株式会社温故知新が発表した4つのブランド RETREAT SELECTION(リトリートセレクション)、CRAFT SELECTION(クラフトセレクション)、GATEWAY SELECTION(ゲートウェイセレクション)、ANOTHER STORY(アナザーストーリー)についてHOTTELの記者がわかりやすく解説
旅行系WEBメディア「HOTTEL」に記事を書くトラベルライター”TAKA”です。旅についての疑問や噂について真相をつきとめ、わかりやすく解説します。
今回のテーマは、株式会社温故知新が2025年12月に正式導入した宿泊施設の新ブランドカテゴリー「RETREAT SELECTION(リトリートセレクション)」「CRAFT SELECTION(クラフトセレクション)」「GATEWAY SELECTION(ゲートウェイセレクション)」「ANOTHER STORY(アナザーストーリー)」について徹底解説します 。近年、旅行の目的が「温泉」「現地の食」「癒やし・休息」といった心身の回復や内省の時間を求める傾向に変化していると言われています。そんな時代背景の中で、温故知新という会社がどのようなコンセプトで宿泊施設を展開しているのか、その全貌を明らかにしていきましょう。
結論:温故知新の4ブランドは「旅の目的から選べる」新しい宿泊体験
まず結論からお伝えすると、温故知新の新ブランドカテゴリーは、旅行者が自分の「旅の目的」に合わせて最適な宿を選べるように設計された、非常にわかりやすいブランド体系となっているようです 。従来の宿泊施設選びでは「価格」「立地」「設備」といった条件で絞り込むことが一般的でしたが、温故知新のアプローチは「心身を整えたいのか」「地域のクラフト文化に触れたいのか」「気軽に地域を巡りたいのか」という旅の動機から施設を選択できる点が画期的と言えるでしょう。
温故知新は2011年に設立された、ホテルや旅館の運営・プロデュースを手がける企業で、代表取締役は松山知樹氏、本社は東京都新宿区に所在しています 。「地域の光の、小さな伝道者」という理念のもと、土地の文化・自然・物語を滞在体験としてかたちにし、「旅そのものが目的地となる宿」を全国で展開してきた実績があります 。
この会社が手がける施設の特徴は、いわゆる画一的なラグジュアリーホテルチェーンとは一線を画し、各施設が独自の個性とストーリーを持っている点にあると考えられます。ミシュラン5つ星のスモールラグジュアリーホテルや老舗旅館はもちろん、日本初のスタジアム一体型ホテル、世界初のオフィシャル・シャンパン・ホテル、美術館併設レストランなど、他に類を見ない個性的な施設を展開しているのです 。
2025年10月現在、全国で11のホテル・4つのレストランを運営しており、今後は軽井沢・高岡・阿蘇・小諸・小浜(福井)・江田島(広島)など全国で新規プロジェクトが進行中とのことです 。年間約5施設ペースで新規開業を予定しているというから、今後の展開からも目が離せません。
RETREAT SELECTION(リトリートセレクション)の詳細
コンセプト:「明日をひらく、非日常」「感性ほどける、至福のリトリート」
RETREAT SELECTIONは、空間美・食・リラクゼーションなど、非日常空間の中で心身のリトリートがかなうホテルをラインナップしたカテゴリーです 。安藤忠雄建築が生み出す光と影の空間美や、地域の恵みを堪能できる食・スパ体験、静寂に包まれる時間が、心と身体を深く癒すことをコンセプトにしていると言われています 。
このカテゴリーの特徴として注目すべきは、「画一的なラグジュアリーではなく、本質的な上質さと個性を大切にする」という姿勢です 。インスピレーションや内省の時間を通じて、明日への活力をチャージできる「心のリトリート」を提供するという理念は、現代人が求める旅のスタイルに非常にマッチしていると言えるでしょう。
対象施設一覧
瀬戸内リトリート 青凪 by 温故知新(愛媛県松山市)
安藤忠雄氏が設計を手がけたオールスイート全7室のスモールラグジュアリーホテルです 。もともと美術館だった建物をホテルにリノベーションしており、シンプルで無駄のない空間がとにかく美しいと評判のようです 。ミシュラン・ガイドでは5レッド・パビリオン(2018年)、1ミシュランキー(2024年、2025年)を獲得しており、その品質は世界的にも認められていると言っても過言ではありません 。
宿泊者の声を見ると、「窓も広く素敵な部屋」「食事も美味しく、ソムリエお薦めのペアリングも楽しめた」「貸切のプールで泳いだり、サウナに入ったりリフレッシュできた」といった高評価が多いようです 。「まさに褒美ステイって感じ」という表現も見られ、特別な記念日や自分へのご褒美として選ばれることが多い施設のようですね 。
五島リトリート ray by 温故知新(長崎県五島市)
「祈りの島、光の宿」をコンセプトにした、全26室オーシャンビュー・露天風呂付のリゾートホテルです 。橋本夕紀夫氏がデザインを手がけ、禁教の中で信仰を守り続けた祈りの島・五島の歴史と文化を体感できる施設となっているようです 。こちらもミシュラン・ガイドで1ミシュランキー(2024年、2025年)を獲得しており、品質の高さが証明されています 。
料金は、大人2名1泊あたり朝食付きで最安価格51,800円(1名あたり25,900円)から、夕朝食付きの場合は78,540円~の宿泊プランがあるようです 。じゃらんnetなどの予約サイトでは、幻の五島牛を堪能できる特選プランも用意されているとのことです 。
Agodaでは9.2/10という高評価を獲得しており、楽天トラベルでも4.6の評価を得ているようですので、利用者の満足度は非常に高いと言えるでしょう 。
壱岐リトリート 海里村上(長崎県壱岐市)
「いにしえと今を結ぶ神の島と恵の幸」をテーマにした、全12室源泉露天風呂付の温泉旅館です 。古代から湧き出る「黄金の湯」と呼ばれる温泉が特徴で、ミシュラン・ガイドでは5パビリオン(2019年)の評価を受けています 。懐かしい場所へと想いを馳せる旅物語を体験できる施設と言われています。
伊豆リトリート 熱川粋光(静岡県)
「Nostalgic Luxury」をコンセプトにした、全16室露天風呂付・オーシャンビューの温泉宿です 。2025年11月1日にリニューアルオープンし、大浴場を客室に大胆リノベーションしたという点が話題になっているようです 。永遠を思わせる遥かな水平線と、山あいに響く波音が静寂の時に寄り添う、そんな滞在が楽しめるとのことです。源泉掛け流しの温泉も魅力の一つでしょう。
小樽リトリート 蔵群(北海道)
2026年2月にリブランドオープン予定の、中山眞琴氏が建築・設計を手がけた全19室客室温泉付の旅館です 。「静謐の蔵に宿る、時の記憶」をテーマに、和骨董や李朝・明朝家具が落ち着きある佇まいをつくり出しているようです 。オールインクルーシブ形式で、追加料金を気にせずに滞在を楽しめる点も魅力と言えるでしょう。音の波紋と綴りのささやき、巡りにゆだねる侘び寂びの静域で、こころが鎮まる体験ができそうですね。
CRAFT SELECTION(クラフトセレクション)の詳細
コンセプト:「情熱に触れる、物語に泊まる」「余韻に浸る、個性派ホテル」
CRAFT SELECTIONは、明確なテーマ性と作り手たちの情熱が息づく、唯一無二の個性派ホテルをラインナップしたカテゴリーです 。ワインやシャンパーニュ、競輪など、各施設が独自の世界観を持ち、醸造家や職人、競輪選手などプロフェッショナルとの出会いが知的好奇心を刺激するとされています 。
このカテゴリーの特徴は、地域資源のアップサイクルや職人の手仕事、地域のクラフト文化を体感できる空間で、「知れば知るほど誰かに語りたくなる」物語あふれる滞在を楽しめる点にあると言えるでしょう 。単なる宿泊ではなく、その土地ならではの「物語」に触れることで、旅の余韻がより深く心に残る体験ができそうです。
対象施設一覧
ホテル ラ ヴィーニュ 白馬 by 温故知新(長野県)
「Nature Retreat」をコンセプトにした、全38室角部屋・マウンテンビューのアルパインリゾートホテルです 。北アルプスの鮮やかな四季と、日本ワインが語るテロワールを楽しめる施設となっているようです。2025年12月19日にグランドオープンとのことで、まさに今注目の新施設と言えるでしょう 。
世界的なワインアワード「Star Wine List of the Year Japan 2025」で新人リスト部門の金賞を受賞しており、ワイン好きにはたまらない施設になりそうです 。自然に抱かれながら余白を味わい、明日の自分に出会える場所として期待が高まります。
Cuvée J2 Hôtel Osaka by 温故知新(大阪府)
「Minimal Design Hotel in Osaka」として、世界初のオフィシャル・シャンパン・ホテルという唯一無二のコンセプトを持つ施設です 。小川晋一氏が建築・設計を手がけた全11室のブティックホテルで、ワンフロア・ワンルームという贅沢な構造が特徴です。芸術と歴史が息づく空間で、一杯の美酒とともに大人の隠れ家的な滞在が楽しめるようです。
真っ白に包まれる贅沢な空間は、シャンパーニュの泡のような華やかさと静謐さを兼ね備えているのではないでしょうか。シャンパン好き、デザインホテル好きには見逃せない施設と言えそうです。
KEIRIN HOTEL 10 by 温故知新(岡山県玉野市)
2022年に岡山県玉野市にオープンした、日本初のスタジアム一体型ホテルです 。「YOU ARE THE 10TH RACER」というキャッチフレーズのもと、バンクを間近に眺めるフロアで競輪の祝祭の瞬間を目の前で体験できるという、他にはない斬新なコンセプトが特徴です 。
全149室と温故知新の中では比較的規模の大きい施設で、宇野港・宇野駅から徒歩圏内というアクセスの良さも魅力です 。観光やビジネスの利用にもおすすめとのことで、競輪ファンはもちろん、瀬戸内観光の拠点としても活用できそうですね。
GATEWAY SELECTION(ゲートウェイセレクション)の詳細
コンセプト:「地域とつながる、旅の拠点」「旅が深まるゲートウェイ」
GATEWAY SELECTIONは、後継者不在の宿を引き継ぐ事業承継モデルをはじめ、地域と共に歩み、日常に寄り添うことを大切にした施設をラインナップしたカテゴリーです 。最寄り駅や港からの好アクセス、観光やビジネスにも便利な立地、素朴で温かいおもてなしが特徴とされています。
このカテゴリーの魅力は、地元の人々とのふれあいや、等身大の地域の暮らしに触れることで、旅人がその土地ならではの物語と未知の感動に出会えるという点にあると言えるでしょう 。ラグジュアリーリゾートとは異なるアプローチで、より身近に地域の魅力を感じられる滞在ができそうです。
対象施設一覧
礼文観光ホテル 咲涼(北海道)
「いつかは訪れたい、最果ての島」として知られる礼文島に位置する、5〜10月のシーズンホテルです 。全100室という規模で、日本最北端の離島ならではの、この世とは思えぬ光景が広がる体験ができるとのことです。島全体がまるでリトリートのような環境で、小さな世界を拭ってくれる、そんな滞在が期待できそうですね。
ホテルシーズン日南(宮崎県)
日向灘の絶景に包まれる海辺のホテルで、全57室の太平洋を一望できるオーシャンビューが魅力です 。宮崎の温暖な気候と雄大な海景色を楽しめる施設として、南国リゾート気分を味わいたい方におすすめと言えるでしょう。
イル・アズーリ(静岡県)
「紺碧の海と空が誘う、シーサイドリゾート」をコンセプトにした、全46室露天風呂付の施設です 。駿河湾を眺めるオーシャンフロントで、海の青さを存分に楽しめる滞在ができそうです。
ANOTHER STORY(アナザーストーリー)の詳細
コンセプト:宿泊にとどまらない唯一無二の体験
ANOTHER STORYは、上記3つのカテゴリーに分類されない、宿泊にとどまらない唯一無二の体験を提供する施設をラインナップしたカテゴリーです 。現時点では1施設のみですが、温故知新の中でも特に個性的で実験的な取り組みが行われているカテゴリーと言えるでしょう。
対象施設
maison owl(メゾン・アウル)(山口県宇部市)
建築家・石上純也氏が設計した、洞窟のようなレストランが特徴的な施設です 。「1万年前からありそうで、1万年後にもそこにありそうな」という表現が使われており、時間を超越したような空間体験ができるようです。
この施設は、インビテーション制レストラン10席、宿泊は1日1組の完全予約制という、非常にエクスクルーシブな形態をとっています 。一般的なホテルや旅館とは異なる、招待制という特別感のある体験を求める方向けの施設と言えるでしょう。なお、maison owlは温故知新の各種割引の対象外となっているようですので、その点はご注意ください 。
CAFE & RESTAURANT(カフェ&レストラン)
温故知新は宿泊施設だけでなく、食を通じて地域の魅力と出会うことができるカフェ&レストランも展開しています 。これらの施設は、宿泊せずとも温故知新の世界観を体験できる入口として機能していると考えられます。
対象施設一覧
AWA SUSHI 泡鮨(大阪府)
鮨×シャンパーニュのマリアージュを楽しめる、カウンター10席の完全予約制レストランです 。200種類以上の上質なシャンパーニュの中から、ひと品、一貫と響き合う特別な一杯を提案してくれるとのことです。
LA VIGNE DINING FÛDO(長野県)
白馬ローカルガストロノミーをコンセプトにした、日本ワインとのペアリングが楽しめるレストランです 。白馬が育んだ朝摘みの食材がその日のメニューを奏でる、息吹をそのまま映した料理が特徴のようです。
箱根 エモア・テラス(神奈川県)
「テラスとわたし」をコンセプトにした、箱根ラリック美術館併設のレストラン&パティスリーです 。オリエント急行ティーサロンを備えた複合施設で、アートと食と共に過ごす一日を楽しめるとのことです。
カフェダイニング 茶楓(東京都)
菊池寛実記念 智美術館に併設された、日本素材を使ったカジュアルフレンチと喫茶を楽しめるカフェです 。都会に佇む静寂の庭で、アートと食のひとときを過ごせそうですね。
みやまカフェ プート(岡山県)
岡山・玉野の「道の駅 みやま公園」に併設された、地域の食材をたっぷり使ったおばんざい定食が楽しめるパーク・カフェです 。カラダ喜ぶ食事を味わえる、親しみやすい施設となっているようです。
カフェレストラン FORQ(岡山県)
玉野競輪場内に位置し、岡山・瀬戸内食材を使ったジャンルを問わない創作料理を楽しめるレストランです 。KEIRIN HOTEL 10と合わせて利用することで、より充実した競輪観戦体験ができそうですね。
予約方法について詳しく解説
公式サイトでの予約(最もおすすめ)
温故知新の施設を予約する際、最もおすすめなのは公式サイトからの予約です。その理由は「ベストレート保証」が適用されることと、後述する会員プログラムの特典を最大限に活用できるからです 。
各施設の公式サイトでは、空室状況の確認から予約完了までスムーズに行えるようになっているようです。また、公式サイト限定のプランや特典が用意されている場合もあるため、他の予約サイトと比較検討してみることをおすすめします。
温故知新デスティネーションクラブ会員特典
2025年11月25日より、新たな会員プログラム「温故知新デスティネーションクラブ」が開始されました 。このプログラムは生涯累計型のメンバーシップ制度を採用しており、利用すればするほどランクが上がり、特典も充実していく仕組みになっているようです。
会員ランクは4段階で構成されています :
- トラベラー(登録時):宿泊予約3%割引
- エクスプローラー:さらなる特典あり
- ストーリーテラー:さらなる特典あり
- アンバサダー:最上位ランクの特典
ポイント制度は1円につき1ポイント付与される仕組みで、宿泊施設・レストラン・オンラインストアを横断した共通ポイント制となっています 。また、会員限定イベントや優先案内など多様な特典も用意されているようです。
予約時のポイント付与率は予約方法によって異なり、公式サイト・電話・フロントでの予約が100%付与、それ以外のインターネットサイトや旅行代理店経由の場合は付与率が下がる可能性があるようです 。このため、ポイントを最大限に貯めたい方は公式サイトでの予約がおすすめと言えるでしょう。
各種予約サイトでの予約
温故知新の施設は、以下のような主要な予約サイトでも予約可能です。
- 楽天トラベル:ポイント還元やクーポンが魅力
- じゃらんnet:特別プランやクーポンが充実
- Yahoo!トラベル:PayPayポイントが貯まる
- JTB:大手旅行会社ならではの安心感
- 一休.com(Relux):高級宿に特化したサービス
- Agoda:国際的な予約サイト
それぞれの予約サイトにはポイント還元やクーポンなどの独自メリットがありますので、自分がよく利用するサービスに合わせて選ぶのも一つの方法です。ただし、温故知新デスティネーションクラブのポイント付与率やベストレート保証の適用を考慮すると、やはり公式サイトが最もお得になるケースが多いと考えられます。
料金について詳しく解説
温故知新の施設は、いわゆるラグジュアリーカテゴリーに分類される施設が多く、料金帯は比較的高めに設定されているようです。ただし、GATEWAY SELECTIONのような気軽に利用できる施設も展開されているため、予算に応じた選択が可能です。
RETREAT SELECTIONの料金帯
五島リトリート rayの場合、大人2名1泊あたり朝食付きで最安価格51,800円(1名あたり25,900円)から、夕朝食付きの場合は78,540円~となっているようです 。1泊2食付きのスタンダードプランは107,800円~、幻の五島牛を堪能できる特選プランは121,000円~という価格設定も見られます 。
瀬戸内リトリート 青凪は全7室のオールスイートという希少性から、料金もそれに見合った設定になっていると推測されます。ミシュラン評価を受けた施設として、記念日や特別な旅行の際に選ばれることが多いようです。
CRAFT SELECTIONの料金帯
Cuvée J2 Hôtel Osakaは全11室のブティックホテルで、ワンフロア・ワンルームという贅沢な構造から、相応の料金設定になっていると考えられます。シャンパーニュとの組み合わせを楽しむコンセプトから、ワインやシャンパンのペアリングディナーなどのオプションも充実していることでしょう。
KEIRIN HOTEL 10は全149室と比較的規模が大きく、観光やビジネスにも便利な立地であることから、温故知新の中では比較的リーズナブルな価格帯で利用できる施設と言えそうです 。
GATEWAY SELECTIONの料金帯
GATEWAY SELECTIONは「旅が深まるゲートウェイ」として、より気軽に地域を巡るための拠点となる施設をラインナップしているため、RETREAT SELECTIONやCRAFT SELECTIONと比較すると、手頃な価格帯で利用できる可能性が高いと思われます。
良い点・メリット・おすすめポイント
温故知新の4ブランドには、数多くの良い点があると考えられます。ここでは、実際に宿泊された方の評判や施設の特徴から見えてくるメリットについて詳しく解説していきます。
1. 旅の目的から選べるわかりやすいブランド体系
最大のメリットは、自分の旅の目的に合わせて最適な施設を選べる点です 。「心身を整えたい」ならRETREAT SELECTION、「地域のクラフト文化に触れたい」ならCRAFT SELECTION、「気軽に地域を巡りたい」ならGATEWAY SELECTIONというように、直感的に施設を選択できます。
従来のホテル選びでは、価格や立地、設備などの条件で絞り込んでいくことが一般的でしたが、温故知新のアプローチでは「どんな体験がしたいか」という旅の本質から選べるため、より満足度の高い滞在につながりやすいと言えるでしょう。
2. 世界的に認められた品質
瀬戸内リトリート 青凪と五島リトリート rayの2施設が「1ミシュランキー」として評価されており、その品質は世界的にも認められています 。ミシュランキーは2024年から新設された宿泊施設向けの評価制度で、「特別な宿泊体験ができる宿」として選ばれた証です。
また、瀬戸内リトリート 青凪はミシュラン・ガイドで5レッド・パビリオン(2018年)、壱岐リトリート 海里村上は5パビリオン(2019年)を獲得するなど、複数の施設がミシュラン評価を受けています 。このような第三者機関からの評価は、施設選びの際の安心材料になるでしょう。
3. 著名建築家・デザイナーによる空間設計
温故知新の施設の多くは、著名な建築家やデザイナーが手がけた空間が特徴です。安藤忠雄氏(瀬戸内リトリート 青凪)、橋本夕紀夫氏(五島リトリート ray)、中山眞琴氏(小樽リトリート 蔵群)、小川晋一氏(Cuvée J2 Hôtel Osaka)、石上純也氏(maison owl)など、日本を代表する建築家・デザイナーの作品に滞在できる点は大きな利点です 。
建築やデザインに興味がある方はもちろん、普段とは異なる空間で過ごすことで得られるインスピレーションや癒しを求める方にもおすすめできます。
4. 地域の魅力を深く体験できる
温故知新の理念である「地域の光の、小さな伝道者」という言葉が示すように、各施設は地域の文化・自然・物語を滞在体験としてかたちにしています 。単なる宿泊ではなく、その土地ならではの価値を体験できる点が大きな魅力です。
料理人が自ら地域を歩いて食材を発掘する地産地消の実践、伝統工芸やアップサイクルを取り入れた空間デザイン、生産者や職人との協働によるものづくりなど、多様な地域の価値を宿での滞在を通して感じることができるようです 。
5. 高い顧客満足度
実際に宿泊された方の口コミを見ると、「スイートルームや全てにおいてパーフェクトな空間」「素敵な部屋で食事も美味しい」「ホテルの方の対応もとても丁寧でホスピタリティが素晴らしい」といった高評価が多く見られます 。
Agodaでは五島リトリート rayが9.2/10、楽天トラベルでも4.6という高評価を獲得しており、利用者の満足度は非常に高いと言えるでしょう 。「ここだけでしか体験できなかったな」と感じられる、記憶に残る滞在ができるようです 。
6. 生涯累計型の会員プログラム
2025年11月から始まった「温故知新デスティネーションクラブ」は、利用すればするほど特典が充実する生涯累計型のメンバーシップ制度です 。登録時から宿泊予約3%割引が適用され、ポイントを貯めることで上位ランクに昇格し、さらに充実した特典を受けられるようになります。
宿泊施設・レストラン・オンラインストアを横断した共通ポイント制なので、温故知新のサービスを幅広く利用する方にはメリットが大きいでしょう。
7. 今後の施設拡大への期待
温故知新は今後、軽井沢・高岡・阿蘇・小諸・小浜(福井)・江田島(広島)など全国で新規プロジェクトを進めており、年間約5施設ペースで新規開業を予定しているとのことです 。野村不動産との資本業務提携も発表されており、全国のリゾートエリアに新たなホテルを展開予定とのことです 。
今後、より多くの地域で温故知新の施設が利用できるようになる可能性があり、旅の選択肢が広がることが期待されます。
悪い点・デメリット・おすすめしない点・欠点
一方で、温故知新の4ブランドにはいくつかの欠点やデメリットも存在すると考えられます。公平な視点から、注意すべき点についても解説していきます。
1. 料金が高め
最大のデメリットは、料金が比較的高めに設定されている点でしょう。RETREAT SELECTIONの施設では、1泊2食付きで1人5万円以上かかるケースが多いようです 。記念日や特別な旅行には最適ですが、気軽に利用するには少々ハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただし、GATEWAY SELECTIONや一部のCRAFT SELECTION施設では、比較的手頃な価格帯で利用できる可能性もありますので、予算に応じた施設選びが重要です。
2. 施設数・地域の限定
2025年12月現在、温故知新が運営するホテルは全国で11施設、レストランは4店舗と、大手ホテルチェーンと比較すると施設数は限られています 。このため、希望する地域に施設がない場合や、人気施設で予約が取りにくい場合があるかもしれません。
また、都市部ではなく地方や離島に拠点を置く施設が多いため、アクセスに時間がかかる場合があります 。ただし、これは「旅の目的地としての宿」というコンセプトの裏返しでもあり、むしろメリットと捉える方もいらっしゃるでしょう。
3. 予約の取りにくさ
全7室(瀬戸内リトリート 青凪)、全11室(Cuvée J2 Hôtel Osaka)、全12室(壱岐リトリート 海里村上)など、客室数が少ない施設が多いため、特に週末や連休、シーズン中は予約が取りにくい可能性があります 。
人気施設を利用したい場合は、早めの予約を心がけることをおすすめします。
4. カジュアルな利用には不向きな施設も
RETREAT SELECTIONやCRAFT SELECTIONの施設は、非日常体験や特別な滞在を提供することをコンセプトにしているため、気軽なビジネス利用や家族でのカジュアルな旅行には向いていない場合があります。
maison owlのようにインビテーション制の施設もあり、誰でも気軽に利用できるわけではない点も注意が必要です 。
5. 新ブランド体系は始まったばかり
4つの新ブランドカテゴリーが正式導入されたのは2025年12月3日とまだ日が浅く、ブランドとしての認知度や実績はこれから積み上げていく段階と言えます 。今後のサービス品質やブランドの発展については、継続的にウォッチしていく必要があるでしょう。
こんな方におすすめしたい
温故知新の4ブランドは、以下のような方に特におすすめできます。
RETREAT SELECTIONをおすすめしたい方
- 心身の疲れを癒したい方:日常のストレスから解放され、静かな環境で心と身体をリセットしたい方
- 建築やデザインに興味がある方:安藤忠雄氏をはじめとする著名建築家の作品に滞在してみたい方
- 記念日や特別な旅行を計画している方:結婚記念日、誕生日、プロポーズなど、特別な日の思い出を作りたい方
- ミシュラン評価施設に興味がある方:世界的に認められた品質の宿泊体験をしてみたい方
- 自分へのご褒美を求める方:頑張った自分を労い、最高の滞在で英気を養いたい方
CRAFT SELECTIONをおすすめしたい方
- ワイン・シャンパーニュ好きの方:ホテル ラ ヴィーニュ 白馬やCuvée J2 Hôtel Osakaで、本格的なワイン体験を楽しみたい方
- 個性的な宿泊体験を求める方:他にはない唯一無二のコンセプトホテルに興味がある方
- 知的好奇心旺盛な方:醸造家や職人などプロフェッショナルとの出会いを楽しみたい方
- 物語のある旅をしたい方:「誰かに語りたくなる」ような体験を求める方
- スポーツ観戦が好きな方:KEIRIN HOTEL 10で競輪観戦を楽しみたい方
GATEWAY SELECTIONをおすすめしたい方
- 地域巡りの拠点を探している方:観光やビジネスに便利な立地の宿を探している方
- 地元の人々との交流を楽しみたい方:素朴で温かいおもてなしを求める方
- 比較的リーズナブルに温故知新を体験したい方:ラグジュアリー施設よりも手軽に利用したい方
- 秘境や離島に興味がある方:礼文島など、日本最果ての地を訪れてみたい方
ANOTHER STORYをおすすめしたい方
- 究極の非日常体験を求める方:maison owlのような唯一無二の空間を体験してみたい方
- 建築マニアの方:石上純也氏の作品を体験したい建築愛好家
- エクスクルーシブな体験を好む方:完全予約制・1日1組という特別感を楽しみたい方
こんな方にはおすすめできない
一方で、以下のような方には温故知新の施設はおすすめできない場合があります。
- 予算を重視する方:コストパフォーマンス重視で宿を選びたい方には、料金が高く感じる可能性があります
- 大人数での宿泊を希望する方:客室数が少ない施設が多いため、大人数の団体旅行には向いていません
- 都市部での便利なアクセスを求める方:地方や離島に位置する施設が多いため、都市部からのアクセスに時間がかかります
- 画一的なサービスを好む方:各施設が個性的なコンセプトを持っているため、大手チェーンのような統一されたサービスを求める方には合わない可能性があります
- 急な予約をしたい方:人気施設は予約が取りにくいため、計画的な旅行が難しい方には不向きです
Q&A:よくある疑問にお答えします
Q1. 温故知新の施設を予約するのに会員登録は必要ですか?
A1. 会員登録なしでも予約は可能です。ただし、「温故知新デスティネーションクラブ」に登録すると、宿泊予約3%割引やポイント付与などの特典を受けられます 。繰り返し利用する予定がある方は、会員登録をおすすめします。
Q2. 子供連れでも宿泊できますか?
A2. 施設によって対応が異なりますので、各施設の公式サイトで確認することをおすすめします。RETREAT SELECTIONの施設は大人向けのリトリート体験を重視しているため、子供の受け入れに制限がある場合があるようです。一方、GATEWAY SELECTIONの施設は比較的ファミリーにも対応している可能性があります。
Q3. 一人旅でも利用できますか?
A3. 施設やプランによっては一人旅にも対応しています。五島リトリート rayには「おひとり様向け」の部屋タイプも用意されているようです 。予約時に1名利用のプランがあるか確認してみてください。
Q4. キャンセル料はいつから発生しますか?
A4. キャンセルポリシーは施設やプランによって異なります。一般的に、高級旅館やホテルでは宿泊日の数日前からキャンセル料が発生することが多いようです。予約時に必ず確認するようにしましょう。
Q5. 温故知新デスティネーションクラブのポイントはどのように使えますか?
A5. 貯まったポイントは、宿泊施設・レストラン・オンラインストアでの支払いに利用できるようです 。詳細な利用方法については、会員マイページや公式サイトで確認することをおすすめします。
Q6. ベストレート保証とは何ですか?
A6. 公式サイトでの予約が最安値であることを保証する制度です 。他の予約サイトでより安い料金を見つけた場合、条件を満たせば対応してもらえる可能性があります。詳細は各施設の公式サイトで確認してください。
Q7. 新ブランドの導入で、既存施設のサービスは変わりますか?
A7. 今回のブランドカテゴリー導入は、お客様が施設を選びやすくするための整理という位置づけであり、各施設のサービス内容自体は基本的に変わらないと考えられます 。むしろ、ブランドの世界観がより明確になることで、各施設の魅力がより伝わりやすくなることが期待されます。
Q8. 海外からの予約はできますか?
A8. 公式サイトや各種予約サイトは海外からのアクセスにも対応していると思われます。温故知新は「国内外のお客様に向けて理解しやすい構造を導入」することも今回のブランド再編の目的の一つとしています 。
コラム:旅行業界の隠語・スラングを解説
旅行系WEBメディア「HOTTEL」のトラベルライターTAKAとして、今回の記事に関連する旅行業界の隠語やスラングについて解説しておきましょう。
デスティネーションホテル(Destination Hotel)
温故知新が掲げる「デスティネーションホテル」という概念は、「旅の目的地となる宿」を意味します 。通常、ホテルは観光地や都市を訪れる際の「宿泊場所」として利用されますが、デスティネーションホテルは「そのホテルに泊まること自体が旅の目的」となる施設を指します。
つまり、「どこに行くか」ではなく「どこに泊まるか」から旅を計画する発想の転換とも言えるでしょう。温故知新の施設は、まさにこの考え方を体現していると言えます。
リトリート(Retreat)
「リトリート」は、日常から離れて心身を癒す、休養や内省の時間を意味する言葉です。もともとは宗教的な「隠遁」「静養」を意味していましたが、現代では「リトリート旅行」「ウェルネスリトリート」などの形で、心身の回復を目的とした旅行スタイルを指すことが多いようです。
温故知新のRETREAT SELECTIONは、まさにこのリトリート体験を提供するカテゴリーとして位置づけられています 。
スモールラグジュアリーホテル(Small Luxury Hotel)
客室数が少ない小規模なラグジュアリーホテルを指します。大規模チェーンホテルとは異なり、きめ細やかなサービスや個性的な空間が特徴です。瀬戸内リトリート 青凪(全7室)などがこれに該当します 。
「Small Luxury Hotels of the World(SLH)」という国際的なホテル連合も存在し、世界中の上質な小規模ホテルがメンバーとして名を連ねています。
ミシュランキー(Michelin Key)
2024年から新設された、ミシュランによる宿泊施設の評価制度です 。レストランの「星」評価とは別に、「特別な宿泊体験ができる宿」として選ばれた施設に付与されます。温故知新では、瀬戸内リトリート 青凪と五島リトリート rayの2施設が1ミシュランキーを獲得しています。
オールインクルーシブ(All Inclusive)
宿泊料金に食事、飲み物、各種アクティビティなどが含まれている料金体系のことです。小樽リトリート 蔵群がこの形式を採用しているようです 。滞在中に追加料金を気にせず過ごせるメリットがあります。
ベストレート保証(Best Rate Guarantee)
公式サイトでの予約が最安値であることを保証する制度です 。他の予約サイトでより安い料金が見つかった場合、同等以下の料金で予約できることを保証するものです。
ロイヤリティプログラム(Loyalty Program)
リピーター顧客に対して特典を提供する会員制度のことです。温故知新デスティネーションクラブがこれに該当します 。利用実績に応じてランクが上がり、特典が充実していく仕組みが一般的です。
トラベルライターTAKAの独自考察
最後に、トラベルライターTAKAとしての独自の視点から、温故知新の4ブランドについて考察してみたいと思います。
旅行の「目的ドリブン化」への対応
温故知新の新ブランドカテゴリー導入は、旅行業界の大きなトレンドである「目的ドリブン化」への対応として非常に的を射た戦略だと考えられます。かつての旅行は「有名観光地を回る」ことが中心でしたが、現代の旅行者、特にミレニアル世代やZ世代は「何を体験したいか」という目的意識を持って旅を計画する傾向が強まっているようです。
「心身を整えたい」「物語のある滞在がしたい」「地域の暮らしに触れたい」といった目的から施設を選べる温故知新のブランド体系は、こうした現代の旅行者ニーズに非常にマッチしていると言えるでしょう。
「地方創生」と「観光」の融合
温故知新のもう一つの特徴は、地方や離島といった、従来の観光産業では見過ごされがちだった地域に拠点を置いている点です 。後継者不在の宿を引き継ぐ事業承継モデル(GATEWAY SELECTION)など、地域の課題解決と観光ビジネスを両立させる取り組みは、今後の日本の観光産業において非常に重要なモデルケースになる可能性があります 。
人口減少が進む日本において、地方の魅力を「宿泊体験」という形で再発見し、国内外の旅行者に届けるというアプローチは、持続可能な観光の一つの形と言えるのではないでしょうか。
野村不動産との資本業務提携の意味
2025年10月に発表された野村不動産との資本業務提携は、温故知新の今後の成長戦略を考える上で非常に重要なポイントです 。大手デベロッパーとの提携により、資金力と開発力が強化され、全国のリゾートエリアへの展開が加速することが期待されます。
ただし、急速な拡大によってブランドの個性や品質が薄れてしまうリスクもあります。温故知新の強みは「地域の資源を宿泊体験として活かす」高いブランディング力と開発力にあると言われています 。この強みを維持しながら、いかに成長していくかが今後の課題となるでしょう。
会員プログラムの可能性
温故知新デスティネーションクラブという生涯累計型の会員プログラムは、単なる割引やポイント付与にとどまらない可能性を秘めていると感じます 。「会員限定イベントや優先案内」という特典は、単にお得に泊まれるだけでなく、温故知新の世界観やコミュニティに深く関わることができる機会を提供するものと考えられます。
旅行者と地域が「継続的に繋がる仕組みづくり」という発想は、一過性の観光ではなく、長期的な関係性を構築するという点で、日本の観光産業に新たな価値をもたらす可能性があります。
今後の展望
温故知新は今後、年間約5施設ペースで新規開業を予定しているとのことですが 、私TAKAとしては、単に施設数を増やすだけでなく、各ブランドカテゴリーの世界観をより深く、より魅力的に進化させていくことを期待しています。
特に、ANOTHER STORYというカテゴリーは、現時点ではmaison owl1施設のみですが、「宿泊にとどまらない唯一無二の体験」というコンセプトは非常に可能性に満ちています。建築家とのコラボレーション、アートとの融合、完全予約制の特別体験など、従来のホテル・旅館の枠を超えた新しい宿泊体験が今後も生まれてくることを楽しみにしています。
最後に
温故知新の4ブランドは、「旅の目的地としての宿」という新しい価値観を提示する、非常にユニークな取り組みだと言えます。料金は決して安くありませんが、「ここでしか体験できない」という価値を求める旅行者にとっては、十分に投資する価値のある選択肢となるでしょう。
地方や離島の魅力を再発見し、それを世界に発信していくという温故知新の姿勢は、日本の観光産業の未来を考える上でも非常に示唆に富んでいます。ぜひ一度、温故知新の施設を訪れて、「旅そのものが目的地となる」体験を味わってみてはいかがでしょうか。
トラベルライターTAKAからの今回のレポートは以上です。皆さんの旅の参考になれば幸いです。次回の記事もお楽しみに!









