ウェルス・マネジメントグループが2028年に開業予定の「カッシーア・白馬」とは? メリットやデメリットなどHOTTELの記者がわかりやすく解説
旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめわかりやすく解説していますが、今回は、長野県白馬村に2028年開業予定の「カッシーア・白馬(仮称)」についてご紹介していきます。白馬村といえば、1998年の長野冬季オリンピックの会場として世界的に知られる国際山岳リゾート地ですが、近年は外資系高級ホテルの開発が相次ぎ、第二のニセコとも言われるほど注目を集めているエリアと言われています。そんな白馬村に、シンガポール拠点のバンヤン・グループが手がける新ブランド「カッシーア」が日本初上陸するということで、大きな話題となっているのです。
カッシーア・白馬とは?基本情報と開業時期
カッシーア・白馬は、東京証券取引所スタンダード市場に上場するウェルス・マネジメントグループと、シンガポールの高級ホテルグループであるバンヤン・グループが共同出資して開発する新しいホテルプロジェクトと言われています。2025年9月16日に着工、10月1日に地鎮祭を実施し、ブランド名が「カッシーア」に決定したことが発表されたとのことです。
開業時期は2028年を予定しているようです。当初は2026年以降の開業が想定されていたものの、資材高騰などの影響で開業時期が遅れているという情報もあるようですね。
立地は、白馬村のエコーランド地区に位置すると言われています。具体的な住所は「長野県北安曇郡白馬村大字北城字新田3020-121他」と記載されているようです。エコーランド地区は白馬村の中心街で、白馬八方尾根スキー場とHakuba47ウインタースポーツパークの間に位置し、メインストリート沿いにカフェやレストラン、バー、土産物店などが立ち並ぶ、白馬観光の拠点に最適なエリアと言われています。近隣に各スキー場を回遊するバス停もあり、交通の利便性も高い場所のようですね。
規模については、地上5階建て、客室数76室、平均客室面積40.53㎡、延床面積約5,000㎡、敷地面積約4,060㎡という規模感になるとのことです。
カッシーアというブランドの特徴とコンセプト
カッシーアは、バンヤン・グループが展開する3つ目のブランドで、バンヤンツリー、アンサナに続く新しいホテルレジデンス型のブランドと言われています。このブランドの最大の特徴は、ホテルとサービスアパートメントの良さを兼ね備えた宿泊施設だということのようです。
コンセプトは「Live, Laugh, Love your way(あなたらしく生きる、笑う、愛する)」と掲げられているようです。カッシーアは、ホスピタリティとデザインの先駆的なビジョンであり、つながりのある生活空間とダイナミックな選択肢を通じて、各デスティネーションに活気あふれる空間を創出することを目指しているとのことです。デスティネーションとのつながり、志を同じくするゲスト同士のつながり、新たなアクティビティとのつながり、それらを実現する絆を創り出すコミュニティそのものを体現するブランドと言われています。
カッシーアは世界で成長を続ける中間層をターゲットにしたホテルレジデンス型商品として展開されており、1ベッドルームおよび2ベッドルームの客室をユニットごとに販売する分譲型のサービスアパートメントでもあるようです。販売価格は35平方メートルの1ベッドルームタイプで18万シンガポールドル(約1,470万円)からと設定されているという情報もありますが、白馬の物件の具体的な価格についてはまだ公表されていないと考えられます。
カッシーアはプールやスパ、バーなどを備え、投資対象としても訴求されているとのことです。購入者が部屋を使用していない期間は、空き部屋を他の利用者に貸し出すことも可能で、その際はバンヤンツリーが使用料の一部を購入者に支払うというシステムになっているようですね。
カッシーア・白馬の施設内容と特色
カッシーア・白馬の客室は、全室にキッチン、バルコニー等を備え、ホテルとレジデンスの良さを兼ね備えているとのことです。ご家族やご友人グループでの1泊から長期のご滞在にも最適な設計になっていると言われています。平均客室面積が40.53㎡とゆとりのある広さで、76室すべてが快適な滞在を約束する空間になりそうですね。
付帯施設としては、レストラン、カフェテラス、大浴場、スキーロッカールームが設置される予定とのことです。白馬という立地を考えると、スキーロッカールームの設置は嬉しいポイントと言えるでしょう。また、大浴場があることで、スキーやアクティビティで疲れた体を癒すことができそうです。
設計・インテリアデザインは光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所が手がけ、ライティングデザインは内原智史デザイン事務所が担当、施工は守谷商会が行うとのことです。PM・CMはアクアが担当するようですね。
アクセスと周辺環境
カッシーア・白馬へのアクセスは、JR長野駅より車で約1時間、JR白馬駅より車で約10分という立地になるとのことです。
エコーランド地区という立地は、白馬観光の拠点として非常に便利な場所と言われています。周辺には多くの飲食店や土産物店があり、国際的な観光地として外国人が経営する飲食店も増えているようです。おしゃれで居心地の良いカフェやレストラン、バーが密集しており、ボリューム満点のハンバーガーが食べられるカフェや、寿司を楽しめるバー、地元食材を使った鉄板焼きレストランなど、多彩な飲食オプションがあるエリアとのことです。
白馬村内には複数のスキー場があり、白馬八方尾根スキー場は日本最大級の規模を誇ると言われています。他にも、白馬五竜&Hakuba47ウインタースポーツパーク、栂池高原スキー場、白馬コルチナスキー場など、初心者から上級者まで楽しめる多様なスキー場が揃っているようです。スキー場間を移動する無料シャトルバスも運行されており、1日で複数のスキー場を楽しむことも可能とのことです。
白馬村の現状と開発による影響
白馬村は近年、インバウンドバブルとも言える状況になっていると言われています。2024年の観光客数は過去20年で最高の271万人を突破し、訪日外国人の割合は46%を占めているとのことです。特にオーストラリア人観光客が多く、良質な雪質でスノーリゾートを楽しめることから年々人気が高まっているようですね。
地価の上昇も顕著で、2024年に国土交通省が発表した地価調査によると、白馬村の商業地の地価が前年から約30%上昇し、全国で4位となる上昇率を記録したとのことです。2025年の路線価でも白馬村は全国トップレベルの上昇率を記録し、2年連続で全国1位となっているという情報もあるようです。
一方で、地価上昇に伴う課題も指摘されているようです。地元住民からは「スキー場周辺だけ物価が異常に高くなり、生活が圧迫されている」との声や、外資系資本の流入で地価や固定資産税が上昇し「地元が離れていく現象が進んでいる」との指摘もあるとのことです。白馬村が実施した村民アンケートでは、土地利用や開発への規制について尋ねたところ、約6割が「規制を強めるべき」と回答していたという結果も出ているようですね。
白馬村役場では、今後のまちづくり方針を定める「白馬村第6次総合計画・総合戦略」の策定を進めており、村民アンケートを実施して地元の声を反映させようとしているとのことです。「外国資本による土地購入と開発の規制」は白馬のまちづくりにおける最大の課題とも言われています。
カッシーア・白馬のメリットとおすすめポイント
カッシーア・白馬の良い点やメリットについて整理してみましょう。
まず第一に、立地の利便性が挙げられるでしょう。エコーランド地区という白馬村の中心街に位置し、近隣に各スキー場を回遊するバス停もあることから、交通アクセスが非常に良いと考えられます。白馬八方尾根スキー場とHakuba47ウインタースポーツパークの間という絶好のロケーションで、スキーやスノーボードを楽しむには最適な場所と言えそうです。
第二に、ホテルとレジデンスの良さを兼ね備えた客室設計が魅力でしょう。全客室にキッチンとバルコニーが付いているため、短期滞在でも長期滞在でも快適に過ごせそうです。平均客室面積が40.53㎡とゆとりがあり、ファミリーやグループでの滞在にも適していると考えられます。
第三に、バンヤン・グループという世界的なホスピタリティグループのブランド力が挙げられます。バンヤンツリーは世界20カ国以上に展開する高級ホテルグループとして知られており、そのグループが手がける新ブランドのカッシーアは、質の高いサービスとホスピタリティが期待できると言われています。特に、バンヤンツリーグループはスパやウェルネスに定評があり、リラックスした滞在が楽しめそうです。
第四に、投資物件としての魅力も考えられます。分譲型のサービスアパートメントとして販売されるため、購入して自分が使用しない期間は賃貸に出すことができ、収益を得ることも可能とのことです。白馬村の地価が上昇傾向にあることを考えると、投資対象としても魅力的に映る方もいらっしゃるかもしれません。
第五に、周辺の飲食環境が充実している点も見逃せません。エコーランドには多様なレストランやカフェ、バーが揃っており、食事に困ることはなさそうです。国際的な観光地らしく多国籍料理も楽しめ、白馬での滞在がより豊かなものになるでしょう。
このように、カッシーア・白馬は立地の利便性、快適な客室設計、世界的ブランドの信頼性、投資価値、周辺環境の充実といった多くの利点を持つホテルになると考えられます。特に、スキーやスノーボードを楽しむ方、長期滞在を希望する方、投資目的で別荘を探している方には非常におすすめできる物件になるのではないでしょうか。
カッシーア・白馬のデメリットと注意点
一方で、カッシーア・白馬の悪い点やデメリット、注意すべき点についても考えてみましょう。
まず第一に、開業時期の不透明性が挙げられるでしょう。当初は2026年以降の開業が想定されていましたが、資材高騰などの影響で2028年開業予定となり、さらに遅れる可能性も否定できないという状況のようです。建設プロジェクトは様々な要因で遅延することがあるため、確実に2028年に開業するとは限らない点には注意が必要かもしれません。
第二に、宿泊料金の高さが懸念されます。バンヤン・グループの高級ブランドであるカッシーアですから、宿泊料金はかなり高額になることが予想されます。白馬村の既存の高級ホテルでも1泊3万円以上の料金設定が一般的であることを考えると、カッシーア・白馬はそれ以上の価格帯になる可能性が高いでしょう。カジュアルに白馬を楽しみたい方、予算を抑えたい方にはおすすめしない物件になるかもしれません。
第三に、分譲型という性質から生じる課題も考えられます。部屋を購入したオーナーが使用する期間と、ホテルとして一般客に貸し出される期間が混在するため、宿泊したい時期に予約が取れない可能性もあるかもしれません。特に人気のスキーシーズンには予約が集中することが予想され、一般の旅行者にとっては利用しづらい面もあるかもしれませんね。
第四に、地元住民との関係性も気になる点です。前述のように、白馬村では外資系資本による開発に対して懸念の声が上がっており、約6割の住民が「規制を強めるべき」と回答しているようです。地価上昇による固定資産税の増加や、地元が離れていく現象が進んでいるとの指摘もあり、こうした地域の課題に配慮した開発が求められているのではないでしょうか。
第五に、シーズンによる需要の変動も考慮する必要があるでしょう。白馬は冬のスキーシーズンには多くの観光客で賑わいますが、グリーンシーズンは比較的静かになると言われています。投資目的で購入を考えている方は、年間を通じた稼働率を慎重に検討する必要がありそうです。
第六に、アクセスの課題も挙げられます。JR長野駅から車で約1時間、白馬駅から車で約10分という立地は、都市部からのアクセスとしてはやや不便に感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に冬季は積雪や路面凍結の影響でアクセスがさらに困難になる可能性もあり、車でのアクセスにはスタッドレスタイヤやチェーンが必須となるでしょう。
このように、カッシーア・白馬には開業時期の不確実性、高額な料金設定、予約の取りづらさ、地域との関係性、需要の季節変動、アクセスの課題といった懸念点もあるようです。特に、予算重視の方、カジュアルな旅行を楽しみたい方、車の運転に不安がある方にはおすすめできない面もあるかもしれませんね。
おすすめしたい方、おすすめできない方
以上のメリットとデメリットを踏まえて、カッシーア・白馬をおすすめしたい方とおすすめできない方を整理してみましょう。
おすすめしたい方は、以下のような旅行者や投資家の方々でしょう。
まず、高級志向のスキーヤー・スノーボーダーの方には最適な宿泊先になりそうです。世界的ブランドのホスピタリティと、白馬の上質なパウダースノーを同時に楽しめる贅沢な滞在が期待できるでしょう。スキー場へのアクセスも良く、スキーロッカールームも完備されているため、スノースポーツを存分に楽しめそうです。
次に、長期滞在を希望するファミリーやグループにもおすすめできるでしょう。キッチン付きの広い客室は、長期滞在に適した設計になっていると考えられます。自炊もできるため、長期滞在でも費用を抑えられる面もあるかもしれません。
さらに、投資目的でリゾート物件を探している方にも魅力的な選択肢になるでしょう。白馬村の地価上昇傾向を考えると、将来的な資産価値の向上が期待できる可能性もあります。購入した部屋を賃貸に出すことで収益も得られるため、投資物件としての魅力があると言えそうです。
また、バンヤンツリーブランドのファンの方にとっても、待望の日本進出となるカッシーアは見逃せない存在でしょう。世界各地のバンヤンツリーやカッシーアに宿泊した経験がある方は、日本でもそのホスピタリティを体験できる絶好の機会になりそうです。
一方、おすすめできない方は以下のような旅行者でしょうか。
まず、予算を抑えたい旅行者には向いていないかもしれません。高級ホテルブランドであるカッシーアは、宿泊料金が高額になることが予想されます。白馬村には比較的リーズナブルなペンションやロッジも多くありますので、予算重視の方はそちらを検討されたほうが良いかもしれませんね。
次に、カジュアルな雰囲気を好む方にも合わないかもしれません。高級ホテルブランドの格式あるサービスは、肩肘張らずにリラックスしたい方にとっては窮屈に感じる可能性もあるでしょう。
さらに、車の運転に不安がある方にとっては、特に冬季のアクセスがハードルになるかもしれません。白馬村は冬季には積雪が多く、スタッドレスタイヤやチェーンが必須となります。運転に自信がない方は、公共交通機関を利用することになりますが、その場合は移動に時間がかかる点を考慮する必要があるでしょう。
また、開業時期が不確定な状況を許容できない方にもおすすめしにくいかもしれません。2028年開業予定とされていますが、建設プロジェクトには遅延のリスクがつきものです。確実に開業時期が決まってから予約や購入を検討したい方は、もう少し様子を見たほうが良いかもしれませんね。
カッシーア・白馬に関するQ&A
ここで、カッシーア・白馬についてよくある疑問をQ&A形式でまとめてみましょう。
Q1: カッシーア・白馬とバンヤンツリー・白馬は別のホテルですか?
A: これは非常に紛らわしい点なのですが、実は別のプロジェクトのようです。ウェルス・マネジメントグループは白馬村で複数のホテル開発を進めており、一つは「バンヤンツリー・白馬(仮称)」で、もう一つが今回ご紹介している「カッシーア・白馬(仮称)」とのことです。バンヤンツリーは同グループの最上級ブランドで、白馬八方尾根スキー場の咲花ゲレンデにスキーイン・スキーアウト可能な希少立地に建設予定で、2029年以降の開業が見込まれているようです。一方、カッシーアはエコーランド地区に建設予定で、2028年開業予定とされています。同じ会社が開発する、同じバンヤングループのブランドですが、別々のホテルプロジェクトと理解すると良いでしょう。
Q2: カッシーア・白馬は購入しないと宿泊できませんか?
A: いいえ、購入しなくても通常のホテルとして宿泊予約ができるようになるはずです。カッシーアは分譲型のサービスアパートメントという形態をとっていますが、オーナーが使用していない期間は一般のお客様にホテルとして貸し出されるシステムになっていると言われています。ですから、部屋を購入せずとも、通常のホテル予約サイトなどから宿泊予約ができるようになると考えられます。ただし、人気シーズンはオーナーの利用と重なる可能性もあり、予約が取りにくいこともあるかもしれません。
Q3: 白馬村でスキー以外に楽しめることはありますか?
A: はい、白馬村はスキーだけでなく、四季を通じて様々なアクティビティが楽しめる場所と言われています。春には福寿草、水芭蕉、桜などの花々が咲き誇り、田植えの時期には水鏡のような風景が広がるようです。夏には登山、トレッキング、熱気球、ラフティング、マウンテンバイクなどのアクティビティが充実しており、白馬五竜高山植物園では高山植物を気軽に楽しむことができるとのことです。秋には「白馬三段紅葉」と呼ばれる冠雪の白、紅葉の赤、針葉樹の緑が織りなす絶景が見られると言われています。また、白馬岩岳マウンテンリゾートでは、夏の来場者数が冬の2倍になるなど、グリーンシーズンの観光も盛んになっているようですね。
Q4: エコーランド地区にはどんな飲食店がありますか?
A: エコーランド地区は白馬村の中心街で、多様な飲食店が集まっているエリアと言われています。人気の高いお店としては、創作和食の「ハミングバード」、イタリアンの「ミミーズ レストラン&バー」、和食・寿司の「おひょっくり」、蕎麦の「蕎麦酒房 膳」、海鮮料理の「ききょう屋」などがあるようです。また、ボリューム満点のハンバーガーが人気の「サウンズライクカフェ」や「Lucky Pete’s Cafe and Bar」、寿司が食べられるカフェバー「The Campfire」、古民家を改装したバー「モッキンバード」など、個性的なお店も多いとのことです。信州牛や信州サーモンなど地元食材を味わえる「鉄板Diningやまなみ」も人気だそうですよ。国際的な観光地らしく、英語対応のお店も多く、外国人観光客でも安心して食事を楽しめる環境が整っているようですね。
Q5: 白馬村へのアクセス方法を教えてください
A: 白馬村へのアクセスは主に3つの方法があるようです。
①新幹線+特急バス:東京駅から北陸新幹線で長野駅まで約1時間30分、長野駅から特急バスで白馬村まで約1時間、合計約2時間30分~3時間程度で到着するとのことです。
②高速バス:新宿のバスタから白馬八方尾根まで直通の高速バスが運行されており、所要時間は約5時間程度のようです。
③自動車:東京方面からは中央自動車道・長野自動車道経由で安曇野ICから白馬まで約4時間、または関越自動車道・上信越自動車道経由で長野ICから白馬まで約4時間とのことです。冬季はスタッドレスタイヤやチェーンが必須となりますのでご注意ください。
名古屋方面からは中央自動車道で約3時間30分、大阪方面からは約5時間30分程度かかるようです。
Q6: 白馬村の地価上昇は今後も続くと思いますか?
A: これは難しい質問ですが、短期的には上昇傾向が続く可能性が高いと考えられているようです。白馬村では現在も複数の高級ホテル開発プロジェクトが進行中で、外国人観光客の増加も続いていることから、不動産需要は引き続き旺盛だと言われています。ただし、長期的には地元住民の反対や規制強化、インバウンド需要の変動などの要因により、上昇ペースが鈍化する可能性も指摘されているようです。白馬村役場も今後10年間のまちづくり方針を策定中で、開発規制を含めた議論が進んでいるとのことですから、投資目的で検討されている方は、こうした地域の動向にも注意を払う必要があるでしょうね。
トラベルライターTAKAの考察と意見
最後に、トラベルライターとしての私の独自の視点と意見をお伝えしたいと思います。
カッシーア・白馬のプロジェクトは、白馬村が国際山岳リゾートとして新たなステージに進もうとしている象徴的な存在だと感じています。1998年の長野オリンピックから四半世紀以上が経過し、白馬はかつての「日本のスキーリゾート」から「世界のハクババレー」へと変貌を遂げつつあるように見えます。
このプロジェクトの最も興味深い点は、バンヤン・グループという世界的なホスピタリティブランドが、最上級のバンヤンツリーではなく、中間層をターゲットにしたカッシーアブランドで日本市場に参入しようとしている点です。これは、白馬というデスティネーションの成熟度を示していると同時に、持続可能な観光開発への配慮の表れかもしれません。最上級ブランドのみを展開すれば、一部の富裕層だけの閉鎖的なリゾートになってしまう危険性がありますが、カッシーアは「ホテルとレジデンスの良さを兼ね備えた」というコンセプトで、より幅広い層にアクセス可能な価格帯を目指しているように見受けられます。
また、エコーランド地区という立地選定も秀逸だと考えています。スキー場の麓ではなく、村の中心街に位置することで、地元の飲食店や商店との共生が図られ、地域経済への波及効果も期待できるでしょう。スキーだけでなく、白馬という土地そのものの魅力を体験してもらうという意図が感じられます。
一方で、白馬村が直面している課題にも目を向ける必要があります。地価の急上昇、固定資産税の増加、地元住民の生活への影響、外資による土地買収への懸念など、いわゆる「ジェントリフィケーション」の問題が既に顕在化しつつあるようです。北海道のニセコが辿った道を、白馬も追うのか。それとも「ニセコは追わない」という地元の意志を尊重した、新しい形の国際リゾート開発が実現するのか。その分水嶺に白馬は立っているように思えます。
私が特に注目しているのは、白馬村が実施した村民アンケートの結果です。約6割の住民が「規制を強めるべき」と回答していることは、地元の危機感の表れでしょう。しかし同時に、4割の住民は規制強化に慎重、あるいは現状維持を支持しているとも読み取れます。この微妙なバランスの上で、今後の白馬のまちづくりが展開されていくのだと思います。
カッシーア・白馬のような新規ホテル開発は、確かに雇用を創出し、観光収入を増やし、白馬の国際的な知名度をさらに高めるでしょう。しかし、それが地元住民の生活の質を脅かすものであってはならないはずです。ウェルス・マネジメントとバンヤン・グループには、単なる不動産開発ではなく、地域との共生を真剣に考えた「観光地域づくり」の視点を持って、このプロジェクトを進めていただきたいと思います。
具体的には、地元雇用の優先的な採用、地元食材や地元サービスの積極的な活用、地域イベントへの協力、環境保全への配慮、そして何より地元住民とのオープンな対話の場を設けることが重要ではないでしょうか。バンヤンツリーグループはサステナビリティを重視するブランドとして知られていますから、環境面だけでなく、社会的・経済的なサステナビリティにも配慮した運営を期待したいところです。
また、カッシーアというブランドの特性である「コミュニティの創出」という理念を、単に宿泊客同士のつながりだけでなく、宿泊客と地元住民のつながりにまで広げていくことができれば、真に持続可能なリゾート開発のモデルケースになりえるのではないでしょうか。例えば、ホテル内のレストランで地元農家の野菜を使った料理を提供する、地元のワイナリーとコラボレーションする、地元ガイドによる白馬の自然や文化を学ぶツアーを企画する、といった取り組みが考えられます。
私自身、白馬という場所には特別な思い入れがあります。北アルプスの雄大な山々に抱かれた盆地に広がる素朴な里山の風景、春の花々、夏の緑、秋の紅葉、冬の銀世界。四季折々に変化する自然の美しさ、そして何より地元の方々の温かいホスピタリティ。それらが一体となって、白馬という唯一無二のデスティネーションを作り上げているのだと感じています。
カッシーア・白馬が開業する2028年、白馬がどのような姿になっているのか。国際的なリゾート地としての洗練さと、地元の素朴な魅力が共存する、新しい形の観光地として進化しているのか。それとも、富裕層向けの高級リゾートばかりが立ち並び、地元の人々が住みづらくなってしまった村になっているのか。その答えは、これからの数年間の白馬村のまちづくりと、ウェルス・マネジメントやバンヤン・グループといった開発事業者の姿勢にかかっているように思います。
私たち旅行者にできることは、白馬を訪れる際に、単にスキーや自然を楽しむだけでなく、地元の文化や人々にも関心を持ち、地域経済に貢献する旅をすることではないでしょうか。地元の食材を使ったレストランで食事をする、地元のガイドさんのツアーに参加する、地元の工芸品をお土産に買う。そうした小さな選択の積み重ねが、持続可能な観光地づくりにつながっていくのだと信じています。
カッシーア・白馬という新しいホテルの誕生を、単なる高級ホテルの開業として捉えるのではなく、白馬という地域がどのような未来を選択していくのかを考えるきっかけにしていただければ、トラベルライターとしてこれ以上嬉しいことはありません。2028年の開業を、私も心から楽しみにしています。そして開業した暁には、必ず取材に訪れて、皆様にその魅力を詳しくお伝えしたいと思っています。
最後になりましたが、白馬村という素晴らしいデスティネーションが、これからも多くの人々に愛され、地元の方々にとっても誇りに思える場所であり続けることを、心から願っています。カッシーア・白馬が、その一助となることを期待しつつ、今回シーア・白馬が、その一助となることを期待しつつ、今回の記事を締めくくりたいと思います。









