウム、学会、小規模国際会議まで幅広く対応できる仕様を目指しているようだ。
  • フィットネスジム、ショップ、ラウンジなど

こうした構成を見る限り、「寝るだけの宿」ではなく、“ホテルの中だけで1日を完結させられる”タイプの滞在先として設計されている印象が強い。

アクセスと立地:東京から約3時間、「復興のフロントライン」に立つホテル

鉄道アクセス:特急ひたちで東京から約3時間10分

公共交通機関で向かう場合の拠点駅は、JR常磐線「双葉駅」になる。

  • 東京駅 → 双葉駅
    • 特急「ひたち」利用で約3時間10分前後
  • 双葉駅 → ホテル最寄り
    • 双葉町のシャトルバスで「産業交流センター前」まで約5分+そこから徒歩約5分、という案内が出ている。

東日本大震災・原子力災害伝承館の公式アクセス案内でも、

  • 東京駅から特急ひたち利用で双葉駅まで約3時間10分
  • 双葉駅から伝承館まで徒歩約25分(約2km)
  • 車利用なら常磐自動車道・常磐双葉ICから約10分

とされており、ホテルもほぼ同一エリアに位置するため、「東京からドア・ツー・ドアで概ね3時間半〜4時間程度」という感覚で見ておくと実態に近いと言われている。

車利用:常磐自動車道「常磐双葉IC」から約10分

自家用車やレンタカーでアクセスする場合は、常磐自動車道「常磐双葉IC」が最寄りとなる。

  • 常磐双葉IC → 中野地区復興産業拠点:約6km、所要約10分
  • 仙台市内から車で約1時間30分、いわき市内から約1時間、福島市内から約1時間40分という目安も示されている。

福島浜通りエリアは、常磐自動車道と国道6号線、JR常磐線の3本が南北方向に走る“縦軸”で結ばれており、双葉町はそのほぼ中間地点にある。 このため、南はいわき、北は仙台方面の観光やビジネスと組み合わせる「周遊型ドライブ旅の拠点」としても機能しやすいロケーションと言える。

周辺環境:伝承館・産業交流センター・復興祈念公園

ホテルが面している中野地区復興産業拠点には、既に次のような施設が整備済み・整備予定とされている。

  • 東日本大震災・原子力災害伝承館
  • 双葉町産業交流センター(F-BICC)
  • 福島県復興祈念公園(今後整備予定)
  • 震災・原子力災害に関連する研究・産業施設群
  • 一部商業施設や飲食スペース

双葉駅周辺と比べると、かなり計画的に造成された新区画で、「復興」「防災教育」「産業創出」をテーマとするエリアにホテルが“組み込まれている”と言ってよいだろう。

そのため、旅のテーマとしては

  • 震災・災害の教訓を学ぶ「ホープツーリズム」
  • 復興の現場を訪ねるスタディツアー
  • エネルギー・環境・産業政策に関心のあるビジネス・行政関係者の視察

などと非常に相性が良い立地だと評価されている。

料金と予約方法:現時点でわかること・わからないこと

宿泊料金の目安

2025年末時点で公開されている公式情報やプレスリリースでは、具体的な宿泊料金(1泊いくら〜)はまだ明記されていない

一部の業界ニュースや報道では、

  • 「素泊まりベースで7,000円台〜1万円前後のレンジ」
    といった記述が散見されるものの、元となる資料本文を確認すると料金表までは掲載されておらず、あくまで“想定価格帯”として紹介されている段階のようだ。

現実的には、

  • 地方のカンファレンスホテル
  • 新築かつスパ・ライブラリー付き
  • 福島浜通りという立地

という要素を総合すると、「ミドルレンジ(ビジネスホテル標準〜やや上)クラス」に落ち着く可能性が高い、と旅行業界では見られていると言われている。
一方で、プレシャススイートなどの上位カテゴリーや、2食付きのウェルネス滞在プランは、相応の単価になることも想定しておいた方がよさそうだ。

予約方法:公式サイト+大手オンライン旅行会社

最新のプレスリリースでは、「宿泊予約の受付を開始」と明記されており、専用の公式サイトで予約ができる体制になりつつある。

また、国内の大手旅行予約サイトやパッケージ旅行サイトでもホテルページ自体は既に公開されており、

  • 総客室数98室
  • チェックイン15:00/チェックアウト10:00
  • 駐車場あり(多くは無料と記載)
  • アクセス:東京駅から特急ひたちで約3時間10分+シャトルバス

といった基本情報が掲載されている。

ただし、2025年末時点では

  • 「検索条件に該当するプランが存在しません」と表示されるケース
  • プラン枠はあるが、具体的な販売開始時期は“未定”とみられる状態

も多く、本格的な販売スタートは開業半年前〜数か月前にかけて段階的に進むと予想される。

現段階で確実に言えるのは、

  • 公式サイトからのオンライン予約
  • 国内大手OTA経由の予約
  • 企業・団体向けには、ホテルまたは運営会社を通じた直接問い合わせ

といったチャネルがメインになる、という点だろう。

ネットに見える“事前評判”と口コミの現状

実際の宿泊者口コミはまだ「集計中」

大手宿泊予約サイトの口コミページを確認すると、

  • 総合評価:集計中
  • 部屋/立地/サービス/食事/風呂など、すべて「集計中」または「-」表記
    となっており、実際に宿泊したゲストからのレビューは、まだほとんど存在しない状態であることがわかる。

これは、開業前〜開業直後のホテルではごく自然なことで、「オープンしてしばらく経ってから、レビューが一気に増えてくる」のが一般的だ。

事前の記事・ブログ・求人情報から見える“期待値”

一方で、宿泊者ではないものの、

  • サウナ・スパ専門の情報サイト
  • 旅行・トレンド系のニュースメディア
  • ホテル業界の専門誌・オンライン媒体
  • ホテルで働く人向けの求人情報サイト

などでは、「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA」に関する紹介記事や募集要項が複数公開されており、そこからは次のような“事前評判”が読み取れる。

  • 「国産木材を使ったサウナ」「海と空を望むスパ」といったキーワードで、サウナ・ウェルネス好きの間で期待値が高いと紹介されている。
  • ビューバス付きスイートやバルコニー付き客室など、“ご褒美ステイ”を意識した客室構成が注目されている。
  • 地域最大級のカンファレンスルームと約100室の客室を備え、「双葉町唯一のリトリート型ホテル」として、地域経済と交流の拠点になることが期待されている
  • 求人情報では、「双葉町と浜通りエリア全域の発展に寄与する」「地域と宿泊客の交流を生み出すホテルを目指す」といったメッセージが打ち出されており、“復興に関わる仕事がしたい”人材の受け皿としても注目されているようだ。

これらはあくまでホテル側・メディア側の発信であり、ゲストの生の声ではない点には注意が必要だが、少なくとも
「福島・双葉でただ寝るだけのホテル」ではなく、
「“再生”や“学び”も含めた、新しいタイプのリトリート拠点」
として、業界内外からポジティブに取り上げられている、という空気感は読み取れる。

良い点・メリット・利点:どこが魅力か

ここからは、旅行者の視点で「良い点(メリット・利点)」を整理していく。

1. スパ&サウナが本格的で、“サ旅”の目的地になりうる

  • 宿泊者専用のスパエリア「Slow SPA」
  • “ととのえ親方”監修のフィンランドサウナ+こだわりの水風呂
  • 水着着用の男女共用エリアで、カップルや友人同士で同じ空間を楽しめる設計

こうしたポイントから、「サウナが目的地になるホテル」としてのポテンシャルはかなり高いと言われている。

従来、浜通りエリアで“サ旅”と言えば、温泉地やスパ施設に泊まるケースが多かったが、

  • サウナの設計思想
  • ライブラリーやダイニングとの組み合わせ
    といった点まで含めて“トータルなウェルネス体験”を打ち出している宿は、まだ数が限られている印象がある。その意味で、このホテルはウェルネス志向の旅行者にとって大きな選択肢になると期待されている。

2. “ウェルネストラベル”の流れにぴったりのリトリート設計

近年の旅行トレンドとして、

  • 心と身体を整える「ウェルネストラベル」
  • 長期休暇ではなく、週末+1〜2日でリセットする“マイクロリトリート”

といったスタイルが注目されており、「手頃な価格帯で付加価値の高いウェルネスホテル」が伸びていくと指摘されている。

「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA」は、

  • 3時間強で東京からアクセス可能
  • スパ・サウナ・ライブラリー・庭園・フィットネスをワンパッケージで体験
  • 客室も含めて“静かに自分と向き合う”ことを意識した設計

という条件を満たしており、まさにこのウェルネストラベルの流れにフィットするホテルになりそうだと感じられる。

3. 「伝承館」「復興祈念公園」とセットで、“学びの旅”が組みやすい

ホテルのすぐ近くには、

  • 東日本大震災・原子力災害伝承館
  • 今後整備予定の福島県復興祈念公園
  • 双葉町産業交流センター
    などが位置している。

これらは、

  • 震災や原発事故の記録・教訓を学ぶ施設
  • 復興の歩みや地元の現在進行形の姿を知る拠点

として整備されており、修学旅行や防災教育旅行、企業のCSR研修などで既に利用されている施設もある。

ホテルが同じ拠点内にあることで

  • 日中は伝承館などで学び
  • 夜はスパやライブラリーで心身を整える

という「負荷の高い学び」と「リトリート」をセットにした旅程が組みやすくなる点は、他の地域にはなかなかないユニークなメリットだと感じる。

4. MICE・企業研修・合宿のベースとして使いやすい

地域最大級とされるバンケット&カンファレンスルーム(最大約430㎡・4会場)に加え、約100室規模の客室、レストラン、スパ、フィットネスといった共用施設が揃うことから、

  • 企業のオフサイト合宿
  • 研究会やシンポジウム
  • 行政・NPOのワークショップ
    など、MICE用途で使いやすい“カンファレンスホテル”としての強みも明らかだ。

とくに、

  • 福島復興関連の会議
  • エネルギー・防災・地域再生をテーマにしたイベント

といった内容であれば、「場所そのものがメッセージになる」ため、他の都市型会議場にはない“説得力”が生まれると言われている。

5. 地元食材を活かしたダイニングと、庭園・ビオトープの癒やし

公式リリースでは、オールデイダイニングで地元の旬の恵みを活かした料理を提供することや、元来この地に自生していた植物を中心に植栽したビオトープ型の庭園を整備することが示されている。

浜通りエリアは、

  • 太平洋の魚介
  • 野菜・果物などの農産物

に恵まれた地域であり、近年は“福島の食の安全・魅力”を国内外に伝える動きも強まっている。そうした流れとも連動しながら、「地元の食で心身を整える旅」を提案してくれそうだ。

庭園やビオトープも、

  • スパの外気浴と組み合わせて四季を感じる
  • 朝の散歩や軽いジョギングで自然に触れる

といった使い方が想定され、リトリートホテルとしての“良い点”をさらに補強しているといえる。

悪い点・デメリット・欠点:注意しておきたいポイント

良い点を踏まえたうえで、旅行者目線で想定される「悪い点(デメリット・欠点)」もあえて整理しておきたい。

1. 周辺に“街歩き”できる繁華街や飲食街は少ない

中野地区復興産業拠点は、ゼロから造成された新区画であり、

  • 伝承館
  • 産業交流センター
  • 研究・産業施設
  • ホテル

といった機能が中心になっている。

そのため、

  • 駅前の飲み屋街
  • 雑多な商店街
  • 深夜まで営業する飲食店街

といった“街としての賑わい”は、少なくとも現時点では限定的と言われている。
「夕食後にふらっと外飲みに出たい」「ご当地の居酒屋をはしごしたい」といったニーズに対しては、おすすめしないエリアになってしまう可能性が高い。

このホテルは

  • ホテル内ダイニング
  • スパやライブラリー
    で一晩を完結させる、“こもる旅”に向いた宿と考えた方が、ギャップが少ないだろう。

2. 公共交通だけだと、移動の自由度はあまり高くない

双葉駅からはシャトルバスやタクシーでアクセスできる見込みだが、

  • バス便の本数や最終便の時間
  • 夜間のタクシー供給状況

などは、都市部に比べるとどうしても限られると予想される。

福島浜通りエリアの他のスポット(浪江町・請戸、南相馬、いわきなど)も含めて周遊するなら、

  • レンタカー
  • マイカー

を使った方が圧倒的に動きやすいのは事実であり、車を使わない旅行者にとっては“デメリット”になりうる。
一方で、ホテルを起点とした送迎付きのスタディツアーやガイド付きツアーが今後整備されれば、この弱点はある程度カバーされる可能性もある。

3. 「原発事故のあった地域」という心理的ハードル

双葉町は、福島第一原発事故の避難指示区域だった自治体であり、いまも「原発の町」というイメージが根強い。
実際には、

  • 中野地区復興産業拠点や双葉駅周辺は避難指示が解除され、観光・交流施設として整備が進んでいる
  • 伝承館などの公共施設が通常運営されている

といった状況で、「観光・出張で訪れること自体は、国や自治体が安全基準を満たしたうえで認めている」と解釈されるが、それでも

  • 小さな子どもを連れて行っても大丈夫か
  • 放射線量はどうなのか

といった不安を持つ人がいるのは自然なことだろう。

この点は、ホテルというよりエリア自体の課題ではあるが、「心理的な意味での“おすすめしない”層」が一定数いる可能性は否めない。

4. オープン直後は“オペレーションがこなれていない”可能性

どの新規開業ホテルにも共通するが、

  • スタッフが新チームである
  • システムや動線に現場ならではのクセがある

といった理由から、開業直後〜数か月はどうしてもオペレーションに“揺れ”が出やすい。
特に、

  • 地域外からの新規採用スタッフ
  • 地元採用のスタッフ

が混在する新しいホテルでは、「おもてなしのスタイルを現場で微調整していく期間」が必要になることが多く、サービス面のクオリティが落ち着くまで少し時間がかかる可能性もある。

その代わり、

  • オープン記念のキャンペーン料金
  • 催し物
    など、開業初期ならではのお楽しみ要素が用意されるケースもあるため、「少々の不手際も含めて“新しいホテルを一緒に育てる”感覚が好きな人」にはむしろプラス要素とも言える。

良い点から見た「おすすめしたい人」

ここまでのメリットを踏まえると、「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA」は次のような人におすすめしやすいホテルだと考えられる。

  • サウナ・スパが大好きで、“サ旅”そのものを旅の目的にしたい人
  • ウェルネス志向が強く、仕事で疲れた心と身体を整えるマイクロリトリートを探している社会人
  • 防災・エネルギー・地域再生などに関心があり、伝承館などを訪ねる“学びの旅”をしたい人
  • 企業研修・オフサイトミーティング・合宿で、「場所そのものに意味のある会場」を探している担当者
  • 震災以降の福島に、“ふたたび”向き合ってみたいと感じているリピーター

特に、
「昼間は重たいテーマを扱うフィールドワークをしつつ、夜はスパとライブラリーで静かにリセットしたい」
というニーズには、非常に噛み合いやすいホテルになるのではないかと思われる。

悪い点から見た「おすすめしない/向きにくい人」

逆に、次のようなニーズに対しては、ややおすすめしない側面もある。

  • 「駅前の繁華街で飲み歩きたい」「ナイトライフを楽しみたい」タイプの人
  • 公共交通だけでの移動にこだわり、レンタカーを使いたくない人
  • 「とにかく宿泊費を抑えることが最優先」で、ウェルネスやコンセプトにはあまり価値を感じない人
  • 原発事故のあった地域に対して、まだ心情的な抵抗感が強い人

こうした場合、

  • いわき市や郡山、仙台など、より都市的なホテル
  • 周辺に温泉街や繁華街のある観光地

の方が満足度は高くなりやすいと考えられる。
言い換えれば、「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA」は価格最優先・利便性最優先の宿ではなく、“行く理由がある人”に刺さるタイプのホテルだと理解しておくと、選び方のミスマッチを減らせるだろう。

よくあるQ&A(想定)

Q1. 宿泊料金はいくらくらいになりそう?

A. 公式情報では、具体的な金額の明示はまだなく、「開業に向けて順次公開」とされている。
一部の報道ではビジネスホテルとフルサービスリゾートの中間くらいのレンジになると紹介されており、“ミドルレンジクラス”の価格帯になると予想されているが、最終的な料金はシーズンやプランによって変動すると考えられる。

Q2. どうやって予約するのがよい?

A. 現時点では、

  • ホテル公式サイトのオンライン予約ページ
  • 国内の大手旅行予約サイト・宿泊比較サービス

からの予約がメインになる見込みだ。
企業研修や会議利用などの団体予約は、運営会社やホテル担当窓口への直接問い合わせが推奨されるケースが多いと言われている。

Q3. 東京から日帰り利用は現実的?

A. 特急ひたちで東京〜双葉が約3時間10分、駅からホテルまでの移動を含めると片道3時間半前後になるため、理論上は日帰りも可能だが、実際には1泊以上した方が余裕を持って過ごせる距離感だと考えられる。

スパやライブラリーを堪能し、伝承館などもゆっくり見学するのであれば、最低でも1泊2日、できれば2泊3日の滞在を組む方が、旅の満足度は高まりやすい。

Q4. スパやサウナは日帰り利用だけでも使える?

A. 公式リリースでは「宿泊者専用スパ」と明記されており、原則として日帰り入浴やスパのみ利用は想定していないようだ。 今後、地域イベントや特別プランとして例外的なデイユース企画が出てくる可能性はあるものの、基本線としては「宿泊して楽しむスパ」と考えておくのが良さそうだ。

Q5. 子ども連れやファミリーでも利用しやすい?

A. コンフォートスイートやプレシャススイートなど、ファミリー滞在を意識した客室タイプが用意されていることから、子ども連れの利用も想定して設計されていると考えられる。

スパは水着着用の男女共用エリアであるため、マナーを守れば家族で楽しみやすい一方、

  • サウナ室内の温度
  • 他の利用者への配慮
    などを考えると、小さなお子さまは利用時間やエリアを工夫した方がよいかもしれない。

Q6. 海や観光スポットには近い?

A. ホテルが入る中野地区復興産業拠点は海岸線に比較的近いエリアにあり、車で少し走れば太平洋を望むスポットにもアクセスできる。

有名な震災遺構や周辺観光スポットとしては、

  • 浪江町立請戸小学校の震災遺構
  • 南相馬市方面の海岸部
  • いわき市側の観光施設

などがあり、車やツアーを活用すれば“海沿いのフィールドワーク+ホテルでのリトリート”という組み合わせも現実的と言われている。

Q7. 放射線や安全面は大丈夫?

A. 中野地区復興産業拠点や双葉駅周辺は、国や県・町が安全基準を踏まえたうえで避難指示を解除し、公共施設や企業立地が進められている区域だ。

もちろん、感じ方には個人差があるため、

  • 福島県や双葉町の最新情報
  • 伝承館などが発信している解説資料

を事前にチェックしたうえで、自分なりに納得してから旅を計画するのがおすすめだと言える。

コラム:FUTATABIを楽しむための旅スラング&隠語解説

ここでは、トラベルライター“TAKA”として、「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA」と相性の良さそうな旅スラング・隠語をいくつか紹介しておきたい。

「サ旅」

サウナを目的にした旅を指す言葉で、「サウナ旅」を縮めたもの。

  • サウナ施設や“聖地”を巡る
  • サウナ×ご当地グルメ(“サ飯”)を楽しむ
    といったスタイルが含まれる。

FUTATABIのSlow SPAは、サウナクリエイター監修の本格的な施設になるとされているため、「東京から双葉へ“サ旅”に出る」というフレーズは、今後サウナ好きの間で現実味を帯びてくるかもしれない。

「ととのう」

サウナ→水風呂→外気浴を繰り返した結果、

  • 頭がクリアになる
  • 身体がふわっと軽くなる
  • 多幸感がある

といった独特の感覚に至ることを、「ととのう」と表現するのがサウナ界隈の定番だ。
FUTATABIのコンセプト自体が「心と身体をととのえるリトリート」をうたっていることから、“ととのう旅”を前面に出したプラン名やプロモーションが展開される可能性もありそうだ。

「ウェルネストラベル」

心身の健康や自己成長を目的にした旅を指す、近年のトレンドワード。

  • ヨガリトリート
  • デジタルデトックス滞在
  • 温泉療養+食養生

などが代表例だが、海外では医療チェックやメンタルケアを組み合わせた高度なプログラムも増えている。

日本国内でも、手頃な価格でウェルネス要素を取り入れたホテルや旅のスタイルが注目されており、FUTATABIはまさにこの文脈で語られる可能性が高いと言われている。

「ホープツーリズム」と「ダークツーリズム」

震災や災害、戦争などの被災地・跡地を訪ねる旅を、海外では「ダークツーリズム」と呼ぶことがある。一方、福島ではより前向きな意味合いを込めて、

  • 過去の被害や教訓を学び
  • 復興の現場を見て
  • 未来への希望や行動につなげる

というコンセプトで「ホープツーリズム」という用語が使われることも多い。

FUTATABI FUTABA FUKUSHIMAは、伝承館や復興祈念公園と隣接していることから、“ホープツーリズムの宿”として語られる可能性が高いホテルだと考えられる。

トラベルライターTAKAの総評・独自考察

最後に、既存の情報に“TAKA”としての視点を少し重ねて、このホテルの意味合いを整理してみたい。

1. 「復興のフロントラインに“ウェルネスホテル”を置く」という挑戦

通常、震災や災害の被災地にまず求められるのは、

  • インフラ
  • 産業
  • 住宅

といった“基盤”だ。
その後、ある程度落ち着いてくると、

  • 観光
  • 文化
  • ウェルネス

といった“心の豊かさ”に関わる施設が整備されていくのが一般的な流れで、被災地のホテルも「まずは出張者・復興関係者向けのビジネスホテル」から始まることが多い。

その意味で、双葉町に最初から「リトリート型ホテル」かつ「カンファレンスホテル」を計画したという選択は、かなり思い切ったものだと言われている。

  • 復興の物語を語る伝承館
  • 未来に向けた産業拠点
  • そして、“心と身体を整えるホテル”

これらを同じエリアに配置することで、双葉町は「過去だけでなく、今と未来を感じる場所」として再定義されようとしているように見える。
その象徴のひとつが、このFUTATABIなのだろう。

2. 「地方×ウェルネス×MICE」の先行事例としての価値

国内を見渡すと、

  • 都市型ウェルネスホテル
  • リゾート型スパホテル
  • 地方のカンファレンスホテル

というカテゴリーはそれぞれ存在するが、「地方の復興拠点に立つウェルネス&カンファレンスホテル」という組み合わせは、まだ稀有な存在だ。

もしFUTATABI FUTABA FUKUSHIMAが

  • ウェルネス目的の個人旅行者
  • MICEや企業研修
  • 教育旅行・ホープツーリズム

といった多様なニーズをバランスよく取り込み、持続可能な運営モデルを築くことができれば、「地方創生×ホテルビジネス」の新しいロールモデルになる可能性もあると考えられる。

旅行者の立場からすると、「単に泊まって癒やされる以上の意味を持つホテルに滞在する」という選択肢が増えることになり、それは旅の価値を一段深めてくれるはずだ。

3. 「ふたたび福島へ」というメッセージを、どう受け取るか

「FUTATABI」という言葉には、

  • 双葉の自然や産業を、ふたたび
  • この町や人の魅力と、ふたたび
  • そして、またこの場所へ来たいと思ってほしい

という願いが込められていると紹介されている。

これは裏を返せば、

  • 一度は失われたものがあった
  • 一度は離れざるを得なかった人がいた
    という現実を前提にしたメッセージでもある。

旅人としてこの地を訪れるとき、

  • 伝承館で“過去”と向き合い
  • 産業拠点で“現在”を見て
  • ホテルで“未来”について静かに考える

という時間を過ごすことで、単なる観光地では味わえない“重みのあるリトリート体験”になるのではないかと感じられる。

それは決して暗い旅ではなく、

  • 復興の歩みを支える経済活動に、宿泊という形で参加する
  • 地元の食や文化に触れ、“また来たい”という気持ちを持ち帰る

といった、小さくも確かな“希望への関わり方”でもあるはずだ。

さいごに

総じて、「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA」は、

  • サウナ&スパを核にした本格的なウェルネス滞在
  • 伝承館などと組み合わせた学びの旅・ホープツーリズム
  • 地方創生や復興をテーマにした企業研修・MICE

といった文脈で大きなポテンシャルを秘めたホテルだと考えられる。

一方で、

  • 周辺のナイトライフや飲食の選択肢はまだ限られ
  • アクセスも“3時間の小さな旅”が必要で
  • エリアに対する心理的ハードルを感じる人もいる

という現実もあるため、「誰にでも一律におすすめできる万能ホテル」ではないかもしれない。

だからこそ、

  • サウナや本を通じて自分と向き合いたい人
  • 福島の“いま”にふたたび触れてみたい人
  • 意味のある場所で合宿や会議をしたい人

にとっては、他には代えがたい、強く心に残る宿泊体験になる可能性が高いように思われる。

開業までまだ少し時間があるが、最新の情報やプランが出そろってきたら、あらためて“ふたたび”このホテルを訪ねる旅を検討してみてほしい。

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