Airbnb Japanが提供するホテルブランド「Sumu」とは? メリットやデメリットなどHOTTELの記者がわかりやすく解説

旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめ、わかりやすく解説します。

今回取り上げるのは、2025年に話題となった新しい宿泊施設ブランド「Sumu powered by Airbnb Partners」についてです。世界最大級の民泊プラットフォームとして知られるAirbnbが、日本独自のビジネスコミュニティ「Airbnb Partners」と連携して誕生させたこのホテルブランドは、従来の宿泊施設とは一線を画す「暮らすように旅する」体験を提供することを目指しているようです。

「観光だけでは、出会えない物語がある」というブランドコンセプトのもと、旅人が地域に深く根ざし、まるでその街に住むように滞在できる空間を創出するというSumu。2026年秋の第1号店オープンに向けて準備が進んでいるこの注目のホテルブランドについて、場所、予約方法、料金、メリットやデメリットなど、ネットで収集できる情報をもとに詳しく解説していきます。

結論:Sumuは「ホームシェアリング」の思想を具現化した次世代アパートメントホテル

まず結論からお伝えすると、「Sumu powered by Airbnb Partners」は、単なるホテルではなく、Airbnb Japanが長年提唱してきた「ホームシェアリング」の考え方を建築物として具現化した、まったく新しいコンセプトのアパートメントホテルブランドであるようです。

このブランドの最大の特徴は、宿泊者が「ゲスト」としてではなく、まるでその街に「住む人」として滞在できる体験を提供することにあります。名前の「Sumu」も、宿泊者が自分の家に「住む/Sumu」ように滞在できる場所を作りたいという想いから名付けられたとのことです。

従来のホテルが「非日常」を演出する空間であるのに対し、Sumuは「日常の延長線上にある非日常」を体験できる空間を目指しているようです。キッチンや洗濯機などの設備を完備し、地域の朝市で新鮮な野菜を買って自炊したり、穴場のレトロ喫茶店を見つけたり、古書店が並ぶ裏通りを散策したりといった、観光ガイドブックには載っていないような「その街に住んでみないと分からない」体験ができることが魅力のようです。

Sumu誕生の背景:インバウンド市場の変化と長期滞在ニーズの高まり

訪日外国人の滞在傾向の変化

Sumuが誕生した背景には、訪日外国人の旅行スタイルが大きく変化しているという市場環境があるようです。日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年の観光統計データによると、観光を目的として訪日する外国人の約半数が7〜13日間滞在しており、年々滞在期間の長期化が顕著となっているとのことです。

また、2025年の日本のインバウンド市場は過去最高の4,020万人の訪日外国人旅行者数が予測されており、特に東京都内では、家族やグループ旅行者による「多人数泊」ニーズが増えてきているものの、従来のシングル・ツイン中心のホテル供給では対応しきれない状況が顕在化しているようです。

2024年12月の訪日外客数は3,489,800人を記録し、前年同月比27.6%増、2019年同月比38.1%増と過去最高を更新しています。このような急速なインバウンド需要の回復を背景に、従来とは異なる宿泊スタイルを求める旅行者が増加しているのです。

従来の宿泊施設では対応しきれない課題

東京のビジネスホテルの平均客室単価は2024年に1泊2万円を突破し、2022年と比較して約2倍の水準に達しているとも言われています。このような価格高騰の中で、特に長期滞在やグループ旅行を計画する旅行者にとって、コストパフォーマンスの良い宿泊先を見つけることが難しくなってきているようです。

こうした市場環境の中で、キッチン付きで自炊ができ、複数人でも快適に過ごせるアパートメントホテルの需要が高まっており、Sumuはまさにこのニーズに応えるブランドとして誕生したと言えるでしょう。

Sumuブランドの詳細:運営体制とパートナー企業

Airbnb Partnersとは

Sumuを理解するためには、まず「Airbnb Partners」について知っておく必要があります。Airbnb Partnersは、Airbnb Japan株式会社が2018年に立ち上げた日本独自のビジネスコミュニティで、現在は185社以上(2025年3月時点)の企業・団体が参画しているそうです。

このコミュニティは、国内の多種多様な企業や団体が協働して、ホームシェアリング市場の成長を目指すとともに、コミュニティから生まれる新たなアイデアを実現すべく活動しているとのことです。ホテル・民泊運営会社、システムベンダー、FFE(家具・什器・備品)事業者、デベロッパー、メディアなど約200社が参加する大規模なエコシステムが形成されているようです。

Sumuの運営パートナー企業

Sumuブランドの開発・運営には、複数の企業が連携して取り組んでいるようです。

カソク株式会社ホテルオペレーターとして運営を担当しています。カソクは東京都新宿区に本社を置く宿泊施設の運営に特化した企業で、Airbnb公式パートナー企業として2015年より活動しており、現在は9都道府県で旅館施設・特区民泊・約500室の住宅宿泊施設を運営しているとのことです。

ADDReC株式会社ブランディング、ビジネスデザイン、設計・デザイン監修を担当しています。地域の文化や特性を丁寧に読み解き、それを現代的で洗練されたデザインに昇華させることで、訪れる人々に深い印象と価値ある体験を提供する施設づくりに取り組んでいるようです。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)は書籍・家電・アート等のコンテンツディレクションパートナーとして参画しています。蔦屋書店などを運営するCCCグループの強みを活かし、地域の特色に合わせた書籍のセレクションやブックラウンジの設計を手掛けているとのことです。

大和ハウス工業との包括連携協定

2025年1月6日、Airbnb Japanは大和ハウス工業株式会社と包括連携協定を締結しました。この協定は2027年1月5日までの2年間の予定で、両社の強みを活かした新たな事業創出を目指すものとなっているようです。

協定の主な内容は以下の3点に整理されています。

  1. 新しい滞在体験ニーズに応える宿泊施設の創出 – インバウンド需要の本格的な回復を見据え、長期滞在やグループ利用、地域ならではの体験といった新しい滞在ニーズに応える宿泊施設の在り方を検討
  2. 変化するライフスタイルに向けたインフラ・サービスの創出 – 多拠点生活や一時利用、ワーケーションといった柔軟な暮らし方に対応できる住空間やサービスの可能性を探る
  3. 地域資源の活用と地域社会の活性化に向けた検討 – 遊休不動産や文化的資源の新たな活用方法を共に検討し、交流人口の創出や地域の魅力発信につなげる

Sumuの物件計画:東京都心に3棟の開発が進行中

計画されている物件一覧

2025年11月時点で、Sumuブランドとして東京都心に3棟の開発が進行しているようです。それぞれの物件について詳しく見ていきましょう。

第1号店:(仮称)台東区寿三丁目計画

最初に開業予定の物件は、東京都台東区寿3-17-11に位置する「(仮称)台東区寿三丁目計画」です。

  • 所在地:東京都台東区寿3-17-11
  • アクセス:都営大江戸線「蔵前駅」A5出口より徒歩約3分
  • 建物規模:地上10階建て、全17室
  • 着工時期:2025年5月15日
  • 開業予定:2026年秋
  • 建設パートナー:大和ハウス工業株式会社

この物件は、下町情緒あふれる浅草・寿エリアに位置しており、観光名所である浅草にも近接しています。蔵前は近年「東京のブルックリン」とも呼ばれ、おしゃれなカフェやショップが集まるエリアとして人気を集めているため、まさに「暮らすように旅する」体験にふさわしい立地と言えるでしょう。

第2号店:Hotel Sumu Shinjuku East powered by Airbnb Partners(仮)

第2号物件は新宿エリアに計画されています。

  • 所在地:東京都新宿区新宿5-7-12
  • 建物規模:RC造・10階建て、全18室
  • 延床面積:1,228.04㎡(371.48坪)
  • 竣工予定:2027年2月

2025年10月にSBI新生銀行グループの昭和リース株式会社により開発ファンドが組成されており、株式会社中国銀行がシニアレンダーとして参画しているようです。

第3号店:Hotel Sumu Shinjuku Gyoen powered by Airbnb Partners(仮)

第3号物件も新宿エリア、新宿御苑近くに計画されています。

  • 所在地:東京都新宿区新宿1丁目12-9
  • 建物規模:鉄骨造システムラーメン構造・8階建て、全18室
  • 延床面積:969.25㎡(293.2坪)
  • 竣工予定:2027年3月
  • 設計・施工:旭化成ホームズ株式会社

2025年11月に第2号開発ファンドが組成されており、群馬銀行、第四北越銀行がシニアレンダーとして参画しているとのことです。

今後の展開計画

Sumuブランドは、「STANDARD(主要都市型)」「LOCAL(地方リノベ型)」「SMALL(個人所有物件リノベ型)」の3つのラインを軸に、2030年までに30棟の開発を目指しているとのことです。想定する建物規模は1棟あたり15〜60室程度で、運営においては不動産オーナーとカソクが個別に賃貸借契約を結ぶ形をとるようです。

さらに、2025年12月には東上野にリノベーション型の物件が開業予定との情報もあり、新築だけでなく既存建物のリノベーションによる展開も進められているようです。

Sumuの特徴と設備:「暮らせるホテル」の具体的な内容

アパートメントホテルとしての基本設備

Sumuは「まるで自宅のように暮らせるホテル」をコンセプトに掲げており、一般的なアパートメントホテルと同様に、長期滞在に必要な設備が整えられているようです。

アパートメントホテルとは、客室内にキッチンがあり、冷蔵庫などの家電製品が設置されている宿泊施設のことを指します。一般的なアパートメントホテルには以下のような設備が備わっているとされています。

  • キッチン設備:調理用コンロ、冷蔵庫、電子レンジ、食器、調理器具など
  • 家電製品:洗濯機(乾燥機能付きの場合も)、エアコン、テレビなど
  • 家具:ベッド、ソファ、ダイニングテーブル、デスクなど

Sumuもこれらの基本的なアパートメントホテル機能を備えつつ、さらに独自の付加価値を提供することを目指しているようです。

Sumu独自の空間設計

Sumuの館内機能として、フロント、ラウンジ、カフェ、コワーキングスペースが基本装備として計画されているようです。特に注目すべきは、CCCとの連携による「ブックラウンジ」の設置です。

CCCがコンテンツディレクションを担当する1階のラウンジでは、居心地の良い空間に書籍や物販を組み合わせて、体験価値の高いエントランスとラウンジを実現する計画とのことです。地域の特色に合わせた品揃えで、地元の魅力を発信する観光ガイドのような役割を担いながら、本を通じて街と旅人をつなぐ文化の発信拠点を目指しているようです。

また、利き酒など日本の文化を体験できるコンテンツの導入も検討されているとのことで、単なる宿泊施設を超えた「文化体験施設」としての性格も持つことが期待されます。

カフェは地域飲食店やクリエイターと連携し、ラウンジは蔦屋書店を運営するCCCが書籍・家電・アートをキュレーションする形で、宿泊の場にとどまらず、旅行者と地元住民をつなぐ交流拠点として機能することが計画されているようです。

客室の特徴

Sumuの客室は、4〜8人でも1部屋にゆったり泊まれる設計が特徴のようです。これは、従来のシングル・ツイン中心のホテルでは対応しきれなかった家族旅行やグループ旅行のニーズに応えるものとなっています。

公開されているイメージ画像からは、洗練された現代的なデザインの中に、木の温もりを感じる和の要素が取り入れられた空間が想定されているようです。ADDReCが設計・デザイン監修を担当し、「暮らすように旅する」体験を空間デザインとブランド体験の両面で実現することを目指しているとのことです。

予約方法について:2026年秋の開業に向けて

現時点での予約状況

2025年11月現在、Sumuはまだ開業前のため、実際の宿泊予約を行うことはできません。第1号店の開業が2026年秋に予定されているため、予約受付の開始は2026年中になると予想されます。

2025年10月23日には公式ブランドサイト(https://sumu-hotel.com/)がローンチされており、Sumuの取り組みや想いをゲスト、企業、自治体、クリエイター、地域の方々に向けて発信する情報プラットフォームとして運用されているようです。今後、開業に向けて予約方法などの詳細情報が公開されることが期待されます。

想定される予約チャネル

Sumuは「Airbnb Partners」と連携したブランドであることから、Airbnbプラットフォームを通じた予約が主要なチャネルになることが想定されます。Airbnbでは、世界中の宿泊者がアプリやウェブサイトを通じて簡単に予約できるシステムが整っており、多言語対応もされているため、インバウンド旅行者にも利用しやすい環境が整っています。

また、一般的なアパートメントホテルの多くは、AirbnbだけでなくBooking.comやExpedia、Agodaなどの複数のOTA(オンライン・トラベル・エージェンシー)で予約を受け付けていることが多いため、Sumuも同様に複数の予約チャネルで展開される可能性があります。

同じプラットフォームでも、AirbnbとBooking.comの両方で同じアパートメントが掲載されている場合、Booking.comの方が若干安いケースが多いとの指摘もあるため、開業後は複数のサイトで料金を比較してみることをおすすめします。

料金について:アパートメントホテルの相場から推測

東京のアパートメントホテル料金相場

Sumuの具体的な宿泊料金は現時点で公開されていませんが、東京都内のアパートメントホテルの料金相場から、ある程度の推測を行うことはできます。

東京都内のキッチン付きアパートメントホテルの料金相場は、部屋タイプや立地、時期によって大きく異なりますが、一般的に以下のような傾向があるようです。

  • スタンダードなアパートメントホテル:1泊1室あたり10,000円〜20,000円程度
  • 中〜上級クラス:1泊1室あたり20,000円〜40,000円程度
  • ラグジュアリークラス:1泊1室あたり40,000円以上

日本橋エリアにオープンした家族向けアパートメントホテルでは、1室1泊平均36,000円という事例もあります。

Sumuの料金設定の推測

Sumuは、CCCによるブックラウンジや充実した共用施設を備えた付加価値の高いアパートメントホテルとして位置づけられているようです。また、ADDReCによる洗練されたデザインや、地域文化を体験できるコンテンツなど、単なる宿泊施設を超えた体験価値を提供することを目指しています。

一方で、アパートメントホテルの基本的なメリットである「同等のホテルより安い」という特徴や、インバウンドの長期滞在ニーズに応えるという事業目的を考慮すると、一般的な都内のビジネスホテルよりも競争力のある料金設定になることも考えられます。

4〜8人のグループで1室を利用できる設計であることを踏まえると、1人あたりの宿泊費は比較的リーズナブルになる可能性があります。例えば、1室1泊30,000円の場合でも、4人で利用すれば1人あたり7,500円、8人で利用すれば1人あたり3,750円となり、コストパフォーマンスの高い選択肢となるでしょう。

Sumuの良い点・メリット:おすすめポイントを詳しく解説

メリット1:「暮らすように旅する」体験ができる

Sumuの最大のおすすめポイントは、「暮らすように旅する」という新しい旅のスタイルを体験できることです。従来のホテル滞在では味わえない、その街の日常に溶け込むような体験ができるでしょう。

思い立って足を延ばせば、みずみずしい野菜が並ぶ小さな朝市、時間が止まったような古書店が並ぶ裏通り、穴場のレトロ喫茶と、おしゃべりな店員たち——そんな特別でありふれた風景に出会えるかもしれません。

これは、観光スポットを効率よく巡る従来の観光旅行とは異なる、地域の文化や暮らしを深く体験できる新しい旅の形です。特に、リピーターとして何度も日本を訪れる外国人旅行者や、観光地化されていない「本物の日本」を体験したい旅行者にとって、大きな利点となるでしょう。

メリット2:グループ・家族旅行に最適な広い客室

Sumuの良い点として、4〜8人でも1部屋にゆったり泊まれる広い客室設計が挙げられます。これは、家族旅行やグループ旅行者にとって非常におすすめのポイントです。

従来のシングル・ツイン中心のホテルでは、4人家族の場合は2部屋を予約する必要があり、コストがかさむだけでなく、家族が別々の部屋で過ごすことになってしまいます。Sumuなら、家族全員が同じ空間で過ごし、リビングでくつろいだり、キッチンで一緒に料理を作ったりすることができるでしょう。

2024年の旅行意向調査によると、日本人の旅行同伴者の1位は「家族」(67%)で、世界7カ国平均の43%を大きく上回っています。また、インバウンド旅行者においても家族・親族での利用が増加傾向にあるとの調査結果もあり、グループ対応の宿泊施設への需要は今後さらに高まることが予想されます。

メリット3:キッチン完備で自炊が可能

アパートメントホテルとしての基本機能であるキッチン完備は、長期滞在者にとって大きなメリットです。

自炊ができることで、まず食費の節約が可能になります。東京での外食は決して安くありません。特に長期滞在の場合、毎食レストランで食事をするとかなりの出費になりますが、近くのスーパーや市場で食材を購入して自炊すれば、大幅にコストを抑えることができるでしょう。

また、食事時間の自由度も上がります。一般的なホテルでは朝食の時間が決まっていますが、キッチンがあれば好きな時間に好きなものを食べることができます。時差ボケで変則的な生活リズムになりがちな海外からの旅行者にとって、これは非常にありがたいポイントです。

さらに、地元のスーパーや市場で買い物をすること自体が、その土地の文化を体験する機会になります。日本の食材や調味料、パッケージデザインなど、観光スポットでは得られない日本の日常を垣間見ることができるでしょう。

メリット4:CCCによる充実したコンテンツ・空間体験

Sumuならではのおすすめポイントとして、CCCによるブックラウンジやコンテンツキュレーションが挙げられます。

蔦屋書店などで培ったCCCの「ライフスタイル提案」のノウハウを活かし、地域の特色に合わせた書籍のセレクション、洗練された家電、アートなどが配置された空間で過ごすことができるようです。これは、単なる寝泊まりの場所としてではなく、滞在そのものを豊かな体験にするという点で大きな価値があります。

また、利き酒など日本文化を体験できるコンテンツの導入も検討されているとのことで、特に日本文化に興味を持つインバウンド旅行者にとっては、ホテルにいながら深い文化体験ができる貴重な機会となるでしょう。

メリット5:Airbnbプラットフォームとの連携による利便性

Airbnb Partnersと連携したブランドであることから、世界中で利用されているAirbnbプラットフォームを通じた予約や利用が可能になることが期待されます。

Airbnbにはレビュー機能があり、ゲストとホストの両者が評価し合える仕組みが整っています。これにより、実際に宿泊した人の声を確認した上で予約することができ、安心感が得られます。

また、Airbnbは多言語対応されているため、日本語が話せない外国人旅行者でも、母国語でスムーズに予約や問い合わせを行うことができます。これは、英語対応が十分でない日本の宿泊施設が多い中で、大きなアドバンテージとなるでしょう。

さらに、CCCグループが提供するVポイントとの連携も行われているため、ポイントを貯めたり使ったりすることも可能になるようです。

メリット6:地域とのつながり・交流の機会

Sumuは、宿泊の場にとどまらず、旅行者と地元住民をつなぐ交流拠点としての機能も目指しているようです。カフェでは地域飲食店やクリエイターと連携し、地域の魅力を体験できるハブとして機能することが計画されています。

これは、観光地でよく問題になる「観光客と地元住民の分断」を解消し、持続可能な観光を実現するための重要な取り組みと言えるでしょう。旅行者にとっては、単なる観光では得られない地元の人との交流や、その土地ならではの情報を得る機会になります。

Sumuの悪い点・デメリット:注意すべきポイント

Sumuには多くの魅力がある一方で、注意すべき点もいくつか考えられます。開業前のブランドであるため、一部は一般的なアパートメントホテルのデメリットからの推測も含まれますが、予約を検討する際の参考にしていただければと思います。

デメリット1:現時点では開業前で予約できない

最も明らかな欠点として、2025年11月現在ではまだ開業前であり、実際に宿泊することができないという点があります。第1号店の開業予定は2026年秋となっているため、少なくともあと1年程度は待つ必要があります。

また、開業後も物件数は限られており(当初は3棟、2030年までに30棟の計画)、人気が出た場合は予約が取りにくくなる可能性もあります。「今すぐ泊まりたい」という方にはおすすめしない選択肢と言わざるを得ません。

デメリット2:物件数・エリアが限定的

2025年現在の計画では、Sumuの展開エリアは東京都心に限定されています。具体的には台東区(浅草エリア)と新宿区の3棟のみが計画されており、京都や大阪、北海道など他の人気観光地での展開は現時点では発表されていません。

2030年までに30棟への拡大が計画されているものの、他のアパートメントホテルチェーン(例えばMIMARUは既に東京、大阪、京都など各地に展開)と比較すると、選択肢が少ないのが現状です。東京以外を旅行する場合は別の宿泊先を探す必要があり、この点はデメリットと言えるでしょう。

デメリット3:アパートメントホテル特有のサービス制限

一般的なアパートメントホテルの悪い点として、フルサービスのホテルと比較してサービスが限定的であることが挙げられます。

  • 毎日の客室清掃がない場合が多い:アパートメントホテルでは、清掃サービスは週に1度程度、またはチェックアウト時のみという場合が多いです。毎日きれいにベッドメイクされた部屋で過ごしたい方には不向きかもしれません。
  • 24時間対応のコンシェルジュサービスがない可能性:フルサービスのホテルでは当たり前の24時間対応のフロントやコンシェルジュサービスが、アパートメントホテルでは限定的な時間帯のみとなっている場合があります。
  • ルームサービスがない:客室への食事デリバリーなど、ホテルならではのサービスは期待できない場合が多いです。

Sumuが具体的にどのようなサービス体制を取るかは開業後でなければわかりませんが、アパートメントホテルの性質上、これらの制限がある可能性は考慮しておく必要があるでしょう。

デメリット4:初めての海外旅行者には難しい可能性

Sumuの「暮らすように旅する」というコンセプトは、ある程度の旅慣れた方には魅力的ですが、初めて日本を訪れる旅行者や、海外旅行自体が初めての方にはハードルが高い可能性があります。

アパートメントホテルを利用するには、以下のようなスキルや準備が必要になる場合があります。

  • 自炊のための買い物:近くのスーパーや市場を見つけ、必要な食材を購入する必要があります
  • ゴミの分別:日本のゴミ分別ルールは外国人にとって複雑に感じられることが多いです
  • 洗濯機の使い方:日本の洗濯機は海外のものと操作が異なる場合があります
  • 調理器具の使い方:IHクッキングヒーターなど、慣れていない調理器具に戸惑うこともあるでしょう

フルサービスのホテルであれば、これらの心配をせずに滞在できるため、「すべてお任せで快適に過ごしたい」という方にはおすすめしないかもしれません。

デメリット5:新しいブランドゆえの不確定要素

Sumuは2025年に発表されたばかりの新しいブランドであり、実際のサービス品質や宿泊体験については、開業後でなければ判断できない部分が多くあります。

既存の確立されたホテルチェーンであれば、過去の口コミやレビューを参考に宿泊先を選ぶことができますが、新規ブランドの場合はそうした情報が限られています。先駆者として開業直後に宿泊する場合、予想と異なる点があったり、運営体制が十分に整っていなかったりする可能性もあり得ます。

「確実に満足できる宿泊先を選びたい」という慎重派の方は、ある程度口コミやレビューが蓄積されてから検討するのも一つの選択肢かもしれません。

こんな方におすすめ・おすすめしない方

Sumuをおすすめしたい方

以上のメリットデメリットを踏まえて、Sumuは以下のような方に特におすすめです。

  1. 長期滞在(1週間以上)を予定している方 – キッチンや洗濯機を活用した自炊・洗濯が可能で、長期滞在でもコストを抑えられます
  2. 家族やグループで旅行する方 – 4〜8人対応の広い客室で、全員が同じ空間で過ごすことができます
  3. リピーターとして日本を深く知りたい方 – 観光スポット巡りではなく、地域の日常を体験したい方に最適です
  4. 「暮らすような旅」に興味がある方 – 新しい旅のスタイルを試してみたい冒険心のある方におすすめです
  5. ワーケーションを検討している方 – コワーキングスペースやWi-Fi環境が整った空間で、仕事と旅を両立できそうです
  6. 本や文化体験が好きな方 – CCCによるブックラウンジや文化体験コンテンツを楽しめます
  7. Airbnbを使い慣れている方 – プラットフォームに慣れていれば、予約から滞在までスムーズに進められるでしょう

Sumuをおすすめできない方

一方、以下のような方にはおすすめしない場合があります。

  1. 短期滞在(1〜2泊程度)の方 – アパートメントホテルのメリットを十分に活かしきれない可能性があります
  2. 今すぐ宿泊したい方 – 開業は2026年秋以降のため、しばらく待つ必要があります
  3. 東京以外を旅行する方 – 現時点では東京都心の物件のみで、他エリアには展開していません
  4. フルサービスのホテルを期待する方 – 毎日の清掃、ルームサービスなどを重視する方には不向きかもしれません
  5. 初めての海外旅行・日本旅行の方 – 自炊や洗濯などの自己対応が必要なため、慣れていないと戸惑う可能性があります
  6. 確立されたブランドの安心感を重視する方 – 新しいブランドのため、実績やレビューが少ない状態でのスタートとなります

Q&A:Sumuに関するよくある質問

ここでは、Sumuに関して旅行者の方々が疑問に思うであろうポイントについて、Q&A形式でお答えします。

Q1. Sumuはいつオープンしますか?

A. 第1号店「(仮称)台東区寿三丁目計画」の開業予定は2026年秋です。第2号店は2027年2月、第3号店は2027年3月に竣工予定となっています。ただし、建設状況によりスケジュールが変更される可能性もありますので、最新情報は公式サイト(https://sumu-hotel.com/)でご確認ください。

Q2. 予約はどのようにすればよいですか?

A. 現時点では開業前のため予約を受け付けていません。開業後は、Airbnbプラットフォームでの予約が主な手段になると想定されますが、Booking.comやその他のOTAでも取り扱われる可能性があります。予約方法の詳細は、開業が近づいた時期に公式サイトで発表されると思われます。

Q3. 宿泊料金はいくらくらいですか?

A. 具体的な料金は公表されていません。東京のアパートメントホテルの相場(1室1泊20,000円〜40,000円程度)を参考にしつつ、複数人での利用を前提とすると、1人あたりはリーズナブルな料金設定になることが期待されます。正式な料金は開業前に発表されるでしょう。

Q4. 日本語が話せなくても利用できますか?

A. Airbnb Partnersと連携したブランドであることから、Airbnbの多言語対応システムを活用した予約・問い合わせが可能になると想定されます。ただし、施設内での対応言語については、現時点で詳細な情報がありません。一般的に、インバウンド向けの宿泊施設では英語対応が行われていることが多いです。

Q5. チェックイン・チェックアウトの時間は?

A. 具体的な時間は公表されていません。一般的なアパートメントホテルでは、チェックイン15:00、チェックアウト10:00〜11:00といった設定が多いですが、Sumuの正式な時間は開業前に発表されるでしょう。

Q6. 清掃サービスはありますか?

A. 詳細は不明ですが、一般的なアパートメントホテルでは、毎日の清掃ではなく、数日ごとやチェックアウト時の清掃となることが多いです。長期滞在の場合は、リクエストに応じて清掃サービスが受けられる可能性もあります。

Q7. キッチンで使える調理器具や食器は用意されていますか?

A. アパートメントホテルとして設計されているため、基本的な調理器具(フライパン、鍋、包丁、まな板など)や食器類は備え付けられていると予想されます。ただし、具体的な品揃えは開業後の情報を確認する必要があります。

Q8. 子供連れでも利用できますか?

A. 4〜8人対応の客室設計であることから、ファミリー層も想定したターゲットになっていると考えられます。ただし、ベビーベッドやキッズ向けアメニティの有無など、詳細は開業後の情報を確認する必要があります。

Q9. ペットは同伴できますか?

A. 現時点でペット同伴の可否に関する情報は公開されていません。一般的に日本のホテルはペット不可の施設が多いですが、詳細は開業前後に発表される宿泊約款で確認する必要があります。

Q10. Wi-Fiは利用できますか?

A. 現代のホテルやアパートメントホテルでは、Wi-Fiは標準的な設備として提供されているため、Sumuでも利用可能と推測されます。また、コワーキングスペースが基本装備として計画されていることからも、高速インターネット環境が整備されると考えられます。

コラム:旅行業界の隠語・スラング解説

旅行系WEBメディア「HOTTEL」のトラベルライター”TAKA”として、ここでSumuの記事に関連して知っておくと便利な旅行業界の隠語やスラングについて解説しておきましょう。

ホームシェアリング(Home Sharing)

Airbnbが提唱する「ホームシェアリング」は、自宅の一部または全部を旅行者に貸し出すことを指します。日本では「民泊」という言葉で広く知られていますが、「民泊」が法律上の宿泊形態を指す傾向があるのに対し、「ホームシェアリング」はより広い概念で、「家を共有する」という思想的な意味合いも含んでいます。

アパートメントホテル(Apartment Hotel)

「アパートメントホテル」は、キッチンや洗濯機などの設備を備え、自宅のように滞在できるタイプの宿泊施設です。欧米では「Apart Hotel」「Serviced Apartment」などとも呼ばれます。通常のホテルとアパートの中間的な存在で、長期滞在者に人気があります。

OTA(Online Travel Agency)

「OTA」は、オンライン旅行代理店の略称で、Booking.com、Expedia、Agoda、Hotels.comなどのインターネット上で宿泊予約ができるサービスを指します。Airbnbもプラットフォームとしての性質は近いですが、個人ホストとゲストを直接つなぐという点で、純粋なOTAとは区別されることもあります。

ADR(Average Daily Rate)

「ADR」は、客室平均単価のことで、ホテルの収益性を測る重要な指標です。計算式は「客室売上高÷販売客室数」となります。日本語では「平均客室単価」とも呼ばれます。

RevPAR(Revenue Per Available Room)

「RevPAR」は、販売可能な客室1室あたりの売上高を示す指標で、ADRに稼働率を掛けて算出します。ホテルの経営効率を測る際によく使われる指標です。

インバウンド(Inbound)

「インバウンド」は、海外から日本への旅行、または訪日外国人旅行者を指す用語です。反対語は「アウトバウンド」(日本から海外への旅行)です。観光業界では非常によく使われる用語で、「インバウンド需要」「インバウンド対策」などの形で用いられます。

スーパーホスト(Superhost)

Airbnbの「スーパーホスト」は、一定の条件(高評価、迅速な対応、安定した運営など)を満たしたホストに付与されるバッジです。スーパーホストのリスティングは信頼性が高いとされ、予約の際の参考になります。日本全国でスーパーホストに認定されている施設は約26%のみとされています。

リスティング(Listing)

Airbnbにおける「リスティング」は、宿泊施設の掲載ページ全体を指す用語です。写真、説明文、料金、レビューなど、その物件に関するすべての情報が含まれます。

MC方式(マネジメントコンストラクト方式)

ホテルの「MC方式」とは、ホテルの「所有」「経営」を担う会社が、ホテルの「運営」の部分だけを別の会社に委託する運営方式のことです。Sumuの場合、カソク株式会社がオペレーターとして運営を担当する形がこれに近いと考えられます。

トラベルライターTAKAの考察:Sumuが日本の宿泊業界にもたらす可能性

最後に、トラベルライター”TAKA”として、Sumuというブランドが日本の旅行・宿泊業界にどのような影響を与えるか、独自の視点から考察してみたいと思います。

「観光と暮らしの調和」という新しいビジョン

Sumuが掲げる「観光と暮らしが今後調和していく未来へのビジョンを体現する場所」という理念は、日本の観光政策が抱える根本的な課題に対する一つの回答になり得ると私は考えています。

近年、京都や沖縄をはじめとする人気観光地では「オーバーツーリズム」が大きな問題となっています。観光客と地元住民との間に軋轢が生まれ、「観光公害」という言葉さえ使われるようになりました。この問題の根底には、観光客を「ゲスト(外部者)」として扱い、地域社会と切り離してしまう従来の観光モデルの限界があるように思います。

Sumuが目指す「旅人が地域に深く根ざし、まるでその街に住むように滞在する」というアプローチは、この問題に対する一つのソリューションになる可能性を秘めています。旅行者が地元のスーパーで買い物をし、地元のカフェで店員とおしゃべりをし、地元のイベントに参加する——そうした「住民に近い体験」を提供することで、観光客と地域社会の間に新しい関係性を築けるかもしれません。

「分散型旅行」への貢献

Airbnb Japanが提唱する「分散型の旅」という考え方も、日本の観光が抱える課題に対するアプローチとして注目に値します。

日本政府は「2030年訪日客6,000万人」という目標を掲げていますが、このまま東京、大阪、京都といった主要都市に旅行者が集中し続ければ、宿泊施設の不足やインフラへの負荷、オーバーツーリズムの問題がさらに深刻化することは避けられないでしょう。

Sumuの展開計画にある「LOCAL(地方リノベ型)」「SMALL(個人所有物件リノベ型)」というラインは、将来的に地方への展開を視野に入れていることを示唆しています。全国各地にSumuのような「暮らすように旅する」拠点ができれば、旅行者を地方に分散させる効果も期待できるでしょう。

また、Airbnbの調査によると、2024年上半期の主要都市以外での予約が増加傾向にあるとのことで、すでに旅行者の間でも地方への関心が高まっている兆候が見られます。Sumuがこのトレンドを加速させる存在になれば、地方経済の活性化にも貢献できるかもしれません。

「空き家問題」への一つの解決策

日本が抱えるもう一つの深刻な問題である「空き家」の増加に対しても、Sumuのようなモデルは一つの解決策を提示しているように思います。

Airbnb Japanと大和ハウス工業の包括連携協定では、「遊休不動産や文化的資源の新たな活用方法を共に検討」することが掲げられています。これは、使われていない建物や土地を宿泊施設として再生することで、価値を創出しようという取り組みです。

実際に、JTBとAirbnb Japanは「空き家利活用を通じた観光の分散化」について連携協定を締結しており、業界全体としてこの方向に動き出しているようです。Sumuの「LOCAL」「SMALL」ラインが本格展開されれば、全国各地の空き家が「暮らせるホテル」として生まれ変わる可能性があります。

今後の課題と展望

一方で、Sumuが成功するためにはいくつかの課題も克服する必要があるでしょう。

まず、日本人市場へのアプローチです。Airbnbは日本では主にインバウンド旅行者向けのプラットフォームとして認知されており、日本人の利用はまだ限定的です。「暮らすように旅する」というコンセプトは日本人にとっても魅力的なはずですが、その価値を伝えるためには、ターゲットを絞ったマーケティングが必要になるでしょう。

次に、運営品質の安定化です。複数の企業が連携するプロジェクトであるため、各社の役割分担と連携がスムーズに行われなければ、サービス品質にばらつきが出る可能性があります。特に、CCCによるコンテンツキュレーションとカソクによる日々の運営をいかにシームレスに統合するかが鍵になりそうです。

また、収益モデルの確立も重要です。一般的なホテルよりも共用スペースに投資し、付加価値の高い体験を提供するというアプローチは、差別化には有効ですが、それが持続可能なビジネスモデルとして成立するかどうかは、開業後の実績を見なければ判断できません。

結びに

Sumuは、日本の宿泊業界に新しい風を吹き込む可能性を持ったプロジェクトだと私は感じています。「観光だけでは、出会えない物語がある」というコンセプトは、効率を重視する従来の観光スタイルとは一線を画し、旅の本質的な価値——知らない土地を歩き、知らない人と出会い、知らない自分を発見する——を思い出させてくれるものです。

2026年秋の開業が待ち遠しいですが、このプロジェクトがどのように進化していくか、そして日本の観光にどのような変化をもたらすか、トラベルライターとして引き続き注目していきたいと思います。

皆さんも「Sumu」がオープンしたら、ぜひ「暮らすように旅する」体験を味わってみてはいかがでしょうか。観光スポットを駆け足で巡る旅とは違う、その街に溶け込むような新しい旅の形が、きっとそこにあるはずです。

公式サイトはこちら https://sumu-hotel.com/