2025年12月18日にオープンする予定の「soyo-ka kyoto sanjo」とは? メリットやデメリットHOTTELの記者がわかりやすく解説
旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめわかりやすく解説します。
今回ご紹介するのは、京都・三条エリアに2025年12月18日にグランドオープンする「soyo-ka kyoto sanjo(ソヨ カ キョウト サンジョウ)」です。このホテルは、株式会社ボルテックスとリノベる株式会社という不動産業界の実力派2社が手を組んで生まれた、全8室というコンパクトながらも上質な滞在体験を提供する和モダンラグジュアリーホテルと言われています。実は、このホテルの建物には興味深いストーリーがあるのです。
コロナ禍で開業中止となった「塩漬けホテル」の再生プロジェクト
「soyo-ka kyoto sanjo」の建物は、2019年末から2020年というコロナ禍初期にホテルとして建設されたものの、渡航制限や外出自粛による旅行需要の冷え込みにより開業に至らず、約5年間「塩漬け」となっていた遊休不動産だったと言われています。不動産業界では、このような開業できずに放置された物件を「塩漬け物件」と呼ぶのですが、京都市内でも同様の状況に陥った建物がいくつか存在したようです。
2025年にボルテックスが出資する特別目的会社(SPC)が3棟のホテルを一括取得し、リノベると共同でリノベーションプロジェクトをスタートさせました。幸いなことに、未使用のまま保存されていた既存の内装や設備の状態が良好だったため、これらを最大限活用しながら、限られた投資額の中でホテルの顔となるロビーなどの共用部や、ゲストの滞在価値を左右する専有部のFFE(家具・什器・備品)に投資を集中させる戦略を取ったと言われています。
ホテルのコンセプト:「時をかさね、時をこえた『きょう』の魅力にであう」
「soyo-ka kyoto sanjo」のコンセプトは「時をかさね、時をこえた『きょう』の魅力にであう」というもので、1,200年の時が紡いだ京都の美意識と現代的な心地よさが一つになった豊かな時間を提供することを目指しているようです。ホテル名の「soyo」は「素余」を意味し、「ka」は「香」を表しているとのことで、堺町通に漂う季節ごとの香りや老舗の味わいが生む「香りの記憶」をデザインに昇華させたホテルであると説明されています。
3棟同時オープンプロジェクトの一つとして、姉妹ホテルには「yugen kyoto shijo(ユウゲン キョウト シジョウ)」(四条・58室)と「soyo-ne kyoto sanjo(ソヨ ネ キョウト サンジョウ)」(三条・8室)があり、それぞれ「幽玄」「音」「香」というテーマで京都らしさを表現している点が興味深いところです。
全8室の客室構成と驚きの広さ
「soyo-ka kyoto sanjo」の客室は全8室で、スモールラグジュアリーホテルというカテゴリーに分類されると言われています。客室タイプは大きく2種類あり、「スタンダードツイン」(約48.5㎡、定員1~4名)と「デラックスツイン」(約89.6㎡、定員1~6名)という構成になっているようです。
一般的なビジネスホテルのツインルームが20~25㎡程度であることを考えると、スタンダードでも約48㎡という広さは実に2倍近くのスペースがあることになります。デラックスに至っては約90㎡という、もはや高級マンションの2LDKに匹敵する広さを誇っているのです。この広々とした空間設計が、「暮らすように泊まる」というコンセプトを実現する基盤になっていると考えられます。
客室の最大の特徴:枯山水と専用大浴場
「soyo-ka kyoto sanjo」の客室における最大の特徴は、8室のうち4室に専用の大浴場が設けられ、残りの4室には浴室横のスペースに「枯山水」が新設されているという点です。京都の美意識を深く体験できる空間として、客室内に枯山水を配置するというアイデアは、通常のホテルではなかなか見られない贅沢な仕様だと言えるでしょう。
枯山水とは、水を使わずに石や砂、苔などで山水の風景を表現する日本庭園の様式で、禅の精神性を体現する芸術として知られています。浴室から枯山水の庭を望める客室や、静けさに包まれる大浴場など、感覚の余白を愉しむ滞在が実現すると説明されています。旅の疲れを癒す広々としたバスルームと、厳選されたドリンクやスナックが揃うミニバーも各客室に用意されているとのことです。
こだわりのFFE(家具・什器・備品)
リノベるがFFEまでワンストップで担当し、個人向け住宅リノベーションで培ったスタイリング力と商品ラインナップを活かして、全客室のFFEを新設したと言われています。既存の和の内装イメージを活かしつつ、ホテルグレードのモダンな家具を選定したとのことです。
特筆すべきは、日本の名作椅子「ニーチェアエックス」や日本発のグローバル家具ブランド「ARIAKE」などのホームユース(家庭用)の家具を取り入れている点です。ニーチェアエックスは、1970年にデザイナーの新居猛氏によって生み出された日本の折り畳み椅子で、座ったときの身体の重みでX状の脚が左右に広がり、座面のシート生地が引っ張られることで快適な座り心地を生み出す名作として知られています。上質ながらも日本文化の中で「暮らすような」居心地の良さを感じていただける空間にコーディネートしたとされています。
また、グループ滞在も見据えて、ソファーベッドやベッドなどを多めに設えたという配慮も見られるようです。
1階カフェ「風響-kazenone-」でまちに開かれたホテルに
ホテルの1階には「風響-kazenone-(かぜのね)」というカフェが併設されており、営業時間は朝6:00から夜22:00まで、15席が用意されていると言われています。このカフェは宿泊者専用ではなく、ビジター利用も可能なカフェやレストランとして、地元の方々も気軽に立ち寄れる「まちに開かれたホテル」としての役割を持たせているのが特徴です。
スケルトン状態だった1階のテナント部分をビジター利用も可能なカフェやレストランにリノベーションしたことで、新たな交流拠点を創出しているとのことです。ホテル宿泊者や海外のお客さまだけでなく、地域住民との接点を作ることで、ホテルが地域に溶け込む存在になることを目指しているように見受けられます。
立地とアクセス:京都の中心部・三条エリア
「soyo-ka kyoto sanjo」は、京都市中京区堺町通三条下る道祐町135に位置し、京都市営地下鉄「烏丸御池駅」から徒歩約5分、阪急京都線「烏丸駅」から徒歩約8分という便利な立地にあります。京都駅からはタクシーで約14分の距離です。
三条烏丸御池エリアは、鴨川、河原町通、先斗町、錦市場など、京都を代表する観光スポットや繁華街へのアクセスが良好なトレンドエリアとして知られています。錦市場へは徒歩約4分、河原町通へは徒歩約6分、先斗町や二条城へも車で約5分という距離にあると言われています。古き良き趣と新しさが息づく、京都のトレンドエリアとして、観光にもビジネスにも最適な立地だと評価されているようです。
宿泊料金:スモールラグジュアリーに相応しい価格帯
気になる宿泊料金ですが、各種予約サイトの情報によると、1部屋1泊2名利用時の最安値は32,236円からとなっているようです。2025年12月のオープン直後は29,756円からという価格が提示されており、2026年1月以降は32,236円からが基本料金となる見込みです。5月の平日で49,590円、週末で54,550円という価格帯が設定されているとのことです。
2025年の京都市内ホテルの平均客室単価(ADR)は、4月に統計開始以来初めて3万円を超えて3万640円を記録し、10月には2万4859円となっているというデータがあります。「soyo-ka kyoto sanjo」の価格設定は、この京都市内のホテル平均よりもやや高めの、いわゆる「アッパーアップスケール」と呼ばれる高付加価値型の価格帯に位置していると考えられます。
全8室という小規模な客室数、約48~90㎡という広々とした客室、枯山水や専用大浴場といった特別な設備、そしてこだわりのFFEを考慮すれば、この価格設定は妥当、もしくはコストパフォーマンスが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。
予約方法:公式サイトと主要予約サイトで対応
「soyo-ka kyoto sanjo」の予約は、公式サイト(https://soyo-ka-kyoto-sanjo.com/)をはじめ、じゃらん、楽天トラベル、Booking.com、Trip.com、Expedia、Hotels.comなど主要な宿泊予約サイトで受け付けているようです。2025年8月8日から予約受付が開始されたと言われています。
公式サイトからの予約が最もスムーズで、場合によっては公式サイト限定の特典やプランが用意されている可能性もあるため、まずは公式サイトをチェックしてから、各予約サイトの価格やプランと比較検討するのが賢い選択だと言えるでしょう。
運営会社Keeylsの無人チェックインシステム
「soyo-ka kyoto sanjo」の運営を担当するのは、Keeyls株式会社という会社です。Keeylsは、鍵の無人受け渡しサービス「KEY STATION」を展開している企業で、DXオペレーション事業として無人チェックインシステムやスマートロックを活用したホテル運営を得意としています。
完全無人チェックインでは、本人確認・宿泊者情報の登録・鍵の受け渡しまで、すべてを非対面で完結できるシステムになっているようです。チェックインの待ち時間をなくし、24時間いつでも快適に入室可能な仕組みを実現しているとのことで、セキュリティと利便性を両立しながら、宿泊者・運営者双方の負担を大幅に軽減しているそうです。
無人運営といっても完全に人がいないわけではなく、緊急時にはコールセンターチームが24時間対応できる体制を整えており、「おおむね10分程度で職員等が駆けつけられる体制」も整えているとされています。自動化できる領域はテクノロジーに任せ、人の温かみが必要な場面にリソースを集中させることで、効率とホスピタリティを両立した新しいホテル運営を実現しているようです。
設備とアメニティ
じゃらんに掲載されている情報によると、客室にはハンドタオル、ボディソープ、ドライヤー、温水洗浄トイレ、歯ブラシ・歯磨き粉、リンス、バスローブ、綿棒、羽毛布団、くし・ブラシなどが用意されているようです。全室禁煙で、チェックインは15:00から、チェックアウトは11:00までとなっています。駐車場は用意されていないため、車で来られる方は近隣のコインパーキングを利用する必要があるとのことです。
客室には、旅の疲れを癒す広々としたバスルームと、厳選されたドリンクやスナックが揃うミニバーも用意されていると言われています。プライベートな空間で、贅沢なひとときを過ごせる設備が整っているようです。
インバウンド需要への対応:泊食分離とスモールラグジュアリー
「soyo-ka kyoto sanjo」のプロジェクトは、インバウンド層に高まる泊食分離(素泊まり)のニーズや、長期滞在・グループ滞在の需要に着目して企画されたと言われています。民泊のような自由な滞在体験と、ホテルの快適な滞在体験を両立する、「暮らすように」滞在できるスモールラグジュアリーなホテルを目指したとのことです。
京都では、2025年に外国人宿泊客が日本人を上回るという歴史的転換点を迎えたと報じられています。2025年4月には京都市内の主要ホテルの外国人宿泊客の比率が78.1%という過去最高の数値を示し、平均客室単価も統計開始以来初めて3万円を超えたという状況です。
こうしたインバウンド需要の高まりを背景に、京都では外国人観光客のニーズに合わせて「1泊2食付き」をやめる旅館が続出し、「素泊まり」や「飲食店の予約代行」にシフトする動きが広がっていると報じられています。「soyo-ka kyoto sanjo」も、こうした泊食分離のトレンドに対応したホテルとして位置づけられているようです。
実際、開業直後から予約の大半を海外からのお客さまが占め、高稼働を実現していると説明されています。上質な空間で、まるで自宅のように自由に、気兼ねなく滞在したいというニーズに対応するホテルとして、インバウンド層から高い評価を受けているようです。
メリット:このホテルの良い点とおすすめポイント
「soyo-ka kyoto sanjo」の良い点やメリットとして、以下のポイントが挙げられます。
まず第一に、全8室という小規模ながら、約48~90㎡という圧倒的な広さを誇る客室が最大の利点です。一般的なホテルの2倍以上の広さがあるため、荷物を広げてもゆとりがあり、長期滞在やグループ滞在にも快適に対応できます。家族旅行やグループ旅行で、それぞれのプライベート空間を確保しながらも一緒に過ごせる点は大きな魅力でしょう。
第二に、客室内に枯山水や専用大浴場を配置するという贅沢な仕様は、他のホテルではなかなか体験できない特別な滞在価値を提供します。京都の美意識を深く体験できる空間として、おすすめできるポイントです。浴室から枯山水の庭を望みながら入浴できるという体験は、まさに京都ならではの贅沢だと言えるでしょう。
第三に、立地の良さも大きなメリットです。京都市営地下鉄「烏丸御池駅」から徒歩約5分という便利な立地にありながら、比較的静かな環境で、錦市場、河原町通、先斗町、二条城など主要な観光スポットへのアクセスが良好です。京都観光の拠点として理想的な場所に位置していると言えます。
第四に、ニーチェアエックスやARIAKEなど日本ブランドの上質な家具を配した「暮らすような」居心地の良さは、長期滞在者にとって大きな利点となります。ホテルというよりも高級マンションのような感覚で、自宅のようにリラックスして過ごせる空間設計が魅力的です。
第五に、無人チェックインシステムによる24時間いつでもチェックイン可能という柔軟性もおすすめポイントです。フロントに並ぶ必要がなく、自分のペースでチェックインできるため、到着時間を気にせず旅行プランを立てられます。
第六に、1階のカフェ「風響-kazenone-」が朝6:00から夜22:00まで営業しているため、朝食や軽食を気軽に楽しめる点も便利です。宿泊者以外も利用できる「まちに開かれたホテル」というコンセプトは、地域との交流を楽しみたい方にもおすすめです。
このホテルは、特に以下のような方におすすめできます。
- 広々とした客室でゆったりと過ごしたいカップルや夫婦
- 家族やグループで京都旅行を楽しみたい方
- 長期滞在で京都を深く味わいたい方
- 京都の美意識や文化を体験したい方
- インバウンド客として日本の上質なホスピタリティを求める外国人旅行者
- プライバシーを重視し、自分のペースで滞在したい方
デメリット:このホテルの悪い点と注意点
一方で、「soyo-ka kyoto sanjo」の悪い点やデメリット、欠点として考慮すべき点もいくつか挙げられます。
まず第一に、宿泊料金の高さがデメリットとして挙げられるでしょう。1部屋1泊2名利用で最安32,236円からという価格は、京都市内のホテル平均よりも高めの設定です。繁忙期にはさらに高額になる可能性もあり、予算が限られている旅行者にはおすすめしない価格帯かもしれません。ただし、客室の広さや設備、立地を考慮すれば、コストパフォーマンスは決して悪くないとも言えます。
第二に、無人チェックインシステムについては、人によってはデメリットと感じる可能性があります。対面での丁寧な接客やおもてなしを期待する方、テクノロジーに不慣れな高齢者などには、戸惑いを感じる場面があるかもしれません。緊急時にはコールセンターが対応するとはいえ、すぐそばにスタッフがいないという不安を感じる方もいるでしょう。ただし、24時間対応のコールセンターと駆けつけ体制が整っているため、実際には大きな問題にはならないと考えられます。
第三に、駐車場が用意されていない点は、車で京都を訪れる方にとっては欠点となります。近隣のコインパーキングを利用する必要があり、駐車料金が別途かかることや、満車の場合には駐車場を探す手間がかかることが想定されます。公共交通機関での移動を前提とした立地設計になっているようです。
第四に、全8室という小規模なホテルであるため、希望の日程で予約が取りにくい可能性があります。特に繁忙期には早々に満室になることが予想され、直前予約が難しい欠点があるかもしれません。計画的な予約が必要になるでしょう。
第五に、1階にカフェがあるものの、本格的なレストランや大浴場・サウナなどの共用施設が限られている点も、人によっては物足りなさを感じる欠点かもしれません。姉妹ホテルの「yugen kyoto shijo」には大浴場やサウナ、フィットネスジムなどの充実した共用施設があるようですが、「soyo-ka kyoto sanjo」は客室内の設備に重点を置いた設計になっているようです。
第六に、2019-2020年に建設された建物をリノベーションしたという経緯から、建物自体の新しさや最新設備という点では、完全新築のホテルには劣る可能性があります。ただし、未使用のまま保存されていたため設備の状態は良好であり、リノベーションによって現代的な快適さは十分に確保されていると考えられます。
このホテルをおすすめしない方は以下のようなタイプです。
- 予算を抑えたい格安志向の旅行者
- 対面での手厚い接客やおもてなしを重視する方
- 車での移動を前提とした旅行プランの方
- 大浴場やサウナなど充実した共用施設を求める方
- 直前予約や柔軟な予約変更を希望する方
ネット上の口コミや評判について
「soyo-ka kyoto sanjo」は2025年12月18日にオープンしたばかりの新しいホテルであるため、執筆時点(2025年12月16日)ではまだ宿泊した方の口コミや評判は十分に蓄積されていない状況です。楽天トラベルやYahoo!トラベルなどの予約サイトでも「公開中のクチコミはありません」という表示がされているため、実際の宿泊体験に基づく評価はこれから出てくるものと思われます。
ただし、姉妹ホテルである「yugen kyoto shijo」や「soyo-ne kyoto sanjo」に関しては、開業直後から予約の大半を海外からのお客さまが占め、高稼働を実現していると報告されており、滞在性への評価も高く、口コミでも好評をいただいているという説明があります。同じコンセプトで運営される「soyo-ka kyoto sanjo」も、同様に高い評価を得る可能性が高いと推測されます。
また、Hotels.comには2025年11月27日に宿泊した海外ゲストからの口コミが1件掲載されており、「I loved my stay it was so clean and the tub was amazing after walking all day.(滞在が素晴らしく、とても清潔で、一日中歩いた後のバスタブが最高だった)」という10/10の最高評価が付けられています。これはおそらくソフトオープン期間中の宿泊者と思われますが、清潔さとバスルームの快適さが高く評価されている点は参考になるでしょう。
今後、実際に宿泊された方々の口コミが蓄積されていくことで、より具体的な評判や評価が明らかになっていくものと思われます。特に、客室の広さ、枯山水や専用大浴場の体験、無人チェックインシステムの使い勝手、立地の利便性、コストパフォーマンスなどに関する評価が注目されるでしょう。
Q&A:よくある質問と回答
Q1:「soyo-ka kyoto sanjo」はいつオープンしますか? A1:2025年12月18日にグランドオープンする予定です。予約受付は2025年8月8日から開始されています。
Q2:客室数は何室ありますか? A2:全8室のスモールラグジュアリーホテルです。客室タイプはスタンダードツイン(約48.5㎡)とデラックスツイン(約89.6㎡)の2種類があります。
Q3:どのような特徴的な設備がありますか? A3:8室のうち4室には専用の大浴場が設けられ、残りの4室には浴室横のスペースに「枯山水」が新設されています。京都の美意識を深く体験できる空間が魅力です。
Q4:宿泊料金はいくらくらいですか? A4:1部屋1泊2名利用時の最安値は32,236円からとなっています。季節や曜日によって料金は変動し、繁忙期には5万円以上になる可能性もあります。
Q5:チェックイン・チェックアウトの時間は? A5:チェックインは15:00から、チェックアウトは11:00までです。無人チェックインシステムにより24時間いつでもチェックイン可能です。
Q6:駐車場はありますか? A6:専用駐車場は用意されていません。車でお越しの際は、近隣のコインパーキングをご利用ください。
Q7:最寄り駅からのアクセスは? A7:京都市営地下鉄「烏丸御池駅」から徒歩約5分、阪急京都線「烏丸駅」から徒歩約8分です。京都駅からはタクシーで約14分の距離です。
Q8:食事は提供されますか? A8:客室での食事提供はありませんが、1階のカフェ「風響-kazenone-」が朝6:00から夜22:00まで営業しています。泊食分離のスタイルで、近隣の飲食店も多数あります。
Q9:姉妹ホテルとの違いは何ですか? A9:同時期にオープンする3棟のうち、「yugen kyoto shijo」は四条エリアで58室の大規模ホテル、「soyo-ne kyoto sanjo」と「soyo-ka kyoto sanjo」は三条エリアで各8室のスモールラグジュアリーホテルです。「soyo-ne」は「音」、「soyo-ka」は「香」をテーマにしています。
Q10:外国人旅行者でも利用しやすいですか? A10:はい、インバウンド需要を意識した設計になっており、無人チェックインシステムも多言語対応しているようです。開業直後から予約の大半が海外からのお客さまで占められていると報告されています。
コラム:旅行業界の専門用語「塩漬け物件」と「FFE」について
今回の「soyo-ka kyoto sanjo」の記事で何度か登場した「塩漬け物件」と「FFE」という言葉について、トラベルライター”TAKA”としての解説を加えておきたいと思います。
「塩漬け物件」とは?
「塩漬け物件」とは、不動産業界で使われる用語で、建設や取得したものの何らかの理由で活用できず、長期間放置されている不動産のことを指します。「塩漬け」という表現は、魚や野菜を塩に漬けて長期保存する方法に由来し、資産が凍結されて動かせない状態を比喩的に表現したものです。
今回の「soyo-ka kyoto sanjo」の場合、2019-2020年にホテルとして建設されたものの、コロナ禍による旅行需要の冷え込みで開業に至らず、約5年間放置されていた物件がこれに該当します。京都市内では、同様の状況に陥った開発途中のホテルが複数存在したと報じられています。
「塩漬け物件」は、所有者にとっては維持費や固定資産税だけがかかり続ける負の資産となってしまいますが、適切なタイミングと手法でリノベーションを行うことで、新たな価値を生み出す可能性を秘めています。ボルテックスとリノベるによる今回のプロジェクトは、まさにそうした「塩漬け物件」を再生させた好例だと言えるでしょう。
「FFE」とは?
「FFE」とは、「Furniture(家具)、Fixture(什器)、Equipment(備品)」の頭文字を取った略語で、ホテル業界で一般的に使用される言葉です。具体的には、ベッド、ソファ、テーブル、椅子、照明器具、カーテン、カーペット、テレビ、冷蔵庫、電話機、アメニティ類など、ホテルの客室や共用部に設置されるあらゆる家具・什器・備品を指します。
ホテルの建設やリノベーションにおいて、FFEは建物の躯体や内装工事とは別に扱われることが多く、専門の業者が選定・調達・設置を担当します。FFEの質とセンスは、ホテルの印象や滞在体験に大きな影響を与えるため、非常に重要な要素となります。
「soyo-ka kyoto sanjo」では、リノベるがFFEまでワンストップで担当し、個人向け住宅リノベーションで培ったスタイリング力を活かして全客室のFFEを新設したと説明されています。ニーチェアエックスやARIAKEなど日本ブランドの上質な家具を選定することで、「暮らすような」居心地の良さを実現しているわけです。
FFEへの投資を集中させる戦略は、限られた予算の中でホテルの価値を最大化する効果的な手法として、不動産・ホテル業界では広く知られています。建物の躯体がしっかりしていれば、FFEを刷新することで新築同様の魅力を持つホテルに生まれ変わらせることが可能なのです。
トラベルライター”TAKA”の独自考察と意見
さて、ここまで「soyo-ka kyoto sanjo」について詳しく解説してきましたが、最後にトラベルライター”TAKA”としての独自の視点から、このホテルの意義と今後の展望について考察してみたいと思います。
コロナ禍がもたらした「塩漬け物件」の再生という新たな可能性
コロナ禍は観光業界に未曾有の打撃を与えましたが、同時に新たなビジネスチャンスをもたらしたとも言えます。「soyo-ka kyoto sanjo」のような「塩漬け物件」の再生プロジェクトは、その象徴的な事例だと私は考えています。
2019-2020年に建設されながら開業できなかったホテルは、所有者にとっては大きな損失でしたが、2025年の時点で見れば、コロナ禍を経て旅行需要が回復し、特にインバウンド需要が爆発的に増加したタイミングで市場に登場できたという意味で、結果的には「幸運」だったとも言えるのです。
もし2020年に予定通り開業していたら、コロナ禍の最も厳しい時期に営業を維持するための苦闘を強いられていたでしょう。しかし、5年間の「塩漬け」期間を経て、未使用のまま良好な状態で保存されていた建物が、インバウンド需要の高まりという追い風の中で、リノベーションによって新たな価値を付加されて生まれ変わったのです。
この事例は、不動産投資やホテル事業において、タイミングの重要性と、柔軟な戦略転換の必要性を示唆しています。「塩漬け物件」という負の資産を、適切な投資と企画力によってプラスの資産に転換できる可能性を証明したと言えるでしょう。
スモールラグジュアリーという新たなトレンド
全8室という小規模なホテルでありながら、1部屋あたり約48~90㎡という広大な客室を提供する「soyo-ka kyoto sanjo」のビジネスモデルは、今後の京都のホテル業界における新たなトレンドを示していると私は見ています。
京都市内のホテルは、コロナ前には客室数を増やして稼働率を上げることで収益を確保するという戦略が主流でした。しかし、コロナ後のインバウンド需要の高まりと、宿泊料金の高騰という状況の中で、客室数を絞り込み、1室あたりの単価を高めるという「スモールラグジュアリー」戦略が有効になってきています。
特に、外国人旅行者は日本人よりも広い客室を好む傾向があり、家族やグループでの滞在も多いため、広々とした客室と充実した設備に対しては高い宿泊料金を支払う意思があると言われています。「soyo-ka kyoto sanjo」は、まさにこうしたニーズに応える形で設計されており、開業直後から予約の大半が海外からのお客さまで占められているという事実が、この戦略の正しさを証明しています。
全8室という小規模であることは、運営側にとっても利点があります。無人チェックインシステムを活用することで人件費を抑え、清掃やメンテナンスも効率的に行えるため、高い利益率を実現できる可能性があります。少ない客室数で高い客室単価を得るというビジネスモデルは、今後の京都のホテル業界において一つのスタンダードになっていくのではないでしょうか。
「泊食分離」と「まちに開かれたホテル」というコンセプトの意義
「soyo-ka kyoto sanjo」が採用している「泊食分離」というコンセプトも、今後の旅館・ホテル業界における重要なトレンドだと私は考えています。
従来の日本の旅館文化では「1泊2食付き」が基本でしたが、外国人旅行者の多くは自由に外の飲食店を選びたいというニーズを持っています。京都のように飲食店が豊富なエリアでは、ホテルで食事を提供するよりも、ゲストが自由に選べる環境を整える方が満足度が高まると言われています。
また、宿泊施設側にとっても、食事提供には調理スタッフの確保や食材の仕入れ、厨房の管理など多大なコストと労力がかかります。人手不足が深刻な現在、食事提供を省略することで運営コストを削減し、その分を客室の質向上に投資できるというメリットがあります。
「soyo-ka kyoto sanjo」は、この「泊食分離」のコンセプトをさらに進化させ、1階にビジターも利用できるカフェを設けることで「まちに開かれたホテル」という新たな価値を提案しています。宿泊者と地域住民が同じ空間を共有することで、観光客と地元の人々の交流が生まれ、ホテルが地域コミュニティの一部として機能する可能性があります。
これは、観光業がもたらす「オーバーツーリズム」という課題に対する一つの解答でもあると私は考えています。観光客だけを対象とした閉鎖的な施設ではなく、地域に開かれた施設として存在することで、観光業と地域社会の共生が実現できるのではないでしょうか。
無人運営とホスピタリティの両立という挑戦
Keeyls株式会社が提供する無人チェックインシステムは、効率性とコスト削減という点では非常に優れていますが、同時に日本のホテル業界が誇ってきた「おもてなし」の精神をどう維持するかという課題を突きつけています。
無人運営のメリットは明確です。人件費の削減、24時間いつでもチェックイン可能な柔軟性、非対面でのプライバシー確保など、特に若い世代や外国人旅行者には好評を得やすい要素が揃っています。しかし、対面での温かい接客や、細やかな気配りによる感動体験を期待する層にとっては、物足りなさを感じる可能性もあります。
「soyo-ka kyoto sanjo」がこの課題にどう取り組むのか、そして実際に宿泊したゲストがどのような評価を下すのかは、今後の口コミや評判を通じて明らかになっていくでしょう。私が注目しているのは、緊急時の駆けつけ体制や24時間対応のコールセンターが、どの程度の安心感を提供できるかという点です。
テクノロジーによる効率化と、人間による温かいホスピタリティのバランスをどう取るかは、今後のホテル業界全体が直面する課題です。「soyo-ka kyoto sanjo」の運営実績が、その一つのモデルケースとなることを期待しています。
京都の都市開発における「遊休不動産の活用」という視点
最後に、より大きな視点から、京都の都市開発における「遊休不動産の活用」という側面について触れたいと思います。
京都市内には、「soyo-ka kyoto sanjo」のように、何らかの理由で活用されていない「塩漬け物件」や遊休不動産が少なからず存在すると報じられています。これらの物件は、所有者にとっては経済的負担であり、都市全体にとっても資源の無駄遣いと言えます。
ボルテックスとリノベるによる今回のプロジェクトは、こうした遊休不動産を再生させ、新たな価値を生み出すモデルケースとして、非常に重要な意義を持っています。新築よりもリノベーションを選択することで、建設コストを抑えつつ、既存の建物が持つ良さを活かした開発が可能になります。
特に京都のように景観規制や用途制限の厳しいエリアでは、新築よりも再生・転用を中心とした開発が今後の主流になっていくと私は予想しています。歴史的な建造物の保存・活用だけでなく、比較的新しい建物であっても、既存ストックを有効活用する発想が重要になるでしょう。
「soyo-ka kyoto sanjo」のような再生プロジェクトが成功すれば、他の遊休不動産の活用にも道が開かれ、京都の都市開発における新たな選択肢が広がることになります。「資産が健全に循環する社会の実現」というボルテックスのパーパス(企業の存在意義)が、実際に形になって表れたプロジェクトだと言えるでしょう。
結論:新時代の京都旅行を象徴するホテル
「soyo-ka kyoto sanjo」は、単なる宿泊施設ではなく、コロナ後の新時代における京都旅行のあり方を象徴するホテルだと私は考えています。
「塩漬け物件」の再生、スモールラグジュアリーという価値提案、泊食分離とまちに開かれたホテル、無人運営とテクノロジーの活用、インバウンド需要への対応、そして遊休不動産の活用という都市開発の視点。これらすべての要素が一つのプロジェクトに凝縮されているのです。
2025年12月18日のグランドオープン以降、実際に宿泊されたゲストからの口コミや評判が蓄積されていく中で、このホテルの真の価値が明らかになっていくでしょう。枯山水や専用大浴場という京都らしい特別な体験、約48~90㎡という広々とした客室、そして「暮らすように泊まる」というコンセプトが、どれだけのゲストの心を捉えるのか。
私自身、トラベルライターとして、このホテルに実際に宿泊して体験レポートを書く日を楽しみにしています。京都旅行を計画されている皆さんにも、ぜひ一度「soyo-ka kyoto sanjo」での滞在を検討していただきたいと思います。新しい京都の魅力に出会える、特別な時間が待っているはずです。









